特集、その他
VAIO S13のSSDを1TB NVMe SSDに換装、空き容量を気にせず快適運用!
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 浅倉吉行
2020年12月16日 00:01
今回SSD換装の事例として紹介するのは、第6世代Coreプロセッサーを搭載するVAIO「VAIO S13(VJS131)」だ。
2016年に発売されたモデルで、中古ノートPCとしては今でも人気のあるモデルだ。薄型軽量で、1000BASE-T LANやHDMI出力、カードリーダーなども備え、ビジネス用途にも適している。
用意したのはCore i5/8GBメモリ/NVMe SSD 128GB仕様のモデル。これを1TBのNVMe SSDへ換装し、大容量化と高速化を狙う。換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
軽量モバイルノート「VAIO S13」のSSDをアップグレード
今回使用するVAIO S13(VJS131)は、2016年に発売されたノートPC。約1.06kgの重量と堅牢性を両立したノートPCで、ミニD-Sub15ピンやHDMI出力、1000BASE-T LANなど豊富なインターフェイスを備えているのも特徴だ。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに2コア4スレッドのCore i5-6200U(ベース2.3GHz/ブースト時2.8GHz)、メモリにDDR3-1600 8GB、ストレージにNVMe SSD 128GBを備えるモデルで、ディスプレイは13.3インチ/1,920×1,080ドット。
そのほか、IEEE 802.11ac無線LAN/Bluetooth、Webカメラ、SDXCカードリーダーなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Home 64bit。
換装に使うのは1TB/NVMeのSamsung SSD 970 EVO Plus
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 970 EVO Plusの1TBモデル「MZ-V7S1T0B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,300MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。
Samsung SSD 970 EVO Plusは250GB~2TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
注意点その1
ノートPCでM.2 SATA SSDからM.2 NVMe SSDへ換装を行う際に相性が出ることがある。このため、SSD換装の際には事前に下調べを行い、動作実績のあるモデルから選ぶことをお勧めしたい。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはAOTECHのAOK-M2NVME-U31G2。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。
注意点その2
M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
注意点その3
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを変えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。
分解工具はプラスドライバーとオープナーのみ、VAIO S13(VJS131)の分解難易度は低め
ここからはVAIO S13(VJS131)の分解になるが、工具は通常のプラスドライバーと爪をこじあけるためのケースオープナーのみで問題ない。事前に準備しておこう。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。それではVAIO S13(VJS131)の分解作業に入ろう。
背面パネルはネジとツメで固定されており、ネジを外した後に、隙間にヘラを入れて少しずつ隙間を広げればパネルが外れる。排気口のある側面から取り外すとスムーズに作業できる。
無理に広げると破損するおそれがあるので、慎重に行おう。
パネルを開けるとM.2スロットに直接アクセスでき、SSDの換装も簡単だ。なお、SSDはスロットに挿してからネジで固定するタイプだ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。
大容量SSDへの換装で空き容量は9倍以上、最新世代へ換装で速度も最大約4倍に快適に使えるノートPCへリフレッシュ
実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と速度の2点を紹介する。
1TB SSDで空き容量は一気に拡大、より扱いやすいPCに
まずは容量の面だが、VAIO S13(VJS131)には128GBのSSDが搭載されており、回復領域などを除いたシステム上から見た容量は約117GBだ。
空き容量は約100GBに限られ、普段使いでも意外と空き容量のなさに困る。写真や音楽などを置くとすぐに埋まってしまうような容量なので、ファイルの整理のテクニックが求められる。Windowsの大型アップデート時は10GB前後の空き容量が必要になるので、これも考慮して運用しなければならない。
1TB SSDに換装すると空き容量は一気に900GB以上となり、使い勝手の良さもかなり向上する。趣味のデータを置いたり、仕事のファイルを置いたりしてもかなりのゆとりがあるはずだ。快適さが体感できるレベルでの変化があるので、大容量SSDへの換装は効果が大きい。
SSD換装で速度は全体的に向上、特にシーケンシャルライトは4倍高速に
速度の方だが、換装後は全体的に速度が向上。シーケンシャルリードやランダムリード/ライトなどは小幅に上昇といった感じだが、シーケンシャルライトは約4.6倍も高速になった。
VAIO S13(VJS131)は、Samsung SSD 970 EVO Plus 1TBの公称値であるリード3,500MB/s・ライト3,300MB/sの速度をしっかり引き出せていると言えるだろう。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげたVAIO S13(VJS131)は、ストレージにゆとりがあればまだまだ使える性能をもったモデルだ。最新のモバイルノートと遜色ない可搬性で、ビジネス用途にもってこいと言える。
本モデルのように、ある意味買い換えるか悩むあたりのモデルほどSSD換装の恩恵があると言えるかもしれない。
PCを買い換えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてはいかがだろうか。
[制作協力:Samsung]