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DDR4メモリの“本当の性能”をあらゆる角度から徹底的に検証してみた

クロックやレイテンシ、チャネル数の違いや消費電力など、小ネタも併せて紹介 text by 坂本はじめ

動作クロックが下がるほど消費電量も下がるDDR4メモリ

 メモリ規格の違いによって、PC自体の消費電力がどの程度増減するのかを確認してみた。

システムの消費電力(X299環境でテスト)

 測定の結果、DDR4-2133規格が最も低消費電力な結果となっており、これを基準とした場合、DDR4-2400では最大約3.4%、DDR4-2666は最大約5.5%の消費電力増加がみられた。

 もっとも、アイドル時の消費電力差は1W未満であり、メモリの高クロック動作による極端な電力増加は見られない。今回テストに用いたX299環境では、どのメモリを用いてもメモリコントローラ周辺の電圧設定は一定であったことも、消費電力差が小さいものにとどまった一因のようだ。

DDR4-2133(左)搭載時とDDR4-2666搭載時のCPU周辺電圧設定。メモリコントローラを含むアンコア部に供給される電圧であるVCCIOもVCCSAもほぼ同じ数値となっている。(X299環境でテスト)

ランク数の多い方がやはり消費電力は大きい?

 メモリのランク数が増えると消費電力も増加するのか、シングルランクとデュアルランクのメモリモジュールをそれぞれ1枚搭載した際の消費電力を測定してみた。

システムの消費電力(X299環境でテスト)

 測定の結果、僅かながらデュアルランクのメモリモジュールを搭載した時の方が高い消費電力を記録した。

 モジュール上に実装しているメモリチップの数が、シングルランクの8枚に対し、2倍の16枚であるデュアルランクメモリの方が消費電力が高くなるのは想像に難くない結果だ。

DDR4-2666はDDR4-2133でも使える、下位互換が確保されたDDR4メモリ

 DDR4-2133メモリをDDR4-2666で動作させるのはオーバークロックとなり保証の範囲外となってしまうが、逆にDDR4-2666メモリをDDR4-2133で動作させることは出来るのだろうか。

 結論から言えばJEDECのDDR4-2666規格に対応しているメモリであれば、DDR4-2133で動作させることは可能だ。DDR4-2666メモリのSPDにはDDR4-2400やDDR4-2133での動作情報が記録されており、UEFIからメモリクロックを指定すれば、SPD情報に基づいてDDR4-2133やDDR4-2400のメモリタイミングなどの設定がロードされる。

メモリに記録されているSPD情報
DDR4-2666対応のメモリをDDR4-2133やDDR4-2400で使用する場合、UEFIでメモリクロックを対応規格より下のクロックに設定する。
DDR4-2666対応のメモリをDDR4-2133に設定して立ち上げた場合。クロックはDDR4-2133 (1,066MHz)で、タイミングは「15-15-15-36」で動作している

 このように、JEDECに準拠したDDR4メモリで後方互換性が確保されていることにより、現在はDDR4-2666に対応してないCPUとマザーボードしかもっていないが、将来的なアップグレードを考慮してDDR4-2666メモリを買っておくという選択が可能となっている。