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玄人志向がサイズとコラボした簡易水冷クーラー「KURO-AIOWC360L」【PC PARTS SCRAMBLE CPUクーラー編②】

DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!

玄人志向がサイズとコラボした簡易水冷クーラー

玄人志向 KURO-AIOWC360L 実売価格:17,000円前後
対応CPUソケット:LGA1150/1151/1155/1156/1200/1700、Socket AM4/AM5●ファン:12cm角×3(最大1,800rpm、PWM対応)●サイズ(W×D×H):394×120×27mm( ラジエータ)、85×72×37mm(水冷ヘッド)●重量:1,234g(実測値)

こんなユーザーにオススメ

・堅実な冷却性能が欲しい
・比較的安価でも信頼性は重視したい
・サクッと簡単に組み立てたい

 玄人志向から簡易水冷CPUクーラー「AIOWCシリーズ」がリリースされた。OEM大手のAsetek製のラジエータとポンプのシステムを採用しているのが特徴で、ファンには日本が世界に誇るCPUクーラーブランドであるサイズの製品が採用されている。ラジエータは24cmと36cmの2サイズ展開で、LED搭載ファンと非搭載ファンの合計4モデルがラインナップ。今回テストしたのは、LEDファンを搭載する36cmクラスの「KURO-AIOWC360L」だ。

半透明のブレードは枚数が11枚となっている。ブレード全体が光るのでかなりハデな印象
標準状態ではIntel用のブラケットが装備されているので、AMD環境で利用する際は交換する必要がある。ねじれば簡単に外せる

 付属ファンはブレードが半透明になっており、RGB LEDによるイルミネーション設定に対応する。PWM制御に対応した4ピン接続となっており、最大回転数は1,800rpmで最大風量は79.76cfmといった仕様だ。最低回転数や静圧は公表されていないのが少し残念。なお、LEDなしモデルのほうはファンが2,400rpmと高回転仕様だが、最大風量は77.23cfmと低く、それに比例して騒音レベルも下がっている。これはLEDモデルのブレード数が11枚と2枚多いからかもしれない。LED非搭載モデルのファンは「WONDER SNAIL 120 PWM」というサイズ製のケースファンで最大静圧が3.59mmH2Oと高いもの。静圧重視で選びたいのならば実績のあるファンが搭載されているLEDなしモデルを選ぶのもありだ。

LED付きモデルなので配線は少し多めだが、ファンのケーブルは付属のハブでまとめることが可能。配線がかさ張りやすい分岐ケーブルよりもスマートな配線が可能だ。欲を言えばLEDのケーブルもまとめられるとベターだが、価格を考えると十分な仕様と言える

 水冷ヘッド部分はAsetekのOEM品らしくコンパクトで、チューブ含めて周辺に干渉しにくそうな作り。ポンプは最大回転数が2,800prmのものを搭載。標準状態では、サングラス・ロゴがRGB LEDで発光するようになっておりやや主張が強めだが、付属品にはロゴなしのカバーがあり、これに交換することもできる。

Asetekの製造品でおなじみの円形ベース。ブラケットの交換がツールレスで行なえるのもポイント
付属のカバーに交換すると見た目がシックになるので、地味な外観を好む人も満足できるだろう

 比較対象に同じ36cmクラスの定番モデルであるDeepCool LS720を用いて検証した。CINEBENCH R23のMulti Coreテストを10分間連続実行した際のCPU温度は最大76℃。悪くない値ではあるが、LS720よりも4℃高い温度となった。Asetek製36cmラジエータ搭載モデルだともう少し冷えてもおかしくないのだが、ファンの性能が影響している可能性がある。最大静圧が非公開のため推測の域ではあるが、「WONDER SNAIL 120 PWM」を搭載するLEDなしモデルのほうが今回のRGB LEDモデルよりも冷える可能性があるだろう。水冷クーラーの場合はラジエータの細かなフィンの隙間から風を抜くために、ファンのスペックでは静圧がより重要になってくる。動作音に関しては、高負荷時に50.3dBとファンを3基搭載するわりには静かな部類なので、静音性重視のユーザーも満足できそうだ。

冷却性能は必要十分。Asetek製OEMの信頼性と合わせてコスパは高い
低回転のアイドル時やFF14ベンチ時でも温度が比較製品よりも高い。風量的には悪くないスペックなので、静圧が低いことが原因で風抜けが悪そうな印象だ。ポンプの動作音を拾いやすいアイドル時において、31.8dBと優秀な値を記録。回すとそれなりに動作音は大きくなるが、ポンプの静音性が高いのはGOOD

 大手AsetekのOEM品ということもあり、リテンションキットがシンプルで組み立てやすく、性能や耐久性の面でも安心感があるのは魅力的。格安とまではいかないまでも、しっかり冷える36cmクラス水冷としては価格もなかなかよい水準。コスパと信頼性を重視したい場合にはよいクーラーだ。

【検証環境】
CPUIntel Core i7-12700K(12コア20スレッド)
マザーボードMSI MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4(Intel Z690)
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)
ビデオカードMSI GeForce RTX 3060 Ti GAMING X TRIO(NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti)
SSDWestern Digital WD Blue SN570 NVMe WDS500G3B0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB]
電源MSI MPG A850GF(850W、80PLUS Gold)
OSWindows 11 Pro
グリス親和産業 OC Master SMZ-01R
室温25℃
暗騒音30dB以下
アイドル時OS起動10分後の値
高負荷時CINEBENCH R23 Multi Coreを10分間連続実行した際の最大値
CPU温度HWiNFOのCPU Packageの値
動作音測定距離ファンから20cm

[TEXT:清水貴裕]

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