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Ryzen 7 7800X3DとCORSAIRのピラーレスケースで真っ白なゲーミングPCを組んでみた

見た目と冷両を両立できるCORSAIRの「iCUE LINK 3500X RGB」 text by 久保勇

 CORSAIRからも手の出しやすいピラーレスケースが登場したので、Ryzen 7 7800X3DとGeForce RTX 4070 Ti SUPERを使って1台PCを組んでみました。

 使用しているケースはCORSAIR iCUE LINK 3500X RGBのホワイトモデル(型番CC09011281-WW)。イルミネーション機能を備えたクーラーやファンを1本のケーブルだけで接続可能なCORSAIR iCUE LINKにも対応したモデルで、実売価格は2万3千円前後。ピラーレスケースが気になってる、白いゲーミングPCが欲しい、といった人は是非見てもらえればと思います。

ミドルタワー型で扱いやすいサイズ感のCORSAIR製ピラーレスケース“背面コネクター”採用マザーボードにも対応

 CORSAIR iCUE LINK 3500X RGBはミドルタワー型のピラーレスケースで、カラーバリエーションはブラックとホワイトが用意されています。

 ファンが付属しない3500Xと、iCUE LINK非対応のRGBファンを搭載する3500X ARGBも用意されており、ユーザーの好みに合わせて選べるようになっています。

 “背面コネクター”採用マザーボードに対応している点も特徴で、ASUS BTF および MSI Project Zeroへの対応がうたわれています。

内部背面側。
ASUS BTFやMSI Project Zeroのマザーボードに対応するためのスペースが設けられている。

 パネルはツールレスで取り付けるタイプになっており、簡単に着脱可能。全体的に吸排気口となる部分が多い印象で、エアフローは良さそう。天板や底面、側面パネルにはフィルターが取り付けられており、埃への対策も取られています。

 天面と側面には360mmまでのラジエーターが搭載可能。このほか、底面に120mmファン搭載スペース×2と140mm/120mmファン搭載スペース×1、背面に120mmファン搭載スペース×1が須用意されているので、吸排気ファンや120mmラジエーターの水冷クーラーを追加で搭載することも可能です。

パネルの固定はツールレス構造。
側面パネルはフィルター付き。
本体底面にもフィルターを装備。
天板にもフィルターが付けられている。
底面側のファン追加スペース。
背面側のファン追加スペース。

 CORSAIRのイルミネーション機器や冷却パーツを制御するiCUE LINK System Hubは、ケースの色に合わせたカラーが付属。フロントパネル側のポートとの接続ケーブルもケースに合わせたカラーになっており、色にこだわる人には嬉しい仕様。フロント側のUSBポートはUSB 3.2 Gen 2×1(Type-C形状)、USB 3.2 Gen 1×2(Type-A形状)。ストレージは3.5インチドライブ×2台、2.5インチドライブ×2が搭載可能。

付属のiCUE LINK System Hub。
フロント側のポートとの接続ケーブルも白で統一。

 エアフローもよさそうな印象で、シンプルなデザインのモデルなのでPCの内部を魅せるPCを構築するには良さそうな印象のケースです。フロント側のポートとの接続ケーブルも白で統一されているので、白にこだわりたい人にはなかなか良い選択肢になるのではないでしょうか。

水冷CPUクーラーで恩恵が大きいiCUE LINK、予算が許せばぜひ選びたい!

 今回使用しているケースのiCUE LINK 3500X RGBは、イルミネーション機器や冷却パーツの接続を簡易にするCORSAIR iCUE LINK対応製品。イルミネーション対応パーツ数が少ない時や、空冷CPUクーラーを使う時などはそこまで大きくは変わらないものの、RGB LED搭載ファンの数が多かったり、水冷CPUクーラーを使ったり、という場合はiCUE LINK対応品で揃えると手間が大幅に減ります。

 特に水冷CPUクーラーは接続ケーブルが劇的に減らせるので、予算が許すならiCUE LINK対応品をおすすめしたいところ。ファン同士はケーブルレスで連結可能であったり、個々の機器はデイジーチェーン接続に対応していて配線も少なく済むので、なかなか便利です。

既存モデルのCORSAIR iCUE H150i ELITE CAPELLIX。ファンの電源とイルミネーション用のケーブルがバラバラなので、配線する数は多め。
iCUE LINK対応のCORSAIR iCUE LINK H150i LCD。iCUE LINK対応品は接続ケーブルが劇的に減らせます。
iCUE LINK対応のファンは電源ケーブルとイルミネーション用のケーブルが1本になっているのでかなりシンプル。
iCUE LINK対応のファン同士はケーブル無しで連結も可能。

Ryzen 7 7800X3DとCORSAIRのパーツで真っ白なゲーミングPCを組む

 今回iCUE LINK 3500X RGBを使ってPCを組むのに使ったPCパーツは以下の製品。処理が重めのゲームはもちろん、クリエイター用途でもしっかり使えるように組んでみました。

今回使用したPCパーツ。

 CPUはゲームで高い性能を発揮するAMD Ryzen 7 7800X3D。GPUは本体カラーとVRAM容量を重視してGIGABYTEのGeForce RTX 4070 Ti SUPER AERO OC 16G。マザーボードも色を合わせるのにGIGABYTE B650E AORUS ELITE X AX ICEを使用しています。

 メモリは見た目が美しいCORSAIR DOMINATOR TITANIUM RGBのホワイトモデルからDDR5-6000 16GB×4枚セット(CMP64GX5M4B6000C36W)を選択。ただし、このメモリはIntel環境向けなので、今回はRyzenでメモリ4枚搭載時の定格動作となるDDR5-3600で使用します。

AMD Ryzen 7 7800X3D。
GIGABYTE GeForce RTX 4070 Ti SUPER AERO OC 16G。
GIGABYTE B650E AORUS ELITE X AX ICE。
CORSAIR DOMINATOR TITANIUM RGB(DDR6-6000/16GB×4枚)。

 SSDはPCIe 5.0対応で2TBのCORSAIR MP700 PRO(2TB)、電源はケーブルも白い850WのCORSAIR RM850に、オプションの16ピンケーブル(CP-8920332)を使用。CPUクーラーは液晶パネルを備えiCUE LINKにも対応したCORSAIR iCUE LINK H150i LCDを選びました。吸気と排気にファンを1基ずつ追加するため、ファン3個セットのCORSAIR iCUE LINK QX120 RGBも使用しています。OSはWindows 11 Pro。

CORSAIR MP700 PRO(2TB)。
CORSAIR RM850 + 16ピンオプションケーブル。
CORSAIR iCUE LINK H150i LCD(ホワイト)
CORSAIR iCUE LINK QX120 RGB(ホワイト/ファン3個セット)

白いPCパーツをふんだんに使ったミドルハイスペックのゲーミングPCLEDカラーは白か水色がおすすめ

 今回用意したPCで組んだPCは以下のようになりました。

 白いPCパーツでかためたPCは光らせなくても独特な雰囲気をもったものになるので、あえてイルミネーションをオフにして使用するのもアリ。

 短時間で組んでいるので配線に関してはベストな状態になっていませんが、冷却パーツをiCUE LINK対応品でかためているので、何も意識しなくてもある程度綺麗にできあがります。

 なお、iCUE LINKは選べるケーブルの長さが現在は3種類のみで、コネクターはストレートとL字があるものの、パーツの設置位置によっては決め打ちでどちらかの形状でしか接続できない場合があります。若干パズル的な面もあり、完全に使いこなすには少し慣れが必要ですが、使いこなせればかなり綺麗に配線することが可能です。

 また、LEDを光らせる時は、白いPCには無色のホワイトか水色系の色をおすすめしたいです。今回のPCもイルミネーションはRGB対応で好きな色が選べますが、白や青系の色は清潔感が出るので、白いPCパーツがより映えます。

見た目と性能を両立するPCに出来上がった?ベンチマークやクリエイターアプリで性能を確認

 今回組んだPCの性能や冷却性能も確認。テストした内容を個別にご紹介します。

 ざっと使ってみた感じは、ゲームもクリエイター的な作業もそつなくこなせて、ミドルハイクラスのPCらしい性能といった印象。iCUE LINK 3500X RGBはピラーレスで見た目重視なケースですが、エアフローも悪くないので、見た目と性能を両立させたPCの構築が狙えます。

CPUの冷却性能は十分、環境温度次第では静音化も

 まずはCinebench 2024を使ってCPUがしっかり冷却できているのかを確かめてみました。

 CPUのベンチマークスコアはマルチコアが1,000ポイント、シングルコアが108ポイント。若干マルチコア性能が伸びていない感じですが、これはメモリを4枚搭載しているため、DDR4-3600での動作となっているためだと思われます。

 室温約26℃の環境で、ベンチマークを実行させた際のCPU温度は80℃前後。ファンの回転数は約1,700rpmでした。ファン回転数を1,200rpmあたりまでに落とせるとかなり静かになるので、冬場や室温が低い環境で使用する場合は、ファンの回転数を調整するとより快適にPCを使えそうです。

Cinebench 2024
Cinebench 2024動作中の温度

重量級ゲームも十分な性能も発揮

 サイバーパンク2077でゲーム性能も確認してみました。

 解像度WQHD(2,560×1,440ドット)で画質レイトレーシング:ウルトラ設定にした際のベンチマーク結果は、平均フレームレートが108.92fps。この状態でDLSS Frame Generationを有効にした際の平均フレームレートは163.19fps。レイトレーシングを使った重量級ゲームもそつなくこなす性能が発揮できています。

サイバーパンク2077
ゲーム内ベンチマークで性能をテスト
画質プリセットレイトレーシング:ウルトラでの平均フレームレートは108.92。
画質プリセットレイトレーシング:ウルトラでDLSS Frame Generation有効時の平均フレームレートは163.19。

AIを活用した写真のノイズ除去も高速に処理

 Adobe Lightroom/Adobe Camera Rawが備えるAIを活用した「ノイズ除去」機能の性能もテストしてみました。

 ほぼGPUメインの処理になりますが、3,300万画素のカメラで撮影したRAWファイルのノイズ除去を行った際の時間は、GeForce RTX 4070 Ti SUPER使用時で約4秒。Ryzen 7 7800X3D内蔵のAMD Radeon Graphics使用時は約8分。ビデオカードはクリエイター用途で性能を活用できるシーンも増えているので、予算が許すならGPU性能にもこだわりたいところです。

Adobe Lightroom/Adobe Camera RawのAI機能「ノイズ除去」をGeForce RTX 4070 Ti SUPERで使用した際の時間は約4秒。実行前に処理にかかる予測時間も表示されます。
Adobe Lightroom/Adobe Camera RawのAI機能「ノイズ除去」をCPU内蔵のAMD Radeon Graphicsで使用した際の時間は約8分。

今どきのマザーボードとメモリだと4枚挿しでもクロックを上げられる?

 最後はおまけになりますが、今回使用しているメモリのCORSAIR DOMINATOR TITANIUM RGB(CMP64GX5M4B6000C36W)の動作クロックを引き上げられるかもテストしてみました。Ryzen 7 7800X3Dのメモリ定格動作は、メモリ2枚時がDDR5-5200、メモリ4枚時がDDR5-3600で、今回のPCではDDR5-3600(16GB×4枚)で動作しています。

 メモリ自体はDDR5-4800がデフォルト値、Intel環境向けのXMPプロファイルを読み込んだ際はDDR5-6000動作まで対応しているモデルなので、ある程度高クロックで動作させられる余力があることが推測できます。ただし、今回使用しているメモリは、Ryzen環境での高クロック動作は保証対象外となるので、その点は留意する必要があるのと、駄目元でのテストになります。

Ryzen 7 7800X3Dのメモリ動作クロック対応表。
今回のPCではAMDの定格値通りDDR5-3600で動作。

 XPMプロファイルを読ませてDDR5-6000で設定してみましたが、意外にもすんなり起動。Windows メモリ診断ツールでエラーがないかも確認してみましたが、エラー無しでチェックも通りました。

 今回使用しているメモリはDDR5-6000動作時の電圧が1.35VとPCへの負担は大きいので、長時間稼働させるならDDR5メモリ定格電圧の1.1Vで動作させられる範囲で最大クロックにしたいところ。時間の関係でベストセッティングを探すところまではいけませんでしたが、DDR5-4800/1.1Vでエラー無しで動作させられるところまでは確認できました。

 なお、メモリの高クロック動作は、メモリ自体の良し悪しの影響のほかにも、CPUのメモリコントローラの耐性や、マザーボードの回路設計やBIOSのチューニング次第。動くかどうかは個体と環境にかなり左右されます。メーカー推奨環境以外での使用は動作自体が保証外にもなるので、動いたらラッキーくらいに考えておいた方が良かったりしますが、設計が新しいマザーボードに新しめのメモリを組み合わせた際は、メモリクロックを伸ばせる余力があるように感じました。

XMPプロファイルを読み込ませてDDR5-6000で動作。
Windows メモリ診断ツールを利用して動作を確認した限りでは、エラー無しの結果に。

 Ryzen環境でしっかりメモリを高クロック動作させたい場合は、EXPOプロファイル対応のメモリがCORSAIRからも用意されているので、こちらの使用をお勧めします。

Ryzen向けのDDR5-6000 16GB×2枚セット「CORSAIR DOMINATOR TITANIUM RGB(CMP64GX5M2B6000Z30)」
DOMINATOR TITANIUM RGBでEXPOプロファイル対応モデルは現在このカラーのみなので、カラーバリエーションの増加にも期待したいです。

見た目と性能を両立させるならピラーレスケースCORSAIRで今組むならiCUE LINK 3500X RGB

 見た目と性能が両立しやすいiCUE LINK 3500X RGB。吸排気口もしっかり確保されており、ガラスパネルをメインに使ったデザインが好みであれば、積極的に使いたい構造のケースです。

 また、iCUE LINK 3500X RGBのホワイトモデルは、内部のケーブルなども白で統一されており、白にこだわったPCを組む際にも好適なモデル。実売2万3全円前後とCORSAIR iCUE LINK対応のケースとしても手の出しやすい価格帯に投入されているので、これからCORSAIRのパーツを中心にPCを組むならおすすめの1台です。