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“On-Lap”をBARに導入したら結構ウケた!“激安デジタルサイネージ”としてモバイル液晶を活用

スライドショーの素材もフリ-ソフトで簡単に作成 text by 柳谷智宣

バー2店舗に「On-Lap 1503H」を導入してみた!

 デジタルサイネージというと、駅などに設置された大型なものをイメージされることが多いが、近年、店舗のレジ横といったような省スペースにも設置できるモデルが注目を集めつつある。

 特に飲食店では効果が高く、訪れた人に商品やサービスの情報を目にとまりやすいかたちで伝え、購買意欲を高めることができる。壁面や黒板などに書かれたスペシャルメニューやおすすめメニューなどをみかけることがあると思うが、あれらは想像しているよりも効果が高い。

 しかし、黒板にメニューや絵をかくのは手間がかかるし、スキルも必要になるため、そうしたテクニックを持ったスタッフがいる状態でなければやりたくてもできない。

来店者に商品訴求ができるサイネージ、効果は接客トーク並み?

原価BAR 五反田店
原価BAR 赤坂見附店

 商品訴求を行いたいものの、人材面などでのハードルはなかなか高い。そこで、手軽に商品訴求を行いたい場合にお勧めしたいのが、モバイルディスプレイをデジタルサイネージとして活用するテクニックだ。

 狭い場所にも設置でき、ビジュアルでわかりやすく商品の魅力を訴求できる。また、PCを使って素材なども用意できるので、アナログ的なテクニックが無かったり、そうしたスタッフが常駐しなくても活用できる点も魅力。

 メニューを見てもらうのを待っているだけでは受け身だが、サイネージの内容が目にとまれば、それは接客トークを行い、直接商品を訴求するのに近い効果を得られる。

 今回は、「On-Lap」の15.6型液晶と小型PCを組み合わせ、筆者が経営している飲食店「原価BAR」の2店舗に導入した事例をご紹介しよう。実際に試してみると、効果や先に繋がる可能性を感じられ、なかなかの手応えを得られた。

 業務用機器と民生用機器では防水や耐久面での違いがあるが、業務用のサイネージは100万以上かかることもざらだ。今回の組み合わせであれば費用は10万円前後になるので、コストパフォーマンスという面を気にするユーザーにも是非見てもらいたい。

15.6インチのモバイルディスプレイをデジタルサイネージに!ディスプレイの「On-Lap 1503H」と組み合わせる小型PCをチェック

 今回は、サイネージ用のディスプレイとしてGeChicの「On-Lap 1503H」を利用した。実売価格は税込で約3万6千円だ。

 持ち運びも容易なモバイルタイプのモデルで、15.6型のIPS液晶ディスプレイを搭載し、バックライトはLEDを採用。解像度は1,920×1,080ドットのフルHDとなっている。本体サイズは382×246×11mmで、重量は本体が798g、スタンドが282g。同じ15.6型ディスプレイを搭載するノートPCと比べるとずいぶん軽い。

GeChicの「On-Lap 1503H」。
本体背面。

 映像入力はMicro-HDMIとVGAを備え、音声もHDMIで入力できる。ヘッドホン端子を搭載し、1.0W×2のステレオスピーカーから音を出すことも可能だ。本体の電源はUSB-C端子で、5V2AのACアダプタが付属している。

 インターフェースも左側面にまとめられており、上から電源インジケータ、電源ボタン、操作ボタン×2、ボリューム上下ボタンを備えている。

 なお、「On-Lap 1503H」はモバイルディスプレイなので、一般的なディスプレイとは違うのかと思う人もいるかもしれないが、持ち運べるといった点以外で使い方が難しい点などは無い。特別なセットアップなども不要で、PCと接続するだけで使える簡単仕様。PCからMicro-HDMI端子に映像出力ケーブルをつなぎ、PCとディスプレイに電源ケーブルをつなげば即使える。

標準で簡易スタンドが搭載されている。
端子類やボタンは側面にまとめられている。

 モバイルディスプレイに映像を表示するには、PCが必要になる。とはいえ、店頭には大きなデスクトップを置くスペースはない。

 そこで、今回は小型PC「Intel NUC(BOXNUC7i5BNKP)」とスティックPC「Intel Compute Stick(BOXSTK1AW32SCR)」を利用した。

小型PCの「Intel NUC(BOXNUC7i5BNKP)」
コンパクトボディながら、インターフェースは充実している

 まずは小型PCの「Intel NUC(BOXNUC7i5BNKP)」から紹介するが、本体サイズが115×111×35mmと、手のひらサイズのモデルになっている。とはいえ、CPUにはIntel Core i5-7260Uを搭載し、メモリも8GBと十分な量を搭載。ストレージは256GBのSSDで、Windows 10も快適に動作してくれるのだ。映像出力はHDMI 2.0aとUSB-C(DP1.2)、USB端子はフロントとリアに2つずつ搭載している。

 サイネージの表示も、表示する素材も1台のPCでこなしたいという場合は、こうした小型ハイスペックPCがお勧めだ。なお、実売価格は税込で9万円前後となっている。

スティックPCの「Intel Compute Stick(BOXSTK1AW32SCR)」
超小型PCではあるが、USB端子など最低限必要な機能は搭載されている。

 スティック型の「Intel Compute Stick(BOXSTK1AW32SCR)」は、HDMI端子にダイレクトに装着できる超小型PC。本体は113×38×12mm、重量は381gとPCとは思えないコンパクトサイズだが、きちんとWindows 10 32ビット版が動作する。

 CPUはIntel Atom x5-Z8300で、メモリーは2GBを搭載。ストレージは32GBのeMMCで、USB3.0とUSB2.0を1基ずつ備えている。電源端子はMicro USBとなる。

 性能面では制限があるが、設置場所がなかり狭い場合や、サイネージの表示のみに使うと割り切った用途には、こうした超小型PCが良いだろう。実売価格は税込で1万7千円前後だ。

デジタルサイネージに使う素材は意外と簡単に作れるスライドをPDFで作成してPCでループ再生する手順

 今回は、パソコンが苦手な人でも作業できるように、標準アプリと無料アプリを使い、サイネージに使う素材を作成してみた。業務用の素材として外注するとかなり高額になるが、導入テストを行うのであれば、自分で制作してしまった方がリスクもなく良いだろう。

 一例として、オススメメニューを表示するスライドショー用のファイルを作成する手順を紹介する。

 まず、表示したい画像を「ペイント」アプリで開いて、紹介テキストを入力する。アピールしたい商品の数だけまずは画像を加工してもらいたい。

Windows 10に標準でインストールされているペイントで画像を加工。
紹介したい商品の画像に文言を記入して素材を作成する。この作業もペイントで行える。

 画像が用意できたら、スライドショーに表示したい画像をすべて選択し、右クリックメニュー内の印刷を選択する。印刷のプレビュー画面内の左側にプリンターの選択画面があるが、「Microsoft Print to PDF」を選択し、印刷を実行する。こうすることで、複数の画像ファイルが一つのPDFファイルにまとめられた状態になる。

 あとは、このPDFファイルを無料アプリの「Acrobat Reader」のフルスクリーンモードでループ再生すれば、デジタルサイネージ用の素材は完成だ。

スライドショー表示したい画像を全て選択して、右クリックメニューから印刷をクリックする。
プリンターに「Microsoft Print to PDF」を選び、「印刷」をクリックする。
印刷が完了すると、複数の画像をひとつにまとまったPDFファイルが完成する。
Acrobat Readerの「環境設定」→「フルスクリーン モード」で表示時間などを設定し、完成したPDFファイルを開けば作業は完了だ。

 再生の際の設定だが、サイネージに実際使用するPCに「Acrobat Reader」をインストールし、ソフトの「環境設定」から「フルスクリーンモード」を開き、「表示ページを切り替える間隔」にチェックし、秒数を指定する。この間隔で写真が切り替わっていくので、10~20秒程度にしておくといいだろう。

 次に、「最初のページへ戻る」にもチェックしておく。これでループ再生が可能になる。マウスカーソルが邪魔なら、「マウスカーソル」を「数秒間だけ表示」にしておくといいだろう。「フルスクリーンモードの効果」では、写真の切り替えエフェクトを設定可能だ。

 なお、再生に関しては小型PCのNUCとスティックPCで大きな差は感じなかったが、素材を作るPCとしてスティックPCを使用することはお勧めしない。小型PCのNUCであれば性能的に問題ないが、スティックPCは割り切った性能になっているモデルで、実際に画像編集を行ってみたが、かなりの重さで快適とは言いがたい。PDFファイルの作成は他のパワーのあるPCで行った方が快適だ。

今回紹介している小型PCのNUCはそれなりに高性能なので、素材作成も快適に行える。ただし、スティックPCで素材作成を行うのは性能的に辛い面があるので、スティックPCは表示用と割り切って使った方がいいだろう。

実際に店舗に設置してみた!PCに詳しいスタッフがいなくても運用可能

 実際に店舗に設置してみたが、特に難しいことなどはない。配線などは一度済ませてしまえばそのままで良く、素材の再生もファイルをダブルクリックして開くだけだ。

 PCに詳しいスタッフがいなくても簡単な作業のみで済むので、一度担当するスタッフに使い方をレクチャーしておけば運用も問題にならないだろう。特別なスタッフが常駐しなくても扱えるという点はポイントになる。

 まずは原価BAR 五反田店(2F/3F)に設置してテストしてみた感じだが、こちらは小型PCのNUCを使用して行った。

 レジ横に置いてみたが、視認性も悪くなく、スタッフからの反応も悪くない。設置に関しては、扱いを覚える面でも管理を担当するスタッフに頼んだが、特に難しい部分もなくすんなり済んだ。ファイルの再生も設定を済ませておけばダブルクリックするだけなので、この点も一回レクチャーしておけば誰でも扱うことが可能だ。

 テーブルの下などにPCを設置するスペースは必要になるが、モバイルディスプレイ自体は薄型なこともあり、ちょっとしたスペースに設置することができる。

原価BAR 五反田店はキャッシュオンスタイルなのでレジ前に設置してみた。画像は3Fのもの。
配線などを覚えるため、実際の設置はスタッフに行ってもらった。
PDFの再生方法をみんなで共有、これでPCに詳しいスタッフがいなくても運用が可能だ。
原価BAR 五反田店の2Fでもレジ横に置いてテスト。
PCをテーブル下に逃がすスペースは必要になるが、モバイルディスプレイであればこのようなスペースでも設置できる。

 続いて原価BAR 赤坂見附店の方だが、五反田店と比べてスペースがほぼ無い状態だったので、モバイルディスプレイとPCを最小のスペースに設置できるオプションの「Rear Dock」も利用することにした。

 「On-Lap 1503H」は背面に独自のRear Dockポートという30ピンの拡張スロットを備えている。ここに「Rear Dock」を接続することで、スティックPCをディスプレイの背面に設置できるようになる。

 さらに、HDMI出力や電源のケーブルもひとまとめにできるので、「On-Lap 1503H」の電源ケーブル1本だけで動作するのだ。ディスプレイを1枚設置するのが限界といったようなスペースしか無い場合は、こうしたオプションを使用するするのも良いだろう。

 この形態での運用は後々設置場所を変更したり、移動させたりする際も楽なので、かなりお勧めだ。キーボードやマウスも無線の物を組み合わせることで、より快適に運用することができる。

「On-Lap 1503H」の背面に「Rear Dock」を接続し、スティックPCをセットした状態。PCとディスプレイを一体にできるので、かなりの省スペース化がはかれる。
配線は若干複雑だが、最初だけなのでスタッフに頑張ってもらった。
原価BAR 赤坂見附店でセットアップ。デスクトップに保存したPDFファイルを開くだけなので、簡単に再生できる

 なお、サイネージは実際に設置した際の見やすさや明るさなども重要になるが、「On-Lap 1503H」は輝度300cd/㎡mとモバイルディスプレイとしては明るく、原価BAR 赤坂見附店だと明るすぎて少し暗めに設定したほどだ。屋内であれば、明るさが不足するといったことは心配しなくて良いだろう。

今回ロケ地に使用した原価BAR(ショップへのリンク)は、入場料を支払うことで店内メニューを原価で楽しめるというユニークな店舗だ。左は五反田店、右は赤坂見附店。

推したい商品が購買に繋がる手応えを実感、モバイルディスプレイはビジネス用途でも高コスパな一台

原価BAR 五反田店では多くのお客さまがメニュー選びの参考にしてくれた
原価BAR 赤坂見附店でもお客さまの注目度は高かった

 原価BAR 五反田店はキャッシュオンスタイルなので、レジ前に設置したのだが、今までは黒板や張り紙だったものが、ある日突然液晶ディスプレイに変わったので、注目度は抜群。

 ちょうどディスプレイに表示されている商品が目にとまり、注文してくれることもあった。また、画面をずっと見ているお客さまに商品の説明をするなど、サイネージをきっかけに接客トークにつなげるなど、波及効果は大きい。

 導入コストも、「On-Lap 1503H」とスティックPC「Intel Compute Stick(BOXSTK1AW32SCR)」であれば、合計で約6万円で一式が揃う。スペースのない場所で、デジタルサイネージとして使うには最適な組み合わせで、テスト的に導入するにも手頃だと言えるだろう。小型PC「Intel NUC(BOXNUC7i5BNKP)」との組み合わせでも約12万ほどで導入できる。

 再生する素材をスライドショーでは無く動画や凝った物などにする場合、PCは「Intel NUC(BOXNUC7i5BNKP)」くらいの性能があった方が良いかもしれない。Intel NUCであればその場で素材の修正なども可能な性能を持っており、スペースにゆとりがあればこちらの組み合わせもお勧めだ。スペースと用途に合わせPCは選択するのが良いだろう。

 今回は、オススメメニューの写真に説明文を載せただけだが、表示コンテンツを充実させるほどに、商品の訴求力が高まりそうだという手応えを感じた。このあたりは、さらに効果的な活用方法も考えていきたいところだ。

 テスト的に手軽に行った範囲での導入事例ではあるが、それでも手応えを感じるレベルでの効果はあった。飲食店に限らず、商品アピールや顧客満足度の向上を行いたいのであれば、こうしたモバイルディスプレイをベースにしたデジタルサイネージを導入してみてはいかがだろうか。

GeChic正規代理店のテックウインドは、現在、法人ユーザー向けにOn-Lapシリーズのトライアルキャンペーンを実施している。

導入事例の紹介に協力可能であったり、日本国内の企業であることなど応募条件はあるが、無料でOn-Lapのテストが行えるので、ビジネス用途での利用を検討している法人ユーザーは応募してみてはいかがだろうか。

[制作協力:GeChic]

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