パワレポ連動企画
【最新自作計画 第74回】高冷却・高性能・コンパクトの三拍子!水冷を活用した小型ゲームPC
DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!
2023年5月23日 14:05
今回のコンセプト
小型ケースでも拡張性には妥協せず
大型ビデオカードや簡易水冷型CPUクーラーに対応する、拡張性に優れたMini-ITX対応PCケースが増えている。そうしたモデルがオススメ
ゲームPC向けの高性能GPUに注目
GeForce RTX 3070 Tiを搭載したアッパーミドルクラスのビデオカードは、性能と発熱のバランスに優れており、小型ゲームPCにはぴったり
格闘ゲームやFPS/TPSなど対戦ゲームを中心に、PCゲームが大きな盛り上がりを見せている。そうしたPCゲームを快適にプレイするには、高性能なCPUやビデオカードを組み合わせ、きちんと冷却できる環境を整えなければならない。必然的に拡張性と冷却性能に優れた大型PCケースを利用する必要があったのだが、最近はもう一つ違う選択肢が登場していることに注目したい。
と言うのも最近、大型のビデオカードや24 ~ 28cmクラスの簡易水冷型CPUクーラーを搭載できるコンパクトなMini-ITX対応PCケースが最近増えてきている。発熱の大きな高性能CPUやビデオカードを組み込んでも、しっかり冷却できる時代が来ているのだ。「水冷特化型」とでも呼ぶべき、こうした拡張性と冷却性能に優れる小型PCケースをベースに、強力なゲームPCを作ってみよう。
簡易水冷型CPUクーラーと電源ユニットがセットの小型ケース
今回のキーパーツは、Cooler MasterのMini-ITX対応PCケース「NR200P MAX」だ。同社の「NR200P」をベースに、28cmクラスラジエータを組み合わせた簡易水冷型CPUクーラーと、850WのSFX対応電源ユニットを内蔵するモデルとなる。
大型簡易水冷型CPUクーラーのおかげで高性能CPUもしっかり冷却でき、3スロット厚で長さ33.6cmまでのビデオカードに対応するため、強力なゲームPCが作れる。実売価格は少々高めだが、こうした高性能なパーツが取り付け済みなことに加え、内部のケーブル配線がほぼ最適化されて組み込みがしやすいことを考えれば、むしろ安い。
ビデオカードはGeForce RTX 3070 Tiを搭載する玄人志向の「GALAKURO GAMINGGG-RTX3070Ti-E8GB/DF」、CPUにはIntelの「Core i7-12700KF」を組み合わせる。
あらかじめ各種ケーブルは整理済みパーツの組み込みはかなりラク
コンパクトなキューブタイプケースなので、内部は狭い。しかしラジエータやファン、電源ユニットは組み込み済みで、各種ケーブルもあらかじめ整理済みだ。ケーブルの長さは一般的なMini-ITXマザーボードに合わせて調整されているため、組み込み作業は非常に楽だった。こうした工夫はNZXTの「H1」などのベアボーンPCに近いモデルではよくあることだが、本当に便利だ。
水冷ラジエータから延びる冷媒用のホースは長めで、天板から前面パネルに沿って下に流されている。さらに電源ユニットと底面の隙間を通してマザーボードまで、ゆったりと引き回されており、ムリに力がかかっているところはない。一部のMini-ITX用PCケースでは、内部の構造物に合わせてホースを強引に引き回す必要があり、故障や破損の危険性を感じることも多いのだが、NR200P MAXではそうした心配がない。
重量級ゲームも問題なく動作、強化ガラスの側板だと温度は上昇
Core i7-12700KFとGeForce RTX 3070 Tiという組み合わせであり、3D描画性能は十分に高い。フルHD解像度やWQHD解像度のディスプレイなら、今はやりのハイリフレッシュレートディスプレイと組み合わせても快適なプレイが楽しめるはずだ。
実際に「ウォッチドッグス:レギオン」と「ファークライ6」をインストールし、グラフィックスをもっとも高い設定にしてベンチマークテストを実行したところ、最低フレームレートでも60fpsを超えた。これらのタイトルは比較的描画負荷が高いことを考えると、多くのゲームが高画質かつ高フレームレートで快適にプレイできるだろう。
また実際にいくつかの状況を設定し、温度を計測した結果が次のグラフである。簡易水冷型CPUクーラーは、天板から排気する方向で設置されているため、メッシュ構造の左側面や底面から吸気を行なう。
PCゲームプレイ時を想定した3DMarkのStressTestでは、CPU温度は84℃だった。28cmクラスの簡易水冷型CPUクーラーとしてはちょっと高めではあるが、問題がある数値ではない。GPU温度は77℃で、内部が狭く空気のとおりが悪い状態であることを考えれば、なかなかなか優秀。不安を感じる温度ではないし、十分安定している。
ちなみにNR200P MAXには強化ガラス製の側板が付属しており、左側板をこれに変更できる。ハデなデザインやLEDを搭載するビデオカードと組み合わせた場合に交換すると効果的だ。この強化ガラス製の側板に変更した場合の温度も計測したところ、3DMark時や高負荷時の温度は、メッシュパネルと比べると高めになった。とはいえこちらも危険な温度に達するわけでもないので、好みに合わせて変更するのもよいだろう。
制作後記
内部が狭い上、組み込んだパーツでぎっしりという、冷却を考えるとあまりよくない条件が揃ったケースではあるが、CPU温度やGPU温度は不安を感じない数値だ。実際にPCゲームをプレイしていても描画性能は十分に高く、ゲームPCとしての完成度はかなり高い。デザインもシンプルなので、リビングの大画面テレビに接続してPCゲームを楽しむのもよいだろう。
室温 | 26.7℃ |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
動画再生時 | 解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値 |
高負荷時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
温度 | 使用したソフトはHWMonitor 1.46で、CPU はTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの値 |
[TEXT:竹内亮介]
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