ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ゲーム専用機の台頭とゲーム専門誌の登場 ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“ゲーム専用機の台頭とゲーム専門誌の登場だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


ゲーム専用機の台頭とゲーム専門誌の登場


パソコン誌も無視できないファミコンの登場に、ゲーム専門誌が続々と創刊された1980年代中盤

『ログイン』1985年3月号からスタートしたコーナー「ファミコン通信」。記念すべき第1回に取り上げられたのは、ハドソンの『バンゲリングベイ』だ。

 1980年代初頭にはホビー機が注目されるなか、よりゲームに特化したパソコンも登場した。1982年発売のM5(ソード/タカラ)やぴゅう太(トミー)、1983年発売のSC-3000(セガ)や初代MSXなどだ。ゲームパッドが付属したり、ゲーム中心のソフトラインナップだったりした機種だが、いずれもキーボードを備え、BASICが使用可能であった。そのため、「コンピュータの勉強用」と称して買ってもらった子どももいたとか。

 1983年末にはMSX実機の登場と前後して、MSX規格を提唱したアスキーから専門誌『MSX マガジン』が創刊。ゲーム誌というよりパソコン誌という構成だった。

 一方、同年に発売された任天堂の「ファミリーコンピュータ」は、あくまでも家庭用ゲーム機という位置付け。キーボードなどが付属しない代わりに14,800円の低価格を実現し、爆発的な普及の一因となった。また、同社の業務用『ドンキーコング』が遜色なく動くハードを目指し、専用のカスタムICを搭載した結果、1984年にはナムコの大ヒットシューティング『ゼビウス』などが移植され、「家でゲームセンターのゲームができる」と大人気に。高価なパソコンでゲームを遊んでいたユーザーのなかには、ファミコンの性能に愕然とした人もいるハズだ。

当初、「パソコンと遊ぶ本」がキャッチフレーズだった『コンプティーク』の1985年5/6月号は、なんと巻頭でファミコンを特集していた。

 これ以降、アクションやシューティングなどリアルタイムゲームの主戦場は家庭用ゲーム機へ移行。ホビーパソコンはよりマニアックな存在となっていった。そして、パソコンゲーム各誌も家庭用ゲームを大きく取り上げるようになる。

 『ログイン』(アスキー)は1985年、アーケードゲームを紹介する“ビデオゲーム通信”の一角に“ファミコン通信”を設けて好評を博し、翌年には同名雑誌を独立創刊させる。『ファミコン通信』は、ゲーム機の多様化にともない数々の姉妹誌を生み出したが、自らは総合誌の立場を貫き続け、(2015年)現在も『週刊ファミ通』(KADOKAWA)として刊行されている。

 『コンプティーク』(角川書店)は1985年当時、巻頭で“ファミリーコンピュータ特集”を組むほどであったが、翌年にその要素を切り離し『マル勝ファミコン』を創刊。漫画『魍魎戦記MADARA』の連載などで知られた。その後、編集スタッフがメディアワークスを立ち上げ、(2015年)現在の『電撃』各誌へと続いていく。

『MSX マガジン』はアスキーより刊行。まだメジャーになる前の漫画家・桜沢エリカがソフト紹介コーナーのイラストを担当していた。
『Beep』は日本ソフトバンク刊。アーケードゲームを中心に、ゲームミュージックのソノシートを付録にして話題となった。

 これらに先駆け、1985年に創刊されたファミコン専門誌が『ファミリーコンピュータMagazine』(徳間書店) だ。『テクノポリス』(徳間書店)の弟分的要素もあり、当初はファミリーベーシックのプログラムリストも掲載。“ウル技(テク)”という裏ワザ紹介が人気だった。のちに『PC Engine FAN』『メガドライブFAN』といった機種別専門誌を独立させた。

 さらに前、1984年に創刊された『Beep』(日本ソフトバンク)は、総合ゲーム誌として家庭用ゲーム機の情報も扱っていたが、やがてセガのゲームの情報の比重が増していき、『Beep! メガドライブ』に端を発するセガハード専門誌に姿を変えた。ほか1986年には、1984年から存在したムックから月刊化された『ファミコン必勝本』(JICC出版局)、ファミコン用ソフト『ゾンビハンター』を開発した『ハイスコア』(英知出版)なども創刊され、個性的な家庭用ゲーム専門誌が出揃ったのだった。

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