ボクたちが愛した、想い出のレトロゲームたち

ソフトハウス主催のミス・コンテスト~永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記~

永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記

 連載「ボクたちが愛した、想い出のレトロパソコン・ゲームたち」の番外編として、この記事では総合科学出版から発売されている「永久保存版 レジェンドパソコンゲーム80年代記」(著:佐々木 潤・レトロPCゲーム愛好会)の一部記事を抜粋し、紹介しよう。

 今回取り上げるページは、“ソフトハウス主催のミス・コンテスト”だ。なお、書籍版では画像はモノクロだが、諸事情により本記事では一部カラーや別の写真を掲載している。


ソフトハウス主催のミス・コンテスト


ゲーム発のアイドルを誕生させるムーブメント。パソコンゲームメーカー主催のミス・コンテスト


 魅力的な女の子キャラの存在は、80年代のパソコンゲームにとって売り上げに直結する重要な要素だった(今もそうかもしれないけど)。アドベンチャーゲームなど、アニメ絵の少女のグラフィック1枚で、ヒットにつながることもあった(そして、女の子の登場シーンはその1枚きり、なんてことも少なくなかった)。

 そんななか、日本テレネットから1986年に登場した『夢幻戦士ヴァリス』は、セーラー服の女子高生・優子が主人公で、変身するとビキニアーマー姿に、フルグラフィックアニメーションのビジュアルシーンも採用されて、ツボを押さえまくった作品だった。アクションゲームとしても佳作だったことからメジャーとなり、1989年には続編『夢幻戦士ヴァリスII』も発売されることになる。

『コンプティーク』誌などで行われた”セーラー服・優子”誌上オーディションの模様。その2カ月後には、ミス・優子の発表が行われた。ミスや準ミスは、X68000版『夢幻戦士ヴァリスII』で声を担当している。
リリアとは、『イースII』に登場するヒロイン・キャラクター。序盤で、倒れていた主人公・アドルを介抱する。

 そのキャンペーンとして開催されたのが、『'89日本テレネットイメージガール“セーラー服 優子”オーディション』だ。ゲーム誌の同社広告上で公募され、「応募総数約1000名のなかから」12人が選考されて、誌上オーディションが行われた。

 読者投票の結果、ミス優子に輝いたのは宮本裕子さん。12人のなかでは最年長の20歳だったが、セーラー服姿が似合っていた。広告に出演したり、X68000版で優子の声を担当するなどの活動ののち、ミュージカル『ピーター・パン』で4代目ピーター・パン役を務め、舞台を中心に(2016年)現在も活躍している。

 また、準ミスに選ばれ、X68000版で優子のクラスメイトにしてライバルの麗子役を演じた杉山容子さんは、杉崎佳穂の名で今(2016年)も芸能活動を行っているようだ。ほか、東京パフォーマンスドールの穴井夕子さん、ハドソンのPCエンジンCD-ROM^2用ゲームソフト『みつばち学園』に出演した小原準子さん、乙女塾の合田吉江さんなどもノミネートされていたという、なかなか豪華なミスコンであった。

新宿ルミネホールACTで開催された「ファルコムフェスティバル'90」にて、最終的に残った10人の中から選ばれたのが杉本理恵さん。デビューCDは『LILIA』で、90年にキングレコードのファルコムレーベルから7月21日にリリースされた。アルバムのタイトルには、『イース』にちなんだものも多い。

 続いて、その翌年には、日本ファルコムが『イースII』のヒロイン的存在、リリアのイメージキャラクター“ミス・リリア”を公募。「1873名の応募者のなかから(中略)新宿ルミネACTで行われた最終審査の結果」、杉本理恵さんが選ばれた。

 日本ファルコムは当時から、同社のゲーム音楽などを専門に販売する「ファルコム・レーベル」を展開していた。杉本理恵さんもファルコム・レーベルからファーストアルバム『LILIA』でデビューすることに。「イース」シリーズや『ソーサリアン』などのBGMに歌詞を付けた持ち歌が印象的だった。その後、雑誌『コンプティーク』に連載を持ったり、ゲーム番組にも出演するなどして、活動の場を広げていったのである。

 マニアには、アイドル歌手よりも声優のほうが人気が高い、なんてこともあった時代に、ゲーム発のアイドルを誕生させようという動きがあったのだ。

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