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今時のPCゲームは1TB SSDが快適、超大作も安心なゲーム用SSDの選び方
FFXVやWitcher 3など、超大作を遊ぶなら大容量SSD text by 坂本はじめ
2018年4月24日 06:05
グラフィックスの高品質化に伴い、大容量化が進むPCゲーム。1タイトルで150GB以上の容量を要求するゲームも登場し、容量的にも重量級コンテンツになりつつある。
ストレージに関して言えば、SSDを使えば多くのゲームが快適になるので、とりあえず速度だけを気にしておけば良かったが、今後は容量も気にする必要が出てきたと言えるだろう。
今回は、そうした昨今の状況を踏まえて、ゲーム用ストレージを再考してみたい。ちなみに、筆者的に今お勧めなのは1TBのSATA SSDだ。なぜ1TB SSDが良いのか、SSDが持つメリットや、実ゲームでのパフォーマンスなどを交えつつ解説しよう。
今時の大作PCゲームを遊ぶなら1TB SSD、ゆとりのある容量
まずは容量の面から解説しよう。現行のSSDを導入すれば、容量を問わず速度面の快適性は手に入るが、使い勝手の良さは容量次第で大きく変わる。
大作と呼ばれるPCゲームは、グラフィックス品質向上に伴って容量が増加し続けており、先日発売された「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION」は、高解像度パックを含めると約150GBもの容量を使用する。
250GBクラスのSSDを選んだ場合、FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITIONクラスの大作ゲームは1本しかインストールできない、500GBクラスであっても3本だ。
遊ぶゲームを一本に絞るなら容量を節約することはできる。しかし、長期にわたってアップデートやダウンロードコンテンツが配信されるゲームの多い昨今、ゲームを遊び尽くすには複数のゲームをインストールしておける容量が必要だ。そうなると、500GBクラスのSSDでもゆとりある容量とは言い難い。
ここで過去の例を紹介したいが、2015年にPC版グランド・セフト・オートVが発売された際、ストレージ容量が最低65GBが必要になる非常に大容量なゲームとしても注目を集めた。
しかし、それから3年が経った現在、50GB以上の容量を使用するゲームは珍しくなく、グランド・セフト・オートVも「驚くほど大容量」というほど特別な存在では無くなった。
現在のゲーム容量と容量増加ペースを考慮すると、SSDの容量は500GBよりゆとりのある1TBクラスを選びたい。当然、大容量であるにこしたことは無いが、一般的な2TBクラスのSSDは63,000円前後と高価であり、導入コストを考えるとゲーム用には1TB SSDが手を出しやすい。
SSDの中でも高コスパなSATA SSD、NVMe SSDの約半額
続いてはインターフェイスによるコストパフォーマンスを見てみよう。SSDは大きく分けてSATA対応モデルとNVMe対応モデルが2種類が流通している。
規格上の最高速度はSATAが理論値600MB/s、NVMe(PCIe 3.0×4レーン)が4GB/sとNVMeが大幅に高速となっている。規格上は6倍以上の差があるが、実際にゲームで使用した場合はそこまで大きな差は出ない。
実際に、リード3.2GB/sをうたうNVMe SSD、6Gbps SATA SSD、一般的な5,400rpmの3.5インチHDDの3種類を使い、どの程度差があるのか「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク」のロードタイムで比較してみたのが下の図だ。HDDとSSDの間には大きな差があるものの、NVMe SSDとSATA SSDの差はそこまで大きくはなかった。
NVMe SSDとSATA SSDで、非常に大きな差は無いという前提で店頭価格をみてみよう。
現在の市場売価は、同容量のNVMe SSDとSATA SSDで比較すると、その差はおおむね2倍といった感じだ。
純粋なアクセス性能はNVMe SSDが優れるので、予算があるなら大容量品を使いたいところだが、SATA SSDとの価格差はまだ大きい。同価格で倍の容量が確保できるSATA SSDの方が、コストパフォーマンス面では優れているといえる。
コストとは離れてしまうが、2.5インチSATA SSDは増設しやすいというポイントもある。
デスクトップPC向けのマザーボードは6基前後のSATAコネクタを備えるモデルが多く、容量が足りなくなった際に気軽に増設が可能だ。M.2スロットはまだ特別といった感があり、2基前後となっている例が多い。容量が足りなくなった場合は増設で無く買い換えで対応せざるおえないケースもある。
こうした部分の使い勝手もSATA SSDの方が現状は扱いやすいと言える。
書き換え回数が多くても安心な3D NAND、せっかくなら長期保証のモデルを選ぼう
容量、速度、コストなどの面からSATA接続の1TB SSDがゲーム向けに優れていることはわかってもらえたと思うが、1TB SSDといっても数多くモデルが流通している。
今から購入するのであれば、3D NANDを採用していることと、保証が長いという2点を意識して選んでもらいたい。
メインストリームのSSDは3D TLC NANDを採用するモデルに切り替わりつつある。以前はTLC NANDが主流だったが、積層化された3D TLC NANDは同じTLCでも寿命が大幅に長い。また、3D NANDが開発されたこともあり、耐久性や信頼性の自信のあるモデルは3~5年の保証をつけて販売されている。
SATA SSDであれば、速度面はほぼ規格上の6Gbpsの上限値に近いモデルばかりになっているので、寿命や安心感を重視するのが良いだろう。
FFXV、Witcher 3、Fallout 4の大作ゲームで実際のロード時間をテスト、一般的なHDDとの差を見る
では、SATA SSDで大作ゲームがどの快適になるのか、実際に大作ゲームを使用してテストしてみよう。テストする大作ゲームは、「FINAL FANTASY XV」「The Witcher 3: Wild Hunt」「Fallout 4」の3種類を用意した。
今回使用するSSDは、Crucial MX500シリーズの1TBモデル「CT1000MX500SSD1」。3D TLC NANDを採用し、国内正規品は5年保証と、これまでゲーム用SSDとして選ぶべきポイントを満たしたモデルだ。販売価格も3万円弱と、長期保証モデルとしては悪くない。
比較に使用するHDDは、現在主流となっている3.5インチで5,400rpmの一般的なモデルを用意した。
テストの結果だが、SATA SSDであるCT1000MX500SSD1は、HDDの約36~56%の時間でロードを完了した。
実時間でも21~38秒もロード時間を短縮しており、SATA SSDがゲーム用ストレージとして標準的な3.5インチHDDを圧倒する性能を発揮することが分かる。数十秒単位で短くなるのは体感でもわかりやすく、データ量の多い大作ゲームにSSDを使うのは効果的だと言えるだろ。
ゲーム用には1TBのSATA SSDを使いたい、大作ゲームには大容量SSD
2.5インチ型のSATA SSDは、デスクトップPC向けのゲーム用ストレージに求められる要素をバランスよく備えており、数多くの大作ゲームをプレイする熱心なゲーマーにとって実に魅力的なストレージだ。
大作ゲームは容量が大きいので、やむなくHDDを使用しているユーザーもいると思うが、データ容量の大きい大作ゲームこそSSDが活きる。
現在であれば、1TBのSATA SSDを用意すればゲームはかなり快適に遊べる。ゲーミングPCを所持しているのであれば、ストレージにも少し投資して快適にPCゲームを楽しんでもらいたい。
[制作協力:Crucial]