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DDR5で性能向上はあるのか!?Alder Lakeの登場でメモリは新時代に突入

DOS/V POWER REPORT 2022年冬号の記事を丸ごと掲載!

 2021年のDDR4メモリは、春頃から価格が上昇し、年末には落ち着くという2020年とほぼ同じ動きになった。人気の傾向も変わらず、16GB×2枚と8GB×2枚の組み合わせが拮抗している。

DDR4は値動きが激しく

 32GB×2枚組の製品数は増えてきているが、人気上位には入っていない。また、メモリに関しては光りモノの需要は一巡したのか、コスパ重視派が多いのか、光らない、ヒートスプレッダもないシンプルなものが人気上位を占めている。

売れ筋は光らない16GB×2枚のセット
最近では“光らない”をウリにするPCパーツもデザイン面で人気になっていることが影響しているのか、コスパで選ばれているのか、シンプルな基板のみの製品が改めて人気になっているようだ

 ゲームに目を向けると、高解像度でのプレイ時やレイトレーシング有効時の推奨メモリ容量として16GB以上を求めるタイトルが増加中だ。実際にベンチマークを実行すると8GB(4GB×2枚)では、わずかではあるがフレームレートが落ちる傾向にあり、ビデオカードがボトルネックになりにくいフルHD解像度では影響が若干強く出やすい。美麗な大作ゲームをプレイをするなら、メモリは16GB、余裕を見るなら32GBを搭載するのがよいだろう。

ゲームは16GB推奨が増える
主なメモリ16GB以上推奨ゲーム
美麗なグラフィックスやレイトレ対応のタイトルは基本16GB以上推奨と考えたほうがよいだろう
【検証環境】
CPUAMD Ryzen 9 5900X(12コア24スレッド)
マザーボードMSI MPG X570 GAMING EDGE WIFI(AMD X570)
メモリMicron Crucial W4U3200CM-4G(PC4-25600 DDR4 SDRAM 4GB×2)、Micron Crucial Ballistix RGB BL2K8G36C16U4BL(PC4-28800 DDR4 SDRAM 8GB×2 ※PC4-25600で動作)、Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR4 CMT32GX4M2C3200C16(PC4-28800 DDR4 SDRAM 16GB×2 ※PC4-25600で動作)
システムSSDKingston KC600 SKC600/1024G(Serial ATA 3.0、1TB)
データSSDCFD PG3VND CSSDM2B1TPG3VND[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
ビデオカードMSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC(NVIDIA GeForce RTX 3070)
OSWindows 10 Pro 64bit版

DDR5+Alder Lakeで何が変わる?

 2021年メモリ最大のトピックはDDR5の登場だろう。Alder LakeではDDR5-4800とDDR4-3200に対応。どちらを使えるかはマザーボードしだいになるが、DDR5-4800はDDR4-3200に比べて50%も速度が向上と注目度は高い。しかし、出荷量の不足という深刻な問題も抱えている。

PMICの追加と切り欠きの変更
上がDDR5、下がDDR4メモリだ。DDR4とピン数は同じだが、切り欠きの位置が変更された。また、メモリ単体で電力管理を実現するためのPMICが追加されているのも特徴だ

 なお、Alder Lakeはメモリの枚数とランクの組み合わせによってDDR5-4000やDDR5-3600動作になることも。ただし、メモリやマザーボードの設計によっては4枚挿してもDDR4-4800動作を維持できる可能性はある。

第12世代CoreではDDR5の速度が遅くなる?
Alder Lakeが内蔵するメモリコントローラの仕様により、搭載枚数やメモリモジュールのランク仕様によっては低クロックでの動作になる。ただしXMPの適用で本来の速度で動くことも

 速度だけではなく機能面も進化。DDR4の電力管理はマザーボードが受け持っていたが、DDR5では基板上にPMICを搭載することで、メモリ側で電圧調整などが可能に。OC設定のXMPは3.0となり、ユーザーが作った動作設定を二つまでプロファイルとして保存できるようになった。手動で突き詰めたOC設定を手軽に残せるのはこだわり派にはうれしい機能だろう。また、Z690マザーにはメモリの自動OC機能「Dynamic Memory Boost」が備わっているのも注目点だ。

OCの自由度が増した
Z690マザーでは、XMPに対応したメモリならDDR5だけではなくDDR4でも状況に合わせて自動的にクロックを向上させる「Dynamic Memory Boost」を利用できる
XMP 3.0に対応したDDR5メモリは、プロファイルを合計五つまで記録可能になり、そのうち二つはユーザーが作った動作設定を書き込めるようになった
メモリコントローラはメモリの半分のクロックで動作
DDR5とAlder Lakeの組み合わせはメモリコントローラの動作クロックがメモリクロックの半分になる「Gear 2」動作が基本だ。Rocket Lakeでは、コントローラとメモリのクロックが同じになる「Gear 1」動作も可能だったが、高クロックのDDR5では難しいのだろう
これはGIGA-BYTEのZ690マザーボード「Z690 UD」のUEFIメニュー。メモリの動作は「Gear 2」と「Gear 4」しか用意されていない。今後動作の最適化が進み、Gear 1動作が可能になることを期待したい

DDR5 vs. DDR4! 性能差はあるのか

 ここではCore i9-12900KとZ690マザーの組み合わせを使い、DDR5とDDR4で性能差は出るのかテストしていく。3DMarkや実ゲームの結果を見ると、DDR4-3200に対してDDR5-4800/5200はわずかながら優位に立つことが多い。ゲームのフルHD解像度のフレームレートを見るのが一番分かりやすい。しかし、DDR4-3600とDDR5-4800/5200を比べるとほとんど優位性はなくなってしまう。

 例外なのが画像編集。Lightroom ClassicとPhotoshopの処理を組み合わせたUL Procyon Photo Editing Benchmarkの「Image Retouching」では、DDR5のほうが高スコア。DDR5の速度をうまくアプリ側が活かせるようになれば、状況は変わってきそうだ。

内蔵GPUでは差が出る?

 Core i9-12900K の内蔵GPU(UHD 770)もこれまでと同じく、メインメモリをビデオメモリとして利用する。そのためメインメモリが高速なほど内蔵GPUの性能も向上する傾向にある。DDR5の高速なデータ転送が分かりやすく活きるシーンだ。

【検証環境】
CPUIntel Core i9-12900K(16コア24スレッド)
マザーボードGIGA-BYTE Z690 UD(rev. 1.0)(Intel Z690)、GIGA-BYTE Z690 UD DDR4(rev. 1.0)(Intel Z690)
メモリCorsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR5(PC5-41600 DDR5 SDRAM 16GB×2)、Corsair DOMINATOR PLATINUM RGB DDR4(PC4-25600 DDR4 SDRAM 16GB×2)
システムSSDSamsung SSD 980 PRO MZ-V8P1T0B/IT[M.2(PCI Express 4.0 x4)、1TB]
ビデオカードMSI GeForce RTX 3070 VENTUS 2X OC(NVIDIA GeForce RTX 3070)
OSWindows 11 Pro

[TEXT:芹澤正芳]

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