パワレポ連動企画
【CPUクーラーマニアックス】24cmクラスなのにワンランク上の冷却性能、Phanteks「GLACIER ONE 240 T30」
DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!
2023年5月16日 08:05
24cmクラスなのにワンランク上の冷却性能期待を上回る静音性も魅力
CONCEPT:スリムなヘッドはミラーキャップ装着で華やかに
GLACIER ONE 240 T30は、ハイエンドケースメーカーとして有名なPhanteksから発売されている簡易水冷クーラー。性能に定評のある大手AsetekのOEM製造で、24cmクラスのラジエータを搭載しながらも36cmクラス並みの性能を発揮すると話題になった製品だ。高性能製品らしく、Ryzen Threadripperにも対応しているのもポイント。
最大の特徴はラジエータの厚みが38mmと分厚いことだ。ラジエータサイズは、120×273× 38mm(W×D×H)となっており、厚み以外は一般的な24cmクラスと同等なので、長さ的にはケースに搭載する際の自由度が高い。ただし、厚みのあるラジエータ、厚みのあるファンの組み合わせは、ラジエータの装着位置を選ぶかもしれない。とくにケースの天板部に搭載する際には干渉しやすいだろう。
付属ファンの「PH-F120T30」は12cm角のPWM仕様で、裏面のスイッチで三つの回転設定が選べる。最高回転数はAdvancedモードを使用した際は3,000rpmと高い。一方でHybridモードを使用すれば回転数が50%以下になるとファンを停止させる準ファンレス動作となる。
イルミネーション機能だが、水冷ヘッドに取り付ける専用カバー「インフィニティミラーキャップ」が付属。アドレサブルRGB LEDとミラーを組み合わせた構造となっており、シンプルなデザインながら奥行きが感じられる光り方をする。
FAN:30mm厚の高性能ファンが付属
付属ファンの「PH-F120T30」は、台湾のSUNONとの共同開発品で、強度や熱膨張率に優れる液晶ポリマー素材ファンブレードや磁気浮上ベアリングを搭載。厚みも30mmと一般的な12cm角ファンよりも5mm分厚い。軸部分に3段階の回転数の切り換えスイッチが搭載されており、最大風量は最大回転数3,000rpmを誇る「Advanced」モード時に101cfmとかなり強力。それ以外には最大回転数2,000rpmの「Performance」モード、50%以下でファンを停止する「Hybrid」モードも搭載。
BENCHMARK TEST
24cmクラスらしからぬ冷却性能を発揮
比較検証には36cmクラスのEnermax「LIQMAXⅢ ARGB ELC-LMT360-ARGB」を用いた。CINEBENCH R23を10分間実行した際は、Performanceモードで比較製品よりも1℃低い78℃、高回転設定のAdvancedモードでは77℃まで低下した。
FF14ベンチマークの結果を見ると、CPU温度が低くファンの回転数が低い状態だと、分厚いラジエータの風抜けの悪さが仇となって温度が少し高くなるようだ。Core i7-12700Kでのテストだが、この性能があればCore i9やRyzen 9の発熱も冷却可能だろう。動作音は高負荷時に43.6dBとかなり低い値を記録。Advancedモードでは54.4dBだったので、温度差を考えるとPerformanceモードが優秀な印象だ。
36cmクラスが搭載できないケースの救世主
- 24cmクラスでは最高峰の冷却性能
- 静音性も素晴らしい
- 全体的にこだわりを感じる
AsetekのOEM製品ではあるが、分厚いラジエータや高性能ファンなど性能を底上げする工夫が施されたことで、36cmクラス並みの性能を実現している。ファン回転数を絞ると静音性がよいのもこの製品の特性。上限2,000rpmのPerformanceモードをベースに、低回転時は風抜けを改善するために800 〜1,000rpmを目安に回転数を少し上げて使うカスタム設定をマザーボードユーティリティで作成するとよいだろう。
CPU | Intel Core i7-12700K(12コア20スレッド) |
マザーボード | MSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel Z690) |
ビデオカード | MSI GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti) |
メモリ | Micron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2) |
SSD | Western Digital WD Blue SN570 NVMe WDS500G3B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB] |
電源 | MSI MPG A850GF(850W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro |
グリス | 親和産業 OC Master SMZ-01R |
室温 | 25℃ |
暗騒音 | 30dB以下 |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
高負荷時 | CINEBENCH R23 Multi Coreを10分間連続実行した際の最大値 |
CPU温度 | HWiNFOのCPU Packageの値 |
そのほかの温度 | HWiNFOの値 |
動作音測定距離 | ファンから20cm |
[TEXT:清水貴裕]
最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年春号」は絶賛発売中!
今回は、DOS/V POWER REPORT「2022年秋号」の記事をまるごと掲載しています。
なお、最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年春号」では、予算別にバランスが取れたパーツを厳選してご紹介する「コスパ最強自作術」のほか、徹底比較で選んだ「お宝マザーボード8選」など盛りだくさん!是非ご覧ください!