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第3世代Ryzenはゲームでも高性能なのか、STORMのRyzen 7 3700X搭載ゲーミングPCで実力をチェック

弱点だった高フレームレートもいける?「POWERED BY MSI」モデルで試してみた text by 坂本はじめ

 優れた性能とコストパフォーマンスの高さで人気を博しているAMDの第3世代Ryzen。その性能はゲーミングシーンにおいても優秀なのだろうか。

 今回は、BTO PCブランドである「STORM」より借用したRyzen 7 3700X搭載ゲーミングPC「PG-DK」を使って、ゲーミングシーンにおける第3世代Ryzenのパフォーマンスをチェックしてみた。

Ryzen 7 3700X/GeForce RTX 2070 SUPER搭載のゲーミングBTO PC「PG-DK」

基幹パーツにMSI製品を採用したゲーミングPC「POWERED BY MSI」。

 STORMの「PG-DK」は、第3世代Ryzenの8コア16スレッドCPU「Ryzen 7 3700X」と「GeForce RTX 2070 SUPER」を組み合わせたパフォーマンス志向のゲーミングBTO PCだ。

 PCケースの「MSI MPG GUNGNIR 100D」をはじめ、基幹パーツにMSI製品を採用した「POWERED BY MSI」仕様のゲーミングBTO PCである「PG-DK」は、第3世代Ryzenのコストパフォーマンスを生かしながらも、使用パーツの品質にこだわることで高い安定性を実現している。

フロントパネル。MSIドラゴンロゴがプリントされている。
本体左側面。スモーク仕様のガラスパネルを搭載。
天板
本体背面。排気用の120mmファンや電源ユニット、バックパネルインターフェイスにアクセスできる。

 今回借用したPCの価格は税込208,800円。Ryzen 7 3700XとGeForce RTX 2070 SUPERの他に、DDR4-2666動作のCrucial製8GBメモリ×2枚や、250GBのNVMe SSD、2TB HDD、容量750Wの80PLUS GOLD認証電源などを搭載している。

左側面の内部。ケーブルを裏配線することですっきりとした内装に仕上がっている。
右側面の内部。ケーブル類はスマートにまとめられており、かなり丁寧な印象だ。
天板のフロントパネル側に配置されたインターフェイス群。
バックパネルインターフェイス。

基幹パーツをMSI製品で揃えた「POWERED BY MSI」モデル安定性とデザインの統一感がメリット

 MSIとBTOブランドのコラボレーションモデルである「POWERED BY MSI」は、基幹パーツをMSI製品で統一することで相性問題を回避し、高い安定性をより低コストで実現できるのがメリットだ。また、同一メーカーの製品で揃えるため、デザインも統一感のあるものになる。

powered by msi

 STORMは国内でいち早く「POWERED BY MSI」モデルをリリースしたBTOブランドだ。詳しくは以前に紹介したインタビュー記事を参照してもらいたい。

 借用した「PG-DK」では、マザーボードに「MPG X570 GAMING PLUS」、ビデオカードに「GeForce RTX 2070 SUPER VENTUS OC」、CPUクーラーに「MSI Core Frozr L」、PCケースに「MPG GUNGUNIR 100D」が採用されており、黒をベースに赤と銀がアクセントカラーになったデザインとなっている。

 メーカーのコンセプトPC的な面もあるので、MSIのファンにもおすすめしたいモデルだ。

「MSI MPG X570 GAMING PLUS」。AMD X570チップセットを搭載したATXマザーボードだ。
「MSI GeForce RTX 2070 SUPER VENTUS OC」。デュアルファンGPUクーラーを採用したGeForce RTX 2070 SUPER搭載ビデオカード。
「MSI Core Frozr L」。冷却能力200Wをうたう12cmファン搭載のサイドフロー型CPUクーラー。
「MSI MPG GUNGUNIR 100D」。ドラゴンのマークをフロントパネルにあしらったE-ATX対応PCケース。

Ryzenは高フレームレートも高画質もいけるのか、ゲームでのパフォーマンスをチェック

 それでは、第3世代Ryzenを搭載した「PG-DK」がゲームにおいてどの程度のパフォーマンスを発揮するのかチェックしていこう。

 今回試したゲームは、「フォートナイト」、「モンスターハンター:ワールド」、「CONTROL」の3タイトル。それぞれフルHD解像度(1,920×1,080ドット)で、どの程度のフレームレートと画質設定で遊べるのかテストしてみた。

フォートナイト
モンスターハンター:ワールド
CONTROL

フォートナイトでは平均162fpsの動作を実現第2世代以前のRyzenの弱点だった高フレームレートでの動作も上々

フォートナイト。

 人気のバトルロイヤルTPS「フォートナイト」は、フレームレートが勝敗のカギを握るゲームのひとつ。本気で取り組むなら、リフレッシュレート144Hz以上のゲーミングディスプレイでプレイしたいゲームだ。

 フルHD解像度にて描画設定を「エピック」にしてプレイした場合、平均フレームレートは約162fpsを記録。より実戦的な設定として、同設定から「影」のみオフに設定した場合、平均フレームレートは約233fpsに上昇した。

 第2世代以前のRyzenは、高フレームレートでのゲームを苦手としていたが、第3世代Ryzenを搭載した「PG-DK」なら144Hz以上の維持も可能。第3世代Ryzenの性能は、本格的にバトルロイヤルゲームに取り組みたいゲーマーにもすすめられるものだ。

最も高画質な「エピック」設定でのフレームレートは平均162fps程度。フレームレートは120~220fps程度の範囲で変動していた。
第2世代以前のRyzenでは高フレームレート環境にあまり向かない特性だったが、第3世代Ryzenであれば高フレームレートがキーとなるゲームでも問題なく使っていける。
エピック設定から「影」のみオフにした実戦向けの描画設定では平均233fpsを記録。フレームレートの変動幅は150~310fps程度で、安定して144fps以上を維持できていた。

モンスターハンター:ワールドは余裕の60fps超えで100fps前後がターゲットに高解像度テクスチャパックを適用しても高フレームレートを維持

モンスターハンター:ワールド。

 モンスターハンター:ワールドでは、グラフィック設定「最高」をベースに、テクスチャ品質を「High Resolution Texture Pack」に変更。PC版ならではの精緻で美しいグラフィックでのプレイに挑戦した。

 描画品質重視の設定でありながら、80~120fps程度のフレームレートでの動作を実現した。ほとんどのシーンは100fps前後で動作しており、90fpsを下回るのは特に情報量の多い場面に限られる。確実に60fps以上を維持できるので、家庭用ゲーム機では味わえない常に滑らかな描画で狩猟生活を楽しむことができるだろう。

大型のモンスターが暴れまわるようなシーンでも高フレームレートで楽しめる。
ほとんどのシーンは100fps前後で動作しており、不満を感じるようなことはなかった。
情報量の多いシーンでは90fpsを割り込むこともあるが、快適なプレイの基準となる60fpsは大幅に上回っている。

リアルタイムレイトレーシング対応のCONTROLも60fps前後で重量級タイトルの動作も問題なし

CONTROL。

 8月末に発売されたアクションアドベンチャー「CONTROL」は、DirectX Raytracing(DXR)によるリアルタイムレイトレーシングを積極的に取り入れた最先端のゲームグラフィックが楽しめるタイトルだ。

 「PG-DK」が搭載するGeForce RTX 2070 SUPERはDXR向けの専用コアを備えているので、リアルタイムレイトレーシングによるリアルな光の表現を楽しむことができる。描画品質とレイトレーシングのクオリティをどちらも「High」に設定した際の反射像や陰影の表現は素晴らしい。

リアルタイムレイトレーシングにより床面への映り込みや影の表現は正確でリアリティが高い。
ガラスの反射も非常にリアル。レイトレーシングによるリアリティの高い表現は、ゲームへの没入感を高めてくれる。

 「PG-DK」で描画品質とレイトレーシングをHighに設定した場合の性能だが、フレームレートは50fps前後となる。これはレイトレーシング処理が極めて高負荷であるためで、GeForce RTX 2070 SUPERで60fps前後の動作を狙うなら、レイトレーシング設定は「Medium」あたりに設定がお勧めだ。

 参考までに、レイトレーシング設定の違いによる描画の違いを3パターン紹介しておこう。レイトレーシング設定を引き下げるとフレームレートは向上し、レイトレーシング設定を「Off」にした際には90fps前後にまで上昇している。

 この結果は、CPU性能的には60fpsを超えて動作できる余地があることを示すものであり、第3世代Ryzenのポテンシャルの高さが伺える。より上位のGPUと組み合わせれば、その実力をしっかり引き出してくれるだろう。

レイトレーシング「Medium」。フレームレートは60fps前後。「PG-DK」で遊ぶならこの辺りの設定がお勧めだ。
レイトレーシング「High」。フレームレートは50fps前後。最高画質でレイトレーシングを楽しむならさらに上位のGPUを組み合わせる必要があるようだ。
レイトレーシング「Off」。フレームレートは90fps前後。GPU側の負荷を軽くした際にフレームレートが伸びていることから、CPU側に余力があることがわかる。

マルチスレッド性能だけでなく、ゲームでも高い性能を発揮する第3世代Ryzen搭載BTO PC第2世代以前のRyzenの弱点を克服

 第2世代以前のRyzenに対するイメージから、ゲーミングPCにおけるRyzenという選択肢に不安を覚えるユーザーもいるかもしれないが、今回試したSTORMの「PG-DK」は、Ryzen 7 3700Xが上位GPUであるGeForce RTX 2070 SUPERの性能をしっかり引き出せることを証明してみせた。

 これまで高性能なゲーミングPCはIntel製CPU搭載モデルが定番だったが、第3世代Ryzen搭載モデルであれば、性能的にも本気でゲームを楽しみたいユーザーが積極的に選んでいける状況となっている。

 コストパフォーマンスに優れたゲーミングPCを求めるユーザーや、動画制作などにも使えるゲーミングPCが欲しいユーザーには、第3世代Ryzenを搭載したゲーミングPCは非常に魅力的な存在だ。性能や価格に加え、品質や安定性にもこだわるなら、POWERED BY MSI仕様のSTORM「PG-DK」はぜひとも検討すべき一台である。

[制作協力:STORM]