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CORSAIRの傑作ケースが最新トレンドでリファインされて登場!CPUもGPUもガッツリ冷える新構造“トリプルチャンバー”の「Air 5400シリーズ」の魅力

優秀な冷却性能に加えて、曲面ガラス採用のルックスも抜群 text by 内田 泰仁

 2023年後半から人気が本格化し“映えるPC”のビジュアルを一歩先に進化させた“ピラーレスケース”と、ケース内を主要パーツを収容する区画と電源やケーブル類を隠すための区画に分けた“デュアルチャンバーケース”は、この数年ですっかり定着したPCケースのトレンドだ。

 一方で、ケースを選ぶ際の重要チェックポイントである“収容したパーツの冷却”ということにフォーカスすると、近年の優秀なケースならハイエンドパーツ構成でも十分に満足できるだろう。ただ、“進化”という意味では最近はちょっと物足りなさを感じることもある。

 このような状況の中、2013年にリリースした「Carbide Air 540」でデュアルチャンバーケースの先鞭をつけ、ピラーレスケースももちろんラインナップしているCORSAIRは、2つのトレンドを融合し、ワンランク先に進化させた“トリプルチャンバー構造”のPCケースを発売した。それが本稿で紹介する「Air 5400」シリーズだ。今回は、実機を入手できたので、実際にパーツを組み込んでみたレポートをお届けする。

デュアルチャンバーケース初期の傑作「Carbide Air 540」。ゴツく見えるデザイン、5インチベイなど、時代を感じるところも多数あるが、サイドパネルはスモーク入りの半クリアパネル、マザーボード裏面にもアクセスできる広い開口部のマザーボードベース、36cm水冷対応など、現代に通じる面も多い

傑作モデルを最新トレンドでリファインした“大型”キューブケース

 E-ATX対応の「Air 5400」は、前述したとおりトリプルチャンバー構造を持つ、大型のキューブ型PCケースだ。

Air 5400 LX-R RGB iCUE LINK。Carbide Air 540を最新トレンドで再解釈しつつ、冷却性能のさらなる進化を狙った“トリプルチャンバー構造”を採用する

 いわゆるピラーレスデザインで、左側面から前面左半分を占めるパネルは強化ガラス製。天地方向の前後左右四辺はガラスパネル部分も含めて曲面になっているのは最新のトレンドだ。ガラスパネルは1枚の曲面ガラスではなく、曲面を含む前面と真っ平らな側面とが観音開きのような扉になっている。

天板や前面パネル、両側面の扉はツールレスで着脱および開閉可能

 製品ラインナップは、

  • Air 5400 RS-R ARGB
    吸気ファンとして設置したときにARGB LEDの発光が美しい“リバースローター”タイプで標準的なPWM/+5V RGBコネクター対応の「RS-R」ファンを3基搭載
  • Air 5400 LX-R RGB iCUE LINK
    ケーブル1本で冷却システムをデイジーチェーン接続できるCORSAIR独自の「iCUE LINK」に対応したリバースローターファンを3基搭載

の2モデル。本体カラーはブラックおよびホワイトの2種類で、標準搭載のファンのボディカラーも本体色に準じる。

 基本スペックは以下のとおり。ファンは最大10基搭載可能で、水冷CPUクーラーのラジエーターは12/24/36cmクラスが組み込める。高さ18cmの空冷CPUクーラーも利用できるが、本機のコンセプト(詳細は後述)を考えると、水冷クーラーの利用を強くおすすめしたい。

【主なスペック】
カラーブラック、ホワイト
対応マザーボードE-ATX(最大30.5×27.7cm)、ATX、
microATX、Mini-ITX
対応電源ATX(奥行き20cmまで)
ベイ3.5インチシャドー×1、2.5インチシャドー×2
標準搭載ファン12cm角×3(底面/吸気、ARGB LED搭載)
搭載可能ファン12cm角×3(前面、底面、天板)、
12cm角×1(背面、要付属マウンター)
搭載可能カード長最大43cm
搭載可能CPUクーラー高18cm
搭載可能ラジエーター長最大36cmクラス(前面、底面、天板)、
12cm(背面、要付属マウンター)
本体サイズ(W×D×H)34.0×47.0×46.7cm
重量約13.9kg

大きな熱源を別々のチャンバーに“隔離”して冷却効率の大幅アップを狙う

 PC内部に収まるパーツのうち、主な熱源になるのは、CPU&CPUクーラーとビデオカード、次にマザーボードのVRMやSSD、といったところ。PCケース内の熱という点に注目した場合、一般的なPCケースはもちろん、デュアルチャンバーのPCケースであっても、大きな熱源であるCPUとビデオカードが同じ空間にある以上は、冷却性能や効率にはどうしても限界がある。

Carbide Air 540の内部を左右側面から見たところ。左チャンバーにはマザーボードを中心に、PCを構成する主要パーツがほぼすべて収納される。右チャンバーには電源ユニット、5インチドライブ、一部のストレージ、ケーブル類を収納。発熱の高いパーツはほぼすべてが左チャンバーに集中する。使いやすさや拡張性は現在でも通用しそうではあるが……

 そこでCORSAIRが採用したのが、(1)マザーボードやビデオカードなどの主要パーツ、(2)電源ユニットやケーブル類と2.5/3.5インチストレージ、(3)CPUからの熱を冷やすための水冷CPUクーラーのラジエーター、の3グループを、それぞれ別のチャンバーに切り離して配置する“トリプルチャンバー”という構造だ。CPUとCPUクーラーがほぼ一体になる空冷方式に対し、最終的に熱を冷やすためのラジエーターとファンをCPUから離れた場所に置ける水冷方式だからこそ成立するものだ(そのため、Air 5400を空冷CPUクーラーで運用するのはコンセプトに合致しない)。

Air 5400の“トリプルチャンバー”の区分け(図は製品情報ページより)。「CPU」のチャンバーには水冷CPUクーラーのラジエーターとファンを収納する

 Air 5400を正面上方から見たとき、ケースの左半分はマザーボードの土台として各種パーツを収めるメインチャンバー、右側の前方1/4くらいのスペースはCPUクーラーのラジエーター&ファンの設置するチャンバー、右側後方3/4程度は電源ユニットとケーブル類の収納するチャンバー、となっている。各チャンバーの“仕切り”には“隙間”や“穴”があり、これを通して各チャンバー間でケーブルやチューブを通す。

本体左側面。このチャンバーにマザーボードやビデオカードを収納する。ピラーレスなので、スペースは広く、邪魔なフレームもない
前面および側面パネルを閉じた状態の右側面。写真左側1/4くらいのスペースが水冷ラジエーターを設置するチャンバー、右側3/4くらいのスペースが電源ユニットなどを収納するチャンバー

 それでは各チャンバーの構造を順に見ていこう。まず注目したいのがCPUクーラーのラジエーター&ファンを設置するチャンバーだ。

ラジエーターのチャンバーに、ラジエーターとファンを設置した状態(前面カバーは外してある)。前面から吸気し、後方に排気する。中央に見えているプラスチック製のダクトにより、ケース側面に排気するようにエアフローを整える

 本機では、ラジエーターとファンは前面吸気で設置し、ケース正面から取り込んだ外気でラジエーターを冷やし、ラジエーター後方に排気していく。外部から取り込んだ外気がスムーズに排気されるよう、ラジエーターの後方にはなだらかな曲線と突起が設けられたダイバータダクト(クリアパーツ)があり、これが整流板となってケース右側からスムーズにケース外に排気される。このチャンバーはチューブやケーブルを通す最低限の隙間のほかはほかのチャンバーとしっかり仕切られており、ラジエーターの排気がほかのチャンバーに流入したり、ほかのチャンバーの熱がラジエーターの冷却を妨げたりすることがない設計となっている。

ラジエーターのチャンバーのエアフロー(製品情報ページより)。前面側から新鮮な外気を取り込み、ラジエーターを通過して熱を持った空気は側面から後方に即座に排気される。排気はケース内のほかのチャンバーを通過することはないため、CPUの熱はほかのパーツに悪影響を及ぼすことなくケース外に排熱される、という構造だ

 本機を右側から見たときのルックスはかなり特異で、ラジエーターのチャンバーの右側面部分にはカバーがなく、ちょっとのぞき込めばラジエーターが直接見えるし、手で触れられるような形状になっている。

ラジエーターのチャンバーを斜め後ろから見たところ。ラジエーターが見えているが、これはカバーを取り外してあるわけではなく、ラジエーターのチャンバーには側面パネルの類はない。ちょっとドキッとする見た目だ
前面パネルはほぼ全面がメッシュ状。パネル裏面には着脱可能な防塵フィルターもある

 設置方向的にファンを前面に配置して固定するため、ファンのブレードに手を突っ込んでしまうということはなく、前面からラジエーターを抜けて後方~右側面に抜ける流れのエアフローなわけだから、このチャンバーにそこまでひどくホコリが溜まるということはないだろう。なお、本体正面側、ファンの正面のカバーにはホコリの侵入を防ぐフィルターが取り付け可能だ。

 CPUクーラーのラジエーターが存在しなくなったメインチャンバーもなかなか興味深い。このチャンバーに求められるのは、ビデオカードを効率よく冷却することが第一で、次点としてVRMやSSDをいかに無理なく冷却することだろう。

パーツを組み込んだ状態のマザーボード収納チャンバー。CPUの熱はラジエーター収納チャンバーに送られているため、ここで一番大きな熱源はビデオカードということになる

 Air 5400の標準構成では、3基の12cm角ファンが底面に吸気方向でセットされており、トンネル状に「下から上」へのエアフローが作られる。取り込んだ外気をビデオカードのファンがさらに取り込み、排気を上方向に流して外に出す、というもの。底面側および天板側にはそれぞれ空気の流れを整えるエアダクト(クリアパーツ)が取り付けられており、ファンで取り込んだ外気を確実にマザーボード方向に流していく。

このチャンバーのエアフローは「下から上へ」。底面、および天板フレームにはエアダクトが取り付けられており、エアフローを補助している

 天板側にはファンは取り付けられていないが、12cm角ファンを3基取り付けられるので、排気をより効率的にするのであれば、天板にもファンを追加するのがオススメ。標準ではVRMのヒートシンクとSSDを積極的に冷却するしかけはないものの、後述するテストでは、3基のファンを追加した状態であれば十分な冷却効果を得られていたので、その点は問題ないだろう。

 なお、VRM周辺のエアフローを強化したい場合は、製品付属のリアファン固定用ブラケットを使うことで追加が可能だ。CORSAIRの解説によると、OCなどでVRM冷却の強化が必要な場合のみ使用を推奨とのことだ(今回は追加せずに組み込み、テストを行った)。

底面には着脱式の防塵フィルターが取り付けられている
背面側にファンは取り付けられていない。製品に付属する専用ブラケットを使用すれば背面ケースファンを追加することも可能だが、一般的な使い方であれば背面ファンなしでの運用でOK

 電源ユニット&ケーブル類の収納チャンバーは比較的シンプルだが、それだけに使い勝手は良好だ。電源ユニットはファンを側面に向けるように設置するスタイルで、モジュラーケーブルをやりくりするスペースは十分に確保されている。

電源ユニットなどの収納チャンバーの側面カバーを開け放った状態の右側面。12cmほどの深さがあるため、電源ユニットを設置したあとでも十分な作業スペースがある

 ほかの2つのチャンバーとの間でケーブルが行き来するための隙間はたっぷり用意されているが、よくあるゴム製の蓋ではなく、毛足の長いナイロン・ブラシが取り付けられている。ゴム蓋よりも通すケーブルの太さによらず隙間が生じにくくなることを狙ったものだろうが、ケーブルがきれいにブラシをかき分けてくれないこともあり、上手に使うにはちょっとだけ慣れが必要かもしれない。

ケーブルホールにゴムカバーの“弁”が付いているのが一般的だが、本機は仕切り全体にナイロン・ブラシが取り付けられている。ケーブルを通したときに自然に隙間がふさがるようになっているのだが、使い勝手にはちょっとクセがある印象

 メインチャンバーと電源チャンバーの仕切りを兼ねるマザーボードベースは、裏面コネクターマザーボードにも対応できるように開口部が広く取られているだけでなく、ベースそのものがパンチングボード状のプレートになっている。ケーブル整理に使うための補助プレート(これも大きめの穴があけられたパンチングボード状)も用意されているため、ケーブルをまとめるための結束バンドや面ファスナーを固定したり引っ掛けたりする場所に困ることはないだろう。スペースも十分にあるので、配線整理は非常にラクだ。iCUE LINKシステムハブを固定(マグネットで貼り付け)しておく場所も用意している。

写真中央にあるプレートは、ケーブル整理に使用する補助プレート。マザーボードベースやこのプレートは広い開口部とパンチングが設けられており、結束バンドや面ファスナーを留める位置は自在。ケーブルはかなり整理しやすい

あえて惜しいところとして挙げるとしたら、筐体の大きさの割にはドライブベイが少ない点だ。電源ユニット固定部の下にシャドーベイのマウンターが用意されているが、数としては2.5インチ×2台分、3.5インチ×1台分。M.2 SSDが圧倒的に普及した今では、2.5/3.5インチストレージの出番は減りつつあるが、まだ複数台のHDDを使っている/使いたいという私のようなユーザーには、ちょっと引っかかるポイントかもしれない。とはいえ、かつて5インチベイがそうだったように、3.5インチシャドーベイが少なくなっていくのも、時代の趨勢ということで仕方のないところか。

扉をすべて解放し、前面と天板のパネルも外した状態の本機。ケースのサイズが大きく、外せるパーツを外してしまえば作業スペースは非常に広いので、組み込みはラクと言っていいだろう

ダクト含めてケースのほとんどのパーツは着脱OK構造が分かれば作業はしやすい

 では、パーツの組み込み作業を進めてみよう。今回は以下のパーツを組み込んだ。

【組み込んだパーツ】
CPUIntel Core i9-14900K(24コア32スレッド)
マザーボードASUS ROG STRIX Z790-F GAMING WIFI
メモリCORSAIR VENGEANCE DDR5 32GB
(PC5-44800 DDR5 SDRAM16GB×2)
ビデオカードZOTAC GAMING GeForce RTX 5070 SOLID OC
SSDCORSAIR MP700 2TB+大型ヒートシンク
[M.2(PCIe 5.0 x4)、PCIe 4.0 x4として動作]
CPUクーラーCORSAIR iCUE LINK TITAN 360 RX RGB
(簡易水冷、36cmクラス)
電源ユニットCORSAIR RM850x SHIFT
(850W、80PLUS Gold)
iCUE LINK対応ケースを使用したため、CPUクーラーと追加のファンもiCUE LINK対応製品を使用した。ケーブルの本数が圧倒的に少なくなるので、作業がしやすく仕上がりもキレイ
Air 5400に組み込み終わった状態。曲面のガラスパネルと9基のファン、ラジエーターチャンバー部の前面パネルの発光の雰囲気が美しい

 前述したものもあるが、左側面(メインチャンバー)のガラスパネル、右側面後方(電源ユニットチャンバー)のスチールパネルは扉状、天板と正面右側(ラジエーターチャンバー)のパネルははめ込み式だ。この扉も含めて取り外せる構造物が多く、ほぼフレーム状態にバラして作業することができる。プラスチック製クリアパーツである3種類のダクトは、ほかのパーツ類に干渉したりピンヘッダーへのアクセスを妨げたりすることはほとんどないが、キズや破損を避け、十分な手を入れるスペースを確保するためにも、一旦取り外しておいたほうが作業はしやすい。

ファン/ラジエーターのマウンター、3つのダクトは取り外してしまったほうが作業は楽だろう。クリアパーツであるダクトには傷を付けないように注意したいところ。手の脂で汚れたら、完成前にきれいに拭いておくと精神衛生上よいかも

 大型ケースであり、役割ごとにチャンバーが分かれていることもあって、組み込み作業は基本的にはさほど難しいことはない。ケーブル整理の楽さは、大型のデュアル/トリプルチャンバーケースの大きな利点でもある。ただ、一歩進んだ構造でもあるため、今までの経験と直感だけで作業しようとすると、多少戸惑うところがあるかもしれない。あとは、ケース単体で公称13.9kg、組み込み後は20kgを超える構成になることもあるので、持ち方・動かし方には要注意だ(落下事故はもちろん、腰も!)。

メインチャンバー上下のダクトは、マザーボードのピンヘッダーなどには干渉しない形状になっている。取り外さなくてもたいていのピンヘッダーやコネクターにはアクセスできるが、EPS 12Vのコネクター周辺はVRMヒートシンクがあるためさすがにちょっと窮屈。無理せずダクトを外してしまったほうがいいだろう

 構造上、CPU/水冷ヘッドとラジエーターは一般的なケースよりも少々離して設置することになるため、使用する水冷クーラーのチューブの長さには若干注意が必要で、CORSAIRの解説によると、38cm以上は必須、できれば40cm以上を推奨とのことだ。なお、ラジエーターのチャンバーには十分なスペースが確保されているが、取り付け可能なラジエーター&ファンの合計の厚さは7cm以内とされている(厚すぎるとダイバータダクトに干渉する)。冷却性能をより高めるために厚みのあるラジエーターとファンを組み合わせた製品も存在するが、それでも7cmを超えるものは多くないだろう。

水冷クーラーのチューブはダイバータダクトの上部側を通す。ダクトを一旦取り外して作業するのが吉だ。難しいというほどではないのだが、ナイロン・ブラシが上手いこときれいに揃わないことがあるのが悩ましい。天板に電源スイッチとUSBポート、オーディオ端子がある関係で、ケーブルとチューブがチャンバー上部に集中しがちだ(手で押さえているケーブルの束が前面インターフェース類の接続ケーブル)
組み込み後の本体前面および背面
本体上部。天板の右前方側には、電源スイッチ、オーディオ端子、3基のUSB Type-Cポート(USB3.2 Gen2x2=USB 20Gbps×1、USB 3.2 Gen1=USB 5Gbps×2)を備える。左半分弱は天板からの排気のためにメッシュ形状になっている

“熱源の分散”は冷却性能アップにはっきりと貢献

 最後に、実際にパーツを組み込んだ環境でのCPU、GPU、VRM、SSDの温度推移を簡単なテストで計測してみたのでご紹介する。比較対象のPCケースには、スタンダードなスタイルのピラーレスケース代表としてCORSAIR「CORSAIR iCUE LINK 3500X RGB」を使用した。なお、機材手配の都合で、ベンチマークテスト時のビデオカードはZOTAC GAMING GeForce RTX 4070 Ti AMP Extreme AIROに変更されている。

 Core i9-14900KについてはIntel Default Tuningに設定、そのほかの設定項目はすべてデフォルトのままとした。テストには「3DMark」のSpeed Way StressTestを使用し(10ループ、合計約10分)、その間のCPU/GPUのクロックおよび各部温度の推移をHWiNFO 64で計測した(テスト時の室温は約21℃)。

 なお、比較対象とした3500X使用時であっても、今回のテスト結果に特に問題はなく、テスト終了後に表示される「フレーム率の安定性」(=フレームレートの安定性)は99.8%とハイレベルだ。一方、同じパーツ類をAir 5400にそっくり移し替えた環境では、安定性は同じく99.8%をマークしており、この結果では違いを見ることはできなかった。

 では、温度の推移にはどのような影響があるだろうか。まずはCPUとVRMからチェックする。

CPU/VRM温度の推移

 折れ線グラフの位置を見れば違いは明らかで、CPU、VRMともに終始Air 5400環境が3500X環境を下回った。10分間の平均値で見ると、CPUは約10.5℃、VRMは約2.3℃、Air 5400のほうが低かった。ケースの違いだけでこれだけの差が付くのを目にする機会はそうそうないだろう。また、ファンでアクティブに冷却していないVRMについてもわずかではあるがピラーレスケースよりも好結果になっており、メインチャンバーのエアフローのよさがうかがえる。

続いてGPUとSSDを見てみよう。

GPU/SSD温度の推移

 GPUは、最初の1分少々は似たような温度推移を見せたが、その後はAir 5400環境ではじりじりと温度が下がり、60℃台前半をキープした。一方の3500X環境では、序盤に70℃前後まで上がり、その後も大きく下がることはなく70℃弱で推移した。また、VRM同様にヒートシンクのみの熱対策だったSSDについても平均で約2.3℃ほどAir 5400が下回った。ラジエーターとビデオカードが同じチャンバー内に“同居していない”効果は、GPUの冷却にも存分に発揮されていると見てよいだろう。また、底面から天板方向へのエアフローがビデオカードに遮られているSSDについても、それなりに恩恵は受けられているようだ。

 今回のテストは、CPUとビデオカードはいずれも“安全運転”な設定で実施したため、サーマルスロットリングが発生してパフォーマンスが下がったり、逆に冷却が十分だったためクロックがより伸びたりというところまでは追い込めなかったのだが、いわゆる「普通の使い方」の範囲でもこれだけ温度に違いが出るというのは、正直かなり驚きの結果だった。

デカいが美麗でカッコイイ!冷却性能の高さも抜群でハイエンド向き

 「複数の熱源を1つの箱に収納して、それぞれ別々に冷却してどうにかこうにか排気する」一般的なPCに比べたら、熱源をそれぞれ別のチャンバーに切り分けるというAir 5400のトリプルチャンバー構造は実に効率的。結果、簡単なテストでもはっきりとした違いが分かる期待どおりの効果が得られている。

 数あるCORSAIRのPCケースの中でもかなり存在感のある部類となる点が、日本の住宅事情の下だとちょっとした(?)ハードルにはなりそうではあるが、ルックスのよさと冷却性能の優秀さは、ひときわ輝くものがある。すべての層のユーザーに広くオススメ!という製品とは言いにくいが、一歩進んだPC環境を目指すなら、候補の一つに加えてみていただきたい。特にハイエンド志向のユーザーであれば、高い満足感をもって長く一緒に過ごせるパートナーになるはずだ。