パワレポ連動企画
イチオシアイテム解説 電源編
~バリューモデルの品質が向上~
【2015秋 自作PCパーツ超コレクション400(33)】
(2015/10/21 11:30)
こだわりの自作PC専門誌「DOS/V POWER REPORT」の特集をほぼまるごと紹介するこのコーナーでは、「2015年11月号」の総力特集「2015秋 自作PCパーツ 超コレクション400」を掲載する。
第33回目では、高効率化が進む電源を解説する。高い変換効率の電源が登場する一方、80PLUS GOLDクラスでも性能のわりに低価格な製品が登場している。
この特集が掲載されているDOS/V POWER REPORT 2015年11月号は全国書店、ネット通販にて9月29日(火)に発売。ぜひともオススメしたいアイテムを一挙掲載する総力特集のほか、フリーOSと余ったパーツで簡単運用「無償のFreeNASで構築するファイルサーバー:ファーストステップ」、ゲーム実況もお手軽に「特選HDMIキャプチャカード&ユニット19」、そろそろ手に届く4Kや5K、ゲーム特化からお手軽フルHDまで紹介する「最新液晶ディスプレイ大集合!!」、GIGABYTEのZ170マザーボードでPC自作の手順をバッチリ解説「GIGABYTEマザーで作るSkylakeマシン組み立て講座」など、特別企画も満載。人気の連載記事、髙橋敏也氏による「髙橋敏也の改造バカ一台」や本Web連載中のAKIBA限定!わがままDIY+の本編「わがままDIY」も掲載だ。
今号の特別付録は豪華二本立て!「完全保存版CPU&チップセットデータベース2004-2015」と「定番&新顔フリーソフト集」だ。
-イチオシアイテム解説 電源編 ~バリューモデルの品質が向上~-
高効率&高付加価値 vs. バリューの波
電源編
2015秋のトレンド
・1万円前後の価格帯に高効率電源が続々
・Bronze電源のリフレッシュモデルが登場
・高付加価値製品ではデジタル化が進む
技術の蓄積により、各グレードに動きが出てきた
電源を選ぶ際、多くの方が「80PLUS」のグレードをまず一番にチェックするのではないだろうか。
80PLUSは変換効率の指標で、Standardから始まり、Bronze、Silver、Gold、Platinumと、クリアすべき基準が高められたグレードが次々に登場し、現在では10/20/50/100%負荷時で90~94%という高いハードルを課したTitanium認証が設けられ、すでに取得製品がリリースされている。
80PLUS Standard | 80PLUS Bronze | 80PLUS Silver | 80PLUS Gold | 80PLUS Platinum | 80PLUS Titanium | |
負荷率10% | - | - | - | - | - | 90% |
負荷率20% | 80% | 82% | 85% | 87% | 90% | 92% |
負荷率50% | 80% | 85% | 88% | 90% | 92% | 94% |
負荷率100% | 80% | 82% | 85% | 87% | 89% | 90% |
実売価格帯 | 4,000円~ 6,000円前後 | 5,000円~ 7,000円前後 | 7,000円~ 12,000円前後 | 7,000円~ 40,000円前後 | 7,000円~ 40,000円前後 | 10,000円~ 50,000円前後 |
Titanium認証製品はハイエンドモデルに限られるが、Gold/Platinum認証製品となると、ハイエンドモデルが中心ではあるものの、出力と価格を抑え、1万円前後の比較的手を出しやすい価格帯を狙ったものも続々と登場してきた。このクラスでは多機能なハイエンドモデルと、価格を抑えたバリューモデルという2極化が進んでいる。
Gold認証の下にはSilver認証があるが、電源メーカーによると、この辺りに必要となる回路技術の分水嶺があると言う。上位を目指した設計の製品はGold認証を、そうでないものはコストを重視しBronze認証で妥協されることが多く、中間のSilver認証製品は少なくなってきた。
その流れで最近注目を集めているのがBronze認証電源だ。最初に登場してから長い月日が経ち、回路技術のノウハウが蓄積されている。効率面はBronzeなりだが、安定性や信頼性、とくにコンデンサの質という点では、登場したての頃の製品と比べ、大幅に向上した第2世代製品、第3世代製品が登場しており、魅力は大きい。そして価格が手頃なので、バリューPC向けとして狙い目だ。
【検証環境】
CPU:Intel Core i7-4770K(3.5GHz)
マザーボード:ASUSTeK Z97-PRO(Intel Z97)
メモリ:Team Group TED316G1600C11DC-AS(PC3-12800 DDR3 SDRAM 8GB×2)
ビデオカード:ASUSTeK STRIX-GTX970-DC2OC-4GD5(NVIDIA GeForce GTX 970)
SSD:Intel Solid-State Drive 330 SSDSC2CT240A3K5(Serial ATA 3.0、MLC、240GB)
OS:Windows 8.1 Pro 64bit版
アイドル時:ベンチマーク終了10分後の値、高負荷時:3DMarkを実行中の最大値
電力計:Electronic Educational Devices Watts Up? PRO
出力を選ぶポイント
80PLUS認証グレードと並び、電源選びのもう一つの指標となるのは定格出力だ。
必要な出力を見きわめる目安は、PCの高負荷時の消費電力の2倍である。これは、電源の変換効率が、負荷率50%時にもっとも高効率であることに由来する。とはいえ、高い負荷のかかる作業はまれ、というのであれば、1.3倍程度で見積もっても構わない。
消費電力の目安としては、大きな電力を消費するCPUとGPUにTDPという指標が示されている。消費電力ではなく熱設計に関する値だが、おおよその目安になるのでこれをチェックしよう。
構成例 | 出力の目安 |
Core i7-4790+CPU 内蔵グラフィックス | 消費電力:84.3W→電源出力:500W以下でOK |
Core i7-4790+GeForce GTX 970 | 消費電力:273W →電源出力:600W以上が安心 |
Pentium G3258(OC 時)+CPU内蔵グラフィックス | 消費電力:107.7W→電源出力:500W以下でOK |
Core i7-6700K+GeForce GTX 980 Ti | 消費電力:346W→電源出力:750W以上が安心 |
Core i7-4790+GeForce GTX 960 | 消費電力:175.3W →電源出力:500W以下でOK |
Core i7-4790+GeForce GTX 970 SLI | 消費電力:485W→電源出力:1,000W 以上が安心 |
デジタル回路化の波と、USB PDという次のトレンド
内部回路にも変化が見られる。電源の内部回路には、デジタル回路とアナログ回路があるが、とくに高効率電源ではデジタル回路の採用が進んでいる。
デジタル回路では、コンデンサの数も抑えられるため、小型化もしやすい。とくに高付加価値モデルの中には、デジタル回路であることを活かし、USBなどでPCと接続し、リアルタイムでの電圧や消費電力などの監視や、+12Vを仮想的に分割管理する機能などを搭載するものもある。
アナログ回路の多い製品もまだまだ登場している。認証グレードの低い製品やバリュー製品が中心だが、安くて品質のよい製品もあり、負荷の変動の大きくない、CPUに内蔵されたGPUを利用する軽作業向けのPCなどでは、こうした電源もまた狙い目と言える。
また、今後の気になるトレンドとしては、「USB Power Delivery」(USB PD)が挙げられる。
携帯デバイスの充電用にも用いられるUSBだが、USB PDではこれが最大100Wに拡大される。せいぜい10W程度だった従来のUSBの電源供給能力では対応し切れなかったデバイスなどがUSB PDによって動作可能となり、MacBookのようにノートPCの充電すら実現する。Skylake世代からUSB3.1でUSB PD対応のType-C端子を持つマザーボードも登場し始めた。まだ出力に制限があるものもあるが、USB PDを利用したい方は、電源の出力目安にUSB PD分の100Wをプラスして検討しておくのがよいだろう。
[Text by 石川ひさよし(トレンド解説)/藤山哲人(製品紹介)]
【DOS/V POWER REPORT 2015年11月号は2015年9月29日(火)発売】
★総力特集「主役は出揃った!!今が買いの本誌イチオシアイテムがずらり 自作PCパーツ超コレクション400」
★特別企画「無償のFreeNASで構築するファイルサーバー:ファーストステップ」「特選HDMIキャプチャカード&ユニット19」「最新液晶ディスプレイ大集合!!」「GIGA-BYTEマザーで作る Skylakeマシン組み立て講座」
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