特集、その他

ビットコインって怪しいの?仮想通貨をマイニングしているユーザーに最近の事情を聞いてみた

数年前とはいろいろ違う?PCマイニングの今、8月1日危機の話も text by 藤本健

今ビットコインを持っているのは危険?8月1日危機への対応をどうすべきか太陽光発電でマイニングを行う将来性も考える

[藤本]いま、ビットコインを中心に相場が、まさに乱高下しているところです。8月1日が危険といわれていますが、その辺を少し教えてもらえませんか?

[マイナー太郎]これまでビットコインでの送金は安くて速いと言われていましたが、取引量の急激な増加に伴い、処理が追いつかなくなってしまい、時間がかかるし、送金手数料も最大600円くらいになったこともあり、これじゃあ銀行の振込手数料よりも高いし、実際パンク状態なんです。

ユーザーは、このままでは困るので、安く速く送金できるようにしたいし。マイナー側としてはより儲かる仕組みにしたい。そうした思惑の違いから、ビットコインの方式が分裂する可能性が出てきているのです。それが決まるのが8月1日であり、まだ、どうなるかまったく分からない状況なんです。その辺の詳細はいろいろなサイトにも出ているので、そちらを参照いただきたいのですが、個人的にはセグウィット(取引履歴のデータを圧縮してデータの軽量化を行う処理)がアクティベートされて、現在のビットコインとの互換性を維持しながら発展する形になってくれるといいな、と思っています。

ただし、セグウィットが採用されると、マイナーに支払うインセンティブが大幅に落ちるので、マイナーは嫌がります。その状況次第ではありますが、もしうまくセグウィットがアクティベートされれば、ビットコインは8月1日以降、暴騰するんじゃないでしょうか……。逆に最悪なケースになった場合は無価値になる可能性もあります。

[藤本]その辺、調べてもなかなか難しくてよく分からないのですが、ビットコイン保持者としては、ハードフォーク(過去の形式を捨てて互換性の無い新方式を採用)しないでくれると安心なんだけどな……という感じです。

[マイナー太郎]短期的には、乱高下するとは思いますが、将来的には伸びていくのではないかと思っています。ビットコインだけを見ても、たとえハードフォークしたにせよ、仕組み上2,100万ビットコインしか発行されないことは変わりません。しかも、先ほどのラムサウェアの話のように塩漬けになって動かせない通貨があったり、初期のころに紛失してまったく流通しなくなったコインもかなり多いので、世界中で2100万ビットコインしかないものをみんなで使うとなると、その価値はもっともっと大きくていいはずです。だから、長期保有を考えているユーザーは、8月1日のことは気にせず、そのまま保持しておくのがいいのではないかと思ってます。

藤本氏自身が力を入れている太陽光発電。連載記事も参照のこと
太陽光発電で得た電力を使ったマイニングは将来的に芽がある?

[藤本]備えはしつつも、慌てるな、ということですね。ところで個人的にマイニングはありかも……と思っているのが太陽光発電との絡みなんです。規模は小さいですが、私の自宅は2004年末に太陽光パネルを付けて、今も日中は毎日発電しています。これが制度の改正によって2009年11月から48円/kWhというプレミアム価格で売電できるようになったのですが、プレミアム期間は10年で終了となるため、それがあと2年に迫っています。その後の売電価格がいくらになるかはわかりませんが、10円/kWh前後になる可能性があるため、だったら、売電せずに、マイニングに使ってしまうというのもアリかも、と。

[マイナー太郎]それはすごくいいじゃないでしょうか。一般に太陽光発電などは、かなり割高と聞きますが、すでに設置しているものがあるなら、すごくよさそうです。これからの設置だと、現実的ではないんでしょうか?

[藤本]では、小規模ながら太陽光発電を使ったマイニング、真剣に検討してみようかな……と思います。一方で、太陽光発電の発電コストですが、ここ5年ほどで、太陽光パネルの価格は急速に下がったため、新設の発電所としては、火力発電、水力発電、原発などを含めても一番安いものとなっているんです。

ただし、日中しか発電しない、出力が天気に左右されるという問題があるので、そこをどうするかが課題ですね。バッテリーと組み合わせるのがいいけれど、現時点においてはバッテリーが非常に高価であるため、電力会社と連系して、売買電を行う、つまり電力会社をバッテリーに見立てて運用するのが一番効率がいいのですが、バッテリーもどんどん安く、大容量になってきているので、これも数年で変わってくる可能性もありそうですよ。

[マイナー太郎]なるほど。これまらもう少し調べながら、検討してみたいと思います。

[藤本]今日は、いろいろなお話をありがとうございました。マイニングって、海外にいる特殊な人たちが行っているものという印象を持っていたのですが、お話を伺って、自分でもできる、比較的身近なものなんだということが分かりました。もちろん仮想通貨そのものの是非などはあるものの、実際マイニングすることが、送金だけでなく、社会インフラとして役立つ可能性もあるとなると、捉え方も変わってきそうですね。今後のマイナー太郎さんの事業化がどうなるかも気になるので、またお話を伺わせてください。