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突如発表されたRTX 5050を速攻テスト!RTX 3050から最大2倍以上のフレームレート向上を確認
【第15戦】発売直後の搭載カードを実際に購入してみた text by 芹澤 正芳
2025年7月8日 09:00
ウィー! どうも芹澤正芳です。NVIDIAが2025年6月24日に発表したRTX 50シリーズのエントリー向けGPU「GeForce RTX 5050」。デスクトップ向けでは、RTX 3050以来、2世代ぶりの登場となった“50番台”、エントリークラスのGeForceである。
予算をできるだけ抑えたいゲーム志向ユーザー向けとして期待がかかるRTX 5050。マルチフレーム生成に対応など最新世代ならではの機能でどこまで性能を伸ばしたのか。まずは速報レビューをお届けしよう。
着実に進化した仕様が光るエントリークラス
2025年7月1日に発売されたGeForce RTX 5050搭載カード。当初はBTOパソコンへの搭載のみだったが、7月4日よりカード単体の発売も開始された。
GPU名 | RTX 5060 | RTX 5050 | RTX 3050(8GB) |
CUDAコア数 | 3,840 | 2,560 | 2,560 |
ベースクロック | 2,280MHz | 2,317MHz | 1,552MHz |
ブーストクロック | 2,497MHz | 2,572MHz | 1,777MHz |
メモリサイズ | GDDR7 8GB | GDDR6 8GB | GDDR6 8GB |
メモリバス幅 | 128bit | 128bit | 128bit |
2次キャッシュ | 24MB | 24MB | 2MB |
アーキテクチャ | Blackwell | Blackwell | Ampere |
DLSS | 4 | 4 | 2 |
NVENC | 第8世代 | 第8世代 | 第7世代 |
カード電力 (W) | 145 | 130 | 130 |
スペック面では、GPUアーキテクチャはもちろん最新のBlackwellを採用。第5世代Tensorコアと第4世代RTコアなどによってマルチフレーム生成が可能なDLSS 4をサポートし、対応ゲームにおいては高いフレームレートが期待できる。また、RTX 3050に比べてブーストクロックは大幅アップし、2次キャッシュは12倍に増えたことでデータ転送の効率も大きく向上。性能の底上げはしっかり行われている印象だ。
一方で、ビデオメモリはRTX 50シリーズでは唯一のGDDR6、設計は新しくなったとはいえCUDAコア数自体はRTX 3050(8GB)から据え置き。このあたりはエントリーGPUらしい仕上げとなっている。
発売直後での難点を挙げるとすれば、搭載カードの価格だろう。NVIDIAによる価格の目安は44,800円。実際に発売が開始されたモデルは44,800円から48,800円が中心だ。スペックで本GPUを大きく上回るRTX 5060搭載カードの最安値クラスは、7月上旬時点で49,800円前後、1世代前の“60番台”であるRTX 4060の最安値クラスは41,980円前後。発売から間もない現時点では、少々厳しい立ち位置と言わざるを得ない。
入手した実機でベンチマークテストを実施
今回、実際にMSI「GeForce RTX 5050 8G VENTUS 2X OC」が入手できた。シンプルなツインファンの製品で、カード長は197mmと短めなので多くのPCケースに組み込みやすい。
さっそく、性能チェックに移ろう。テスト環境は以下の通りだ。比較対象としてGeForce RTX 3050(8GB)を用意した。3DMarkに関しては、RTX 5060/4060を加えている。ドライバは原稿執筆時点で最新の「Game Ready 576.88」を使用した。
CPU | AMD Ryzen 7 9800X3D(8コア16スレッド) |
マザーボード | ROG CROSSHAIR X870E HERO(AMD X870E) |
メモリ | G.SKILL TRIDENT Z5 neo RGB F5-6000J2836G16GX2-TZ5NRW(PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2) |
システムSSD | Micron Crucial T700 CT2000T700SSD3JP(PCI Express 5.0 x4、2TB) |
CPUクーラー | Corsair NAUTILUS 360 RS (簡易水冷、36cmクラス) |
電源 | Super Flower LEADEX III GOLD 1000W ATX 3.1 (1,000W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 11 Pro(24H2) |
GeForce RTX 5050 | MSI GeForce RTX 5050 8G VENTUS 2X OC |
GeForce RTX 5060 | MSI GeForce RTX 5060 8G VENTUS 2X OC |
GeForce RTX 4060 | MSI GeForce RTX 4060 GAMING X 8G |
GeForce RTX 3050 | MSI GeForce RTX 3050 AERO ITX 8G OC |
まずは3D性能を測定する定番ベンチマークの「3DMark」から見ていこう。

RTX 5050はRTX 3050に対して1.6倍から1.8倍のスコア向上と、久々に登場した50番台の進化を感じる結果だ。また、1世代前の60番台であるRTX 4060とはほぼ同等。一方でRTX 5060は、RTX 5050のスコアの1.3倍から1.4倍と差が付いている。
実ゲームではどうだろうか。ここからは、RTX 5050とRTX 3050に絞ってテストを行った。
まずは、DLSSなどのアップスケーラーやフレーム生成に対応しない従来からのラスタライズ処理での性能を確かめられる「Apex Legends」と「ELDEN RING NIGHTREIGN」を試そう。Apex Legendsは射撃練習場の一定コースを移動した際のフレームレート、ELDEN RING NIGHTREIGNは円卓の一定コースを移動した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。


Apex LegendsはRTX 5050のほうが1.5倍以上のフレームレートを出しており、フルHDなら240Hzの高リフレッシュレート液晶をほとんど活かせるだけの性能を持つ。ELDEN RING NIGHTREIGNは最大60fpsのゲームだ。フルHDはどちらも平均60fpsが出ているが、WQHDになると60fpsになるのはRTX 5050だけ。しっかりと性能差を見せた。
DLSS 4によるマルチフレーム生成に対応した重量級ゲームはどうだろうか。モンスターハンターワイルズとサイバーパンク2077を試す。モンスターハンターワイルズは公式ベンチではなくベースキャンプの一定コースを移動した際のフレームレートを、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートを、それぞれ「CapFrameX」で測定した。


モンスターハンターワイルズはアップデートでDLSS 4/FSR 4をサポート。本タイトルは、アップスケーラーをDLSS、フレーム生成はFSR、というように異なる技術を組み合わせてのプレイも可能となっている。また、ビデオメモリ16GBを求める最高画質でのプレイは厳しいので中画質設定にした。実際の計測結果は、マルチフレーム生成の威力もあってWQHDでも平均123fpsに到達。RTX 3050は半分以下の平均55.3fpsとなった。
サイバーパンク2077も同じ傾向だ。こちらはアップスケーラーとフレーム生成を別技術に設定できないので、RTX 3050はFSRを使用している。WQHDでもRTX 5050は平均126.3fpsだが、RTX 3050は平均53.5fpsになる。
息の長い活躍で価格メリットが改善することに期待
簡単ではあるが、RTX 5050の性能を検証してみた。RTX 3050に対して基本性能を着実に向上させ、さらにDLSS 4のマルチフレーム生成に対応したことで重量級ゲームでも高フレームレートを出せるようになったのは大きな強みと言ってよい。フルHDである程度高いフレームレートでプレイしたいというニーズに合致するGPUだ。
ただ、前述した通り、原稿執筆時点(2025年7月上旬)の価格では、コストパフォーマンスはどうにもよろしくない。RTX 3050(8GB)は一番安い時期には3万円を切っていたことを考えると、せめて3万円台にならないと、RTX 5060やRTX 4060を選んだほうがいいかな……となってしまう人も多いのではないだろうか。
とはいえ、GTX 1650やRTX 3050がそうであったように、エントリークラスのGPUはかなり息が長い製品だ。RTX 5050カードも時間の経過とともに程よく落ち着いた価格になってくることに期待したいところ。いずれは低価格ゲーミングPC自作の新たな定番になってくれるハズだ。