ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

名作一網打尽:「三国志」シリーズ~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“名作一網打尽:「三国志」シリーズ”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


名作一網打尽:「三国志」シリーズ


光栄歴史3部作の1つ「三國志」シリーズは、『信長の野望』に次ぐ長寿作品に成長を遂げた!

本格的な『三國志』ゲームの先駆け。とはいえ、定価14,800円が高いのは間違いない。それでも、当時の売り上げランキングで上位に食い込んでいることから、そのシステムの面白さが評価されたのだろう。

 一時は「信長の野望」シリーズ、「青き狼と白き牝鹿」シリーズと並び“シブサワ・コウ、歴史3部作”として宣伝された「三國志」シリーズは、1985年に1作目をスタートさせる。先行して発売されていた『信長の野望』との差別化を図ったシステムや、マスメディアでの『三國志』の盛り上がりを受けて成長を続け、最新作『三國志12』(2015年時点)までリリースされている長寿作品となった。

 しかし、80年代に発売されたタイトルは少なく、1985年の『三國志』と1989年の『三國志II』のみ。そのシリーズ第1作目となる『三國志』は、登場人物250名、構想2年、オールマシン語との触れ込みで登場した。

 講談社の協力を得てリリースされた作品は、驚くべきことに14,800円という高額な値段で、2ドライブ専用だった。そこで、一部のコマンドとシナリオを削除し、1ドライブでも動作可能とした簡易版の『抄本三國志』も同タイミングで発売。8,800円という“お手軽なお値段で”(当時の広告ママ)売り出されている。

 前年までに発売されていた『信長の野望』のディスク版が6,800円、85年半ばにリリースされた『蒼き狼と白き牝鹿』でテープ版は4,800円、ディスク版は7,800円または8,800円と価格が高騰していく片鱗を見せていた。しかし、『蒼き狼と白き牝鹿』ディスク版のほぼ倍となる14,800円というのは、ユーザーにとっては想定外の価格だったといえるだろう。ところが1986年12月時点における『LOGiN』誌のトップ30を見てみると、前月の5位に続き6位をキープしていることから、当時の人気の高さがうかがえる。

 プレイヤーは一国の君主として、乱世時代の中華統一を目指し、優秀な人材を配下として集め、富国強兵に励みつつ戦争で領地を広げていく。知力のある武将を戦争に連れて行けば、計略と火計で簡単に勝つことができるため難易度的には低い部分もあった。他国から武将を引き抜いたり忠誠心上昇に腐心するなど、「信長の野望」シリーズとは一味違った面白さを持っていたのは確か。さらに、領地を治めている太守を引き抜けば、戦争をせずに自国領地にできるため、武力よりも知力が重んじられたゲームだった。

 また、5つの時代から選んでゲームをスタートさせることができたのも、魅力の1つだろう。武将不在の領地は空白になってしまうため、全58領地を占領して統一するには、最低でも58人の武将が必要になる。しかし、時間経過とともに武将は死に新規武将も一定年代からは出現しないので、のんびりとプレイしてはいられない一面も持っていた。

君主の1人として、中国全土統一を目指すのは前作と同じ。自分で作った君主でゲームを始めることができたり、戦闘シーンで使えるコマンドが増えるなど、数々の面でパワーアップ。多人数プレイも前作と同じく可能だ。

 89年12月に発売となった『三国志II』は、前作のシステムを引き継ぎつつ中国全土統一を目指すという目的は同じ。新たに配下の数だけコマンドを出せるようになったため、配下が多くなるほど一度に出せる命令も増えている。

 合戦でもZOC(ゾーン・オブ・コントロール)の概念が導入されたほか、一騎打ちや寝返り、援軍などの要素も導入された。このおかげで、勝手に一騎打ちに名乗りを挙げてしまう武将に泣かされた、という人もいるのではないだろうか。

 シナリオは6本となり、後漢滅亡後のストーリーもプレイ可能となっている。武将の数は、前作から大幅に増えて352キャラだが、反対に国数は58から41へと減少した。

 前作が14,800円と高価だったが、今作でも値段は変わらず。この当時から、光栄のシミュレーションゲームは高い、と一部でいわれていたが、今調べてみても確かにそう思えてしまう。

 以降、1992年には『三国志III』、94年には『三国志IV』……と、シリーズを重ねていくわけだが、『三国志11』から『三国志12』が発売されるまで6年かかっているので、(2015年時点では)次作『三国志13』が登場するとしても、それはまだまだ先になりそうだ。

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