プロダクトレビュー・ショーケース
こういうのでいいんだよ!ホビーに強い“駿河屋”の9700X+RTX 5070 Ti搭載「SURUGA 9000STi」は30万円の本格派ゲーミングPC
MicroATX仕様でベテランも納得の良バランス text by 芹澤 正芳
2025年6月13日 10:00
ホビー系アイテムのショップとして知られる「駿河屋」だが、最近は良コスパのゲーミングPCを手掛けていることでも注目を集めている。ミドルタワー型のゲーミングPC「SURUGA 9000STi」もその一つだ。
4K高画質でのゲームプレイも可能な基本性能に手堅いパーツ選択で30万円を切る価格を実現。“こういうのでいいんだよ”と思わせてくれる仕上がりだ。実ゲームでの性能評価も含めたレビューお届けしよう。
アッパーミドル構成の“実用的”ゲーミングPC
「SURUGA 9000STi」は、ミドルタワーケースを採用するデスクトップ型のゲーミングPCだ。サイズは突起物を含まず約220mm×411mm×441mmとミドルタワーとしては比較的コンパクト。奥行きが短めなので設置しやすいのがポイントと言える。
ゲーミングPCでもっとも重要なビデオカードには、NVIDIA最新世代の「GeForce RTX 5070 Ti」を搭載。Blackwellアーキテクチャーを採用し、CUDAコアを8,960基備えるRTX 50シリーズのアッパーミドルモデルだ。定格のブーストクロックは2,452MHzだが、搭載カードは2,497MHzまでオーバークロックされていた。ビデオメモリには高速なGDDR7を16GB搭載している。
モンスターハンターワイルズの高解像度テクスチャパックを含めて最高画質設定は16GBのビデオメモリが求められるなど、最近のゲームでは8GBでは不足するシーンが増えているだけに、ここは重要なポイント。大容量ビデオメモリはLLM(大規模言語モデル)など一部AI処理においても必要になるので、ビデオカード活用の幅を広げてくれる存在でもある。
RTX 50シリーズは1フレームから最大3フレームをAIによって生成するマルチフレーム生成を可能にするDLSS 4をサポートをしているのが大きな特徴だが、さらにRTX 5070 TiはハードウェアエンコーダーのNVENCを2基備えており、それを利用した高速エンコードが可能で動画編集にも強い。
CPUは、AMD最新世代のRyzen 9000シリーズのアッパーミドルレンジ「Ryzen 7 9700X」を搭載。Zen 5アーキテクチャーを採用し、8コア16スレッド、最大5.5GHzとゲームプレイには十分なスペック。デフォルトのTDPは65Wと低いので、消費電力や発熱も小さい。良コスパのCPUとして人気のモデルだ。
そのほかスペックは、メモリはDDR5-5600を16GB×2枚搭載で合計32GB、ストレージは1TBのPCI Express 4.0接続のM.2 SSDをそれぞれ搭載し、ゲームプレイに十分な容量を確保。試用した機種では、メモリはMicron「Crucial Pro」、SSDは同じくMicron「Crucial P3 Plus」という定番メモリをそれぞれ搭載しており、安心感のある構成。電源ユニットは80PLUS Gold認証の850Wで、トータルのスペックから考えると十分な出力と言える。
これらのパーツ群を収納するPCケースは、やや奥行きが短めのmicroATX仕様。パーツ構成がシンプルなこともあって内部はスッキリしている。CPUクーラーは空冷のサイドフローとして超定番のサイズ「虎徹 MARK3」を採用。天面の排気用ファンには静音性の高さで人気のXPG VENTO 120が取り付けられているなど、なかなか自作PC好きのツボを突いたパーツ構成だ。背面にも排気用12cm角ファンが搭載されており、これも静音タイプ。なお、ネットワーク機能は2.5Gの有線LANで、Wi-Fiは搭載されていない。
人気ゲームを4K最高画質でも余裕で楽しめる
ここからは、実際の性能をチェックしていく。まずは、CGレンダリングでシンプルにCPUパワーを測る「Cinebench 2024」、PCの基本性能を測る「PCMark 10」を試そう。
Cinebench 2024のマルチコアで1,183ptsは、シングルコアで134ptsはRyzen 7 9700Xとして順当なスコアだ。しっかりと性能を引き出せている・PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべて2倍以上のスコアを出した。ゲーミングだけではなく、幅広い処理を快適にこなせるパワーを持つ。
続いて、実ゲームで性能を見ていく。定番のFPSとして「オーバーウォッチ 2」を試そう。botマッチを観戦した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定した。

4Kの最高画質でも平均142.3fpsを達成。4K/144Hzのゲーミングモニターを使っても、その性能を十分に活かせると言える。
続いて、DLSSによるアップスケールとフレーム生成には対応するが、マルチフレーム生成には非対応かつ描画負荷の高いタイトルとして「モンスターハンターワイルズ」をピックアップした。公式ベンチマーク実行時のフレームレートを「CapFrameX」で測定している。

最高画質設定は16GB以上のビデオメモリを求めるが、本機に搭載されているRTX 5070 Tiならそれを満たしているのに加えて、高い基本性能によって4Kでも平均98.9fpsを達成。快適にプレイが可能だだろう。
次に、マルチフレーム生成のDLSS 4に対応したタイトルを試そう。ここでは「サイバーパンク2077」と「The Last of Us Part II Remastered」を用意した。サイバーパンク2077は内蔵ベンチマーク機能を実行、The Last of Us Part II Remasteredはジャクソンの一定コースを移動した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。


サイバーパンク2077のレイトレーシング:オーバードライブは強烈に描画負荷の高いパストレーシング処理が入る設定だが、マルチフレーム生成の効果もあって4Kでも平均132.3fpsと余裕で快適にプレイできるフレームレートが出ている。The Last of Us Part II Remasteredはビデオメモリ容量を求めるタイトルだが、こちらも4Kで平均246.6fpsと高いフレームレートを出した。ここでも16GBのビデオメモリが効いている。
CPUとGPUの温度とクロックもチェック! 冷却力は非常に高い
最後にサイバーパンク2077を10分間実行したときのCPUとGPUの温度をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で測定した。CPU温度は「CPU (Tctl/Tdie) 」、GPU温度は「GPU Temperature」の値を追ったものだ。室温は24℃。

CPUは平均70.7度、GPUは平均67.1度と強力なエアフローと言える構成ではないがゲーミングにおける冷却力は十分だ。長時間のプレイでもまったく心配のいらない温度となっている。特にGPUの温度は低く、3連ファンの大型カードによる冷却力は高い。