石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
12日間で700万本売れたゲーム『めっちゃカメレオン』は、いったい何がすごいのか?
2026年6月25日 09:05
『めっちゃカメレオン』というゲームが、にわかに注目を集めている。Steamで6月10日に発売され、12日間で700万本を売り上げたという。Steamのデータサイト「SteamDB」によると、6月23日時点での最大同時プレイヤー数は34万人で、Steamの全タイトルの中で歴代44位をマークしている。
作ったのは日本のクリエイター、「レモリオン」氏と「はがねいろ」氏。いわゆるインディーゲームである。現在はSteamだけの販売で、700万本を売り上げた本作が世界的なヒット作となっているのは間違いない。いったいどんなゲームなのか、ゲーム業界のホットな話題として知っておく価値はある。
体を色付けして隠れる
本作の内容を端的に言えば、かくれんぼである。集まったプレイヤーがフィールド上のあちこちに隠れて、鬼役のプレイヤーが制限時間内に全員を見つけられたら勝利となる。会話も不要な、きわめて分かりやすいルールだ。
ゲームが始まると、隠れる時間がスタート。3Dのフィールドで見つかりにくい場所を探し、体の姿勢を変えたりしながら隠れる。物陰や暗い場所はもちろん、壁や天井に貼りつくなど、かなり自由に場所を選べる。
そして本作のポイントとして、自分の体に色を塗れる。ペイントソフトの要領で、色を選んで、エアブラシのサイズを決め、体にペンキを吹きかけていく。落書き感覚で色付けしていくのがなかなか楽しい。
色は自由に選べて、体に好きなように描けるというのがポイントだ。例えば暗闇に潜むなら、体を真っ黒に染めれば見つかりにくくなる。あるいは置物の脇で同じ色を塗ってもいいし、壁の柄を自分の体にも描いて忍者のごとく擬態するという手もある。
隠れている時間は、鬼は控室で待つだけだが、この間に自分の体にペイントできる。隠れるわけではないのでゲーム的な意味はほとんどないが、もしかすると隠れている人を威圧したり笑わせたりできるかもしれない。落書きで待ち時間の暇をつぶせるというのもある。
鬼は探してペイント弾を当てるだけ
隠れる時間が終われば、鬼もゲームスタート。フィールド内に潜むプレイヤーを探して、手持ちのペイント銃で撃てば発見となる。弾数に制限はないが、1発撃つと2秒弱ほどは次弾を撃てない。
隠れる側からすると、体に少々色を塗ったところで、輪郭ははっきりと見えていて、とても簡単に見つけられてしまいそうに感じる。しかし鬼の側に回ってみると、驚くほどわからない。相手の塗りが上手いのか、自分の注意力が散漫なのか……。
うまく擬態されると本当に見つけづらいのだが、隠れる側には口笛を吹いて挑発するという機能がある。口笛は一定時間ごとに勝手に吹かれるため、うまく隠れている人も、何となく鬼に方向を知られてしまう。ただ、自分がうまく隠れられているなら、あえて口笛を吹いて鬼を混乱させるというのも作戦だ。
あとは、視界に入っているのに撃たれていない時間に応じて、見落としポイントが付与される。見えやすい場所でうまく擬態しているプレイヤーにはどんどんポイントが入り、そもそも見えづらい場所にいるプレイヤーにはポイントが貯まらない。これも鬼には場所を探るヒントになる。
なお隠れる側は、鬼が探している最中にも移動が可能。1回発見されれば逃げ切るのはほぼ不可能だが、1回探されたであろう場所に移動すればぐっと有利になる。
説明も言葉も不要。映像の荒さもゲームの絶妙なバランスを生む
ルールはいたって単純で、説明書は不要。しかも言葉を介さずプレイできるので、世界中のプレイヤーと何も困ることなく遊べる。ゲームはプレイヤーがルームを作成する形式であり、自ら部屋を立ち上げてもいいし、他のプレイヤーのルームに参加してもいい。現在はプレイヤー数が多いこともあって、入れるルームは無数にある。
ルームを作って遊ぶというプレイの流れは、人狼系ゲームとして人気の『Among Us』と近いが、本作はもっとカジュアルでわかりやすい。発見のためにペイント弾を撃つという方法も、他者を傷つける感じがなく、年齢問わず安心して遊べるのもポイントだ。
なるほど素晴らしいパーティゲームで、ありそうでなかった作品だ。ゲームの説明なしに目的が一目でわかる点から、多くのゲーム実況者がこぞってプレイしており、そこから爆発的なヒットにつながったようだ。
細かいことを言えば、グラフィックス周りは粗削りで、3Dとはいえリッチなビジュアルとは言い難い。筆者が初めて見た時の印象を正直に言うと、プレイ経験のある方なら伝わると思うが、『Roblox』にありそうなゲームだなと感じた(むしろ本作のヒットによって『Roblox』にコピーゲームが登場するだろう)。
ただ本作に限っては、白くてモコモコしたプレイヤーキャラクターも、自由にペイントできるキャンバスとして味があるし、あまりフィールドのビジュアルが綺麗になりすぎると隠れる時のペイントが難しくなる。ゲーム的にもこれくらいのグラフィックス品質でちょうどよかったことは、実際にプレイしてみると納得がいく。
『めっちゃカメレオン』というタイトルも、ゲームのタイトルとしては軽すぎるように感じられるが、いい塩梅でインパクトがあるし、ゲーム内容をしっかりと表現できている。どこまで狙って作っているのかはわからないが、偶発的なヒットではなく、いろんな歯車がうまくかみ合った良作だ。価格も790円とお手軽なので、ぜひ試してみてほしい。

1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜で連載『石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』』(AKIBA PC Hotline!に移動)、『使ってわかるCopilot+ PC』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題をコラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。









