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CORSAIRがこだわるゲーマー向けの高性能製品とは、開発のポイントを聞いてみた
ゲーミングデバイスはワイヤレスの時代?ケースはファッションのトレンドも重要? text by 石川ひさよし
2018年5月8日 06:05
4月にCORSAIRの新製品発表会が浅草橋のイベントスペースで開催された。
主にゲーミングデバイスとケース製品についての紹介が行われ、米国本社からプロダクトマネージャーのアンドリュー氏、デニス氏が来日し、製品の機能や特徴が解説された。
来日に合わせ、アンドリュー氏とデニス氏に、CORSAIR製ゲーミングデバイスとCORSAIR製PCケースの特徴について話をうかがう機会を得たので、どのような点に注力して製品を開発しているのか、CORSAIRのこだわりを聞いてみた。
ゲーミングデバイスのポイントは高性能+カスタマイズ性ワイヤレスにも注力
――CORSAIRはメモリからスタートしたメーカーだと思いますが、なぜゲーミングデバイスをフォーカスすることになったのでしょうか
[アンドリュー氏]CORSAIRは、OCメモリやPCケース、電源、冷却などのPCパーツを扱ってきました。高性能かつ高品質で、ゲーマーの志向に合った製品を開発しています。
この際に得たゲーミングに関するノウハウは、ゲーミングデバイスにも応用出来るものでしたので、高性能なモデルをユーザーに届けられると確信し、現在のように数多くの製品を展開するに至っています。
この「ゲーマーの志向に合った製品の開発」という点は、ゲーミングデバイス部門が特に意識している部分です。
――CORSAIRがゲーミングデバイスの開発で重視しているのはどのような点でしょうか。
[アンドリュー氏]キーワードを挙げるならば、「高性能」、「耐久性」、「コンフォート(快適)」、「カスタマイズ性」です。
性能と耐久性は、CORSAIRがこれまでPCパーツ製品で培ってきた「こだわりのものづくり」の延長です。2013年に発売したVengeance K70キーボードの時代には「高性能」へのこだわりを確立しており、ゲーマーにも人気のCherry製スイッチをいち早く採用しています。性能と品質で妥協しないのがCORSAIRのモデルの特徴です。
コンフォートは、使っていて気持ちのよいこと。たとえばキータッチやクリック感、ヘッドセットなら装着感といった点です。
カスタマイズ性は、ソフトウェア面もありますが、例えばマウスの「DARK CORE RGB」では、パーツを交換することでグリップを変更できる仕組みを取り入れています。
あとはプラスして「エモーション(感動)」でしょうか。賛否両論ありますがRGB LEDの搭載です。「カスタマイズ性」を掲げたように、ソフトウェアから好みのままに設定できることに注力しています。
――とくにキーボードやマウス、ヘッドセットといった製品では、それ専業のメーカーも数多くあります。それらメーカーの製品との違いはどのようなところにありますか。
[アンドリュー氏]まず、より広く一般ユーザーに向けた製品とゲーマー向けの製品のニーズは異なります。ゲーマーがゲーミングデバイスに求めるのは、まず性能、つぎに一般向け以上の耐久性、そしてゲームのための機能です。
性能と耐久性についてはこれまで説明してきたとおりです。機能面では、例えばキーボードでは、高速に、時にはキーの同時押しを受け付ける機能などが求められます。
ヘッドセットでは、まず長時間装着していても快適なことが求められます。ここにはクッションを採用し装着感を高めています。また、材質についても機能についても、多数のサンプルを製作してテストを繰り返し、本当のゲーマーレベルに達するものをリリースしています。
同時に、サウンドも、ハードウェア・ソフトウェア両面から高めています。ハードウェアではカスタムドライバーを採用していますし、ソフトウェアでは統合管理ユーティリティの「iCUE」にイコライザー機能を統合し、チューニングできるようにしています。
――今回の製品発表では、「Unplug and Play」を掲げ、「ワイヤレス」がキーワードでした。ゲーミングデバイスでも時代はワイヤレスなのでしょうか。
[アンドリュー氏]無線と有線にはそれぞれメリット・デメリットがあります。例えば、多数の無線が飛び交うゲーミングイベントでは有線のほうが有利であることは間違いないでしょう。トーナメントではレイテンシも勝ち抜くための重要な要素になってきます。
ただし、一般的に言えば、無線も有線も性能面では変わらないレベルになってきたことは確かです。今後、プロゲーマーもワイヤレスという時代になってくることでしょう。自宅でゲームを楽しむなら無線による自由なスタイルがマッチしていますし、多くのゲーマーに快適さを提供したいですね。
今後もCORSAIRファンの期待に応えるモデルを開発していきます。
ケースデザインのコンセプトはファッションから?世界各地のトレンドを研究するCORSAIR今年は新作Mini-ITXケースも来る?
――CORSAIRのケースの歴史を教えてください。
[デニス氏]約10年前になりますが、Obsidian 800DでCorsairのPCケースはスタートしました。800Dは大型PCケースで、そこから様々なフィードバックを得ることができ、以来、様々な製品を展開してきました。
2011年にはCarbide、Graphiteシリーズをリリースし、2012年にはObsidian 250DでMini-ITXケースにも参入しました。現在ではMini-ITXからフルタワーATXまで様々な製品を展開しています。
――そういえば現在、日本市場でMini-ITXモデルをリリースしていませんよね。
[デニス氏]そうでした。将来の製品については言及できませんが、Mini-ITXケースも考えておりますよ。microATXもね。あと、Mini-ITXケースではないですが、Corsair Oneのような小型ゲーミングPCも手がけております。
――Corsair OneのPC DIY向けモデルをリリースする可能性はありますか。
[デニス氏]Corsair Oneは、一般的なパーツで構成されていますが、レイアウトから冷却機構までフルスクラッチで作り上げた製品ですので、これをPC DIY向けにアレンジするのは大変ですね。ありえないとは言いませんが、一般ユーザーの使い勝手や組み立てやすさを考えると、どうしても一回り以上大きくなってしまいます。
――現在のPCケースのトレンドを教えてください。
[デニス氏]最近は強化ガラスのサイドパネルとRGB LEDです。この2つを組み合わせた際に、どのような見映えになるのかよく考えながら設計しています。
――CORSAIR製ケースの設計面、デザイン面で大切にしているところはどこでしょうか。
[デニス氏]性能面でのデザインは、IntelやAMD、NVIDIAなどPCの機関部品メーカーの動向に注目して方向性を決めています。これらメーカーのCPUやGPUを、持続的かつ最大限性能を引き出すことがPCケースの設計、デザイン上でもっとも重要な点です。
そして、外観デザインの点では、我々はヨーロッパ、アメリカ、アジアなど様々な地域にマーケティング部門を置き、各地域のデザイントレンドにも注目しています。
そのデザイントレンドとは、ゲーマーはもちろんですが、PC DIYだけでなく、ファッションやカルチャーなど、PC以外の様々な分野にも及びます。そうして得たトレンドを、製品づくりに生かしています。
――そういえば、PCケースや電源でも高い支持を得るメーカーになりましたが、OCメモリは最近いかがでしょうか。
[デニス氏]CORSAIRはOCメモリからスタートしました。その意味で、今もCOSAIRブランドにとって最も重要な製品になります。
――ありがとうございました。
[制作協力:CORSAIR]