特集、その他

「PasocomMini PC-8001」に大型アップデート降臨!ディグダグ、ラリーX、スーパーギャラクシアンを実装!!

14日にライブ配信で解説!三津原パソコンミニシリーズアドバイザー、ハル研郡司ディレクターも登場!

PasocomMini PC-8001

 2020年9月10日に大規模無償アップデートが公開されたハル研の「PasocomMini PC-8001」。このアップデートでは、なんと『ディグダグ』、『ラリーX』、『スーパーギャラクシアン』という往年のナムコのアーケードゲームの移植作が遊べるようになる。もちろん、当時販売されていたPC-8001版だ。さらに、同日よりAmazon.co.jpでの販売も始まり、より入手しやすくなる。今回は、追加された3本のゲームを中心に見ていこう。

今度のバージョンアップでは、更なる市販ソフトが収録!

 そもそも「PasocomMini PC-8001」とは何か?を簡単に説明しておこう。「PasocomMini PC-8001」は、1979年に発売され大ヒットを飛ばしたNECのパーソナルコンピュータ・PC-8001を、約1/4サイズで再現した手乗りコンピュータだ。2019年にハル研究所から発売され、そのキャッチコピーは「愛でて、作って、実行して、遊べる」。

 部屋に飾って“あの頃”を懐かしむだけでなく、搭載されている「N-BASIC」を利用してプログラムを組むこともできる。さらには、当時カセットテープで発売された市販ソフトや入力プログラムを現在のパソコンで録音し、これを「PasocomMini PC-8001」に取り込み変換すれば実行することも可能。ほかにも、PC-8001が発売された当時に市場に出回った作品の中から15本以上がバンドルされているので、「PasocomMini PC-8001」購入後すぐに思い出の時代にタイムトリップできるのだ。

 そんな「PasocomMini PC-8001」だが、今回のアップデートでは当時のハル研究所から発売されていた『スーパーギャラクシアン』『ラリーX』と、マイコンソフトがナムコ(当時)のアーケードゲーム『ディグダグ』をPC-8001へと移植した作品『ディグダグ』の3本が収録されている。『スーパーギャラクシアン』と『ラリーX』はPCGに対応しており、映像だけでなくBGMも再生されるため、PC-8001とは思えない臨場感溢れるゲーム体験が楽しめるのだ。

 余談だが、収録されている『ラリーX』は、アーケードではあまりプレイしたことがない人が多いと思われる、『ラリーX』をベースに移植されたタイトル。軽快なBGMとラッキーフラッグが登場する「ニューラリーX」ではないので、流れてくるBGMが違う! と驚かないでほしい(笑)。

新たに収録されたタイトルは、『スーパーギャラクシアン』『ラリーX』『ディグダグ』の3本。どれも往年のナムコ作品だ。

 なお、今回新たに追加された3タイトルだが、Amazon.co.jpで発売される「PasocomMini PC-8001」版には最初から収録されている。こちらで取り扱っているのは既にアップデートが行われたバージョンなので、安心して購入して欲しい。

 もちろん、アップデータも公式サイトにて配布されているので、既存ユーザーはアップデートを行うことで『スーパーギャラクシアン』『ラリーX』『ディグダグ』が遊べるようになる。それでは、新バージョンを搭載した「PasocomMini PC-8001」を使ってみよう。

 外見は、既存のものと何ら変わりはない。本体背面のインタフェースは、ミニHDMI出力端子が1つと、マイクロUSBーType B端子が2つ。内側のマイクロUSB-Type B端子はキーボード接続用、外側のマイクロUSB-Type B端子は給電用だ。

 付属しているmicroSDカードを本体内のmicroSDカード挿入口へセットし、それぞれのケーブルを接続。最後に給電用のUSBケーブルを繋げば、即座に「PasocomMini PC-8001」が起動する仕組みになっている。

「PasocomMini PC-8001」に同梱されているのはmicroSDカードだけなので、ケーブル類はあらかじめ購入しておこう。microSDカードを本体内に挿入し、ケーブルを接続すればすぐに立ち上がる。(C)1979-2019 Microsoft
PC-8001の詳しい情報を見ながらプログラムを入力出来るほか、PCG機能の有無などを変更出来るメニュー画面も用意されている。(C)1979-2019 Microsoft

 別売りで必要となる接続ケーブルのうちHDMI-ミニHDMIの変換コネクタと、USBキーボードを接続するのに使用するUSB-Type A-マイクロUSB-Type Bの変換コネクタは、大きめの家電量販店で取り扱っている。せっかく「PasocomMini PC-8001」を購入しても、これらの変換コネクタやケーブルが手元にないと何もできないので、あらかじめ用意しておこう。給電に使用する、片方がマイクロUSB-Type Bでもう一方がUSB-Type Aのケーブルは、各所で購入出来るはずだ。

 本体が起動すると自動的にプロセスが進み、画面に“NEC PC-8001 BASIC Ver 1.1”と表示されれば起動完了。キーボードのF12キーを押すと同梱されているソフトウェアを選ぶ画面が表示されるので、カーソルキーでページをめくり新規収録タイトルをプレイしよう。まずは、ハル研究所から発売された『スーパーギャラクシアン』だ。

ゲームスタート時のBGMに、思わず驚く『スーパーギャラクシアン』

 ナムコ(当時)の「ギャラクシアン」がゲームセンターに登場したのは、1979年のこと。曲線的な攻撃を仕掛けてくるエイリアン軍団やカラフルな画面など、それまでにはなかった魅力をタップリと詰め込んでゲームセンターにデビューした本作は、瞬く間に大人気を得ることとなった。その「ギャラクシアン」をPC-8001へと移植したのが、追加されたタイトルの一本目『スーパーギャラクシアン』だ。

 アーケード版は縦画面だが、ディスプレイは横長ということで、『スーパーギャラクシアン』も横画面を採用している。この場合、スコア表示や残機数などを画面の右1/4ほどを使って表示し、残りを縦画面ライクに使用する場合がほとんどだが、本作はスコアなどの情報を画面最上部に、残機数や進んだラウンド数を表す旗印を最下段に配置したことで、アーケード版の雰囲気を残すことに成功している。

 プレイヤーは、自機であるギャラクシップをテンキーの4と6で左右に動かし、Aでショットを撃ち、エイリアン軍団を全滅させるのが目的だ。

エイリアン軍団は単色だが、特徴を捉えたグラフィックで描かれているのがわかる。ギャラクシップのデザインも、オリジナル版と比べても見劣りしない。やられてしまった時の爆発パターンも面白い。(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 「ギャラクシアン」の特徴と言えば、なんといっても敵エイリアンの曲線的な動き。そのあたりは本作でも再現されていて、PC-8001とは思えない動きを見せてくれる。敵エイリアンも、単色ながら“それっぽく”描かれているので、静止画だけならMSX版「ギャラクシアン」にも見劣りしない……かもしれない?

 実際にプレイして驚くのが、ゲームスタート時に流れるミュージック。PCGの機能を活かして、アーケード版と比べても遜色のない楽曲となっているので、当時のことが脳内にありありと思い出されることだろう。

 また、ギャラクシップが被弾して破壊される時のアニメーションが、PC-8001版だけのオリジナルやられパターンになっているのも見物の一つだ。ボス・エイリアンを撃破すれば、エイリアン軍団の攻撃が約2秒間ほど中断される仕組みも再現されている。これだけの移植度で1980年に登場しているというのだから、驚くほかない。なお、当時発売されていた『スーパーギャラクシアン』のお値段は5,000円だ。

ボス・ギャラクシアンがゴエイを引き連れて3機編隊で襲ってくる場面や、詰め(総攻撃)のシーンもある。最後まで気を抜かずに戦わないと、あっという間にゲームオーバーに。(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

“ニュー”じゃない! 渋い方の『ラリーX』が登場

 アーケード版『ラリーX』がデビューしたのは、1980年のこと。画面右にあるレーダーを見ながら、4方向にスクロールするメイン画面でマイカーを操作し、FUELがなくなる前にフィールドの旗(チェック・ポイント)を10個回収すればラウンドクリアとなる。

 レッドカーが近づいてピンチの時には、ボタンを押して煙幕を出そう。これに触れたレッドカーはスピンして動きを止めてくれるが、FUELを消費してしまうので使いすぎには要注意だ。

 なお翌年、難易度を調整して遊びやすくした「ニューラリーX」が出回ったため、『ラリーX』をプレイ出来た人はあまり多くないかもしれない。今回のアップデートで収録されているのは、ハル研究所が当時『ラリーX』をPC-8001に移植した作品となっている。

 ルールは、アーケード版と同じ。ただし、『ラリーX』の移植なのでレッドカーは最初から3台出現するほか、フィールドの迷路の袋小路が多かったり、燃費が非常に悪くなっている点には注意しよう。

「ニューラリーX」では1台のレッドカーから始まるが、『ラリーX』は1ラウンドから3台のレッドカーを相手にしなければならないので、緊張感も3倍に!(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 フィールドの迷路は袋小路があったり、思いがけないところに岩が配置されているので、一瞬たりとも気を抜けない。チェック・ポイントにSのマークがついているのが、スペシャルチェック・ポイント。回収すると、以後チェック・ポイントを通るたびに得点が倍になる。

 本作でもPCGの機能がふんだんに用いられており、ゲーム中に登場するレッドカーやフラッグ、動かないのになぜか当たってしまう(もちろんミスとなる)岩などは、オリジナル版に近いグラフィックで描かれているため、とてもリアルだ。

 ゲームスタート時には、『ラリーX』ならではのオープニングミュージックも流れるので、気分はもう80年代のゲームセンター! フィールドの迷路パターンも同じなので、アーケード版をやり込んだ人ほど有利にプレイ出来るのは間違いない。

 なお、方向転換時には一瞬マイカーの動きが止まり、その場で向きを変えてから再び動き出す仕様となっている。そのため、レッドカーが近いときの方向転換は非常にリスキーになっていることを忘れずに。

 元のゲームが面白いのと、PC-8001版も良く出来ているので、思わず時間を忘れてハマってしまう。「PasocomMini PC-8001」を既に持っている人は、アップデートするだけでこれが遊べてしまうのだ。ちなみに、PC-8001版が発売されたのは1981年で、当時の価格は5,000円だった。

画面右側に表示される全体マップを見ながら、すべてのチェック・ポイントを回収しよう。×はレッドカーで□がマイカー、■がチェック・ポイントだ。危ない! と思ったら、Aキーを押して煙幕を出して逃げること。ボーナスステージは「ニューラリーX」と違って燃費が悪いので、もたもたしているとすぐにガス欠になる。(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

戦略的穴掘りゲーム『ディグダグ』が、PC-8001にやってきた!

 1982年にリリースされ、全国的に大ブームを巻き起こした“戦略的穴掘りビデオゲーム”『ディグダグ』。プレイヤーはディグダグを操作し、地中を掘り進みつつポンプや岩を利用して画面内のモンスターを全滅させるのが目的だ。PC-8001版は1983年にマイコンソフトから発売され、ヒットチャート上位になる大ヒットを飛ばしている。

 アーケード版は「ギャラクシアン」などと同じ縦画面だが、PC-8001版は横画面構成のため岩石落としが少々やりづらい部分もあるが、これは致し方のないところ。とはいえ、アーケード版で使えるテクニックの大部分がPC-8001版でも使用可能なので、プレイし慣れている人には問題ないだろう。

 各ラウンドとも、岩を2つ落下させると画面中央にベジタブルターゲットが登場する。アーケード版と違いブドウやバナナのほか、“ベジタブルではない”コーヒーなども出現するが、非常に点数が高いので必ずゲットしたいところ。

 ステージ構成は偶数面と奇数面パターンが用意されており、10ラウンドを超えると別パターンに変化する。ハイスコア獲得のために岩落としを狙うか、ポンプで破裂させてラウンド数を重ねるか、すべてはプレイヤーの戦略次第だ。

PCGを使わず、PC-8001の持つグラフィック機能だけでここまで再現している。開発者は、相当な苦労をしたに違いない。見た目に反して、プレイ感覚は『ディグダグ』になっているのが凄いところ。プーカァを“プクプク(モンスターを2段階膨らませておくこと)”にしておき、岩落としで潰せ!(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

 ただし、アーケード版と違いPC-8001版の当たり判定がキャラクター単位になっているため、ほんのちょっとモンスターに触っただけでもミスになってしまうので、そこだけは気をつけたい。

 当時、電波新聞社から出版されていた「ALL ABOUT NAMCO」では、「当時のハード(PC-8001)では、ここまでやるのがやっと……。という時代だったのです」というコメントが書かれていたが、プレイしてみるとなかなかどうして、しっかりと『ディグダグ』していると今更ながら深く感じた。パターンを構築出来れば10ラウンドまでは簡単に進めると思うので、PC-8001ならではの『ディグダグ』を体験して欲しい。

モンスターは深い位置で倒すほど、ファイガーは縦よりも横から破裂させる方がそれぞれ高得点となる。ちなみに、オリジナル版よりもベジタブルターゲットが高得点に設定されているので、ハイスコアを狙うなら必ず回収しよう。コーヒーは3,000点、バナナはなんと5,000点だ。(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

アップデートは簡単。一度も試したことが無い人は、この機会にアップデートしよう

 既に手元に「PasocomMini PC-8001」がある人は、パソコンミニ公式サイトのダウンロードページからアップデートツールをダウンロードし、同ページに書かれている手順通りに進めればアップデートが行える。詳しい方法が掲載されているので、参照しながら操作すれば問題なくアップデートできるはずだ。

 昨年、イベント会場で発売された時に購入して以来、アップデートを一度も行っていない……という人はいないと思うが、無料で遊べるゲームタイトルが増えるのと、いくつかのバグフィクスも行われているので、この機会にアップデートを実行しておくことを強く勧めたい。

愛でながら当時を懐かしむだけでなく、遊ぶ、作る、打ち込むなど、利用方法はさまざま

 発売後数年で、25万台以上を販売したPC-8001。当時、それだけの数のユーザーがいたわけだが、今や既に本体を捨ててしまったという人が大部分だろう。仮に残っていても、メンテナンスの必要性があったり動作環境を構築するのが大変で場所を取る、といったデメリット部分も多い。

 それが「PasocomMini PC-8001」であれば、場所を取らないし故障の心配も皆無。当時のソフトも、ラジカセがあれば変換することで遊べるようになるし、ゲームのリストが掲載された雑誌もプログラムを入力すれば実行が可能だ。

 さらに、2020年にはPC-8001用の新作タイトル『NEWシティヒーロー』が、あの「ハイドライド」シリーズなどでお馴染みの内藤時浩氏よりリリースされたばかり。21世紀を迎えても、PC-8001界隈の盛り上がりは衰えることなく、その勢いはまだまだ続きそうだ。

 価格は、PC-8001が168,000円なのに対して、「PasocomMini PC-8001」はわずか24,800円! それだけの投資で当時の思い出が色鮮やかに蘇ることを考えれば、非常に安いのではないだろうか。今回の記事を見て“あの頃”を思い出した人は、早速ポチっとしてしまおう。

PasocomMini PC-8001最新アップデートについて、ライブ配信で解説三津原パソコンミニシリーズアドバイザー、ハル研郡司ディレクターも登場!

 9月14日(月)20時より、今回のPasocomMini PC-8001大型アップデートについて解説する番組をライブ配信します!『ディグダグ』、『ラリーX』、『スーパーギャラクシアン』の3タイトルが動く様子もバッチリお見せして、さらにPasocomMini仕掛け人の三津原パソコンミニシリーズアドバイザー、ハル研郡司ディレクターにも出演いただき(リモート出演予定)、最新アップデートのディープな部分まで聞いちゃおうと思います。秋の夜長はPasocomMini PC-8001で楽しみましょう!

【PasocomMini PC-8001最新事情を語る】