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高コスパRyzenノートはゲームも快適、フォートナイト/VALORANTも高fpsで遊べる「MSI MSI Bravo 17」
120Hz/17.3型液晶のゲーミングノート、Ryzen 7 4800HにRadeon RX 5500M搭載 text by 白倉甲一
2020年6月15日 00:01
ゲーミングノートPCと言えば長年Intel製CPUとNVIDIA製ビデオカードの組み合わせが主流だったが、AMDのRyzenシリーズの登場により、AMD製CPU搭載モデルも増えつつある。
今回紹介する「MSI Bravo 17(Bravo-17-A4DDR-010JP)」は、CPUにRyzen、GPUにRadeon、つまりはAMD同士を組み合わせたゲーミングノートPCだ。
店頭価格は税込147,800円とゲーミングノートPCとしてはエントリークラスのモデルだが、Ryzen搭載モデルがどの程度の性能を発揮できるか、人気のPCゲームの中からカジュアル寄りの注目タイトルをピックアップして試してみよう。
シンプルかつフラットな筐体に8コア/16スレッドCPU「Ryzen 7 4800H」+モバイル向けGPU「Radeon RX 5500M」を搭載
Bravo 17は17.3インチのゲーミングノートPCで、サイズは397×260×23mm。重量は2.2Kgと、同サイズのゲーミングノートとしては小型で軽量なモデルとなっている。
筐体デザインはすっきりとしており、ヘアライン加工により無骨なデザインにならないよう配慮されている。
AMD製の第3世代モバイル向けCPU「Ryzen 7 4800H」を搭載。8コア16スレッドで定格2.9GHz、ブースト時最大4.2GHzと、同価格帯のゲーミングノートと比較して高めの性能を備える。Ryzen 7特有のマルチスレッド性能の高さで、近年のCPUのコア数や性能が要求されるゲームでの活躍にも期待できそうだ。
GPUはAMD「Radeon RX 5500M」を搭載。ゲーミングノート向けに調整されたGPUとなっており、フルHD(1,920x1,080)解像度の範囲であればある程度のPCゲームは概ねカバーできる性能となっている。
ディスプレイには120Hz/フルHD(1,920×1,080)対応の17.3型液晶を採用。FreeSyncにも対応しているのでRadeonと合わせてティアリングが気になる場合は積極的に利用したいところだ。
軽量なゲーミングノートの場合、ストレージをSSD1台のみの構成にする事も多く容量不足が心配になる所だが、Bravo 17の場合はシステムドライブにM.2のNVMeSSD 256GB、データドライブにHDD 1TBの2台構成となっている。
搭載SSD自体は特別大容量というわけではないので、読み込み速度に影響しない物や、頻繁に起動しないゲームやストレージ速度の影響を受けにくいものなどはHDDにデータを逃がすなどの運用は必要になる。こうした使い分けをすれば、多くのゲームをインストールしても容量が足りなくなるということはあまり無いだろう。
キーボードはアイソレーションタイプで、押し間違えも少なく打鍵感も程よい。スイッチ方式こそメンブレンであるものの、キーのどの位置を押しても入力漏れが起きづらく、筐体の厚さを抑えつつキーボードの質は落としたくないゲーミングノートPCにはうってつけのキースイッチだ。
筐体の大きさからスペースに余裕がある分、各種インターフェイスも充実。USB3.2 Gen1 Type-Cを1ポート、USB3.2 Type-Aを3ポート。映像出力端子としてHDMIを1ポート搭載している。
地味に重要なのは有線LANポートの存在で、無線LAN機能はもちろん内蔵してはいるもののネットワークの影響で生じるラグは、対人系のゲームなどでは致命的なミスや対戦相手への迷惑に繋がることも多い。一般用途のノートPCではオミットされつつあるが必要な機能の一つだ。
サウンド機能はHi-Resオーディオに対応している他、ユーティリティのNahimic 3もサポート、簡易のサラウンド機能なども利用可能だ。また、オーディオポートはマイク、ヘッドホンでポートが分かれているのでアナログ接続のオーディオインターフェースやヘッドセットを利用したい場合にも安心だ。
冷却機構として同社の「Cooler Boost 5」を搭載。多数のヒートパイプと2基のファンで構成されたクーラーで効率よく排熱を行う。
また、ヒートパイプは筐体奥側のスペースに面しているので、高負荷の状態で数時間経過してもキーボード部分はそれほど熱くならないよう配慮されている。ユーティリティの「MSI Dragon Center」からは、PCの温度やパフォーマンスなどの確認や各種設定を行える。
なお、Bravo 17(Bravo-17-A4DDR-010JP)には、15.6インチで下位CPU/GPUを搭載するBravo 15(Bravo-15-A4DCR-058JP)もラインナップされている。スペックのみでの紹介となるが、参考にしてもらいたい。
今話題のVALORANTも120fpsで楽しめる、カジュアルなゲームであれば快適なプレイ性能
Bravo 17はエントリーからミドルクラスのユーザーを想定してデザインされたモデルなので、今回は人気ゲームの中から話題性が高くカジュアル寄りのタイトルを実際にプレイしてテストしてみた。
テストに使用したのは、独自の建築要素が特徴的なバトロワ系TPS「フォートナイト」と、今月頭に正式リリースを迎え、たちまち大人気となったFPS「VALORANT(ヴァロラント)」の2タイトル。
Bravo 17に搭載された120Hz液晶の性能を活かすことができるのかも合わせて見てみよう。
フォートナイトは最高画質で常時60fps、中画質で120fpsもイケる
まずはフォートナイトからパフォーマンスを確認していこう。
インストール後、初回起動時にゲーム側で画質の自動最適化を行うか否かを尋ねられる。言われるがままに最適化を進めるとグラフィック品質のプリセットの内、最高画質に設定される。試しにそのままプレイしてみると全く問題なくプレイする事ができた上、なんと試合中1度も60fpsを割ることはなかった。
折角なのでディスプレイが対応している最大リフレッシュレートの120Hzを活用するために設定を若干変更。プリセットの中画質を選択肢し「3D解像度」の項目のみ100%にするだけで簡単に120fpsで安定してゲームをプレイする事ができた。
VALORANTは最高画質/120fpsも余裕、常時60fps/中画質なら発熱を抑えて遊ぶことも
VALORANTは6月2日に正式リリースされたばかりの新作ゲームではあるが、動作スペックが非常に軽く、最低画質であればオンボードでも十分遊べるとあり、話題となっている。
144fps目標の最高画質設定であっても、推奨スペックはCPUがCore i5のミドルクラス、GPUがGeForce GTX 1050 Tiもあれば事足りてしまう程。多くのPCで遊べる窓口の広いゲームだ。
当然、Bravo 17のスペックはそれを上回っているため、余裕を持って120fpsでプレイ可能。多くのエフェクトが重なったり、プレイヤーが密集した場面だとしても、カクつくこともなく安定して100fps以上を維持できた。性能的には十分すぎるといったところだろう。
この状態でプレイした場合DragonCenterの温度モニター上での表示はCPU温度が71℃、GPU温度が64℃となった。ゲーミングノートとしては特別熱すぎるというほどでもないのだが、これからますます暑くなってくる季節でもあり、折角なのでもう少し設定を詰めて低発熱で快適に遊べるラインを探ってみよう。
まずは、120fpsターゲットを維持したまま、ままグラフィック設定を下げられるだけ下げて動作温度が下がるか見てみた。
結果から言うと、120fpsをターゲットとした場合、PCの動作温度はあまり下がらないようだ。ゲーム画面は画質は荒くなるもののプレイに大きく支障は出ないレベルではあるが、画質を落としたわりに温度は大きく下がらず、大きな効果が得られかった。
最低画質のまま最大フレームレートに制限をかけて60fpsターゲットにしてみたが、こちらはPCの動作温度が大きく下がった。CPU温度が60℃前後、GPU温度が55℃前後と10℃近く下がる。CPU/GPUともに60℃前後であれば、長時間使用でも負荷を心配する必要は無いだろう。
更にそのままグラフィック設定を中程度まで調整すると、画質が荒かった部分が気にならないレベルになった上で温度自体も低い状態を維持していた。
これらの結果からVALORANTをBravo 17でプレイする場合、PCの動作温度を気にするのであれば、中画質で60fpsにフレームレートの制限をかけるのが効果的と言うことになる。
もちろん、フレームレートを上げてプレイする場合でも、極端に発熱するわけではなく排熱もしっかりできているので、熱が籠るような状況を避ければ長時間安定してプレイすることができるだろう。
ベンチマークスコアと消費電力をチェック、バランスの良い性能を発揮
Bravo 17に搭載されているRyzen 7 4800Hは、8コア16スレッド対応、ブースト時 最大4.2GHzの高いクロック数を持つCPUで、デスクトップ向けCPUと遜色ない性能を秘めているモバイル向けCPUだ。
実際にデスクトップPCに迫れるような性能を持っているのか、また、消費電力はどの程度に収まっているのか、実際にテストしてみよう。
検証機での「CINEBENCH R20」CPUのマルチコアテスト結果は4,282pts、シングルコアテストは475pts。CINEBENCH R20に目安として表示されている数値を参考にすると、シングルスコアの数値はRyzen 7 1700Xを大幅に上回り、Intel Core i7-7700Kと同等のようだ。モバイル向けのCPUとしてはなかなかの数値だろう。
「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」ベンチマークのスコアも11,979と、かなり良好な結果となった。フルHD解像度の範囲であれば、ゲームに関して十分な活躍が見込めそうだ。
消費電力をチェックしてみると、アイドル時は22W、「CINEBENCH R20」シングルコア計測中は52W、マルチコア計測中は99W、「ファイナルファンタジーXIV:漆黒のヴィランズ」ベンチマーク計測中では149W前後となった。
デスクトップ向けの第3世代Ryzenは、登場間もない時にアイドル時の消費電力が高いと言われることがあったが、ノートPC向けのRyzen 7 4800Hは、アイドル時の消費電力が21Wと低く抑えられている。
ノートPCである以上、出先などの電源非接続時にアイドル時の消費電力が少なければ有事の為に電力をプールすることにもなり、バッテリー持ちそのものにも直結してくるので、この部分は好印象だ。
15万円未満でも性能十分なエントリー向けゲーミングノート17インチクラスで軽めのモデルを求めるユーザーにもおススメ
Ryzenシリーズの登場から約3年経過し、CPUの性能競争でデスクトップ向けはもちろん、モバイル向けCPUの性能もここ数年で格段に強化されてきている。
「MSI Bravo 17」は低価格ながら高いCPU性能とそれに配慮した排熱設計で正に低コスト高パフォーマンスなエントリー向けゲーミングノートとなっている。
また、グラフィック系の作業用途で使用する場合、ディスプレイサイズはそのまま作業効率にも関わってくる。17.3インチの持ち運び用ノートPCとして見てもシンプルでフラットな狭額縁デザインや重量の軽さなど、魅力的な点が多いと言えるのでは無いだろうか。
[制作協力:MSI]