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Skylake世代のDell XPS 13をSSD換装、SATAからNVMeにアップグレードで大幅強化
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大
2020年12月11日 00:01
今回SSD換装の事例として紹介するのは、第6世代Coreプロセッサーを搭載するDell「XPS 13 (9350)」だ。2015年に発売されたモデルではあるが、Thunderbolt 3を搭載するなど今でも通用する仕様を備えた製品と言える。
用意したのはCore i5/4GBメモリ/128GB SSDのモデルだ。標準で128GBのM.2 SATA SSDが搭載されており、これを500GBのNVMe SSDへ換装し、大容量化と高速化を狙う。
換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
Skylake世代のモバイルノート「XPS 13」を快適に、SSDを増強
今回使用するXPS 13 (9350)は、2015年に発売されたモデルだ。モバイルノートとして今では当たり前となった、ベゼルレスデザインの液晶ディスプレイを採用した先駆者とも言えるモデルで、携帯性に優れた設計が特徴だ。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに2コア4スレッドのCore i5-6200U (ベース2.3GHz/ブースト時2.8GHz)、メモリにLPDDR3-1866 4GB、ストレージにSATA SSD 128GBを備えるモデルで、ディスプレイは13.3インチ/1,920×1,080ドット。
Thunderbolt 3やIEEE 802.11ac無線LAN/Bluetooth、Webカメラなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Home 64bit。
CPUやサイズだけでなく、インターフェイスも含め、スペック的にまだまだ現役で使える仕様だ。
換装に使うのは500GB/NVMeのSamsung SSD 970 EVO Plus
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 970 EVO Plusの500GBモデル「MZ-V7S500B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,200MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。
Samsung SSD 970 EVO Plusは250GB~2TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
注意点その1
ノートPCでM.2 SATA SSDからM.2 NVMe SSDへ換装を行う際に相性が出ることがある。このため、SSD換装の際には事前に下調べを行い、動作実績のあるモデルから選ぶことをお勧めしたい。
また、ノートPC側のM.2スロットは製品により仕様が異なり、大きく分けると、SATA接続のみ、SATA接続とNVMe接続両対応、NVMe接続のみ対応といった3パターンが存在する。SATA SSDからNVMe SSDに換装する場合、ノートPC側がSATA/NVMe両対応である必要があるので注意しよう。
このほか、ノートPC側のM.2スロットはモデルによりPCI Expressのレーン数や世代が異なり、モデルによってはSSDの公称値通りの性能が出ないケースもある。これは故障では無いので覚えておこう。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはAOTECHのAOK-M2NVME-U31G2。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。
注意点その2
M.2 SSD用の外付けケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応モデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
注意点その3
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを変えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。
XPS 13 (9350)の分解には特殊ドライバーが必要、SSDの交換自体は簡単
ここからはXPS 13 (9350)の分解になるが、工具は通常のプラスドライバーと、特殊ドライバー(トルクスドライバー/T5)の2本が必要となる。事前に準備しておこう。
SSD換装は必ずPCシャットダウンさせた状態で行おう。通電状態でストレージを抜き差しすると、PCもストレージも壊れる可能性がある。バッテリーを取り外せるPCの場合は、バッテリーを外してからSSD換装作業に入るとなお安全だ。XPS 13 (9350)の場合、分解前にバッテリーを外すことはできないので、PCをシャットダウンさせて電源が確実に切れたことを確認してから作業に入ろう。
背面パネルはネジとツメで固定されており、ネジを外した後に隙間にヘラを入れて少しずつ隙間を広げればパネルが外れる。無理に広げると破損するおそれがあるので、慎重に行おう。
パネルを開けるとM.2スロットに直接アクセスでき、SSDの換装も簡単だ。なお、SSDは斜めに挿してネジで固定するタイプだ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。
NVMe SSD換装で空き容量の余裕は400GB以上へ、シーケンシャルアクセスは1GB/s以上高速に快適に使えるノートPCへリフレッシュ
実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と速度の2点を紹介する。
500GB SSDで空き容量に余裕、データ整理のわずらわしさを解消
まずは容量の面だが、XPS 13 (9350)には128GBのSSDが搭載されており、リカバリー領域などを除いてシステム上から見た実際の容量は約118GBだ。
空き容量は90GBに限られ、これでは普段使いでも意外と空き容量のなさに困るレベルだ。画像や動画、写真など、ちょっとしたファイルを置いているだけでゆとりはなくなり、ファイルデータは整理しながら利用する必要がある。Windowsの大型アップデート時は10GB前後の空き容量が必要になるので、これも考慮して運用しなければならない。
これが500GB SSDになると、空き容量は約4.8倍に増え、データ整理を気にしながら使う必要が薄れる。多くのアプリケーションをインストールしてもゆとりがあり、わずらわしさから解放されるという面でも、空き容量の増加は利便性向上にかなりの効果がある。
SATA - NVMe換装で速度は大幅向上、シーケンシャルライトは最大16倍!
速度の方だが、全項目で換装後の方が高速となり、とくにライト速度の改善が著しく、シーケンシャルアクセスは16倍に高速化した。
なお、XPS 13 (9350)のM.2スロットはPCI Express 3.0x4レーン接続SSDの速度を最大限使えるわけではなく、2,000MB/sあたりが最速値となるようだ。BIOSから接続レーン数を設定することはできないようで、Samsung SSD 970 EVO Plus 500GBの公称値であるリード3,500MB/s・ライト3,200MB/sを引き出すことはできないが、動作自体には問題はなく、十分高速化の恩恵は受けられる。
コストを抑える場合はM.2 SATAへの換装も候補に
Dell XPS 13 (9350)は元々M.2 SATA SSDが搭載されているモデルなので、コストを抑えて容量を増やしたい場合などはM.2 SATA SSDと換装する手もある。試しにM.2 SATA SSDのSamsung 860 EVO M.2の500GBモデルを接続してみたが、SATA SSDの速度はしっかり出ることは確認できた。
Samsung製のNVMe SSDとM.2 SATA SSDで比べた場合、500GBでは数千円の差があるので、その分の差額でより容量の大きいSATA SSDを選ぶといったこともできる。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげたDell XPS 13 (9350)は、メモリが若干少ないとは言え、ストレージにゆとりがあればまだまだ使える性能をもったモデルだ。ある意味、買い換えるか悩むあたりのモデルほどSSD換装の恩恵があると言えるかもしれない。
PCを買い換えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてはいかがだろうか。
[制作協力:Samsung]