パワレポ連動企画

Windows起動ドライブを新しいストレージに移行する

【パワレポ連動:チョイ古 自作PC再生計画(28)】

DOS/V POWER REPORT 2016年7月号

 こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2016年7月号」の第1特集「あなたのPCが生まれ変わる!3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! チョイ古 自作PC再生計画」を掲載する。

 本特集も今回で最終回。第28回ではシステムディスクを変更した際に必要になるWindowsの移行作業について解説する。新規インストールと比べるとアプリの再インストールの手間が省けるのが強みだ。

 本特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2016年7月号は全国書店、ネット通販にて5月28日(土)に発売。第2特集はコストパフォーマンスに優れる大容量ディスクを用途別に解説する「容量単価×用途別が正解です 最新HDD購入案内」を掲載。そのほか、あなたのPCのメインメモリ、有効活用しませんか?「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! Windows 10時代のRAMディスク活用術」、持ち運びに便利な大容量で高速なフラッシュメモリ「ベンチで性能が丸分かり! 一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ」、スペースが許せば考えたい「ウルトラワイドもオーバー30型も PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。

 今号の特別付録は、自作PCの組み立てやメンテナンスに関わる「?」を解決!「39のギモンにベストアンサー! PC自作Q&A事典2016」だ。


-チョイ古 自作PC再生計画-
Windows起動ドライブを新しいストレージに移行する


新しいストレージにWindows環境を移行する

ストレージの置き換えにかかる手間を最小化

 システムドライブに利用していた古いHDDを新しいSSDに置き換えて高速化したいなら、考えなければならないのはHDDからSSDへのWindows環境の移行だ。

 もっともシンプルな対応は新しいストレージへのWindowsの新規インストールだが、アプリケーションの再インストールやOSに施したカスタマイズ内容の復元まで考えると、完全にもとの状態に戻すのは相応の時間がかかってしまう。そこで試したいのが、別ドライブにシステムをコピーできるユーティリティの利用、あるいはWindows標準のバックアップ/リストア機能の利用である。

 お勧めしたいのは、システムドライブのクローンを簡単に作成できる「EaseUS Todo Backup」を利用する方法だ。Windowsを起動したままシステムドライブの内容を別のストレージにコピーできるほか、そのストレージをそのまま起動ディスクとして使えるためよけいな手間もかからない。

 容量の大きいストレージから小さなストレージへクローンが作れることも、EaseUS Todo Backupの見逃せないメリットである。実はWindows標準のバックアップ機能では、実際の使用領域にかかわらず、バックアップ元と同じパーティションサイズを確保できないストレージにはリストアできないという制限がある。このため、大容量HDDから容量の小さいSSDにシステムドライブを移行するといった場合、事前にSSDに収まるようにHDD側のパーティションを調整する手間が発生する。しかしEaseUS Todo Backupであれば、移行元のシステムドライブの使用領域が移行先のストレージよりも小さければ、パーティションサイズに関係なくコピーを実行できる。

 ただ、移行元のシステムドライブの使用領域が移行先のストレージ容量を上回っていれば、当然コピーを行なうことはできない。このような場合は、システムドライブに置いておく必要がないドキュメントファイルやダウンロードファイルを別のドライブに移すなどして、使用領域を調整しておこう。

EaseUS Todo Backup
システムドライブのクローンを別のストレージに作成する機能を備える、「EaseUS Todo Backup」。無償で利用できる機能は限られるが、システムドライブのクローン作成は無償版でも行なえる
Windowsのバックアップ機能
Windows 10に標準で搭載されている、システムイメージのバックアップ機能。まず外付けHDDやNAS、DVDメディアなどにバックアップイメージを保存し、その後新しいストレージにリストアするという手順だ

EaseUS Todo Backupでのシステムドライブの移行

 移行先のストレージをPCに接続した状態でEaseUS Todo Backupを起動し、クローン機能を使ってシステムドライブの内容を移行元から移行先へコピーする。基本的には、画面の手順に従って移行元と移行先を指定すればよいだけなので、操作で迷うことはないだろう。

 クローンの作成が完了したら、UEFI(BIOS)セットアップで起動ドライブとしてクローンを作成した新しいストレージを指定し、PCを起動すればよい。

1.クローン機能を使う
EaseUS Todo Backupを起動したところ。右上にある「クローン」ボタンをクリックし、クローン機能を起動しよう
2.移行元を選択
以降はウィザードに沿って作業を進める。まず移行元となる、現在Windowsがインストールされているストレージを指定する
3.移行先を指定
続いて、システムドライブの移行先となるストレージを選択する。移行先がSSDなら「SSDに最適化」をチェックする
4.設定を確認
移行元(ソース)と移行先(ターゲット)の確認画面。ドライブレターやディスク容量を見て、設定に間違いがないか確認しよう
5.クローン作業を実行
クローン作業が開始されたところ。クローン作業が終了すると、自動的にシャットダウンするオプションも用意されている
6.クローンの作成が完了
クローン作成が完了した。この後、Windowsをシャットダウンし、UEFI(BIOS)で起動ディスクに新しいストレージを選べば完了だ

【ドキュメントフォルダの場所を変更するには】

 システムドライブを以前のHDDよりも容量の少ないSSDに置き換えた場合、OSやアプリケーションにはSSDを使いつつ、データはHDDに保存してSSDの容量を節約したいと考えるユーザーは多いだろう。

 そこで設定したいのが、「ドキュメント」や「デスクトップ」、「ダウンロード」といったシステムフォルダの場所の変更だ。これらのフォルダの場所をHDDに変更すれば、保存先をいちいち意識することなくHDDにファイルを保存することができる。

プロパティを表示
移動先を指定
保存先を変更したいフォルダのプロパティを開いて、「場所」タブにある「移動」ボタンをクリックする
「移動先の選択」ダイアログが表示されるので、必要に応じてHDD側にフォルダを作成して、移動先として決定しよう

Windowsの標準バックアップ機能を使った移行

 Windows標準のバックアップ機能を使って移行する基本的な手順は、外付けHDDやNASなどにシステムイメージを保存し、新しいストレージにリストアするという流れになる。

 システムイメージの作成はコントロールパネルの「システムとセキュリティ」にある、Windows 7の機能を引き継いだ「バックアップと復元(Windows 7)」を利用する。まずシステムイメージを作成した後、Windows 10のインストールディスクや回復ドライブを利用してPCを起動し、保存したシステムイメージを新しいストレージにリストアすれば完了だ。ここでは回復ドライブを使う手順を紹介する。

1.システムイメージの作成
コントロールパネルで「バックアップと復元(Windows 7)」を起動し、「システムイメージの作成」を選ぶ
2.バックアップ先の指定
PCに接続されているHDDや光学メディア、ネットワーク上で共有されているドライブを保存先として指定できる
3.バックアップ設定の確認
バックアップ対象となるのは、Windowsがインストールされているドライブのほか、起動や回復に必要なパーティションも含まれる
4.システム修復ディスクの作成
システムイメージの作成が完了すると、システム修復ディスクを作成するかどうかを尋ねられる。これでシステムイメージの作成は完了だ

【回復ドライブの作成】

回復ドライブ
コントロールパネルにある「回復」の「回復ドライブの作成」で、USBメモリに起動可能な回復ドライブを作成できる

 Windows 10では、光学メディアを利用するシステム修復ディスクと、USBメモリを使う回復ドライブの両方を作成できる。このいずれか、もしくはWindows 10のインストールメディアでPCを起動すれば、作成したシステムイメージでリストアできる。

 もしWindows 10のインストールメディアが手元になければ、システム修復ディスクか回復ドライブのいずれかを作成しておこう。

回復ドライブで起動してから復元

1.PCを起動
回復ドライブを使ってPCを起動し、キーボードの種類を選んだ後、この画面で「トラブルシューティング」をクリックする
2.システムを回復
「トラブルシューティング」画面で「詳細オプション」を選ぶとこの画面に切り換わる。「イメージでシステムを回復」を選んで先に進む
3.リストアを開始
システムイメージを選択して進めると、この最終確認画面になる。「完了」をクリックすると、リストア作業が開始される

[Text by 川添貴生]


DOS/V POWER REPORT 2016年7月号は5月28日(土)発売】

★第1特集「あなたのPCが生まれ変わる! 3年、5年、10年前のパーツもめんどう見ます!! 『チョイ古自作PC再生計画』」
★第2特集「容量単価×用途別が正解です 『最新HDD購入案内』」
★特別企画「16GBオーバーのメインメモリはこう使え! 『Windows 10時代のRAMディスク活用術』」「ベンチで性能が丸分かり! 『一つは持ちたい最新USB 3.1/3.0メモリ』」「ウルトラワイドもオーバー30型も 『PC体験を一変させる大型液晶ディスプレイ』」
★連載「最新自作計画 ~最新ケースで作るパワフル小型マシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録「39のギモンにベストアンサー! 『PC自作Q&A辞典2016』」(雑誌のみ別途付録、電子版では本誌巻末に収録)
★ 雑誌を買うと電子版(PDF)を無料ダウンロード可能
★ 毎月700円(税込)で最新号が読める 直販電子版 月額プランも受付中
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