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Micron台湾オフィスで見かけた製品を紹介、Crucial、Ballistixの動向をチェック
COMPUTEX会場では1枚で32GBのDDR4メモリを展示
2019年6月12日 07:05
5月28日から6月1日(現地時間)にかけて開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2019。Micronはここ数年ブースを設けていないが、台湾オフィスがある「Taipei World Trade Center Club」(台北世界貿易センターに隣接するビル)で会期中にディストリビューター向けレセプションが催された。今回はその場に展示されていた、Crucial、Ballistixといった各ブランドの製品を紹介する。
Ballistixは高クロックモデルをリリース!? Crucialからは32GBのアンバッファドメモリも登場
Ballistixのゲーミングメモリは、昨年に引き続き「Sport」、「Tactical」、「Elite」の3本柱だ。Sportシリーズでは、昨年インタビューをした際に紹介のあった、「ASUSTeK TUF Gaming Alliance」モデルがデモ機を設けて展示。Tacticalでは2017年に話をうかがったライトバーのデザインを3Dプリントで自作できるRGB LED搭載モデル「Tactical Rtacer RGB DDR4」もデモ機を交えて展示されていた。このモデルでは、マザーボードメーカー各社のLEDユーティリティとの互換性検証も着実に進んでいるとのことだった。
そして同ブランドのOCメモリとしてはもっとも高クロックとなるElite。同社はEliteを用いて液体窒素冷却により5758.8MT/sのワールドレコードを樹立したとのことだ。残念ながら会期中にほかのメーカーのOCチャレンジで更新されてしまったようだが、Ballistixとしては新たな動きと言える。なぜなら、これまでMicron直系のBallistixはOCメモリと言っても安定性志向というイメージが強かったためだ。同社によれば、今後はオーバークロッカー向けにも製品を展開していきたいとのことで、より高クロックのモデルのリリースが期待される。
スタンダードモジュールのCrucialブランドメモリは、例年通りコンシューマーのデスクトップ向け/ラップトップ向け、Mac用のデスクトップ向け/ラップトップ向け、そしてサーバー向けのレジスタードモジュールなどが一堂に集められ展示されていた。
ただ、ここに展示されていないが今年リリースされる新製品としてアンバッファドDDR4メモリの32GBモジュールの話をお聞きすることができた。なんでも、それがCOMPUTEX TAIPEI 2019のASRockブースのデモ機に用いられているとのこと。編集部はASRockブースに急行し、その存在を確かめてきた。
ASRockブースに展示されていたデモ機は10台近く。その中で、32GBモジュールを搭載していたのはIntel Z390チップセットを搭載する「ASRock Z390 Phantom Gaming X」マザーボードのデモ機の一つだ。Core i9-9900KやIntel Optane Memory、Phantom Gaming X Radeon VII 16Gビデオカードなどで構成されたゲーミングPCである。32GBモジュールは4枚搭載され、合計128GB。これまでCore Xなどのハイエンドプラットフォームでしかなし得なかった128GBのメインメモリが、メインストリームプラットフォームで実現できるようになったことは画期的だ。
搭載されているモジュールを見ると、外観はCrucialのほかのスタンダードモジュールと変わらない印象だ。チップの枚数は表に8枚、裏に8枚の計16枚。計算では1チップあたり2GBとなる。32GBモジュールとしてはすでにASUSTeK ROGの「Double Capacity」技術を採用するものがいくつかリリースされているが、対応マザーボードが限られ、チップを搭載するために基板も通常のモジュールよりも高さのあるものだった。Crucialの32GBモジュールは、ASRock製マザーボードに搭載され、高さも一般的なモジュールと同じである。つまり、現行技術の延長上で実現されたモジュールと思われる。
この32GBモジュールがどのようなマザーボードで利用可能なのかはまだ少し不透明だ。今回搭載されていたASRock Z390 Phantom Gaming Xはまもなく販売がスタートするマザーボードで、チップセットのリリースと同時に登場したZ390マザーを第1世代と数えるなら、第2世代あるいはリフレッシュモデルと言える最新機能を備えたモデル。第1世代Z390マザーボードがそのまま32GBモジュールを搭載できるのかどうかは興味深いだろう。製品化の後には、ぜひとも確かめてみたい点だ。
SSDはまだ新製品の情報はなし、Crucialの各種モデルや普段あまり見ないMicronブランドのSSDも展示
SSDでは、Crucal MX500やBX500、P1 NVMeが引き続きコンシューマー向け市場を牽引する。こちらは新製品の紹介がなかった。確かにMX500やBX500はSerial ATAモデルであり、容量ラインナップも現状のニーズをカバーできている。MX500にはM.2タイプもあるので、ノートPCなどではこちらを利用すれば大容量を低コストで実現できる。一方のP1 NVMeは、こちらもPCI Express接続NVMe対応のM.2タイプなので、速度を求めるシステムドライブ用ニーズはこれでカバーできる。とはいえ、そろそろ新製品も欲しいところだ。
なお、会場にはMicronブランドの企業向けSSDも数多く展示されていた。MicronのSSDと言えば、一部Serial ATAモデルで大容量かつコスパにすぐれた製品が一般向けにも流通しており、注目を集めている。ただし基本的には企業向けモデルなので、一般市場に流通することはまずない。
例えば、最上位には「Micron 9300 NVMe U.2 SSD」として、U.2接続モデルなどもある。ほか、ビッグデータ向けの「Micron 5210 ION SATA 2.5" SSD」、ビジュアライゼーション向けの「Micron 5200 SATA 2.5" SSD」なども興味深い。また、クライアント向けモデルも、2.5インチSATAモデル、M,2 SATA/NVMeモデルなどが展示されていた。