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7万円台で6コアの時代!Ryzen 5 3500で作る真・ハイコスパゲーミングPC ~ カギはB450マザーとRadeon RX 570 ~

フルHD~WQHDで人気のバトロワゲームがサクサク動く!高速液晶との組み合わせも◎!! Text by 芹澤正芳

予算が多少厳しくても、選択しだいで流行りのゲームが快適に遊べるPCの自作は可能。今は低価格RyzenとRadeon RX 570がおトク!

 「予算は厳しいけど人気のPCゲームを楽しみたい!」そんな声を最近よく耳にする。普段はNintendo Switchなど家庭用ゲーム機でゲームをプレイしている若年ゲーマーが、高フレームレートを出せるゲーミングPCに憧れたり、近年のeスポーツブームに刺激され、ゲームから離れていた人のゲーム熱が再燃したりして、ゲーミングPCを求めるといったケースだ。しかし、立ちはだかるのが予算の壁。高性能なパーツで固めれば、当然快適な環境は構築できるが予算は10万円オーバーになってしまうことも。

 そこで、今回は人気ゲームをプレイできる性能を確保しつつ、コストパフォーマンスの高いゲーミングPCを自作できるパーツの組み合わせを紹介していきたい。実際のゲームでどの程度のフレームレートを出せるかもテストする。

低価格6コアCPU+前世代ミドルレンジGPU=高コスパゲーミングPC!

 それではさっそく今回の自作プランを紹介していこう。実売価格は合計で74,000円前後だ。なお、この価格にはOS、マウス、キーボード、ディスプレイは含めていないので、必要に応じて揃えてほしい。

【今回のプラン】
カテゴリー製品名実売価格
CPUAMD Ryzen 5 3500(6コア、3.6GHz)16,000円前後
マザーボードMSI B450 GAMING PLUS MAX(AMD B450)11,000円前後
メモリMicron Crucial CT2K8G4DFS832A(PC4-25600 DDR4 SDRAM 8GB×2)9,000円前後
ビデオカードMSI Radeon RX 570 ARMOR 8G J(AMD Radeon RX 570)18,000円前後
SSDMicron Crucial P1 CT500P1SSD8JP[M.2(PCI Express 3.0 x4)、500GB]9,000円前後
PCケースThermaltake VERSA H26 BLACK 500W(ATX、500W電源搭載)11,000円前後
合計74,000円前後
CPUはAMDのRyzen 5 3500を選択。6コアのCPUの中で高い性能を備えながら低価格ということで人気爆発中。付属のCPUクーラーは、LEDがなく背が低めのトップフロー型「Wraith Stealth」

 ゲーミングPCを自作する上で重要になるのは、「CPU」と「ビデオカード」だ。

 PCゲームをプレイする上でCPUはコア数よりも、動作クロックが重要と言われてきた時期も長かったが、最近のゲームは多コアへの最適化が進んでいるため、最低でも4コア、できれば6コア以上が望ましい。ゲームのライブ実況配信など、ゲームと別のタスクを同時処理するならなおさらのことだし、録画したゲーム動画を編集する際にもコア数が効く。

 そのため、現在もっとも“コスパよし”と考えられるのが、最近の自作PC界隈で超人気の第3世代Ryzenのうち、6コアCPUとして最安値の「Ryzen 5 3500」だ。6コア6スレッドでベース3.6GHz、ブースト時最高4.1GHzと動作クロックも十分高い。重量級のゲームにも対応できるCPUと言える。

MSIの「B450 GAMING PLUS MAX」。前世代のB450チップセット搭載マザーボードだが、第3世代Ryzenに最初から対応している

 CPUが決まったら次はマザーボード。今回はRyzen 5 3500を利用するので、マザーボードは第3世代Ryzenに対応しているものから選ぶことになる。格安構成を目指すなら、チップセットに最新・最上位の「X570」を搭載した製品ではなく、エントリークラスの「B450」を採用するものを選ぶとぐっと価格を抑えられる。そこで今回は、MSI「B450 GAMING PLUS MAX」をチョイスした。

 もっと安い製品もあるのだが、今回はゲーミングPCを作るので、ゲーム向けに設計された製品を選ぶのがベターと判断した。なお、B450は第2世代Ryzen時代のチップセットなので、製品によっては第3世代Ryzenに対応するためのUEFIアップデートが必要となることも。しかしB450 GAMING PLUS MAXは出荷時から対応しているので、安心してRyzen 5 3500を使用できる。

 比較的低価格な製品だが中身は充実。ゲーミングを名乗るだけあって、長時間使用でも安心のVRMヒートシンク、高品質なオーディオ回路、重量級ビデオカード使用時にも安心な頑丈設計のPCI Expressスロットといった、ゲーミングマザーならではの機能を搭載。また、バックパネルには「Flash BIOS Button」が用意されており、もしものときにUEFIの復旧が可能、メモリスロットの近くには問題のあるパーツをLEDで知らせてくれる「EZ DEBUG LED」を備えているなど、組み立てやパーツ増設/換装時のトラブル解決の助けとなる機能を揃えているあたりは自作初心者や、数年ぶりに自作する層にも心強い。

バックパネル。USB 3.2 Gen2(10Gbps)に対応するUSBポートも搭載。Type-Cコネクタがない点は残念なところ。一番左にあるのが「Flash BIOS Button」だ
コスパのよさで人気のRadeon RX 570 ARMOR 8G J。ビデオメモリを8GB搭載しているのもポイントで、同価格帯にある最新世代のエントリーモデルにビデオメモリ8GB製品を見付けるのは困難

 3D描画性能の決め手となるのはビデオカード。だからと言って青天井でコストをかけるわけにはいかず、全体のバランスを考えると2万円以下に抑えたいところ。この条件でもっともコストパフォーマンスに優れているのはAMDのRadeon RX 570を搭載している製品だ。AMDは最新GPUとしてRadeon RX 5000シリーズを展開しており、RX 570は前世代のミドルレンジモデル(2017年発売)。しかし、発売当時に比べると実売価格は大幅に下がり、現在はエントリークラスのGPUと同価格帯に突入、コストパフォーマンスが急上昇。そのためいまだに人気は高い。

 そうした背景もあってか、MSIは2020年に入って今回のプランで採用しているRX 570搭載の新モデル「Radeon RX 570 ARMOR 8G J」を発売(仕様自体はグローバルモデルのRadeon RX 570 ARMOR 8Gと同様)。ビデオメモリ8GB搭載モデルとしては低価格ながら、高い冷却力を生み出すトルクスファンを備え、安心して長時間ゲームをプレイできる。さらに、温度が60℃以下の低負荷時はファンを停止する準ファンレス機能と普段は静かに運用できるのも魅力だ。

エアフローを加速させる分散型とエアフローを送り込む従来型、2種類のファンブレードを備え、高い冷却性能を実現している
Radeon RX 570 ARMOR 8G JのGPU-Zの画面。RX 570の定格ブーストクロックの1,244MHzなので、OCモデルではないことが分かる

 メモリは8GB以上を推奨するゲームが増えていることもあり、余裕を持って16GB(8GB×2枚)のMicron Crucial CT2K8G4DFS832Aを選択。

 SSDには、NVMe SSDの中ではコスパに優れるMicron Crucial P1 CT500P1SSD8JPを搭載した。予算を絞るなら240GBクラスのSerial ATAという選択肢もあるが、最近のゲームは100GB以上の容量を必要とするものもあり、最低でも500GB、予算に余裕があるなら1TBのモデルを選びたい。

メモリはDDR4-3200 8GB×2枚セットのMicron Crucial CT2K8G4DFS832Aをチョイス
ストレージにはNVMe SSDのMicron Crucial P1 CT500P1SSD8JP。容量は500GB。Serial ATA製品よりも若干高いが圧倒的に高速で、ケーブル接続不要なのがうれしい
PCケースにはThermaltake VERSA H26の電源セットモデルを使用。VERSA H26シリーズは低価格ながら使いやすい作りで人気だ

 PCケースは5,000円以下でも選択肢はそれなりにある。もちろん見た目は重要だが、将来のアップグレードを据えるなら28cm以上の大型ビデオカードを搭載できるかはチェックしておきたい。また、電源ユニットはRadeon RX 570ならば出力500Wクラスでも大丈夫。こちらもアップグレードを考えるなら600W以上でビデオカード用の電源ケーブルを2本以上備えているものを選ぶとよいだろう。

 なお、今回は手元の機材の準備の都合で、PCケースは電源がセットになったモデルを使用したが、単体発売のVersa H26と同社の電源SMART 500W STANDARD(80PLUS Standard、500W)を組み合わせるとほぼ同額になる(実売価格はVersa H26が5,000円前後円、SMART 500W STANDARDが6,000円前後)。本稿の各種検証では、電源の違いが直接パフォーマンスに影響することはないので、そのまま読み進めていただいて問題ない。

すべてのパーツを組み込んだ状態。内部には余裕があり、パーツの組み込みに苦労することはない
PCケースの前面ファンはブルーLEDが内蔵されており、青く光る。なお、RGB LEDではないので発光のコントロールはできない

ベンチで分かった実力。この高コスパは本物だ!

 ここからはベンチマークと実際のゲームを使って性能を確かめていきたい。使用するのは定番3Dベンチマークソフトの「3DMark」、動作が軽めのFPS「レインボーシックス シージ」、人気のバトルロイヤルゲームから「フォートナイト」と「Apex Legends」、重量級のゲームとしてアクションRPGの「モンスターハンターワールド:アイスボーン」の5種類だ。平均60fpsが快適にプレイできる目安と考えてほしい。

 なお、Ryzen 5 3500はDDR4-3200対応だが、B450 GAMING PLUS MAXはJEDEC準拠のメモリはDDR4-2666までの対応(OCメモリは最大DDR4-4133まで対応)。そのため、今回はJEDEC準拠のDDR4-3200メモリを使用しているが、DDR4-2666設定でベンチマークを実行している。また、手動でメモリの動作設定を変更すればDDR4-3200でも動くことは確認している。

今回はDDR4-3200メモリを使用しているが、JEDEC準拠のメモリはDDR4-2666までの対応。そのため、ベンチマークテストはDDR4-2666設定で行なった
UEFIのOC設定メニューからDRAM Frequencyを手動で変更すればDDR4-3200でも問題なく動作することは確認した

 まずは3DMarkから。この結果は、Radeon RX 570 ARMOR 8G JがRX 570定格動作の製品であることを考えれば順当な結果。アンダー2万円のビデオカードとしては上々のスコアと言える。

3DMarkのテスト結果

 それでは実ゲームでの結果を見てみよう。ゲーム内のベンチマーク機能を使用したレインボーシックス シージについては、最低および最高フレームレートがかなりブレやすいので、平均フレームレートに注目して判断したい。軽めのゲームだけあって最高画質でもフルHDなら平均100fpsオーバー。WQHDでも平均80fps以上となり、リフレッシュレート144Hzの高速液晶ディスプレイと組み合わせても、その恩恵を十分受けられるフレームレートとなった。さすがに4K解像度では画質を「高」まで下げても平均60fpsは厳しい。

レインボーシックス シージのテスト結果

 続いて、フォートナイト。ソロプレイのリプレイデータ(約5分)を再生した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定している。フルHDなら最高画質でも平均60fpsを達成と快適にプレイできる。そして、画質を「高」に設定すれば4K解像度でも十分プレイできるフレームレートを達成可能だ。ただし、フォートナイトの画質プリセットは解像度が高いほど、UI以外の解像感を示す“3D解像度”の設定を低くして、画質を粗くする。そのため4Kでも画質「高」は高いフレームレートが出ている。よい画質でプレイしたいなら、フルHDかつ画質設定を「最高」にするのがベターだ。

フォートナイトのテスト結果

 Apex Legendsはトレーニングモードで一定コースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。こちらは、フルHDとWQHD解像度で平均60fpsオーバーを達成。とくにフルHDでは、最小(1%)も60fpsを超えており、60Hzの一般的なディスプレイであればカクつきを感じずプレイできる。一方、画質設定を全体的に中程度まで落としてもあまりフレームレートが伸びないのもApex Legendsの特徴だ。

Apex Legendsのテスト結果

 モンスターハンターワールド:アイスボーンは集会エリアを作成し、一定のコースを移動した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。高いスペックを求めるゲームだけあり、最高画質ではフルHD解像度でも平均45.3fps。画質設定を「高」にまで落としてようやく平均60fpsを超える。とはいえ、いわゆる重量級と言われるゲームも多少画質を落とせば遊べる、というのは心強いところだろう。

モンスターハンターワールド:アイスボーンのテスト結果

 次はゲームプレイを配信した場合、フレームレートがどう変化するのか試してみたい。ゲームはフォートナイトを使いソロプレイのリプレイデータ(約5分)をフルHD解像度、60fps、8MbpsでYouTubeに配信した際のフレームレートを「CapFrameX」で測定した。配信には、定番ソフトの「OBS Studio」と「Radeon Software Adrenalin 2020 Edition」の内蔵機能の2種類を使用した。

OBS StudioはエンコーダにはRX 570のハードウェアエンコーダ「AVC」を設定。品質プリセットは「バランス」、レート制御方式は「固定ビットレート(CBR)」とした
Radeon Software Adrenalin 2020 Editionは録画FPSを「60fps」、ビデオエンコーディング方式を「AVC」とした

 二つのソフトで設定項目の細かさなどが異なるので、一概にはどちらがよいのか比較は難しいが、今回の条件でテストする限りはRadeon Software Adrenalin 2020 Editionのほうが高いフレームレートを示した。それでも、配信していないときに比べると約7~10fpsほどフレームレートは落ちて、平均60fpsギリギリだ。プレイしながらの配信は可能だが、動作はそれなりに重くなる、と思ったほうがよいだろう。ただ、CPUやGPUが今回の構成より低性能ならかなり厳しいので、良い線を行っているとも言える。

フォートナイト+配信のテスト結果

財布に余裕があるなら現行世代のアッパーミドルビデオカードを狙いたい

 さて、今回のプランはビデオカードにRX 570を選択しているが、これを最新世代のアッパーミドルGPU「Radeon RX 5700 XT」搭載モデルに変更した場合、どこまでフレームレートが伸びるのかもチェックしてみたい。ビデオカードには、金色のボディがまぶしいMSIの「Radeon RX 5700 XT EVOKE OC」を用意した。実売価格は50,000円前後と、RX 570に比べて3万円以上のアップとなる。

 ちなみに、RX 5700 XTの推奨電源は600W。今回のPCケースに搭載されていた500W電源でも問題なく動作はしたが、将来ハイエンドビデオカードへの乗り換えを視野に入れるなら、最初から600~700Wクラスの電源を選んでおけば、余裕があってベターではある。

MSIのRadeon RX 5700 XT搭載カード「Radeon RX 5700 XT EVOKE OC」
ケース付属の電源はビデオカード用の電源ケーブルが6ピン+2ピンが一つしかなかったため、ペリフェラル用4ピン電源コネクタ×2を6ピンのビデオカード補助電源コネクタに変換するケーブルを使用した。動作には問題なかったが、より上位のビデオカードを使うなら、やはりケーブルの揃った大出力の電源を用意したい

 テストはすべてRX 570と同じ条件で実行した。結果は下記のとおりだが、注目はフォートナイトだろう。フルHDの最高画質で147.1fpsと高リフレッシュレート液晶との組み合わせに最適なフレームレートをマークしている。

RX 5700 XT環境での3DMarkのテスト結果
RX 5700 XT環境でのレインボーシックス シージのテスト結果
RX 5700 XT環境でのフォートナイトのテスト結果

 Apex LegendsのフルHD解像度で画質を変えてもフレームレートに変化がないのは、このゲームは基本144fpsが上限となるためだ。

 また、モンスターハンターワールド:アイスボーンを見ると、WQHDでも最高画質で平均60fps以上を達成とRX 5700 XTの実力の高さが分かる。ただ、フルHDとWQHDでフレームレートにあまり差がないのは、CPUの性能不足が原因と考えられる。高性能なビデオカードを活かすには、高性能なCPUも求められることが分かるポイントだ。

RX 5700 XT環境でのApex Legendsのテスト結果
RX 5700 XT環境でのモンスターハンターワールド:アイスボーンのテスト結果

賢いパーツ選びで意外なほど安上がりな“バッチリ遊べる自作ゲーミングPC”

 以上、予算7万円台でも、第3世代RyzenとRX 570搭載のビデオカードの組み合わせならば、人気ゲームを十分快適にプレイできる性能を確保できるということがお分かりいただけただろうか。レインボーシックス シージのような軽めのゲームなら、高リフレッシュレートのゲーミング液晶と組み合わせることで、家庭用ゲーム機では味わえないヌルヌルとなめらかに動く環境も実現可能。

 ゴールデンウイークとはいえ巣ごもりが推奨の昨今。この機会にPCゲームをプレイしてみようかな、でも予算がなぁ……ということであれば、本稿を参考に低予算ゲーミングPC自作にぜひチャレンジしてみていただきたい。

[制作協力:MSI]