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AMDがイベントで「Ryzen 7 9800X3D」の供給見通しについて言及、マザーボードメーカーからは品薄に関しての揶揄も

 日本AMDは11月23日(土)、AMDファン向けイベント「AMD FAN FES 2024 in AKIBA」を開催。

 15日に発売したばかりの「Ryzen 7 9800X3D」を主軸に、Ryzen 7 9800X3Dの性能解説や主要マザーボードメーカーのトークセッション、Ryzen 7 9800X3D採用BTO PCの実機展示などを実施した。

会場内の様子
入場待ちの列

 登壇者は日本AMD株式会社リテール営業事業部の佐藤美明氏、テクニカルライターの高橋敏也氏と加藤勝明氏、マザーボードメーカーからはASRockから原口有司氏、ASUSから市川彰吾氏、GIGABYTEから渡辺隆之氏、MSIから中島悠太氏。秋葉原のPCメーカーイベントでおなじみの面子が集まる機会ということで、お祭り感の強い催しに。

 当日は会場となるLIFORK 秋葉原IIオープン前から多くのファンが行列を形成しており、Ryzen 7 9800X3Dに対する関心の高さを伺わせた。

Ryzen 7 9800X3Dは年内再入荷も期待薄……?

 ほとんどの来場者の関心事は、なんといっても同CPUの生産/流通に関する最新情報だろう。Ryzen 7 9800X3Dは15日の発売開始直後に即完売して以来品薄が続いており、依然として入手できるめどが立たない状況が続いている。

 この"買えなさ加減"についてはイベントの中でもライター2名とマザボメーカー勢からもたびたび触れられており、佐藤氏によって現状が説明される一幕もあった。

 結論からいえば現状「まだ調整中」とのことで、年末までに再入荷できれば良い方、だという。ここ数年の上位CPUとしては「めちゃくちゃ仕入れた」とのことで、具体的な総数について言及はできないが、秋葉原では各店舗に20~30個程度、地方も合わせると相当数の在庫を供給したはずだったが、蓋を開けてみれば一瞬で売り切れてしまった。

 この日登壇したライター/各メーカー担当者からも「見通しが甘い」「AMDで一番不安定なところは供給の安定性」「過去に5800X3Dや7800X3Dでもあったことだが、売れてるCPUは在庫が『品薄』どころか『無』ということが多い。それって機会損失ですよね」と揶揄を交えた手厳しい意見も。

 ただ、突っ込みを入れたマザーボードメーカーの担当者からも、同クラスの過去製品と比べて10倍前後(数は"4桁"とも)の供給量だったというフォローがあったりと、Ryzen 7 9800X3Dに限っては。なるべく善処したものの需要が供給を極端に上回ってしまったということのようだ。

日本AMDの佐藤美明氏が供給状況について説明
イベント後半のセッションでマザボメーカー担当者各氏が物申した

Ryzen 7 9800X3DはEスポーツ向け最強のCPUに

 加藤氏と高橋氏によるトークセッション「KTY&STYのAMDでどうだ!?」では、加藤氏の検証による性能比較を中心に解説を行なった。対象のCPUは「Ryzen 7 9800X3D」「Ryzen 7 7800X3D」「Core i9-14900K」の3つ。

高橋敏也氏(左)と加藤勝明氏(右)。「Thunderbird何回焼いた?」などの昔話も飛び出した
旧世代からメモリの積層構造を刷新した「3D V-Cache」について説明

 検証は新旧のゲームタイトルでフレームレートを比較。フルHDで56タイトル、WQHDで57タイトルに及ぶ力作となっている。平均フレームレートの上昇割合は各スライドの右側にまとめており、フルHDの検証に関しては「特定の数値でフレームレートが頭打ちになる」あるいは「マルチコア環境に最適化している」いくつかのタイトルを除けば、ほとんどのタイトルで上昇が見られた。

 一方のWQHDではフレームレートに大きな差のつくタイトルは少ないという結果となった。またこの中で、検証数値を見るポイントとして「平均フレームレートの上がり幅が少なくても最低フレームレートを底上げしていること」を挙げている。

 なお比較対象のCPUとしてIntelの「Core Ultra 285K」がない理由としては、検証のタイミングでメーカーの貸出機材が引き上げられたためと説明した。

各ゲームタイトルについてRyzen 7 7800X3Dに対するRyzen 7 9800X3Dのパフォーマンス比較
同様にCore Ultra 9 285Kに対する比較
現行Socket AM5 CPUのラインナップ
現行Ryzen 9とRyzen 7の立ち位置
フルHDでは平均フレームレートの向上が際立つ。「Division 2」や「Ghost Recon: Breakpoint」など少し古いVulkanのAPIを採用したタイトルは9800X3Dと相性が良いという
WQHDでは各CPU間の差が縮小あるいは逆転している
加藤氏による所感。ゲーマーのスタンスによりRyzen 7 9800X3Dの買い替えバリューは異なる
今後登場するGPUによっては(ベンチマーカーにとって)心の安寧が得られる可能性が高いとした

 参加マザーボードメーカー4社のセッションでは、各メーカーの現行ラインナップとそれぞれの特色について担当者が解説した。

光らない「X870E Taichi Lite」の需要が高まっているという
ASRock製マザーボードの現行ラインナップ
ASUS製マザーボードのゲーミング向け製品
マザーボード同梱のDAC「ROG STRIX HIVE II」を紹介。バンドル限定であり単体販売の予定はないという
GIGABYTE製マザーボードの特徴のひとつ「AORUS AI Snatch」について解説した
設計段階からユーザーのOC設定にいたるまでAIを活用。OCについて常用できる実用的なさじ加減になるよう設定する
MSIのマザーボードニ搭載している組み立て時の便利機能「EZ M.2 Clip II」などについて解説
I/O関連ではUSBなどの端子部に速度表記を施した旨に言及した

パートナーメーカーからは予算度外視のハイエンドRadeonを求む声も

 この日最後のセッション「大集合座談会2024」では「マザーボード、グラフィックスメーカーが物申す」と題して、原口氏、市川氏、渡辺氏、中島氏が改めて登場。先述の通りCPUの品薄状況について物申したほか、今後登場するGPUについても期待を表明した。

 ハイエンドGPUに関する話題では、各メーカーより「GeForce RTX 4090」を超えるGPUを熱望する声が上がった。具体的には「仮に100万円以上しても、(GeForce RTX)4090の2倍くらい速いグラボがほしい」「(アクセラレータの)Instinctはメモリ192GBを積んでいる時代でもあることだし、ゲーマー向けGPUは48GB程度でいいので」「『Radeon R9 295X2』で2倍速いみたいなことを今してほしい」「ワットパフォーマンスとかどうでもいい」などの無茶振りが見られた。

 このほかAMDリサ・スーCEOのサイン入りRyzen 7 9800X3Dが披露されたほか、登壇者が持ち寄ったグッズ類を進呈するじゃんけん大会なども実施した。

会場に3つほど持ち込まれチラ見せされた非売品のリサ・スーCEOサイン入りRyzen 7 9800X3D
配信終了後は、日本に4着しかないというAMDのジャケットなど、登壇者が持ち込んだグッズをかけたじゃんけん大会も行なっていた

 イベントの模様は、AMDHEROESJPが公開しているYouTubeのアーカイブから全編を視聴できる。

参加メーカーとRadeon製品サプライヤーの製品展示
PowerColorとMSI
Sapphire
ASRock
GIGABYTE
ASUS
ドスパラ「GALLERIA」ブランドのRyzen 7 9800X3D搭載PC
ツクモ「G-GEAR」ブランドのRyzen 7 9800X3D搭載PC
マウスコンピューター「G-Tune」
PC工房「Level∞」ブランドのRyzen 7 9800X3D搭載PC
パソコンショップアーク「arkhive」
サイコム「Premium Line」ブランドのRyzen 7 9800X3D搭載PC
パソコンショップSEVEN「ZEFT」ブランドのRyzen 7 9800X3D搭載PC