借りてみたらこうだった!

マザーが2枚入る超弩級ケース「Obsidian Series 1000D」をチェック

4面スモークガラスのCORSAIR最上位モデル text by 坂本はじめ

 今回、発売間近のCORSAIR製スーパータワーケース「Obsidian Series 1000D」をお借りした。4面にスモークガラスパネルを採用し、E-ATX + Mini-ITXの2枚のマザーボードが搭載可能な超弩級ケースだ。

 究極のスーパータワーケースとしてCORSAIRブランドの頂点に立つObsidian Series 1000Dはどのようなケースに仕上がっているのか、外観と機能をチェックしてみよう。

2つのシステムを搭載可能なスーパータワーケースメーカーロゴ部分と端子部分にRGB LEDを搭載

 Obsidian Series 1000Dは、幅307×高さ693×奥行き697mmという巨大なタワー型ケースだ。先日発売された「Obsidian Series 500D」と同じく、アルミニウムとブラックスモークガラスを組み合わせたデザインを採用している。

 内部構造は2つのシステムを搭載できるデュアルシステムレイアウトを採用しており、E-ATXに対応するプライマリーエリアと、Mini-ITX対応のMini-ITXエリアに、それぞれ異なるシステムを構築できる。

Obsidian Series 1000D。アルミニウムとブラックスモークガラスを組み合わせたデザインが特徴のスーパータワーケース。
E-ATXとMini-ITXの2つのシステムを搭載できる「デュアルシステムレイアウト」を採用。

 Obsidian Series 1000Dは、フロントと両側面のほぼ全面にガラスパネルを採用している。両サイドのパネルは、ケース背面側のヒンジを軸に大きく開閉する仕様で、組み立て時には取り外すこともできる。

 近年流行のRGBイルミネーションを意識して設計されており、オープンベイを廃してガラスパネルを採用したフロントパネルからは、RGB LEDを搭載したCORSAIR ロゴやフロント側ファンステイに取り付けたファンのイルミネーションを楽しめる。

 また、フロントパネル上部のインターフェイス群のうち、電源スイッチとUSBポートにはRGB LEDイルミネーションが組み込まれている。

 これらフロントパネル側のRGBイルミネーションは、後述する「Commander PRO」に接続することで、PC上のユーティリティ「Corsair Link」から色やパターンをコントロールできる。

フロントパネルにはブラックスモークガラスを採用。5インチベイなどのオープンベイは廃されている。
天板。ヘアライン仕上げのアルミニウムパネルの中心にスモークガラスを採用している。
左側面。ほぼ全面にブラックスモークガラスを採用。
右側面。左側面と同様ブラックスモークガラスを採用。
サイドパネルはドア構造となっている。
背面。左上にMini-ITXシステム用の電源スイッチが確認できる。
フロントパネルインターフェイス。USB Type-C(USB 3.1 Gen2)×2、USB 3.0×6、電源スイッチ、リセットスイッチ、音声入出力。
フロントパネルインターフェイス用の接続端子。
ケース背面上部に配置されたMini-ITXシステム用の電源&リセットスイッチ。
Mini-ITXシステム用の接続端子。
フロントパネルのCORSAIRロゴはイルミネーション機能対応のRGB LEDを備えている。
フロントパネルインターフェイスにもRGB LEDが組み込まれている。
ケース搭載のRGB LEDは、Commander PROなどのコントローラに接続することで、Corsair Linkから制御できる。

ストレージベイはマザー背面側に集約ビデオカードの向きを変えて搭載するための機構も

 外観に続いて内部の構造も見ていこう。ストレージベイはトレイ式で、2.5インチ専用トレイ×6基と、2.5&3.5インチ両対応トレイ×5基を備えている。

 各ストレージトレイにはケース右側面からアクセス可能で、2.5インチトレイは観音開き式のドア上、2.5&3.5両対応トレイはケース底部に配置されている。

ケース右側面・内部。2.5インチトレイをマウントする観音開き式のドアが閉じた状態。
ドアを開いた状態。ドアには各3個の2.5インチ専用トレイが搭載されている。底部の左側には2.5&3.5両対応トレイが見える。
2.5インチ専用トレイ
2.5&3.5インチ両対応トレイ

 2つのシステムを搭載可能なObsidian Series 1000Dでは、当然ながら2基の電源ユニットが搭載可能だ。プライマリーシステム用として奥行225mmまでのATX電源、Mini-ITX用にはSFX電源をそれぞれ搭載できる。

 電源ユニット設置個所には、Mini-ITX搭載スペースを兼ねたカバーを搭載しており、ケース左側面から電源ユニットや配線を覆い隠す仕様となっている。

ケース背面の電源ユニット搭載スペース。ATX電源は横置き、SFX電源を縦置きする仕様となっている。
ATX電源の直上がMini-ITXのI/Oパネルが収まる位置になる。
Mini-ITXシステムを組み込まないユーザー向けにSFX電源とバックパネル用の開口部を塞ぐパネルが付属している。
電源ユニットはMini-ITXマザーボード搭載ベースを兼ねたカバーで覆い隠す仕様となっている。

 拡張スロットは、プライマリーシステム向けに8スロット、Mini-ITXシステム向けに2スロットを備えている。

 プライマリーシステム向けのスロットは、6段分のスペースを縦スロット4本に変換するギミックが用意されている。これを利用することで、プライマリーシステム側の拡張カードを縦置き設置できる。

プライマリーシステム用の拡張スロットは8スロット。
Mini-ITXシステム用の拡張スロットは2スロット。
交換用の縦置き拡張スロット金具。
プライマリースロット側に縦置き用金具を取り付けたところ。

本格水冷にもオールインワン水冷にも好適な冷却システム

 Obsidian Series 1000Dは、水冷ユニットを用いた冷却システムの構築を前提として、ラジエーター搭載スペースを多く確保している。CORSAIRから発売されているオールインワンタイプの水冷クーラーの利用はもちろん、本格的なDIY水冷の組み込みまで広く対応している。

 ラジエーターの取り付けが可能なファンステイは、フロントに120mm×4基×2列、トップに140mm×3基、リアに120mm×2基。フロントとトップのファンステイは交換可能であり、別売りのオプションとして「120mm×4基」と「200mm×2基」も提供される。

 フロントとリアには着脱式のダストフィルターを搭載しており、ケースの内部にアクセスすることなくフィルターの清掃が行える。

ケース左側面。マザーボード搭載スペースの右と上にはラジエーター搭載用のスペースが確保されている。
ストレージトレイ上部とシャーシには、ポンプやリザーバーを取り付けるための穴があけられている。
フロント側のファンステイには、120mmファンを4基×2列で合計8基のファンを搭載できる。
トップのファンステイには140mmファンを3基搭載できる。
リアのファンステイは120mmファンを2基搭載可能で、240mmラジエーターも取り付けられる。
フロントとトップのファンステイは着脱可能かつ互換性があり、別売りのファンステイを用意すれば搭載できるラジエーターやファンの種類を変更できる。
フロントとリアには着脱式のダストフィルターを搭載している。
ダストフィルターは電源ユニット用の吸気口にも用意されている。

 Obsidian Series 1000Dは、ファンコントローラとRGB LEDコントローラを兼ねた「Commander PRO」を標準搭載している。

 Commander PROは、6系統のファンコントロールと2系統のRGB LEDコントロールの他、ファンコントロールに利用できるサーマルセンサー(4系統)と、USB 2.0ピンヘッダーのハブ機能を備えている。

Commander PROは、ケース右側面に搭載されている。単体でも販売されており、実売価格は約1万円。
冷却ファン制御用の4ピンコネクタ×6系統と、CORSAIR製品のLEDイルミネーション制御用端子×2系統を備える。
USBピンヘッダー2系統と、サーマルセンサー接続端子×4系統。
Commander PRO本体には、給電用のSATA電源ケーブルとUSBピンヘッダー接続ケーブルが直付けされている。
付属するケーブル。サーマルセンサー×4、RGB LED Hubケーブル×2、ファン延長ケーブル×4。
Commander PROに接続したファンやLEDは、PC上の「Corsair Link」からコントロールできる。

 多数のファンやラジエーターを搭載可能で、高性能なファン&LEDコントローラを標準搭載するObsidian Series 1000Dだが、冷却ファンは一基も付属していない。

 これはユーザーが任意に冷却ファンを選択することを前提としているためだ。Obsidian Series 1000Dは、こだわりの冷却システムを構築したいユーザーのためのケースであると言えるだろう。

究極のシステムを構築したいエンスージアストのためのスーパータワー

 イルミネーションが映えるデザインを採用した巨大なタワー型筐体に、デュアルシステムレイアウトや多数のファンとラジエーターを搭載できるObsidian Series 1000Dは、細部までこだわった超ハイエンドシステムを構築したいエンスージアストのためのスーパータワーケースだ。

 特徴的なデュアルシステムレイアウトをどう生かすのかはユーザーの工夫次第。省電力システムとハイエンドシステムを使い分けたり、Mini-ITXベースのハイエンドゲーミングPCとハイエンドCPUを搭載した録画&配信マシンを組み合わせたりと、色々な使い方が考えられる。

 巨大な筐体サイズと冷却システム構築にかかる費用の大きさからユーザーを選ぶ製品ではあるが、モンスタースペックのPCを構築したいユーザーにとっては、唯一無二のスーパータワーケースであると言えよう。

[制作協力:CORSAIR]