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DDR4メモリの“本当の性能”をあらゆる角度から徹底的に検証してみた

クロックやレイテンシ、チャネル数の違いや消費電力など、小ネタも併せて紹介 text by 坂本はじめ

暗号処理では高速な規格が有利、DDR4-2666が大きくリード

 DDR4-2133、DDR4-2400、DDR4-2666のメモリで、メインメモリの性能が処理速度に大きく影響する暗号処理のパフォーマンスを測定した。

暗号処理 - SiSoftware Sandra Platinum v24.41(X299環境でテスト)

 DDR4-2133の結果を基準とすると、DDR4-2400は約10%、DDR4-2666では約18%、処理が高速化されている。このように、メモリ規格の差が計算処理のパフォーマンスにはっきり反映されることもある。

LGA2066ではゲームでメモリの性能差が出ない?オーバーウォッチとゴーストリコンでテスト

 メモリ規格の違いによって、ゲームでのパフォーマンスに差が生じるのか、オーバーウォッチとゴーストリコンの2タイトルでテストしてみた。

オーバーウォッチ(X299環境でテスト)
ゴーストリコン ワイルドランズ(X299環境でテスト)

 メモリ規格によるゲームでのフレームレートの差は僅か0.5%にも満たないものであり、このテスト条件とゲームタイトルでは、メモリ規格の違いによるゲームでのパフォーマンス差は見られなかった。

LGA1151ではメモリの速度差がゲームの性能差に若干影響

 LGA2066プラットフォームではメモリの速度差による影響がほぼ見られなかったが、メインストリームであるLGA1151プラットフォームではどうだろうか。

 こちらもメモリ規格の違いでゲームのパフォーマンスに影響がでるのか、ビデオカードにGeForce GTX 1080を搭載してテストしてみた。

オーバーウォッチ (1,920×1,080ドット、グラフィック「エピック」)(Z270環境でテスト)

 オーバーウォッチではメモリ規格が上位のものになるにしたがってごく僅かにフレームレートが向上しているが、この程度は差のない結果であると言って差し支えないだろう。ゲーム自体のプログラムにもよるのだろうか、ゲームは思いのほかメモリの速度の恩恵を受けにくいのかもしれない。

CPU内蔵GPUを使用した場合、メモリの速度はゲーム性能に反映される

 CPUの内蔵GPUは、ビデオカードと違って専用のVRAMを備えていない製品がほとんどで、メインメモリの一部領域をVRAMとして活用している。このため、メインメモリの性能は内蔵GPUのパフォーマンスに影響を及ぼすはずだ。

 そこでCore i7-7700Kの内蔵GPUである「Intel HD Graphics 630」で、各DDR4規格のメモリを利用した場合のパフォーマンスを測定してみた。

ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク (1,920×1,080ドット、描画品質「標準品質 (デスクトップPC)」)(Z270環境でテスト)

 高クロックなメモリほどGPUのパフォーマンスは向上しており、DDR4-2133に対してDDR4-2400で約4.9%、DDR4-2666では約7.7%スコアが向上している。

 GPU自体の性能が高くなるほどVRAMに要求する帯域は大きくなっていくので、より強力なGPUを搭載したCPUであれば高速なメモリによる恩恵も大きくなるだろう。

ゲームの挙動はかなり特殊?動作クロックのみを変更した際の実効性能もテスト

 全ページでレイテンシを固定して動作クロックのみを変更したテストの結果を紹介したが、実際のアプリケーションやゲームで同じテストを行った際の結果も紹介しよう。

 DDR4-2666規格のメモリを使い、タイミングを標準の「19-19-19-43」に固定したままメモリクロックだけをDDR4-2400とDDR4-2133に引き下げてテストする。

 すでにここまでの結果である程度推測できると思うが、思いのほかゲームではメモリの速度差が性能差として出てこない。

暗号処理 - SiSoftware Sandra Platinum v24.41(X299環境でテスト)
オーバーウォッチ(X299環境でテスト)
ゴーストリコン ワイルドランズ(X299環境でテスト)

 メモリ性能がパフォーマンスに反映されやすい暗号処理ではクロックの向上の効果は顕著だが、ゲームでは最大でも約1%前後の差しかつかない。

レイテンシだけを変更した場合もゲームでは差が出にくい

 レイテンシが実性能に与える影響もみるため、前ページと同じく動作クロックの設定をDDR4-2133に固定し、タイミング設定をDDR4-2400 (17-17-17-39)とDDR4-2666 (19-19-19-43)相当に緩め、それぞれの設定でテストを実行した。

暗号処理 - SiSoftware Sandra Platinum v24.41(X299環境でテスト)

 暗号処理では、タイミング設定の違いが処理速度の差に表れており、「15-15-15-36」を基準にした場合の処理速度は、「17-17-17-39」で約97.4%、「19-19-19-43」では約92.1%となっている。

オーバーウォッチ(X299環境でテスト)
ゴーストリコン ワイルドランズ(X299環境でテスト)

 ゲームではタイミングが詰まるほどフレームレートが僅かに上昇しているが、その差は最大でも1%程度となっている。タイミングが詰まるほどメモリの性能が向上することは確かだが、それがどの程度パフォーマンスに影響するのかは、アプリケーション次第のようだ。