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シックなデザインにゲーム機能満載なヘッドセット、CORSAIR VIRTUOSO RGB Wirelessを試す

現在のゲームシーンのニーズに合致した新モデル、マイク品質はスタンドマイク級 text by 白倉甲一

CORSAIR VIRTUOSO RGB Wireless
一見するとリスニング用の高級ヘッドフォンのようなデザインとなっている。

 今回紹介するゲーミングヘッドセットのCORSAIR「VIRTUOSO RGB Wireless」は、オーディオ機器的な洗練されたデザインがウリの製品だ。

 ゲーミングヘッドセットの多くは、個性的なデザインや派手なデザインのモデルが主流。ストリーマーなど目立つことや個性的なセンスを演出することを目的としたユーザーには高いニーズがあるが、万人向けでは無い面もある。

 「VIRTUOSO RGB Wireless」は、そうした「ゲーミングヘッドはゴテゴテしすぎている」といったユーザーへ向けたモデルで、品のある落ち着いたデザインはゲーム以外の用途でも扱いやすい。

 なお、「VIRTUOSO RGB Wireless」は、上位の「VIRTUOSO RGB Wireless SE」と通常モデルの「VIRTUOSO RGB Wireless」がラインナップされており、通常モデルはホワイトとカーボンの2色が用意されている。国内での発売時期・価格はまだ未定だが、ホワイトの通常モデルの実機を借用することが出来たので、外観や機能を早速チェックしてみよう。

装着感にもこだわったゲーミングヘッドセット、シンプルなデザインが逆に新鮮

 まずは外観から見ていこう。円形デザインのハウジングはシンプルなデザインとなっており、目立った装飾などは施されていない。アルミニウムの金属感をアクセントとした落ち着いたデザインは、ゲーミングヘッドセットでは珍しい。

 カジュアルな見た目ではあるが、50mmの大型ドライバを搭載し、周波数特性は20~40kHz、感度109dB (+/-3dB)、インピーダンス32Ωとヘッドホン部分の性能はかなり高いのも特長だ。

ゲーミングでモデルでは珍しい落ち着いた高級感のある外観が特長。デザインの派手さからこれまでゲーミングモデルを避けていたユーザーにもお勧めだ。
50mmの大型ドライバを採用し、周波数特性20~40kHz、感度109dBと音質にもこだわっている。
ヒンジ部分などに軽量加工アルミニウムを採用しているので重量360gと軽く、丈夫な造りになっている。

 ヘッドバンドの頭頂部やイヤーパッドには低反発のクッション素材と滑らかなさわり心地の合皮が使われている。適度な張力でしっかりと頭にフィットするが疲れにくく程よい装着感だ。縫製具合も丁寧で凹凸が少ないので装着時の違和感がなく、耐久性にも期待が持てる。

 また、マイクはスタンドアロンマイクに匹敵する品質とのことで、配信向け用途でも問題なく利用できるクオリティを備えているという。周波数特性は100~10kHzで、感度は-40dB (+/-3dB)。マイクは無指向性で、広いダイナミックレンジとクリアな音質をウリとしている。

かなり余裕のある厚みの低反発イヤーパッド、縫製部分も盛り上がったりせず丁寧な印象だ。
マイク部分は金属感をアクセントにしたデザイン。デフォルトの設定では、ミュート時は赤色、非ミュート時は緑色に点灯する。
マイクは着脱式で、マイクブームは緩い角度で曲がるようになっている。根元部分のボタンでマイクミュートのON/OFFが切り替え可能。

接続方式は使い方で選べる3タイプ遅延の少ない無線、ハイレゾ対応の有線USB、マルチデバイス対応の有線アナログ

 VIRTUOSO RGB Wirelessは3種類の接続方式に対応している。独自形式の無線接続、USB有線接続、アナログ有線接続と、ユーザーの利用シーンに合わせて選択できる。

接続方式は有線USB、専用レシーバー(USB)、3.5mm4極ステレオミニプラグの3種類。

 無線接続は専用のUSBドングルを介して通信するもので、通信距離は最大で約18m。CORSAIR独自のSLIPSTREAMテクノロジーにも対応している。有線でのUSB接続時は、24bit/96kHzまでのハイレゾ音源にも対応可能で、音質重視の際はUSBでの有線接続が推奨されている。

 アナログ接続時は4極ステレオミニプラグを利用して接続するものになっており、スマートフォンやゲーム機と簡単に接続可能だ。

無線は独自方式の「SLIPSTREAMテクノロジー」を採用、低遅延と接続が途切れない安定性をウリとしている。
レシーバーのロゴ部分は接続状況に応じて点灯する仕組み。

 無線方式で採用されている「SLIPSTREAMテクノロジー」は、付属のUSBレシーバーを介して2.4GHzワイヤレス通信の安定性と遅延の低減を両立したCORSAIR独自の接続方式。

 音が途切れたり、遅延があるとかなりフラストレーションの溜まるヘッドセットでは、こうした通信の安定性を高める機能は製品選びのポイントになる。

有線と無線は右ハウジング下部のスイッチで切り替え可能。
イコライザは用意された5種類の他にもカスタムプリセットを作成することも可能だ。

 PCに、USB有線接続または無線接続した際は、7.1chサラウンド機能やイコライザ機能を利用可能。ユーティリティソフトのiCUE上から好みに合わせて設定を変更できるので、ゲームや動画視聴など用途や好みに合わせて調整しよう。

「スリープモード有効化」にチェックを入れることで1分刻みでスリープ時間を指定可能。
タスクトレイにバッテリー状況を表示しておける他、バッテリー残量低下時は音声でのアナウンスもある。

 バッテリーはフル充電で20時間、自宅で使う分にはもちろん持ち運びで使うのにも全く問題ない持続時間だ。ドライバソフトウェア上からスリープ時間の設定や、タスクトレイにバッテリー残量を表示することも出来るのでバッテリーの持ちが気になる場合は利用すると良いだろう。

ボイスチャットの音声もクリア、ゲーム効果音の聞き分け良好断線ストレスもなく、扱いやすいヘッドセット

 ワイヤレスヘッドセットはバッテリーの分重くなりがちだがVIRTUOSO RGB Wirelessはかなり軽量で、ケーブルが無い分、有線モデルよりも装着時の煩わしさが少ない。

 装着感もほどよく側圧も十分だが、外からの音はそれなりに聞こえるので、持ち運び用と言うよりは自宅での利用を主に想定したモデルだと言えるだろう。

 音質については、低音は強すぎず、やや高音よりといった印象だが、全体的なバランスも悪くない。ゲーム用途がメインで、動画視聴や音楽鑑賞なども合わせて楽しみたいといったユーザーには十分な性能だ。

 使用感を試す際に、キッチンへ飲み物を取りに行く時にヘッドセットをつけたまま移動してみたが、ワンルームマンション程度の広さであれば断線することは無いようだ。

 筆者は現在有線ヘッドセットを使っているが、ボイスチャットで会話している最中でもヘッドセットを外さずに移動できるのはかなり便利に感じた。モデルによってはPCから距離が離れると通信が不安定になる無線ヘッドセットもあるが、VIRTUOSO RGB Wirelessは断線に強いというSLIPSTREAMテクノロジーを採用しているおかげか、テスト中は通信が途切れることもなく、快適そのものだった。

ボイスチャットでの使用感をDiscordで確認してみたが、加工された感じが少なく、クリアかつ自然な音で聞き取りやすかった。
VIRTUOSO RGBはDiscordの認証を取得しており、動作に関しても安心感がある。

 マイクの音質チェックにはDiscordで通話をして確かめてみたが、マイク音質はかなりクリアで、ヘッドセットマイクにありがちな籠もった感じは全く無い。無指向性マイクなのでキーボードやマウスの音はある程度拾ってしまうが、音質が良いことも有り、そうした環境音もガチャガチャしたノイズ感は無く、自然な環境音的な聞こえ方で耳障りな感じはあまりしなかった。

 なお、リアルタイムで自分の声を確認したい場合に、OS標準の「このデバイスを聞く」機能でテストする事があるかと思うが、発声とフィードバックの時間差で違和感があって使いづらいと感じるユーザーも少なくないのではないだろうか。

 そうした際に利用して欲しいのが、ユーティリティソフトのiCUEから行えるサイドトーン設定だ。こちらはほぼ時間差無しで声をフィードバックすることが可能で、音量の調節も合わせて行えるので使ってみてもらいたい。

パルスから逃げ走っている途中に銃声が聞こえ、サラウンド機能のおかげで「後方で別の2プレイヤーが戦ってるらしい」というのが即座に判別できたため、漁夫の利を狙える構図となった。

 FPSなどでヘッドセットを使用する際、音の方向感がわかる方が有利となるため、高級モデルなどは7.1バーチャルサラウンド機能などを備えていることが多い。VIRTUOSO RGB WirelessもユーティリティのiCUEから機能を有効化できる。

 この際、いくつか音質のプリセットが用意されているが、FPSを遊ぶ際は「FPS Competition」を選択したい。PUBGを使用してテストしてみたが、標準プリセットは7.1バーチャルサラウンド機能のおかげで方向感などがある程度つかみやすくなるものの、全体的にやや膨らんだ印象の音になる。「FPS Competition」を選択した場合は、足音に相当する低音部分と跳弾時の高音を聞き取りやすく調整され、音の判別が容易になった。

 FPS向けのチューニングなので、ボイスチャットの音声はくぐもりがちになってしまうが、カスタムイコライザーも設定できるので、こだわる人は自分の好みに設定を追い込むと良いだろう。

視認性の高いクッキリ光るイルミネーション、発光の有無も色もパターンも好みの設定に

 本体のイルミネーション機能は、ユーティリティソフト「iCUE」から自由に変更できる。

 カラーは発光パターンのカスタマイズが可能で、消灯なども選択可能。プリセットも保存できるので、好みや利用シーンに合わせて切り替えて使用することもできる。

イヤーカップの部分と、マイク先端にRGBイルミネーションを備えている。淡く周りにも広がるように光る。
イルミネーションは明るいところでも見えるので視認性は高い。
色や発光パターンは好みに合わせてが選べる。
マイク先端のLEDは、通常はミュートなどの状態を赤色/緑色で知らせる設定になっているが、設定を変更すれば好きな色に光らせることもできる。
カラー、ライティング設定など細かく設定可能。
光量は別途設定タブから変更できる。

 イルミネーションの設定が可能な部分はイヤーカップのロゴマーク部分とマイクの先端部分。光量が強めなので部屋を暗くしていない状態でもライティングがはっきり目立つようになっている。

 マイクの先に搭載されたLEDも目線を少し下げれば認識できるようになっているが、標準設定の状態では常時点灯するので、鬱陶しく感じるようであれば設定項目から消灯することもできる。

カジュアルなデザインかつゲーム向けの性能も十分なワイヤレスゲーミングヘッドセット

 「VIRTUOSO RGB Wireless」は、大型ドライバを搭載することで高音質化を図り、バッテリーを内蔵しつつも軽量にまとめられたモデルだ。

 ワイヤレスヘッドセットは、ケーブルの制約から解放される利便性の高さがメリットだが、バッテリーを内蔵するため本体が重くなり、装着感が悪いモデルもある。そうしたデメリットを感じさせない「VIRTUOSO RGB Wireless」は、ワイヤレスヘッドセットとして高水準なモデルと言えるだろう。

 機能面で見ても、高音質なマイクを採用し、操作しやすい場所にミュートボタンを備えるなど、ボイスチャットが主流の現在のゲームシーンを配慮した設計になっている。無線接続のデメリットとしてよくあげられる、遅延や通信の安定性といった部分への対策もしっかりと取られている。

 見た目はシンプルながら、ゲーム向け機能をバランス良く盛り込んだ「VIRTUOSO RGB Wireless」は、ゲーミングヘッドセットを派手さから敬遠していたユーザーには特にお勧めできる一台だ。

[制作協力:CORSAIR]