借りてみたらこうだった!

GIGABYTEのAPU向けMini-ITXマザー「GA-F2A88XN-WIFI」をテスト

A88X搭載、品質重視設計

GIGABYTE GA-F2A88XN-WIFI

 今回お借りしたGA-F2A88XN-WIFIは、AMD A88Xチップセットを搭載したSocket FM2+対応マザーボードです。

 フォームファクターはMini-ITXを採用。ローエンドの単体GPUに匹敵するポテンシャルを持つGPUを備えたAPUの特性をいかして、コンパクトながらゲームも遊べる、オールラウンダーなPCを作るのにぴったりなマザーボードです。

IR製MOSFET + ヒートシンク、安心の電源回路が魅力のMini-ITXマザー

基板の裏面。実装部品は少なめ。
バックパネルIO。ディスプレイ出力はHDMI(v1.4a)2系統と、DVI-Dが1系統。DisplayPort非搭載なのが惜しい。

 GA-F2A88XN-WIFIでは、7.1chのサウンド機能、Gigabit LANと言った基本的な機能の他、基板表面に実装されたmini-PCI Expressスロットに、Intel製の無線LANモジュール「Dual Band Wireless-AC 7260」を標準搭載。これにより、IEEE 802.11 a/b/g/n/acとBluetooth 4.0をサポートしています。

 格別に機能満載のマザーボードという訳ではありませんが、おかげでボード上のパーツレイアウトは整然としており、裏面の実装パーツも少ないので、サードパーティー製のCPUクーラーを選びやすいのはありがたいところ。

 パーツの実装面積の限られるMini-ITXマザーボードでは、電源回路がウィークポイントになりがちですが、GA-F2A88XN-WIFIでは、1基あたり60Aの電流供給が可能なInternational Rectifier社のMOSFET「IR3550M」を6基と、デジタルPWMコントローラ「IR3567B」による、4+2フェーズのデジタル電源を搭載。放熱用のヒートシンクもしっかり装備しており、TDP 100W級のAPUを安心して搭載できる電源設計は魅力的です。

Intel製の無線LANモジュール「Dual Band Wireless-AC 7260」。
付属品として、無線LAN用のアンテナが同梱されている。
GIGABYTEマザーボードでおなじみのDual BIOSも搭載。
両ラッチタイプのDDR3メモリスロットを2本搭載。
SATAポートは全部で4基。全てA88Xチップセット提供のSATA 6Gbps対応ポート。
PCI Express x16スロット。Kaveri搭載時はPCI Express 3.0での動作に対応。
4+2フェーズのデジタル電源回路。放熱用のヒートシンクも装備。
International Rectifier社のMOSFET「IR3550M」。
International Rectifier社のデジタルPWMコントローラ「IR3567B」。
LANコントローラ「Realtek RTL8111F」。
オーディオコーデック「Realtek ALC892」。


最新版UEFIでConfigurable TDPが利用可能

UEFIのTDP設定項目。「Disabled(95W)」、「45W」、「65W」の三段階でTDPを変更可能。

 GA-F2A88XN-WIFIでは、最新版のUEFIを利用することで、Kaveriで注目の機能「Configurable TDP」が利用可能。

 Configurable TDPを利用すると、TDP設定に応じてCPUクロックを間引いて動作するため、CPU自体のパフォーマンスは低下してしまいますが、動作時の消費電力と発熱を抑制できます。

CINEBENCH R15実行中の最大消費電力比較
Configurable TDP利用時の「CINEBENCH R15」スコア比較

 単純に消費電力と発熱を引き下げたいという要求に応えるだけでなく、いざPCを組み立ててみたものの、想定以上にPCケースの排熱が悪く、APUが冷やしきれないという、コンパクトPCにありがちな問題に直面した際の解決手段としても使えるConfigurable TDP。Mini-ITXマザーボードでは特に有用なこの機能であると言えますね。

テストに用いた機材。

CPU AMD A10-7850K
マザーボード GIGABYTE GA-F2A88XN-WIFI (rev. 3.0)
メモリ DDR3-2400 4GB×2 (G.SKILL F3-2400C10D-8GTX
CPUクーラー サイズ 兜2(SCKBT-2000)
SSD Intel SSD 510 120GB
電源 SilverStone SST-ST85F-G
OS 日本マイクロソフト Windows 8.1 Pro(64bit)
VGAドライバ AMD Catalyst 14.1 Beta
室温 26.0±0.5℃


Mantleで高まるAPU搭載コンパクトPCの価値

 Kaveriの新機能と言えば、外せないのはAMD独自APIのMantle。前項と同機材を使用し、Steamで配信中のMantle対応ベンチマークソフト「Star Swarm Stress Test」で、Mantleの効果をチェックしてみました。

 テストでは、シナリオを「RTS」に設定。描画設定「Low」と「Medium」の2条件で、Mantle利用時とDirectX利用時の平均FPSを比較しています。

Star Swarm Stress Test(Scenario: RTS)

 Mantle利用時のFPSは、DirectX利用時より、Low設定で約202%、Medium設定では約173%向上しています。GPU負荷が高くなると、Mantleの効果が薄れるようですが、今回実施したテストの内容では、Mantleを利用することで、DirectXに対する優位が顕著に表れています。

 今後、Mantleが普及していけば、APUの内蔵GPUだけで遊べるゲームの数や、プレイ可能な描画設定の向上が期待できそうです。そうなれば、Kaveriとの組み合わせでシンプルかつコンパクトにPCを自作できるGA-F2A88XN-WIFIの価値も高まることでしょう。


品質志向のSocket FM2+対応Mini-ITXマザーボード

 記事執筆時点で、GA-F2A88XN-WIFIの実売価格は1万円前後となっています。この価格でありながら、IR社製のMOSFETを採用したデジタル電源や、Intel製の無線LANモジュールを装備している点は魅力的です。

 元より選択肢の限られているSocket FM2+対応Mini-ITXマザーボードですが、過不足ない装備と、しっかりした電源設計に魅力を感じるのなら、GA-F2A88XN-WIFIは良い選択肢となるでしょう。