ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち
驚くべきスクロール速度が僕たちの度肝を抜いた『ザクサス』
2022年11月8日 07:05
当時の懐かしい広告とゲーム画面で、国産PCの歴史とノスタルジーに浸れる連載コーナー。今回は、以前に紹介した『ファンファン』の作者・宮田康宏さんが同じPC-8001でリリースした、ハードの限界を超えたスクロール型リアルアクションゲームの『ザクサス』を取り上げます。
1985年と言えば、年頭にはNECからPC-8801mkIISRが発売されたほか、シャープからはX1turboII、富士通はFM77AVをリリースするなど、時代が大きくシフトするタイミングでした。この時期、70年代末期や80年代初頭に発売されていたマイコン・パソコン向けソフトはメインではなくなっていましたが、そんな時代にPC-8001用ゲームとして発売されたのが、今回取り上げる『ザクサス』です。簡単なストーリーは、以下のようになっていました。
サイボーグ戦士、大脱走!ザクサス緊急発進!!君の任務は、ザクサスを操縦し、逃げるサイボーグ戦士をトラクタービームで引き上げることです。サイボーグ戦士の逃走目標はディスフォール基地。ここに逃げ込まれると、もうつかまえることはできません。
プレイヤーはUFO型の自機ザクサスを操作し、敵キャラクターの攻撃を避けつつサイボーグ戦士をトラクタービームで回収し、自軍基地へと戻ることが使命となります。画面右上に表示されているサイボーグ戦士の数が0になれば、その面は終了。この時点で、サイボーグ戦士を一人も捕らえていない場合はミスとなり、自機を1機失い再スタートになります。ただし、一人でも捕まえていれば、自軍基地に戻った時点でステージクリアとなりました。このときに捕らえたサイボーグ戦士の数が多ければ多いほど次の面の難易度が下がり、逆に少ないほど難しくなります。
さらに、この時期に流行りだった隠れキャラクターが各面に隠されていて、これを見つけて確保すればボーナス点+トラクタービームのスピードがアップするなどの特典が得られました。攻略していくためには、各ステージごとに仕掛けられている隠れキャラクターを確実に確保して、ザクサスのパワーアップを図ることが重要になってきます。ザクサスが強力になっていけば、敵だけでなく基地を攻撃することも可能に! 破壊できればステージをワープして、一気に先へと進むことができました。とはいえ、用意されたステージは256面もあるので最終面まで進むのは容易ではありませんが、そこをクリアすればお楽しみの画面を見ることができます。
ステージ中には、ザクサスを見つけると猛炎を浴びせる攻撃をしてくるピラサニアンや、地上に仕掛けられた砲台のジャイル・キャノン、ジャイル・キャノンにホバー機能を持たせたジャイル・ホバー、さらにはビーム弾で狙ってくるファンファンなどが配置されていて、これらキャラクターたちの攻撃を喰らってしまうとミスになり、残機が減ってしまいます。それらを避けながら各ステージごとにサイボーグ戦士を大量に確保し、無事に自軍基地へと戻らなければなりません。
当時の雑誌広告などで画面を見た人もいるかもしれませんが、実際にプレイしてみると、驚くのがその処理速度の速さです。1985年なので、既に枯れたハードと言われてもおかしくないPC-8001という機種にも関わらず、とんでもない速度でスクロールする画面を初めて見たときは度肝を抜かれたものでした。とにかく早すぎて、慣れるまではなかなか思い通りにザクサスを操れないもどかしさがあります。そこさえ越えてしまえば、あとはもう楽しくなる一方でした。
そんな中で隠れキャラを探し出すには一筋縄ではいかなく、ステージ中をくまなくトラクタービームを照射して隠された地点を見つける必要があります。しかし、トラクタービームは照射するごとにエネルギーを消費し、0になると自然に回復するのを待たなければ再び使えません。
トラクタービームのエネルギーゲージの上にはレーダーが表示されていて、隠れキャラがあると反応して点滅しますので、それを目印にして上手にトラクタービームを使いつつ探し出します。コツとしては、右へ向かって移動しながらトラクタービームを照射しつつサイボーグ戦士を回収し、あわせて随時レーダーの反応を確認することでしょう。その後、敵基地まで近づいてある程度のサイボーグ戦士を確保したところで、自軍基地への帰路につきつつ先ほど反応のあったポイントを探して隠れキャラをゲット、という流れがベストでした。
サイボーグ兵士や敵キャラクターのリアルな動き、慣性力が働くザクサスをスムーズに操作出来たときの気持ちよさなど、当時発売されたPC-8001向けの作品としてはレベルが段違いだと感じたものです。確実にハードの限界を超えた素晴らしい作品だったのですが、惜しむらくはこの頃に発売された新機種の持つスペックを活かしたタイトルに力負けしてしまった、という感がありました。それでも、その凄さは色あせることはないと思いますので、最後に本作の1面クリア動画を掲載しておきました。機会があれば、このPC-8001とは思えないなめらかな動きを体験してみてください。
ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち 連載一覧
- デカキャラが衝撃的だった「ザナドゥ」
- RPGが一気に身近なものに感じられた「ハイドライド」
- “スペースキーに重し”がキーワード!? 「夢幻の心臓II」
- PC-8801mkIISRの人気を不動のものにした「テグザー」
- ボクたちの堀井雄二さん作品といえば、コレ!「ポートピア連続殺人事件」
- 誰もが知っている“ボンバーマン”の元となった「爆弾男」
- “ボンドソフト”の名前を一躍有名にした名作「タイムシークレット」
- 日本での初期RPGの代名詞とも言える「ザ・ブラックオニキス」
- MSX用のベストゲームとして挙げる人も多い「グラディウス2」
- コンピュータRPGの原点とも言える「ウィザードリィ シナリオ#1」
- 光栄の歴史シミュレーションシリーズ、その柱となる1本にして今も新作が続く「三國志」
- ザインソフトの名前を広く知らしめた「トリトーン」
- 数多くの機種にハイクオリティな移植を実現したマイコンソフトの「パックマン」
- スクウェアとサンライズがタッグを組んだ「クルーズチェイサー ブラスティー」
- 可愛らしい絵柄とは裏腹に歯ごたえあるアクションゲームだった「メルヘン・ヴェール」
- 全世界で大ヒットを記録した歯ごたえあるアクションパズルゲーム「ロードランナー」
- テレネットの底力がいかんなく発揮されたアクションゲーム「夢幻戦士ヴァリス」
- これぞハードボイルドゲームの傑作といえる1本「マンハッタン・レクイエム ~闇に翔ぶ天使たち~」
- X68000の機能を活かしたアーケードクオリティのアクションゲーム「GENOCIDE」
- シンプルな画面に隠された謎に夢中になった「MYSTERY HOUSE」
- ポニカの強み、版権ものタイトルの1本として登場した「南極物語」
- 今も続く「A列車で行こう」シリーズの元祖がここにある
- 木村明広氏の美麗なビジュアルシーンが印象的なRPG「エメラルドドラゴン」
- シンキングラビットがおくるミステリアドベンチャーの傑作「道化師殺人事件」
- ボーステックから発売された、謎多きゲーム「レリクス」
- 敵をよけつつ岩を運ぶアクションパズルの名作 デービーソフトの「フラッピー」
- 初期アドベンチャーゲームの傑作にして、今も語り継がれる「デゼニランド」
- 巨大なスケールと隠された謎の多さに驚かされた名作第2弾「ハイドライド2」
- シリーズ1作目にして高い完成度を誇った光栄の「信長の野望」
- あの名作シューティングがついにPC-88シリーズにも移植された!「ゼビウス」
- デカキャラとの戦いが3Dアクションで展開された呉ソフトウェア工房の「アルゴー」
- モンスターヒット作があらゆる面でパワーアップして帰ってきた!「ザナドゥ シナリオII」
- 「テグザー」に続く、ゲームアーツの傑作タイトル「シルフィード」
- 中村光一氏の大ヒット作にして、数多くの機種へと移植された名作「ドア・ドア」
- コンテストグランプリを受賞した、シミュレーションRPGの先駆けとも言える「ボコスカウォーズ」
- “集まれ!”“散れ!“の吹き出しがユニークだった「大脱走」
- 「スペシャル」「パンチボール」じゃない元祖「マリオブラザーズ」が、パソコンに移植されていた!
- あの「グラディウス」が、ついにPC-8801mkIISRシリーズに移植された!が……
- デモシーンやBGMに心を震わせた、日本テレネット初期の名作「ファイナルゾーン」
- とんでもない難易度は数々の悲喜こもごもな思い出をもたらした「ロマンシア」
- スターアーサーシリーズ3部作はここから始まった「惑星メフィウス」
- あの「ゼビウス」っぽいゲームをPC-8801でも遊べた!~1983年発売「アルフォス」~
- 可愛らしいキャラクターと考えられた謎にプレイヤーが魅せられた「サラダの国のトマト姫」
- いつまでも耳に残るサウンドが印象的だった珠玉の1本「ボスコニアン」
- シンプルなルールと熱い攻防、ノリの良いBGMが揃った秀作「魔城伝説」
- 名作「ウィザードリィ」の2作目が遂に国産パソコンで遊べるように「ウィザードリィ #2 - Knight of Diamonds」
- チェスとアクションゲームが融合した、ユニークな名作「アーコン」
- あの「爆弾男」が3Dになった!? 「三次元ボンバーマン」
- 時空を越える演出が魅力の「タイムトンネル」、物語は前作よりも壮大なスケールで展開
- 街角ソフトハウスがオールマシン語のゲームを発売、エンジョイ・ソフトの「町にワルガキがやって来た!」
- スターアーサーの冒険、再び! T&E SOFTの「暗黒星雲」
- コンパクトながらもツボを抑えたリバーヒルソフト初期の秀作ミステリアドベンチャー「手掛りを探せ」
- アーケードゲームライクなシューティングゲームが自宅でプレイ可能になった「ルクソール」
- “アイコンで行動を選ぶ”斬新なシステムに感心した「太陽の神殿 ~ASTEKA II~」
- その移植度の高さに驚愕した「沙羅曼蛇(サラマンダ)」
- あの「オレたちひょうきん族」のあみだくじがゲームになってた!? ポニカの「あーみだーくじ」
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- 100部屋全部をひっくるめてのパズルゲーム「ザ・キャッスル」
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- 全世界よ、これが日本のアドベンチャー・ゲームだ! コンプティーク『カムイの剣』
- 日本からアメリカまで、ヨットで太平洋を横断するスケールの大きなゲーム『セーリングクルーザー入門 太平洋横断11000km』
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- 執刀医ではなく麻酔科医の仕事がゲームになった!? 『Dr.麻酔科医』
- アニメーションするダンジョン、戦闘シーン……すべてが眩しかった ~1984年登場 『リザード』~
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- 可愛らしい“ちゃっくん”が自宅のパソコンでも動いた! 『ちゃっくんぽっぷ』
- 難易度 五つ星のファンタジーアドベンチャー『ドリームランド』
- マイコン初期時代に流行した野球拳の1本、九十九電機の『美少女ひっぱがしゲーム』
- スターアーサー伝説3部作のラストを飾った『テラ4001』
- 基本ゲームシステムはロードランナーと同じ!? 『ファンキーモンキー』
- 描画速度の速さに驚いた日本ファルコムの『デーモンズリング』
- “ハイドライド”の内藤時浩氏による商業デビュー作『コスモミューター』
- 90年代にゲームセンターで見かけた、あのゲームの元祖がここに『キャノンボール』~
- 名プログラマの森田和郎氏が手がけたフルカラースクロールアクションRPG『リグラス』
- 家族4人+1匹でドラゴンに立ち向かう『ドラゴンスレイヤーIV ドラスレファミリー』
- コンテストで最優秀賞を獲得、マジカル ズゥのアドベンチャー『黄金の墓』
- 幾千通りものシナリオを体験できた『ティル・ナ・ノーグ <ダーナの末裔>』
- 現在も続く「大戦略」シリーズの始まり『現代大戦略』
- 驚くほど滑らかに縦スクロール、名作シューティングゲーム『NOBO』
- PC-8001とは思えない滑らかな動きに驚かされた『FAN FUN』
- マイクロキャビンの名作アドベンチャーゲーム『ミステリーハウス』、その2作品目の難易度は!?
- 飛んでいくボールに合わせてスクロールする画面が斬新だった『アルバトロス』
- アーケード版と遜色ないクオリティで移植された名作『源平討魔伝』
- あまりにもカルト過ぎる問題が一部で話題を呼んだ『試験に出るうる星やつら』
- あの名作シリーズの3作目『ウィザードリィ #3 - Legacy of Llylgamyn』
- 魔城伝説シリーズの第2弾はアクションRPGとして登場! 『魔城伝説II ガリウスの迷宮』
- 当時としては驚くほどリアルなピンボールが遊べた『スーパーピンボール』
- 前作から大幅にパワーアップして舞台は全国に! 『信長の野望 全・国・版』
- 当時の移植作の中では秀逸な出来だったMSX版『グラディウス』
- 「あべしっ!」「ひでぶっ!」あの名台詞がゲーム中にも登場!~1986年発売『北斗の拳』~
- ギルに助け出されたカイがパソコンでも大活躍!『ザ・リターン・オブ・イシター』
- アーケードゲームを中村光一氏が移植、のちに改名されたPC-8001版「スクランブル」
- ザインソフトが手がけた SFハードアクションRPG『未来』
- ファルコムタイトルの中でも、群を抜いてレア度の高い1本『バードランド』
- より戦略性が増した「大戦略II」、生産タイプが増え、同時攻撃や間接攻撃も可能に!
- アドベンチャーゲームに新たな流れをもたらした『は~りぃ ふぉっくす』
- スクウェアの『アルファ』、ほぼ全シーンでアニメーション処理が導入されたADV
- ボクらのマリオ!ハドソンソフトの『マリオブラザーズスペシャル』
- 「Lotus 1-2-3 R2.1J」 あの頃の表計算ソフトと言えば、Microsoft Excelじゃなかった!
- 3機の合体シーンが印象的だった超メカシューティング『ヴォルガード』
- ファルコムのFM-7向け初アドベンチャーゲーム『異次元からの脱出』
- 「死体蹴り」の元祖といえばこのゲーム! 『エグゾアII ウォーロイド』
- 主役はマリオ、でも中身はハドソンオリジナルの「パンチボールマリオブラザーズ」
- みんな使った!日本を代表するワードプロセッサソフト『一太郎Ver3/Ver.4』
- サイバーパンクな雰囲気に飲み込まれ、そしてエンディングに驚かされた『ザ・スクリーマー』
- 歯ごたえたっぷり!全50面のパズルゲームでモグラのツラさを知る!?『モール・モール』
- 『SAVIOR(セイバー)』その滑らかなアニメーションは僕らの心を掴んで離さなかった……
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- 剣と魔法と煌めく世界観が眩しいRPGだった『ソーサリアン』
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- マイコンソフトのアーケード移植作品、MSX用『エクセリオン』
- 全国のパソコン・マイコンユーザーに衝撃を与えた『タイニーゼビウス』
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- 8ビットパソコンでも遊べるようになった『大戦略FM』
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- 意外と知られていない移植作、ソードm5版『ディグダグ』