ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

発売延期&発売中止になったゲームたち~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“発売延期&発売中止になったゲームたち”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


発売延期&発売中止になったゲームたち


結局いつ発売されたの?それともお蔵入り!?いつまでたっても「近日発売」だったあの作品……


 当時、パソコンゲーム雑誌を購読していた方なら、いつまでたっても広告から「近日発売」の文字が消えなかったソフトや、新作発売スケジュールコーナーにずーっと掲載されていたタイトルの記憶があるハズ。

 これらに限らず、1980年代のパソコンゲームは、発売日があいまいなものが少なくなかった。1980年代前半のゲーム誌には、まだ発売スケジュールコーナーも存在しなかったので、ユーザーが発売日を知るおもな手段といえば、広告を見るか店頭で知るかくらい。そして、広告に発売日が明記されていないタイトルというのは、たくさんあった。

 そのため、人知れず発売日が延びたソフトなどは、それこそごまんとあったハズだ。しかし、遅れていることがバレバレのタイトルというのも存在した。

ゲームアーツの雑誌広告より。発売が遅れていた『シルフィード』と『ぎゅわんぶらあ自己中心派』を同時に宣伝。開発が遅れていることへのお詫びメッセージが掲載されている。

 発売延期で有名なのが、ゲームアーツの『シルフィード』だろう。当初は、1985年11月発売予定と告知されていたタイトルだ。1985年といえば、同社からPC-8801mkIISR専用のシューティングゲーム『テグザー』が発売され、大ヒットしていた年。それだけに、「あのゲームアーツが、またSR専用のシューティングを出す」ということで、多くのユーザーが注目していたのだ。

 だが、発売予定を過ぎても、それから半年が経っても、広告から「近日発売」の文字は消えず、「開発が遅れ大変ご迷惑をおかけしております。現在はバージョンアップとテストプレーを行いより完全な製品化の努力をしております」(『ログイン』1986年5月号同社広告より引用)とのお詫びも掲載された。結局、発売されたのは、予定よりも1年以上が経過した1986年末のことだった。

 ちなみに、ほぼ同時期に同社が開発していた麻雀ゲーム『ぎゅわんぶらあ自己中心派』も、発売が遅れに遅れた有名タイトルの1つだ。

1985年当時のPONYCAの雑誌広告より。『史上最大の作戦』の発売が遅れていることについて、お詫びのメッセージが掲載されていた。

 さて、なかには発売が延び延びになった末、本当に発売されたのかどうか確認できないタイトルも存在する。広告などで発売中止となったことが発表されずに、いつのまにかフェードアウトしていたケースが多いためだ。

 たとえば、PONYCAのウォーシミュレーション『史上最大の作戦』は、『ログイン』では1983年6月号の同社広告に初登場して以来、「近日発売」と紹介され続けた。1985年2月号では「現在、テストプレー、作戦のシェイプアップ等を行っております。御期待にかなう作品となる様努力しておりますので、もうしばらくお待ち下さい」(同社広告より引用)とのお詫びが掲載されたものの、その後の広告では見られなくなり……おそらく、お蔵入りになったと思われる。

 このほか、同社のウォーシミュレーションとしては、『戦闘メカ ザブングル』3部作のうち、発売が確認されているのは1作目のみ、というケースも。

延期の末に消息不明となった、あまりにも有名なBPSのタイトル『ザ・ムーンストーン』。発売を心待ちにしていた人は数知れず……これは、『コンプティーク』1987年5月号に掲載された記事

 ほか、BPS が『ザ・ブラックオニキス』のシリーズ的位置づけの作品として開発していたロールプレイングゲーム『ザ・ムーンストーン』や、光栄のアドベンチャーゲーム『ルイン』も、広告で発売が延期されたことが告知されたあと、“消息”不明となった作品だ。いずれも大作として注目度が高かったため、覚えている方も多いのではないだろうか。

光栄の『RUIN』も、雑誌広告で延期のお詫びが告知されていた。しかしその後、音沙汰がなくなってしまう。
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