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オリジナルの“魅せるメモリ”が作れる、MicronのRGB LED搭載DDR4メモリをテスト
3Dプリンタ対応の「Ballistix Tactical Tracer RGB DDR4」 text by 坂本はじめ
2018年9月12日 06:05
Micronのゲーミングメモリブランド「Ballistix」から、RGB LEDイルミネーション機能を備えたDDR4メモリ「Tactical Tracer RGB DDR4」が登場した。
DRAMメーカー直系ブランドならではの品質の高さと、着脱可能かつユーザーの自作品に交換可能なライトバーというユニークな要素を備えるTactical Tracer RGB DDR4は、“魅せるPC”の自作にチャレンジするユーザー注目のメモリだ。
今回は、同シリーズのDDR4-3000対応モデルをお借りできたので、性能とイルミネーション機能のチェック、そしてライトバーの交換にもチャレンジしてみた。
DDR4-3000対応で16基のRGB LEDを搭載したオーバークロックメモリ
BallistixのTactical Tracer RGBは、8ゾーン16基のRGB LEDを搭載したDDR4メモリ。DDR4-2666モデルとDDR4-3000モデルが用意されており、今回借用したのはDDR4-3000モデルの8GBモジュール2枚組「BLT2K8G4D30BET4K」だ。
まずはBLT2K8G4D30BET4Kの基本スペックからチェックしていこう。
先述の通り、BLT2K8G4D30BET4KはDDR4-3000動作に対応する8GBモジュールを2枚セットにした、いわゆるデュアルチャネルキット。DDR4-3000での動作はオーバークロックによって実現しており、DDR4-3000動作時のメモリタイミングは16-18-18-38、動作電圧は1.35V。
メモリプロファイルであるXMP規格に対応しており、DDR4-3000での動作設定はXMPに記録されている。XMPとオーバークロックメモリに対応する環境なら、プロファイルをロードするだけでDDR4-3000メモリとして動作させることができる。
性能を引き出すなら必ずXMPの設定を、2割前後高速に
オーバークロックメモリの常として、メモリをスペック通りに動作させるためには、ユーザー側でメモリの動作設定を行う必要がある。
XMPに対応するBLT2K8G4D30BET4Kの場合、マザーボードのUEFIのメモリ設定からXMPの情報をロードするだけで設定完了する。非常に手軽なので忘れず行いたい。
この設定を行わない場合、SPD情報として記録されている定格動作のDDR4-2400設定がロードされる。DDR4-3000での動作を望むなら、必ずXMPをロードしておこう。
DDR4-3000メモリとしての実力チェックを兼ねて、BLT2K8G4D30BET4KでXMPを適用した場合(DDR4-3000)としなかった場合(DDR4-2400)では、どの程度メモリ性能が変化するのかテストしてみた。テストはCore i7-8700Kを搭載したIntel Z370環境で行っている。
メモリ帯域のテストでは、DDR4-3000が29.33GB/sを記録して、25GB/sであったDDR4-2400を4.33GB/s上回った。
メモリレイテンシの測定においても、DDR4-3000は18.6nsを記録し、21.0nsのDDR4-2400動作よりも短くなっており、メモリのアクセス性能では確実にXMPを適用したDDR4-3000動作の方が上であることがわかる。
イルミネーションが映える大型ライトバーを採用RGB LEDイルミネーション機能をチェック
Tactical Tracer RGB DDR4の目玉機能は、合計16基のRGB LEDを用いたイルミネーション機能だ。
LEDの制御はユーティリティツールの「DDR4 Ballistix M.O.D.」から行う。RGB LEDは基板の片面に8基ずつ実装されており、表裏の2基を1組にした8つの「ゾーン」単位での制御が可能であり、かなり複雑なパターンで発光させることができる。
LEDの光はメモリモジュール上部に取り付けられたLEDディフューザーの「ライトバー」によって拡散されているのだが、このライトバーを着脱が可能であり、取り外せば高輝度LEDの生の光でケース内をドレスアップすることもできる。
また、天面全体がライトバーになっているので見栄も良く、派手さや存在感がある点も特徴だ。
詳しくは後ほど紹介するが、Tactical Tracer RGB DDR4のライトバーは3Dプリンター用の3Dデータが公開されており、それを元にユーザーオリジナルのライトバーを作成して搭載することもできるので、カスタマイズする楽しみもある。
実際に光らせた際にどう見えるのか、色が流れるように変化する発光パターンの「Water Wave」を例に動画で紹介しよう。
ライトバーを装着した際はメモリ天面部分全体が光っているように見えて美しい。ライトバーを外した際は点で光る状態になるが、直接LEDが見える分、輝度はこちらの方が高い。
なお、一部PCパーツショップにはTactical Tracer RGB DDRのデモ機が用意されており、購入前に発光パターンや光り方を確認することができる。イルミネーション機能を搭載するPCパーツは実物を見てみないとわからない部分もあるので、可能であれば店頭で確認してみて欲しい。
3Dプリンタでオリジナルのライトバーも作成可能Ballistixロゴ型のオリジナルライトバーを出力して装着してみた
Ballistixのウェブサイトでは、Tactical Tracer RGB DDR4用ライトバーの3Dデータを公開している。
ユーザーがオリジナルライトバーを作成する際、ベースに使用できる3Dデータの他に、Ballistixロゴ型ライトバーなどの3Dデータも公開されている。
今回は専用ページで配布されている「Ballistixロゴ型ライトバー」のデータを使用し、オリジナルライトバーの作成を行った。
出力はJMCの光造形出力に依頼して行っている。3Dデータの出力に対応したサービスを行う企業は増えつつあり、3Dプリンタを所持していなくてもこうした3Dプリンター出力サービスを利用することで楽しむことができる。
素材や出力方法によって費用感はかなり変わるが、今回のように精密な出力が可能な光造形の場合、2万円かからない程度といった感だ。そこそこの制作費が必要だが、その分なかなかクオリティの高いライトバーが完成した。
なお、透過の度合いなどを調整すれば見栄えも変わるだろうし、自分でデザインしたオリジナリティの高いライトバーを取り付ければ、PCのドレスアップに大きく貢献する。こだわりたければとことんこだわれる部分だ。
なお、JMCからは出力時にいくつかアドバイスをもらっており、今回のように下側からLEDの光りを透過させる場合、本体はなるべく透明な素材を使用し、光りを拡散させたい部分を耐水ペーパーなどでマットな質感に仕上げると、光りがより綺麗に拡散するとのことだ。
完全に透明な場合は光りの抜けが良すぎるため、エッジ部分などしか光っているように見えず、濁りが強い半透明素材などは光りの透過率が下がるので、上側までうまく光りがまわらなくなる場合もある。
このあたりはこだわりやノウハウ次第でいろいろアレンジできる部分なので、なかなか遊べる部分だ。ベースの色を変えても変化があるだろうし、ラメなど光りを反射させるものが入った特殊なものを素材に使用しても面白いかもしれない。
こだわりの“魅せるメモリ”にもできるTactical Tracer RGB DDR4
Tactical Tracer RGB DDR4は、複雑な制御を可能とするゾーンLED制御と、交換可能なライトバーというユニークな要素が目立つRGB LEDイルミネーション機能が魅力のメモリだ。
3Dプリンタが身近にあるユーザーであればかなり遊べるメモリであり、素材を変えることで光り方も変化させられるので、市販品では不可能な“こだわりのメモリ”を制作することもできる。特に、MOD PCや“魅せるPC”を組む際に可能性を広げてくれるだろう。
メモリを知り尽くしたDRAMメーカー直系ブランドだけあって、メモリモジュールとしての実力と品質も高い。ユニークなイルミネーション機能と信頼性を兼ね備えたTactical Tracer RGB DDR4は、PCをLEDでドレスアップしたいユーザーにとって魅力的な選択肢となるはずだ。
[制作協力:Micron]