プロダクトレビュー・ショーケース
AM4はまだまだ続く!ASRockの質実剛健なB550マザー「B550 Rock WiFi」をガッチリ検証する
ご長寿プラットフォーム向けマザーが2026年の最新デザインで登場 text by 芹澤 正芳
2026年7月15日 10:00
AMDのAM4プラットフォームは、メモリ高騰の中でも比較的安価なDDR4メモリが使えることや、2026年6月にはRyzen 7 5800X3D 10th Anniversary Editionの発売など、2016年の初登場、そして2017年のRyzen 1000シリーズでの採用から非常に長い期間が経った現在においてもなお注目を集め、多くのユーザーに利用されている。それを証明するかのように、ASRockが新たなB550チップセット搭載マザーボード「B550 Rock WiFi」を発売した。
今さらB550マザー?などと思うなかれ。今回紹介するB550 Rock WiFiは、AM4採用のマザーボードに現代的な機能を取り入れた実用性の高い1枚になっている。Ryzen 7 5700X+Radeon RX 9060 XT(16GB版)との組み合わせにおける動作検証を含めたレビューを早速お届けしよう。
モダン高耐久をうたう「Rock」シリーズからB550マザーが登場
バラエティ豊かなマザーボードのラインナップを展開するASRock。位置付けや特徴の基本はシリーズごとに分類されている。
- Taichi
- 最高性能を追求するフラグシップモデル
- Phantom Gaming
- ゲーマー向けハイエンドモデル
- Steel Legend
- 耐久性重視のミドルレンジ
- LiveMixer
- 配信者、YouTube向け機能を充実
- Challenger
- 実用性重視のゲーマー向けメインストリーム
- Pro
- 最新機能のスタンダードモデル
- Rock
- (2026年登場の新シリーズ)
- X
- 必要機能でまとめたコスト重視モデル
今回紹介する「B550 Rock WiFi」を含む“Rock”シリーズは2026年初頭から加わった新顔で、その特徴は“モダンで高耐久なエントリーモデル”とまとめられる。ポジションとしては、“Pro”と“X”の間に位置する。価格はリーズナブルで、実用性を重視した仕事からゲームまで幅広くカバーでき、しかもAM4という息の長いプラットフォームの製品ながらモダンデザインを持つ。社名の一部を冠するだけあり、エントリークラスとはいえ総合力はかなり高く、単なる“安い”ではない、高コストパフォーマンスな仕上がりだ。
本製品は最新機能が重要なキーワードだ。B550チップセットは2020年に登場したやや古いもの。搭載マザーボードは2026年でも数多く流通しているが、Wi-Fi搭載は少ない上、あってもWi-Fi 5など旧世代だったり、USB Type-C用のピンヘッダーがなかったりと、2026年基準だとマザーボードの標準装備には物足りなさがどうしてもある。
その点、本製品はワイヤレス機能としてWi-Fi 6EとBluetooth v5.3をサポート。USB 3.2 Gen1 Type-Cのピンヘッダーも用意されており、現代的なネットワーク環境やPCケースに対応しやすくなっている。デザイン的にもスッキリとシャープでモダンなものにまとまっており、これからAM4プラットフォームでPCの自作を考えているなら注目したい1枚と言ってよいだろう。
電源回路は8+2フェーズとB550搭載マザーボードとしてはミドルレンジクラスと言える規模。大型のアルミニウムヒートシンクも備えており、Ryzen 9 5950XやRyzen 7 5800X3DなどTDP 105Wの上位CPUも運用できる構成だ。基板は2オンス銅層を備えた高品質なPCBとなっている。
M.2スロットは3基と拡張性も確保
拡張性に触れていこう。M.2スロットはCPU直結のGen 4(x4)が1基、チップセット経由のGen 3(x4)とGen 3(x2)が1基ずつ用意されている。Gen 4(x4)のM.2スロットにはヒートシンクも搭載。そして、すべてのスロットでM.2 SSDはフックを回すだけで固定できる。いまでは当たり前の固定方法だが、B550の初期に発売されたマザーボードは旧来の小さなネジ固定が採用されているものが多かった。地味ながらしっかりと進化を実感できる部分だ。
PCI Expressスロットは2基用意されている。CPUソケットに近いのはビデオカード用でPCI Express 4.0 x16(CPUにより異なる)、遠い位置はx16形状だがPCI Express 3.0 x2だ。スロットの位置が離れているので、厚みのある大型のビデオカードを搭載しても拡張スロットにかかる心配はない。なお、PCI Express 4.0 x16スロットは重量のあるビデオカードも安心して取り付けられる強化型だが、簡単に着脱できる大型ラッチが省かれている。
バックパネルのUSBは、USB 5Gbps(Type-C)が1ポート、USB 5Gbpsが4ポート、USB 2.0が3ポート。内蔵GPU用の映像出力としてHDMIを搭載している。また、PCケースのUSBポート用として、USBピンヘッダーで、USB 5Gbps Type-Cが1ポート分、USB 5Gbpsが2ポート分、USB 2.0が4ポート分を用意。ネットワーク機能は、Dragon RTL8125BGによる2.5Gbpsの有線LAN、Wi-Fi 6EとBluetooth v5.3をサポートする無線LANを備える。
Ryzen 7 5700X+Radeon RX 9060 XTで動作チェック
ここからは、ロングセラーの8コアCPU「Ryzen 7 5700X」と大容量VRAM搭載で人気の16GB版Radeon RX 9060 XTを搭載する同社のビデオカード、CPUクーラー、電源ユニットを組み合わせ、UEFIメニューや実際に動作させたときのCPUと電源回路(VRM)の温度などをチェックしていこう。
| CPU | AMD Ryzen 7 5700X(8コア16スレッド) |
| メモリ | DDR4-3200 32GB(PC4-25600 DDR4 SDRAM16GB×2) |
| ビデオカード | ASRock Radeon RX 9060 XT Challenger 16GB OC |
| システムSSD | M.2 NVMe SSD 1TB(PCI Express 4.0 x4) |
| CPUクーラー | ASRock Pro 360 ARGB(36cmクラス) |
| 電源 | ASRock Pro PRO-750B(750W、80PLUS Bronze) |
| OS | Windows 11 Pro(25H2) |
CPUパワーを測る「Cinebench 2026」、基本性能を測定する「PCMark 10」、3D性能を測定する「3DMark」、オープンワールドRPG「サイバーパンク2077」で性能を確かめよう。
Cinebench 2026の結果からRyzen 7 5700Xの性能はしっかり引き出せている。3DMarkもアベレージ以上のスコアが出ており、Ryzen 7 5700X+B550チップセット+DDR4メモリの組み合わせでもRadeon RX 9060 XTは十分活かせると言ってよいだろう。サイバーパンク2077も強烈な描画負荷のあるパストレーシング処理が加わるレイトレーシング:オーバードライブ設定でもフルHDではあるが、平均91.71fpsが出ており、重量級のゲームも楽しめる。
続いてOS起動後、何もしないアイドル状態を10分間続けた場合、Cinebench 2026を10分間実行したとき、およびサイバーパンク2077を30分プレイしたときのCPU温度と動作音を確かめよう。CPU温度は「HWiNFO Pro」アプリで「CPU (Tctl/Tdie) 」の値を集計したもの。動作音は簡易水冷クーラーの正面10cmの位置に騒音計を設置して測定。同時にそれぞれのテスト終了直後の電源回路周辺のサーモグラフィも撮影している。室温は25℃、暗騒音は33.1dBだ。


UEFIメニューのファン制御が「Silent Mode」になっていることもあって簡易水冷の「Pro 360 ARGB」は非常に静かだ。ファンの音がほとんど気にならないレベルと言ってよい。Ryzen 7 5700XはTDP 65Wとそれほど消費電力や発熱が大きくないことから、負荷の高いサイバーパンク2077を30分プレイしても平均48.4℃と全然熱くなっていない。静かなゲーミング環境を作りたい人にとっても、この組み合わせはオススメだ。
サイバーパンク2077を30分プレイした直後でもヒートシンク部分は48.4℃、ヒートシンクのない電源回路部分でも51.1℃と電源周りとしてはそれほど高くない温度に収まっている。エアフローのないバラック状態でこの温度なので、しっかりとしたエアフローのあるPCケース内ならさらに温度は下がるだろう。負荷の高いゲームを長時間プレイしても安心と言える。
最後にヒートシンク付きのM.2スロットの温度もチェックしておこう。テストには公称シーケンシャルリード7,250MB/s、シーケンシャルライト6,900MB/sとGen 4対応ではハイエンドクラスの性能を持つNVMe SSDを使用している。TxBENCHで5分間連続して書き込みを実行し、負荷の高い作業を行った直後のヒートシンクをサーモグラフィで撮影した。
43℃程度とまったく問題のない温度。付属のヒートシンクで十分高速なGen4対応NVMe SSDを運用できる。残りのM.2スロットはGen 3対応と速度的にそれほど温度は高くなりにくいが、心配ならば別途ヒートシンクを用意するのがよいだろう。
現代的な機能をしっかりと押さえた新B550マザー
メモリの高騰が続き、DDR5よりも安価なDDR4が注目されている中で登場した「B550 Rock WiFi」。LEDといったハデな装飾のない質実剛健な作りでRyzen 7 5700Xと16GB版Radeon RX 9060 XTの組み合わせで安定した動作としっかりとした性能を発揮してみせた。
B550リリース当初から存在する採用製品は、今なお現役とはいっても設計や装備の面ではやや古くなりつつあるのは時の流れとしては仕方のないこと。Type-CのピンヘッダーやWi-Fi 6Eなど現代的な機能を取り入れた最新モデルである本機は、“新世代のB550マザー”として新たな定番となりそうだ。






























