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128GBもメモリを載せたら、PCはどこまで快適になるのか? 動画や写真編集、VMにゲームまで……
超多コアCPU+大容量メモリは、最強の「ながら作業PC」? text by 坂本はじめ
2017年10月23日 00:01
DDR4メモリの時代となり、1枚で16GBの容量を実現するモジュールが現実的な価格で入手できるようになった。クアッドチャネルメモリをサポートするプラットフォームであれば、一般ユーザー向けのモデルでも最大128GBのメモリ容量を実現可能だ。
ちなみに、16GB×2枚セットは現在3万4千円前後から入手可能で、128GBは約13万6千円あれば環境が構築できる。一昔前であれば、100GBを超えるメモリ容量を実現するにはRegisteredメモリが必須となり、メモリだけで数十万円は必要だった。そう考えると、DDR4メモリの時代になり、状況は大きく変わりつつある。
そこで今回、IntelとAMDのハイエンドプラットフォームに128GBのメモリを搭載してその活用方法を探ってみた。128GBという膨大なメモリ容量なら、メモリ容量があればあるほど良い動画編集以外にも、さまざまな使い道が考えられる。現在のハイエンド環境が実現する快適さをぜひ確認してもらいたい。
【記事目次】
機材紹介
・Skylake-XとRyzen Threadripperで超大容量メモリ環境を構築
・大容量メモリの安定性をテストする方法
超多コアCPU+128GBメモリは“最強のながら作業PC”
・ハイエンドPCはどんな使い方でも気持ちが良い、当然Twitterも
・多コアCPU+128GBメモリは“最強のながら作業PC”
・全データオンメモリで快適なWebブラウザ環境
大容量メモリでRAMディスクを活用
・大容量RAMディスクの構築法
・RAW編集をより快適にするRAMディスク
・ゲームロードを大幅短縮、記録作りならRAMディスク環境で
大容量メモリが活きる動画編集や仮想PC
・メモリ容量があるほど快適な動画編集
・Adobeソフトを複数併用しても重くならない環境
・仮想PCを複数立ち上げても快適、大容量メモリの効果
まとめ
・アプリを好きなだけ立ち上げられる、今作れる夢のPC環境
Skylake-XとRyzen Threadripperで128GBメモリ環境を構築
今回、Intel環境はLGA2066プラットフォーム対応の8コア16スレッドCPU「Core i7-7820X」とMSIのX299搭載マザーボード「X299 GAMING PRO CARBON AC」、AMD環境はSocket TR4プラットフォーム対応の16コア32スレッドCPU「Ryzen Threadripper 1950X」とMSIのX399搭載マザーボード「X399 GAMING PRO CARBON AC」を用意した。
肝心のメモリは、DDR4-2400動作対応のCrucial製16GBメモリ「CT16G4DFD824A」を8枚用意した。今回用意したIntelとAMDの機材は、いずれもクアッドチャネルメモリに対応し、最大で128GBのメモリをサポートしている。
Ryzen Threadripperについては搭載するメモリの仕様と枚数によって、対応する最大メモリクロックが異なっているが、今回はメモリのスペックであるDDR4-2400で問題なく動作が可能だったので、両環境ともDDR4-2400で運用している。
メモリの安定性の測り方、大容量だからこそ事前のチェックも重要
メインメモリの不良率はそこまで高いものではないが、メモリの枚数が増えれば増えるほどメモリの動作不良に遭遇する可能性も高くなる。まずは念のためメモリの安定動作の確認を行いたい。
手軽にメモリを含めたPCの安定動作を確認するツールとして、Windows上で動作する負荷テストがお勧めだ。総合的な負荷テストソフトである「OCCT」や、Intel純正ツールの「Intel Extreme Tuning Utility」に、メモリを含めたPCの安定性を確認するための負荷テストが用意されている。
これらツールの負荷テストを少なくとも1時間、長時間の安定性を期待するなら24時間連続で実行し、エラーなく動作し続けていたのなら、メモリやCPUが安定して動作していることの証明となるわけだ。
大容量メモリ環境を構築した際、PCの動作が不安定な場合はメモリが要因となっている場合もあるので、問題の切り分けにこれらのツールを使用してテストしてみてもらいたい。
圧倒的な余力を持つハイエンドPCはどんな使い方でも気持ちが良い
今回構築したPCはいずれもハイエンドプラットフォームに最大限メモリを搭載している。特に16コア32スレッドCPUのRyzen Threadripper 1950Xを搭載したAMDマシンは、一般消費者向けとしては最大級のCPUコア数とメモリ容量を実現可能だ。
このPCでは1スレッドに100%の負荷が生じる処理を実行してもCPUの使用率は約6%に過ぎず、10GBのメモリを使用してもメモリ使用量は10%に満たない。そうそう使い切ることのできない圧倒的な余力を持つPCは、単に使っているだけでも気持ちの良いものだ。
CPUにせよメモリ容量にせよ、余裕があるのはよいことだ。圧倒的な余力のあるPCを所有し使っているという満足感があれば、その使い道の大半がツイッターであっても気分よく使えることだろう。
10コア超のマルチコアCPUと128GBメモリは「ながら作業」に最適な理想のPC
それでは128GBメモリの効果的な使い方に入ろう。
2017年はIntelとAMDの両陣営から10コアを超えるCPUがハイエンドモデルとしてリリースされた。特別な用途でのみ性能が活かされると思われがちだが、一般的な用途でもその性能は発揮される。
10コアを超えるマルチコアCPUと今回構築した128GBのメモリがあれば、CPUとメモリの使用率をほとんど気にすることなく、様々な作業を同時に実行できるようになる。これまで、CPUやメモリの使用率を理由にこまめに起動と終了を繰り返したり、一つの処理が終了するまで他のアプリケーションの実行を控えていたような場面でも、気にすることなく同時実行が可能となる。
例えば、RAWの現像をバックグラウンドで実行しながら動画編集をしてもいいし、動画のレンダリングやエンコードを実行しながら、動画配信サイトを利用することも可能だろう。膨大なメモリ容量とCPUコアは、様々なアプリケーションを同時に実行しながらでも快適にPCを利用できる「最強のながら作業マシン」を実現するという訳だ。
もちろん、ゲームをしながらの作業なども可能で、高画質ゲームのプレイをリアルタイム配信したり、MMO RPGを遊ぶ傍ら攻略サイトをチェックしたり、動画を見ながら遊んだりと行ったことも難なくこなすことができる。
メモリを積極的に活用するWebブラウザ、128GBメモリなら開けるタブは1千枚?
PCで最も利用するアプリケーションの一つがウェブブラウザだ。
昨今では高解像度ディスプレイに対応した画像を多用するサイトも多く、動画配信サイトではフルHD以上の高解像度動画も利用できるようになった。
こうした高解像度コンテンツは当然ながら大容量だ。それらをより早く表示し、快適に操作できるよう、ウェブブラウザはメモリをキャッシュとして積極的に活用している。
タブブラウザで複数のページをタブで開いていけば、メモリの使用量はどんどん増加していく。これにより、タブの切り替え時にページの再読み込みをすることなく、スピーディーにページを表示してくれる訳だが、場合によってはそれが10GBを超えることもある。
もちろん、メモリ容量が足りなければストレージ側のキャッシュを活用して対処していくわけだが、やはりストレージよりもメモリ上に展開している方が高速だ。ブラウザがメモリを使いすぎると嘆くより、使いきれないほどのメモリをブラウザに与えた方が、より快適なネットライフを過ごせるだろう。