パワレポ連動企画
【高橋敏也の改造バカ一台 その257】最狂復活!毛電脳2022
DOS/V POWER REPORT 2022年秋号の記事を丸ごと掲載!
2023年5月4日 00:00
本誌2001年2月号に「20世紀最後の世界初マシン? 毛電脳」、そして翌月2001年3月号に「21世紀の最初を飾るマシン 毛電改」という記事を書いた。今から20年前、しかも20世紀と21世紀をまたいでお前は何をやっている、いややらかした。と言うか20年前からまったく成長していない髙橋である。
ちなみに「世界初の毛が生えた自作マシン」である毛電脳は、そのものズバリ「毛が生えた電脳」である。要するにフカフカの毛が生えたフェイクファーなどを本体ケースに貼り付け「毛が生えた、毛が生えた」と主張したわけである。20世紀の最後に爆誕した、世界初ならぬ世界で一番意味のないPCだった。
もちろんそこで満足する私ではない。翌月には友人まで巻き込んで「とりあえず頭髪を載せた(だけ)」のPCを作ってみた。今になって思うと、よくまあこんな企画が通ったものだ。寛大だなあ、DOS/V POWER REPORTは。
それはともかく本連載は前回でめでたく、記念すべき256回を迎えることができた。PC野郎Aチームにとっては200回記念よりも、256回記念のほうが重要なのは周知の事実。それを無事迎えることができ、257回という新たな扉を開くにあたって担当編集氏より提案があった。ちなみに本コーナーの担当編集はDOS/V POWER REPORT編集者ではなく、なぜか大変偉くなった先代編集長のSSK氏のままである。
「リバイバル企画しましょう!昔やったおもしろい企画を現代に甦らせましょう!伝説の毛電脳ですよ、毛電脳2022!」
「貴様は何を言っているんだ」を地でいく提案である。しかしまあ、20年前の企画をもう一度やってみるというのはおもしろいかもしれない。不肖・髙橋がいかに成長していないかを証明するのにもいいし、現代技術で甦る毛電脳と言うのも興味深い。というわけで私はこの提案に乗っかったのであった。
これで完成!ではなく狂気の始まり
「また毛の話をしてるよ……」
先ほども書いたが20年前の毛電脳は自作PCにフェイクファーで毛を生やしたものだった。まあ次の毛電改では「頭髪」という部分に鋭く切り込んだつもりがグダグタに終わったわけなのだが、今回は毛電脳2022である。あ、全然関係ないけど「毛電脳2022」って「サイバーパンク2077」みたいで格好いいよね。うん、全然関係ないわ。
それはそれとして毛電脳2022は「頭髪」で真っ向勝負である。毛と言えば頭髪!「また毛の話をしてるよ……」、別に股毛の話をしているわけではない。今回はしっかり自作PCに頭髪を生やしてみよう!そういうことなのだ!毛のないところに煙は立たず、一発ネタ玉砕覚悟の企画なのだ!
すいません、白状します。当初は「毛電脳2022やってやるぜ!」とか意気込んでいたのですが、なんか疲れちゃって「あ~この企画は適当にお茶を濁して、余った時間でツーリングにでも行こう」とか思ってたんですよ、ええ。そこで用意したのがコンパクトベアボーンのベストセラーASRockのDesk Mini(B660)、そして縦置き可能な15.6型のモニタである。
Desk Miniは超コンパクトな上に、ここが重要なのだが「縦置き」が可能である。Desk Miniを縦置きにして、そこにウィッグ(カツラ)をかぶせればあら不思議!毛電脳2022のできあがりである。同じように縦置きしたモニタにもウィッグをかぶせればあら不思議! 毛モニタの完成である。メインは毛Desk Miniにして、オチに毛モニタを持ってくればいいだろう、なんて考えてました……すいません。
実際に、Desk Mini B660にCore i5-12400を搭載し、メモリ16GB、SSD 512GBで普通に動くマシンは組んだ。モニタにウィッグをかぶせてみるとキモイが笑えるということも分かった……が、しかし。
それでいいのか、髙橋!?
ここに来て私の内なる毛魂が燃え上がったのである。
スケキヨではなく、クサナギ的な何か。
毛電脳はサイバーパンクの悪夢を見るか?
素子ぉぉぉぉぉぉ!
とりあえず叫んでおく。毛、毛髪、そして頭髪。頭髪と言ったらあなた、やっぱり頭部がないと話にならないでしょう!Desk Miniにウィッグかぶせればそれはそれでおもしろいと思うが、それはあくまで載っけただけ。2022を名乗るには力不足である。そこで用意したのがトルソー、いわゆるマネキンヘッドである。このマネキンヘッドにウィッグをかぶせて、ヘアカットの練習や研究を行なうらしいのだが……。うん、生首ですね。
まずは生首もといマネキンヘッドをしげしげと眺め触り、その構造などを確認する。この辺りからSAN値がどんどん削られていくのが自分でも分かる。ともかくマネキンヘッドの構造はだいたい理解した。表皮代わりのシリコン樹脂(のようなもの)にスチロール系の充填材が入れてあるようだ。ならばまずはその表皮をはぐところから始めなくては。
取り出したのは超音波メスならぬ超音波カッター。この表皮のような素材と超音波カッターの相性は抜群で、さくさく刃が入っていきペロリと表皮をはくことができた。この段階でSAN値はほとんどゼロである。そしてむき出しになった頭蓋骨もとい充填材を金鋸で切ったり削ったりして、Desk Miniのマザボが入るスペースを確保していく。SAN値、マイナスに突入。
マネキンヘッドのもの言わぬ眼を見つめつつ、作業は進んでいく。削ってできた空間にDesk Miniのマザボを固定してみる。多少はみ出すものの、なんとか収まったようだ……と、この段階で髙橋は気付くのである。CPU、メモリ、ストレージが一体になったマザボが、マネキンヘッドとはいえ「頭部」に収まっている。これってもしかして「電脳」じゃね? はい、みなさんご一緒に……。
素子ぉぉぉぉぉぉ!
このまま頭髪を生やさずにおけば「電脳2022」である。ここにウィッグを追加、毛髪頭髪を追加することによって「毛電脳2022」は完成するのである!というわけで不肖・髙橋はおずおずと用意してあったウィッグを取り出すのであった。
20年でパーツは大幅進化。では毛は?
三つ編みお下げは可、ツインテールは……
なにはともあれウィッグをマネキンヘッドにかぶせてみる。飛び出したマザボが多少ジャマはするものの、結構しっくりウィッグがかぶさった。と言うか生首感がさらに強まった。よし、これで毛電脳2022は完成……なのだけども!やっぱり何かが足りない。足りぬ、足りぬ、工夫が足りぬ!
せっかくの頭髪である、ここは一つヘアスタイルを変えておシャレの一発でもしてみたいものである。ロングヘアー?ならばツインテールでしょう!(SAN値、さらにマイナス)ということでわが愛しのポニョ嫁登場である。20年以上改造バカやっている私でも、ロングヘアーのヘアスタイルなんていじったことがないわけで。
「ポニョ嫁様、お忙しいところ申し訳ありませんが、この髪をツインテールにしていただけませんか?」
「なにバカなことやってるじゃ! 任せておくじゃ!」
はい、ダメでした。ウィッグは着脱させる都合上、固定はせずかぶせただけである。そうすると頭髪の根元がしっかりしていないのでツインテールは難しいらしいのだ。これは後で気が付いたことなのだが、マネキンヘッドに付属するピンでウィッグをある程度固定してやれば可能だったかもしれない。
ツインテールはダメでもそこはそれ、天下のポニョ嫁様。ウィッグをコシコシしてアッという間に三つ編みお下げをこさえてくれたのである。うーん、これはこれでいいっ!(SAN値の概念すら分からなくなった)さらにポニョ嫁様はヘアクリップ(というのか?)を二つ使って器用になんちゃってツインテールを作ってくれたのだ。いいですね!
とまあ、これが毛電脳2022のあらましである。正直、途中から「フヒヒ……」という低く小さな笑い声が絶えない明るい職場となってしまった、フヒヒ……。
もし私が正気を失ったとしたら、それは全部SSK氏が悪いのである! 私はちっとも悪くない! もともと私に正気なんてあるのか!? ない! ならいいか! フヒヒ……。
最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年春号」は絶賛発売中!
今回は、DOS/V POWER REPORT「2023年冬号」の記事をまるごと掲載しています。
なお、最新号「DOS/V POWER REPORT 2023年春号」では、予算別にバランスが取れたパーツを厳選してご紹介する「コスパ最強自作術」のほか、徹底比較で選んだ「お宝マザーボード8選」など盛りだくさん!是非ご覧ください!