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HP Spectre x360 13を1TB SSDに換装、空き容量大幅アップで長期利用もOK
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 浅倉吉行
2020年12月9日 00:00
今回、SSD換装事例で紹介するノートPCは、HPのSpectre x360 13。スタイリッシュなデザインが特徴のモデルで、使用するのは2018年に発売されたモデルだ。
4コアCPUに8GBメモリ、フルHDのタッチパネル液晶やUSB Type-Cコネクタを備えるなど、今でもかなり快適なモデルと言えるだろう。唯一気になると言えばストレージが256GBなくらいな点で、モバイルノートとして性能面で不満な部分はほぼないだろう。
そんなSpectre x360 13で唯一気になる点のストレージ容量を強化して長く使おうというのか今回のレビューだ。SSD換装の手順をメインに、SSDの換装前後でのストレージ速度の違いも紹介しよう。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
HPのSpectre x360 13を1TB SSDに換装、
今回使用するHP Spectre x360 13は、2018年に発売された型番「13-af018TU」のモデルだ。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに4コア8スレッドのCore i5-8265U(ベース1.6GHz/ブースト時3.90GHz)、メモリにDDR4-2400 8GB(オンボード/増設不可)、ストレージにM.2 NVMe SSD 256GBを備えるモデルで、ディスプレイは13.3インチ/1,920×1,080ドット(タッチパネル搭載)。
Thunderbolt 3やUSB 3.2 Gen2 Type-CやUSB 3.2 Gne2 Type-A、IEEE802.11ac無線LAN/Bluetooth、Webカメラなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Home 64bit。
換装に使うのは1TB/NVMeのSamsung SSD 970 EVO Plus
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 970 EVO Plusの1TBモデル「MZ-V7S1T0B/IT」。最大速度リード3,500MB/s・ライト3,300MB/sのNVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 3.0 x4レーン。
Samsung SSD 970 EVO Plusは250GB~2TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
注意点その1
ノートPC側のNVMe対応のM.2スロットにはx2レーン接続とx4レーン接続のモデルが存在し、ノートPC側がx2レーンまでのサポートの場合、x4レーン接続のNVMe SSDを搭載すると公称値の半分程度の速度までしか出ない。故障では無いのでこの点は覚えておこう。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはORICOのTCM2-C3-SV-BP。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。ケーブルはUSB Type-C/Type-CのものとUSB Type-C/Type-Aのものが付属している。
注意点その2
M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応モデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。
Acronis True Image 2021でデータを引越し
今回データ移行ソフトには「Acronis True Image 2021」の製品版を使用した。Spectre x360 13とSamsung純正のデータ移行ソフト「Samsung Data Migration 4.0」に相性問題があるようで、正常にデータのコピーが行えなかったためだ。
データバックアップソフトは、以前であれば無償版や体験版などでもOSデータのコピーが行えたが、現在はごく一部のソフトに限定されているので、基本的には有償版を使用することになるだろう。ソフトは相性問題が発生することもあるので、購入前に動作実績があるか調べてから導入することをおすすめしたい。
分解難易度は少し高め、ゴム脚破損に気を付ける必要有りなSpectre x360 13
ここからはSpectre x360 13(13-af018TU)の分解になるが、工具はプラスドライバー、先が細いマイナスドライバー、ヘラが必要になるので準備しておこう。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。
Spectre x360 13(13-af018TU)の背面側はネジが見えないが、ゴム脚の下にネジが隠れている。このゴム脚はマイナスドライバーやカッターなどで持ち上げて剥がせるが、失敗すると簡単にゴム脚が破損するので気を付けよう。ゴム脚の下に黒い固めのシートがあり、シートとゴム脚が外れないようにシートを持ち上げる必要がある。2層構造になっているので、両方合わせて外すかたちだ。
ゴム脚を外すとネジ穴が現れ、ネジ自体は簡単に外せる。ネジを外した後はヒンジのあたりの隙間にヘラを入れ、背面パネルを外す、背面パネルは複数個所が爪でとまっているので、少しずつ隙間を広げていき、爪を外していこう。
背面パネルを外せればSSDへのアクセスは簡単。SSDは金属プレートで保護されており、これはSSDと合わせてネジで固定されている。ネジを外して持ち上げればプレートは簡単に外れ、SSDにアクセス可能だ。
なお、SSDは水平に固定するタイプで交換時に苦労することは無いだろう。新しいSSDに交換したら金属プレートを固定し、背面パネルを元に戻せば換装作業は完了だ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
保証が切れている使い込んだノートPCなどであれば、SSDの換装は投資に見合った効果が得られやすいので、PCを買い換える前に試してみる価値はある。
SSD換装で空き容量は600GB以上増加、速度はシーケンシャルライトが向上
実際にSSD換装を行い、前後でどのように変わったのかも紹介しよう。
容量は600GB以上増加、長く使っていける容量に
まずは容量の面だが、もともと256GBのSSDだったので切迫していたわけではないが、長期間使うとなると少し空き容量にはゆとりが無い。画像や動画が無ければ256GBでも仕事などで困ることはめったにないが、写真や動画などを置くとなると256GB SSDでやりくりするのは若干工夫もいる。
1TB SSDであれば写真や動画などを置いてもそうそう簡単に容量が埋まってしまうことは無い。画像が多い資料やデータなどを扱ってもゆとりのある容量といえるだろう。今回の換装で、空き容量は202GBから885GBへと大きく増加した。長くPCを使うのであれば、1TBくらいのSSDを使いたいところだ。
シーケンシャル書き込みの速度が向上
速度の方はNVMe SSDからNVMe SSDへの換装なので大きな変化はないが、シーケンシャルライトの速度は倍程度に向上した。
世代の新しいSSDは500GBくらいからリードもライトも性能が高くなるので、換装時は500GB以上を選ぶことをおすすめしたい。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって延命などを図れるメリットは大きい。
今回とりあげたHP Spectre x360 13(13-af018TU)は、スペック的にはかなり高く、ストレージの容量さえあればかなり長く使えるモデルだ。CPUなどが大きく進化するまで長く使いたいといったようなユーザーであればSSD換装の恩恵はより大きくなるだろう。
気に入ったPCを延命したり、性能的に十分なPCを長く使いたいといったニーズに対して、ノートPCのSSD換装は環境を快適にする選択肢として有効な手段だ。
[制作協力:Samsung]