パワレポ連動企画
【高橋敏也の改造バカ一台 その258】「2022年の締めは、ジオラマPC」
DOS/V POWER REPORT 2023年冬号の記事を丸ごと掲載!
2023年6月5日 00:00
師走、走り回る先生の群れと忘年会で酩酊した人々が繰り広げる地獄絵図。そんな中、私はふと思うのである。
「もう年末かよ!もう一年過ぎたのかよ!?」
人間、歳をとるほど時間が加速するという話は聞いていたし、また自身でも実感している。ちなみに私は来年の9月まで生き残れればめでたく(めでたくないっ!)還暦を迎える。本連載が始まった頃は30代だったわけで、そこから20年以上の月日が経過したわけだ。そして最近つくづく思うのは「1年が早いっ!」ということ。
ついこの間「2021年12月の冬号の企画は何にしましょうか?」とか話していたのに(ような気がする)、もう2022年の冬号ですよ!春号、夏号、秋号はどこ行った?いや、ちゃんとこなしてきたんですけどね連載ですから……。
そうか分かった。これは時間が加速しているんじゃないぞ、途中途中の記憶が欠落して、結果的に全体を短く認識してしまうのではなかろうか?あるいは……ハッキングによる電脳操作が行なわれているかだ(前回の毛電脳2022を引きずっている)。
いや、そんなことを言っている場合ではないのだ。忘年会はどうでもいいし、私は先生じゃないので走り回る必要もない。それより何より大事なのはそう「大掃除」なのである!
しかも自作PCパーツの大掃除!これをやらないと年が越せないわが家なのである。
いけにえもとい犠牲者もとい「適したパーツ」を選ぶ
年末が忙しくなる理由の一つに「大掃除」がある。とくに自作マニアにとってPCパーツの大掃除は最重要行事である。ある意味、自作マニアの大掃除は「パーツの取捨選択」地獄なのである。
もう絶対使わない古いパーツであっても買った当時は高かったとか、思い入れがあるとかそういった理由でいつまでも居残るパーツたち。パーツ大掃除はパーツ地層からの化石パーツ発掘から始まるのだが、これがいちいち手が止まってしまい時間がかかる。
「EMSメモリっていつの時代だよwww」
「SIMMかよwwwまだいたのかお前www」
「RIMMとかwww記念に取っておこうかなwww」
メモリシリーズでこれなのだ。CPU、マザーボード、ビデオカード、電源ユニット、ストレージ各種、本体ケース、光学ドライブ、有象無象のケーブルたち……。これらを大掃除するとなると、まず1年はかかるだろう。当然、1年後の年末には同じ状態になって永遠のループに突入するわけなのだが。
このような惨劇を防ぐために大切なのは「断捨離する強い心」である。たとえば「5年間箱から出していないパーツは問答無用で処分する」とか「1世代前のパーツまでは残してあとは処分する」といった具合である。とか偉そうに言ってる私自身ができてないので、効果のほどは定かではない。
要するに私も年末に向けてパーツの整理を少ししてみたわけでよ、ええ。でもってもう絶対使わないだろうなあというパーツがそこそこ出てきたもんで、それで動くマシンを組んでみたわけですよ。いや、捨てるなり売るなりして処分しろよ高橋。
Core i7-4770T、低消費電力のいいCPUでした。第4世代Coreだけどな!64GBのSerial ATA SSD、容量もそこそこあってHDDと比較して超高速……当時はな!300WのSFX電源ユニットなんてどうすればいいのよ……。てなマシンが完成したのである。この年の瀬にっ!そもそも組むな!
よく引っ越しの片付けをしていて、箪笥の奥から出てきた漫画を懐かしがって読みふける、という話を聞く。それと同じで懐かしいパーツが数台分片付けで出てきたら、そりゃ組むでしょう自作マニアなら……。いや、これがダメなんですよ。組まずに処分する!強い心が大切なんです。
はい、私にはそんな強い心はないので、大掃除で出てきたパーツで組んじゃいました。組んじゃったらそりゃあなた、何かに使わないともったいないでしょうが。
大掃除で出てきたパーツで「ジオラマPC」を作る
ジオラマ、大雑把かつホビー的な言い方をすると風景模型とでもなるか。博物館の展示方法とか本来の意味は置いておくとして、普通にジオラマと言ったらプラモデルや鉄道模型を思い浮かべる人が多いと思う。もちろん私もその一人だ。そしてなぜ2022年ラストマシンが「ジオラマPC」になったのか?
そこには壮大な物語があるわけでも、悲壮な決意があるわけでもない。
「2023年はガンプラでジオラマやりたいな」
というのが理由なんです。ごめんなさい、反省しているので許してください。実は不肖・髙橋、小学中学とタミヤの1/35ミリタリーシリーズ制作を趣味としてきた。趣味といっても子供が楽しむレベルだったが、塗装やデカールもちゃんとやっていた。だが、ジオラマ制作には手を出していなかった。興味はあったのだが、そこまで手を広げられなかったというのが実情である。
あれから40年、月日が経つのは早いものだ。初老になった今、プラモデルを作ることはなくなったが、改造自作PCをせっせと作っている今。まあぶっちゃけ自由になる時間もできたし、プラモデルとかもう一度チャレンジしたいなとか思ったり。でもってどうせ再チャレンジするならガンプラのジオラマなんて素敵じゃないですか。などと最近思っていたのである。
ならば年末の大掃除でなぜか錬成されてしまったシステムを流用し「ジオラマPC」を作ってみようじゃないか!という流れが2022年最後にできあがったのである。
いろいろ試した結果、手応えあり!
ジオラマPCを作るにあたって新たに用意したのは樹木の模型、人工芝マットや人工芝パウダーといったものだ。塗料は手元に使えそうなものが揃っていたので、それを流用している。
ジオラマのベースとして使ったのは、ガンプラのジオラマ制作や展示のベースとして使われるキット。工場や基地、ドックのような雰囲気のキットである。中華製の大きなものを選んでみたが、パーツの合わせなどで工夫は必要になるものの十分使えるものだった。
今回は試作ということでジオラマPCは完成した後の動作を気にしていない。もちろん完成後、ちゃんと起動するように配慮して作業を進めはしたが動かなくてもスキルアップには役立ってくれるという考えだ。
と言うのも、たとえば用意した塗料には使い勝手のいい水性タイプが多く、マザボに塗ったり滴が落ちたりするとどうなるか。さらに人工芝系の模型には細かなクズが出るものが多いし、人工芝パウダーにいたってはまさしくパウダーである。このパウダーが細かいところに入り込んだ場合、はたしてPCの動作がどうなるか。そういったもろもろのテストを兼ねた制作というわけだ。はたしてどうなることやら……。
今年最後のマシンは近くに寄って見ないでください!
久々に本格的な模型方面の作業である。正直、実に楽しい作業である。塗装に関しては模型にしろ自作PCにしろある程度経験があるので、それを確認しながらの作業となる。テーマを一応「廃工場」としたので、キレイな塗装というよりウェザリング、いわゆる汚し塗装がメインだ。実は私、これが結構得意だったりするので思わず熱中してしまった。
塗装で全体の雰囲気ができあがってきたら小物、今回用意した樹木の模型などを配置する。うち捨てられた廃工場を植物が侵食していく……その過程といった雰囲気である。あれこれ樹木の模型や人工芝を配置してみるが、どうも取って付けた感が否めない。おそらく青々し過ぎているからか、もしくは「設定」が足りないのだろう。
そう、ジオラマには設定が大切だと思っている。たとえば廃工場一つにしても場所であったり、どんなものを作っていたのか、大きな搬入口はどっちを向いていたのか、窓からの日差しの入り具合は……などといった設定によって植物の生え方や崩壊具合が違ってくると思う。
今回は試作ということであれこれ試してみたわけだが、塗装に関してはそこそこ、小物の扱いに関してはまだまだという雰囲気にできあがった。まあ塗装に関しても近くで見るとボロが出まくりなわけだがw。
いずれにしても今回の「ジオラマPC」でやるべきこと、やってはいけないことが見えてきた。いくら改造マシンと言ってもPCは動いてなんぼの代物である。将来的にはしっかりジオラマしている、それも見栄えのする自作PCを組んでみたいものだ……というのが本年最後の私の決意。
それではみなさま、2022年もご愛読ありがとうございました。2023年もまたよろしくお願いいたします。
[TEXT:高橋敏也]
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