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PCIe 4.0 SSDはPCIe 3.0接続でも最速級?実は下位互換で使うのもアリかも

7GB/s級のSamsung SSD 980 PROをIntel Z490チップセットで使ってみた text by 坂本はじめ

 PCI Express 4.0(以下PCIe 4.0)対応のSSDは下位互換が有り、PCI Express 3.0(以下PCIe 3.0)接続でも使えるとされている。ただ、PCIe 4.0接続時の最大性能が発揮できるわけでは無いので、PCIe 3.0対応環境であえてPCIe 4.0対応SSDを使用しているユーザーはまだ希だろう。

 ただし、PCIe 4.0対応SSDが主流になるのは間違いなく、古いPCIe 3.0環境のアップグレードに最新のSSDを使うという時が来る可能性は十分に考えられる。そこで、今回はPCIe 4.0対応のSamsung製ハイエンドSSDであるSamsung SSD 980 PROを使用し、PCIe 3.0環境でも正常に動作するのか、速度はどの程度出るのか、PCIe 3.0対応のIntel Z490チップセット環境で性能をチェックしてみた。

 合わせて、既存のPCIe 3.0 SSDと比べて速度差などがあるのかも確認したので、これからNVMe SSDの購入を考えている人は参考にしてもらいたい。

7GB/sクラスの最新Samsung SSD 980 PROの500GBを用意

 今回のテストに用いるのは、Samsung SSD 980 PROの500GBモデル「MZ-V8P500B/IT」だ。

 8nmプロセス製のSSDコントローラ「Elpis」と、3bit MLC(TLC)方式の3D NANDフラッシュメモリ「第6世代V-NAND」の組み合わせにより、公称値はリード最大6,900MB/s、ライト最大5,000MB/sの速度を実現している。フォームファクターはM.2 2280で、インターフェイスはPCIe 4.0 x4。もちろん、この速度はPCIe 4.0接続で使ってはじめて発揮されるものだ。

Samsung SSD 980 PRO(500GBモデル)。
PCIe 4.0 x4接続時のCrystalDiskMark 7.0.0の実行結果。7GB/s級のリード速度と5GB/s級のライト速度を備えている。

 Samsung SSD 980 PROは、250GB、500GB、1TBの3モデルが現在販売されており、今後2TBモデルの販売も予定されている。

PCIe 3.0で接続しても最新のPCIe 4.0対応SSDは高速ランダムアクセスの性能が活きるSamsung SSD 980 PROのパフォーマンス

最新のPCIe 4.0 SSDと従来のPCIe 3.0 SSDをPCI Express 3.0環境で比較。

 今回、Samsung SSD 980 PROをPCI Express 3.0で接続してテストを行うのは、Intelの10コア20スレッドCPU「Core i9-10900K」を搭載したIntel Z490環境だ。

 その他の機材については以下の表の通りで、PCIe 3.0 SSDである「Samsung SSD 970 EVO Plus」の500GBモデル(MZ-V7S500B/IT)との比較を通して、PCI Express 3.0環境で最新のPCIe 4.0 SSDを使った際のパフォーマンスを確認する。

PCIe 4.0対応の980 PROはPCIe 3.0でもランダムが高速、CrystalDiskMark 7.0.0でテスト

 まずは、ディスクベンチマークである「CrystalDiskMark 7.0.0」の結果からみていこう。

 Samsung SSD 980 PROのシーケンシャルアクセス速度は、リード約3.50GB/s、ライト約3.36GB/sを記録。対するSamsung SSD 970 EVO Plusは、リード約3.45GB/s、ライト約3.26GB/sを記録しており、両SSDの差は、リード約50MB/s、ライト約100MB/sという僅差だ。これは、インターフェイスであるPCIe 3.0 x4の帯域幅によって律速した結果だ。

 一方、Samsung SSD 980 PROは優れたランダムリード性能を発揮しており、RND4K Q32T16ではSamsung SSD 970 EVO Plusの約1.14GB/sの3倍を超える約3.44GB/sを記録したほか、RND4K Q1T1でも76.23MB/sを記録して1.5倍近い差をつけている。

Samsung SSD 980 PRO(PCIe 3.0接続)のCrystalDiskMark 7.0.0の実行結果。
Samsung SSD 970 EVO PlusのCrystalDiskMark 7.0.0の実行結果。

 一応、テストを実行している環境でのCrystalDiskInfoによるステータスも紹介しておこう。左がSamsung SSD 980 PRO、右がSamsung SSD 970 EVO Plusのものだ。CrystalDiskInfoには、SSDの現在の接続状態と、本来対応している接続規格が「対応転送モード」の欄に表示されるようになっており、Samsung SSD 980 PROはテスト環境ではPCIe 3.0で動作していることがわかる。

Samsung SSD 980 PRO(PCIe 3.0接続)のCrystalDiskInfoによるステータス。
Samsung SSD 970 EVO PlusのCrystalDiskInfoによるステータス。

PCIe 3.0接続でもゲームが速いPCIe 4.0対応SSD、FF XIVベンチのロード時間を比較

 続いて、ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマークで、シーンチェンジ時のロード時間の合計である「ローディングタイム」を比較してみた。測定時のベンチマーク設定は、画面解像度は3,840×2,160ドットで、描画設定は「最高品質」。

 Samsung SSD 980 PROのローディングタイムは8.304秒で、9.023秒であったSamsung SSD 970 EVO Plusより0.7秒、約8%のロード時間短縮を達成している。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク(ローディングタイム)。

PCIe3.0接続時もヒートシンクレスで使える低発熱な980 PRO

 PCIe 3.0で接続したSamsung SSD 980 PROでCrystalDiskMarkを実行したさいのモニタリングデータを確認してみよう。

 テスト中の最大温度は、コントローラが75℃で、NANDフラッシュメモリは58℃。転送レートの推移を見る限りサーマルスロットリングによる速度低下は起こっていない。もともと、Samsung SSD 980 PROはPCIe 4.0 x4接続でもヒートシンクレスで運用できるSSDなのでこの結果は当然だが、高性能でありながら発熱も控えめというのは、Samsung SSD 980 PROの魅力のひとつだ。

ベンチマーク実行中のSSDモニタリングデータ (HWiNFO v6.34)

Samsung SSD 980 PROは「PCIe 3.0 SSD」としても高速将来使い回すことを考慮してPCIe 4.0対応SSDを導入するのはアリ!

 今回のテストでは、現在最速クラスのPCIe 4.0 SSDであるSamsung SSD 980 PROが、PCIe 3.0接続でも従来のPCIe 3.0 SSDに勝るとも劣らぬ性能を発揮することが確認できた。

 すでにデスクトップ向けにPCIe 4.0を提供しているAMDに加え、Intelも2021年第1四半期に投入する第11世代Core「Rocket Lake」でPCIe 4.0を採用することを明らかにしており、今後PCIe 4.0が使える環境が増えていくことは確実だ。

 これから高性能なNVMe SSDの購入を検討する場合、いま使っているPCがPCIe 3.0までのサポートであったとしても、次のPCに使いまわすことまで考えてPCIe 4.0 SSDを選ぶのは良い選択だ。特に、Samsung SSD 980 PROは今回比較したSamsung SSD 970 EVO Plusとの価格差はそれほど大きなものではない。価格と将来性を天秤に掛けて検討するだけの価値は、間違いなくあるはずだ。

[制作協力:Samsung]