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ガラス越しにパーツを楽しめるピラーレス仕様!NZXT「H9 Flow」【竹内亮介のオレにPCケースを使わせろ!】
DOS/V POWER REPORT 2023年春号の記事を丸ごと掲載!
2023年11月13日 00:00
NZXT H9 Flow
今回取り上げるNZXTの「H9 Flow」は、フレームを支える一部の支柱(ピラー)を持たない「ピラーレス」と呼ばれるタイプのPCケースだ。視線を遮る支柱がないため、強化ガラスを通して、まるで水槽のように組み込んだパーツのデザインやLEDのイルミネーションをじっくり楽しめる。
前面パネルと左側板は一体化した曲げガラスではなく、2枚をピタリと合わせるタイプである。細い合わせ目は見えるが、隙間はほとんどない状態なので、左側面に組み込んだビデオカードやケースファン、CPUクーラーなどの様子がよく見える。ガラス自体も透明度の高いものが使われており、「眺める楽しみ」を前提として設計されていることがよく分かる作りだ。
マザーボードベースを境にして内部の領域を左右に分け、それぞれにパーツを組み込むデュアルチャンバー構造を採用することにも注目したい。光る製品が多いマザーボードやビデオカードなどのメインパーツやケースファン、ラジエータなどは左、地味な電源ユニットや各種ストレージは基本的に右に組み込む。大きめのパーツを左右に分けて組み込むため、パーツ同士の干渉は発生しにくい。
メッシュ構造の天板やファンマウンタを簡単に着脱できる機構を採用しているため、ラジエータの取り付けやマザーボードへのケーブル接続は容易だった。また右側面に装備するファンやファンマウンタも簡単に着脱でき、大型ラジエータでもラクに組み込める。デュアルチャンバー構造のおかげでマザーボードベース裏面のスペースは広く、面ファスナーやフックを多数備えており、ケーブルも整理しやすい。今回は空冷と水冷で2パターンの構成を組み込んでみたが、どちらでも簡単だった。
冷却性能も高く、これまでテストしてきたミドルタワーケースの中ではトップクラスの成績だった。側面に装備する3基の12cm角ファンで、しっかりと外気を取り込んでいるからだろう。アイドル時や軽作業時のファンの回転数は400 ~ 500rpmであり、パーツを選べば非常に静かなPCが作れる。
NZXTらしいデザイン性と組み込みやすさに加え、高い冷却性能を備える本機は、構成やユーザースキルを問わず利用できる優れたPCケースだ。
着脱可能な天板を利用すればラジエータの組み込みはラク
天板、右側面、底面とさまざまな場所に36cmクラスのラジエータを固定できるが、一番のオススメは天板だろう。天板やファンマウンタが簡単に着脱できるので、ラクに取り付けられる。側面は標準ファンとの換装が必要だし、底面はラジエータの設置場所としてはあまりオススメできない。今回は36cmクラスのラジエータを備えるFractal Designの「Celsius+ S36 Dynamic」を組み込んだところ、前面や背面近くのスペースには十分な余裕があり、組み込み作業もスムーズだった。ラジエータやファンが、マザーボード上部の各コネクタを隠すこともなかった。
遊び心をくすぐられる構造、ピラーレスでもフレームは頑強
視線を遮る支柱がないピラーレスのPCケースなので、組み込んだパーツのデザインを、ショーウィンドウのようにじっくり眺めて楽しめるのは面白い。前述のとおり強化ガラスの透明度は高めであり、LEDパーツを組み込むとそのイルミネーションの光が周囲を明るく照らす。またガラスの透明度が高く内部もよく見えるため、お気に入りのフィギュアやプラモデル、関連するジオラマを置くなどのカスタマイズをしても楽しいだろう。
ただ支柱が1本少ないため、組み込み前には「フレームが歪みやすいのではないか」という不安があった。しかしデュアルチャンバー構造によって、右側にスチールのしっかりしたフレームがあり、これが全体を支えているのだろう。組み込み作業をしたり、パーツを組み込んだ状態でPCケースを移動したりしても、フレームが歪むことはなかった。
ミドルタワーケースとしてはトップクラスの冷却性能
「魅せる作例」にマッチしたH9 Flowだが、実は冷却性能も高い。空冷構成の場合、CPU温度は高負荷時で70℃、GPU温度も69℃までしか上がらない。テストした季節が冬であることを考えても、トップクラスの成績と言ってよいだろう。側面に装備した3基の12cm角ファンによって右側板方向からしっかりと外気を取り込み、ビデオカードやCPUを冷却していることがうかがえる。
さらに天板に36cmクラスの簡易水冷型CPUクーラーを排気方向で取り付けて同じテストを行なったところ、CPU温度はさらに下がって高負荷時は60℃、GPU温度もやや下がった。CPUクーラーの性能が違うのでCPU温度の低下は当然だが、3基の12cm角ファンが追加されて天板方向へ風が抜けるエアフローが強化されたことが、GPU温度にもよい影響を与えたようだ。
こんなPCを作りたい!
ピラーレスを活かすなら、やはりイルミネーション重視の作例がマッチしているだろう。さまざまな小物を一緒に飾るのも楽しい。
CPU | AMD Ryzen 9 5900X(3.7GHz) |
マザーボード | ASUSTeK ROG STRIX B550-F GAMING(AMD B550) |
メモリ | CFD 販売 W4U3200CM-8G(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB × 2) |
ビデオカード | GIGA-BYTE GeForce RTX 3070 EAGLE OC 8G(NVIDIA GeForce RTX 3070) |
SSD | Western Digital WD Black SN750 NVMe WDS500G3X0C[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB] |
電源ユニット | Corsair RM750x(750W、80PLUS Gold) |
CPUクーラー | サイズ MUGEN5 Rev.B(サイドフロー、12cm 角)/ Fractal Design Celsius+ S36 Dynamic(簡易水冷型、12cm 角×3) |
室温 | 22.5℃ |
アイドル時 | OS起動10分後の値 |
動画再生時 | 解像度1,920×1,080ドットの動画ファイルを1時間再生したときの最大値 |
3DMark時 | 3DMarkのStressTest(Time Spy)を実行したときの最大値 |
高負荷時 | OCCT 11.0.21のPOWER SUPPLYテストを10分間実行したときの最大値 |
Fan Xpert 4の設定 | Auto |
各部の温度 | 使用したソフトはHWMonitor 1.49で、CPUはTemperaturesのPackage、GPUはTemperaturesのGPUの値 |
[TEXT:竹内亮介]
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