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東芝 dynabook Satellite B654をSSDに換装、Windows 8.1ノートの高速化に挑戦!
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大
2020年12月4日 00:01
今回SSD換装の事例として紹介するのは、第4世代Coreプロセッサーを搭載する東芝「dynabook Satellite B654/K」。2013年に発売されたPCで、手に入れた個体にはWindows 8.1がインストールされていた。Windows 8.1マシンでもストレージの換装は問題なく行えるのかといった点を検証してみた。
なお、用意したdynabook Satellite B654/Kは法人向けモデルで、型番は「PB654KBAPK7AE31」。320GBの2.5インチHDDが搭載されているが、これを500GBのSSDに換装し、大容量化と合わせて高速化を狙ってみたい。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
dynabook Satellite B654/KをSSDに換装、Windows 8.1搭載PCを快適に
今回のレビューで紹介するdynabook Satellite B654/Kは、2013年に東芝から発売されたビジネス向けのノートPC。型番「PB654KBAPK7AE31」のモデルを使用している。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに2コア4スレッドのCore i5-4300M vPro(ベース2.6GHz/ブースト時3.3GHz)、メモリにLPDDR3-1600 4GB、ストレージにHDD 320GBを備えるモデルで、ディスプレイは15.6インチ/1,366×768ドット。
HDMIやD-Sub、IEEE802.11n無線LAN/Bluetooth、Webカメラなどの機能も搭載している。OSはWindows 8.1 Pro 64bit。
ストレージを強化すれば、オフィスワークなど軽い作業であればこなせる性能をもっていると言えるだろう。
換装に使うのは500B/SATAのSamsung SSD 860 EVO
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 860 EVOの500GBモデル「MZ-76E500B/IT」。最大速度リード550MB/s・ライト520MB/sのSATA接続モデルで、インターフェイスはSATA 6Gbps。
Samsung SSD 860 EVOは250GB~4TBまでの5製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
HDDからSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
2.5インチSSD用の外付けケースは税込千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用している外付けケースはORICOの2577U3-BK。2.5インチストレージに対応したUSB 3.2 Gen1接続のケースで、ツールレスでネジを回す必要が無く容易にストレージを取り付ける事ができる。
2.5インチドライブ用外付けケースの注意点
2.5インチ用の外付ケースの場合、厚みに関わらず利用可能な物がほとんどだが、ごく稀に7mm厚のものしか入らなかったりするなど、物理的な相性が出る場合もある。使用するSSD/HDDが何mm厚なのか、ケース側の対応状況も念のため確認してから購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
ドライバーだけでノートPCを分解、dynabook Satellite B654/Kは分解しやすい構造
ここからはdynabook Satellite B654/Kの分解になるが、工具はドライバーだけで事足りる。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意しよう。バッテリーが外せるモデルの場合は外し、取り外せないモデルもBIOS上からバッテリーを無効化できるモデルは念のため作業中のみ無効化しておこう。dynabook Satellite B654/Kは前者の方だ。
dynabook Satellite B654/Kは、背面に内部パーツへアクセスできるメンテナンスパネルが配置されている。ネジとツメで固定されており、無理に広げると爪が折れてしまうので取り外しは慎重に行おう。また、ネジを緩めきっても背面パネルからネジが外れない仕組みになっている。ネジをなくすことがないのでこの構造は便利だ。
dynabook Satellite B654/Kは、ドライブは金属製マウンターに固定されているタイプだ。スロットに対して水平に挿して固定する方式だ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。
SSD換装で空き容量は約1.7倍、速度は最大約5倍に快適に使えるノートPCにリフレッシュ
実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と起動速度、ベンチマークの結果を紹介する。
HDDからSSDへの換装で速度は最大5倍高速に
HDDからSSDへの換装は効果が非常に大きく、メリットが大きい。
今回のケースでもそれは数値に表れており、ベンチマークの結果は全項目で換装後の方が高速となり、シーケンシャルアクセスは約5倍、ランダムでは比較にならないほどの差が出る結果となった。比較元が5,200rpmのHDDなので、実際に使用した際の体感速度もかなり向上する。
OS起動時間は約90%短縮、体感速度は数字以上の快適さ
HDDからSSDへの換装で一番体感速度の向上が実感できる物と言えば「PCの立ち上がりにかかる時間の差を比較する」のが鉄板だろう。ということで、SSD換装前とSSD換装後で電源ボタンをONにしたタイミングからスタート画面が表示されるまでにかかる時間を計測してみた。
結果として、換装前のHDDでは起動までに約1分45秒を要した。一方、換装後のSSDでは10秒で起動を完了し、大幅に高速化した。
起動時間も劇的な差が現れたが、換装前のHDDの場合、起動後のアプリの動作も非常に重かったのに対して、SSDへの換装後はデスクトップ画面表示後にすぐ操作しても問題なくサクサクと操作でき、体感速度や快適性の面で大きな違いがある。
ソフトウェアの各動作やファイル保存など、要所で速度面における快適さを感じられるので、SSD化の恩恵を様々な面で感じられるだろう。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげた東芝のdynabook Satellite B654/Kは、メモリが4GBと控えめではあるが、バッテリーが劣化しても交換が容易に行えるモデルとなっている。HDDに比べ物理的な衝撃に強いSSDへの換装は、故障率を下げるという意味でも有用性がある。
動作にモタつきを感じたり、容量がカツカツになってきた低容量の業務用PCを予算をかけずにグレードアップしたいと言う場合に、ノートPCのSSD換装は有効な手段といえるだろう。
[制作協力:Samsung]
※12月4日訂正 記事初出時、OS起動時間の短縮幅の記載に関して誤りがあったため訂正しました。