パワレポ連動企画

古いマザーボードで最新ビデオカードの性能は発揮できる?など、“ビデオカードのギモン” 4点を解決

【パワレポ連動:解決策はココにあり! 自作のギモン大究明(8)】

DOS/V POWER REPORT 2016年12月号

 このコーナーではこだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT 2016年12月号」の総力特集「解決策はココにあり! 自作のギモン大究明」の内容を一部抜粋して掲載する。

 第8回目は「ビデオカードのギモン」から、オーバークロックの方法や古いマザーで最新ビデオカードの性能が発揮できるのか、などの疑問を紹介する。

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-解決策はココにあり! 自作のギモン大究明-
ビデオカードをOCするには?/ビデオメモリもOCする?/PCIe延長ケーブルで性能は変わる?/古いマザーボードに最新ビデオカードの組み合わせは?


ビデオカードのギモン

 ビデオカードはゲームを快適に遊ぶためのもの、という分かりやすさがある半面、細かい製品仕様や使いこなしについては少々分かりにくいという側面もあります。

 ここでは、ゲームだけではなく、非ゲーム目的でも有効な知識をまとめました。


Q.ビデオカードを簡単にOCできませんか?

A.Afterburnerを利用すると比較的簡単です

MSI Afterburner

 ビデオカード(GPU)のオーバークロックはCPUに比べると扱うパラメータが少ないので比較的挑戦しやすいと言えます。MSI「Afterburner」など定番ツールがあれば容易にできますが、単にクロックを上昇させただけではうまくいきません。

 GPUのオーバークロックはまずPower Limitを限界まで上げ、その上でコアクロックをアップ、コア電圧をアップという手順を踏みます。CPUのオーバークロック同様、故障しても自己責任ですので覚悟の上で挑戦しましょう。

基本操作を覚えよう
コア電圧上昇に必須の設定
Afterburnerでは中央の6本のツマミでGPUのOCを行なう。中央下のチェックマークで設定を反映でき、よい設定値が見付かったら右下の「Profile」スロットを右クリックすることで保存(最大5個)が可能だ
最初はコア電圧のツマミが操作できないが、設定画面(歯車アイコン)を出し[電圧制御のロック解除]にチェックを入れると操作できる。MSIのビデオカードではない場合は横のメニューはひとまず「reference design」にする

【Afterburnerの基本操作】

1.Core Voltage
GPUのコア電圧。コアクロックの上昇が行き詰まったら少しずつ上げる
2.Power Limit
GPUの消費電力の上限を上げる。まずここを限界まで上げる
3.Core Clock:
コアクロックの上げ幅を指定。GeForce系のブーストクロックも同じだけ上がる
4.Memory Clock:
メモリクロックの上げ幅を指定する
5.Fan Speed:
ファン回転速度の調整。高クロック動作を狙うなら高めに設定する

オーバークロックによる性能向上を確認する
3DMark v2.1.2973

Q.メモリクロックをOCするメリットは?

A.性能の限界を狙えます

実クロックの増加は4分の1
Afterburner上で“Memory Clock”を引き上げればVRAMをオーバークロックできるが、ここで表示されるクロックがメモリにそのまま上乗せされるわけではない。GTX 1080で400MHz増やすと、実クロックは定格の1,250MHzから100MHzアップの1,350MHzで動作し、10.8GHz相当になる

 AfterburnerではVRAMのクロックも引き上げられます。ですが、最近のGPUはメモリクロックがもともと高いため、同じ100MHz増やすならGPUコアのほうが効果的です。GDDR5メモリのように高速なメモリを搭載しているビデオカードではあまり効果がありません。

 しかし、ビデオカードの性能の限界に挑むなら必要です。慎重に挑戦しましょう。

ビデオメモリOCの効果(3DMark v2.1.2973)

Q.PCI Express延長ケーブルで描画性能は変わる?

A.確実に落ちます。認識の上で利用しましょう

 内部パーツを見せるPCケースの中には、マザーボードのx16スロットを特殊なケーブルで引き出し、ビデオカードを通常とは違う位置に設置するタイプのものがあります。

 この延長ケーブルは、超高速なPCI Express 3.0バスをノイズ対策ほぼゼロ(シールド用アルミ箔を巻く程度)で引き出すため、信号の劣化が避けられません。これが最終的に描画性能の低下となって現われます。またライザーカードや延長ケーブルを使うとビデオカードのUEFIがうまく働かず、レガシーなBIOSモードで起動するため起動時間がわずかに長くなる現象も見られました。性能や利便性を犠牲にしても見た目を重視したいときにのみ使うべきです。

x16スロット延長ケーブル
内部を見せるPCケースでは必須
Thermaltake Technology
PCI Express Extender Cable
実売価格:実売価格:2,500円前後
ThermaltakeのCore P3のようにビデオカードをサイドパネルと並行に設置できるPCケースがある。このタイプはマザーボードの拡張スロットに別売りの延長ケーブルを接続し、ビデオカードを離れた位置に取り付けられる
延長ケーブルが性能に影響するのかチェック
3DMark v2.1.2973

【ここまでの検証環境】

CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170-A(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカード:GeForce GTX 1080 Founders Edition(NVIDIA GeForce GTX 1080 8GB 版)
SSD:Intel SSD 750 SSDPEDMW400G4X1(PCI Express 3.0 x4、MLC、400GB)
電源:Corsair RM Series RM650(650W、80PLUS Gold)
OS:Windows 10 Pro 64bit版


Q.Z68などの古いマザーでも現行ビデオカードの性能は十分出ますか?

A.PCI Expressの帯域よりCPUがボトルネックになります

形状は同じだが帯域は2倍
PCI Express 3.0と2.0を外見から見きわめるのは困難。どちらも同じ形状でピン配置も共通だが、3.0と2.0では帯域は2倍にもなる。ただ、GTX 1080であっても、CPUが同じなら2.0接続時でも性能は大きく変わらない

 現行ビデオカードはPCI Express 3.0 x16接続を考慮して設計されていますが、Z68などの2.0世代に接続しても動作します。帯域は16GB/sから8GB/sに半減しますが、現行GPUでは描画性能に大きな影響は出ません。下のグラフでは3.0世代と2.0世代の環境を比較していますが、CPUやメモリの差を含めてもスコアの違いは大きくありません。その意味で、旧世代PCに最新ビデオカードを搭載するのはコスト面で有効なアップグレード手段です。

 ただ、最新ゲームやVRアプリでは旧式CPUがボトルネックになるケースが増えています。ビデオカードのみ交換して後日システムを一新するのもアリです。

現行のZ170環境と旧世代のZ68環境で性能を比較
ウイッチャー3 ワイルドハント 最高画質(HairWorksオフ、1,920×1,080ドット)

【検証環境】

【Z170】
CPU:Intel Core i7-6700K(4GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z170 PRO GAMING(Intel Z170)
メモリ:Micron Crucial Ballistix Sport BLS2K8G4D240FSA(PC4-19200 DDR4 SDRAM 8GB×2)
SSD:Kingston HyperX Predator PCIe SSD SHPM2280P2/480G(PCI Express 3.0 x4、MLC、480GB)
電源:玄人志向 KRPW-GT700W/90+(700W、80PLUS Gold)

【Z68】
CPU:Intel Core i7-2600K(3.4GHz)
マザーボード:ASUSTeK P8Z68-M PRO(Intel Z68)
メモリ:Patriot Memory PSD38G1600KH(PC3-12800 DDR3 SDRAM 4GB×2)
SSD:Micron Technology Crucial BX100 CT250BX100SSD1(Serial ATA 3.0、MLC、250GB)
電源:Corsair RM Series RM650(650W、80PLUS Gold)


【問い合わせ先】

Thermaltake Technology:03-5215-5650(アスク)/http://jp.thermaltake.com/


[Text by 加藤勝明]


DOS/V POWER REPORT 2016年12月号は10月28日(金)発売】

★総力特集「解決策はココにあり! 自作のギモン大究明」
★特別企画「基本パーツ&便利アイテムで大変身!! 光の演出で自作マシンを鮮やかに飾る」「ポケモンGOも、VRアプリも楽しみたい! 今すぐ買える最新SIMフリースマホ20選」「PCマニアのあなたも便利に使えます ネットプリント&コンビニプリント 知っておきたい基礎知識」
★連載「最新自作計画 ~静かでハイパワーの本格ゲームマシン~」「自作初心者のための[よくある質問と回答]」「New PCパーツ コンプリートガイド」「激安パーツ万歳!」「髙橋敏也の改造バカ一台」「PCパーツ スペック&プライス」「全国Shopガイド」「DOS/V DataFile」
★ 特別付録小冊子「サウンドカード、ハイレゾ対応USB DAC、ゲーマー必携のヘッドセットなど盛りだくさん!! サウンドデバイス大全 2016」(雑誌のみ別途付録、電子版は巻末に収録)
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