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配信者向けマイク本当に高音質?声優さんにElgatoの「WAVE:3」を試してもらったぞ!
解像度の高い声に、ヘッドセットのマイクから音質を上げたいユーザーへ text by 清水貴裕
2021年3月17日 00:01
ゲーム配信やフレンドとのボイスチャットなど、マイクの音質はゲーマーにとってデバイス選びの重要なファクターとなっている。
ノイズキャンセリング機能付きマイクを搭載する製品もあったりと、ゲーミングヘッドセットのマイク性能は向上しつつあるが、さらに音質を良くしたいという人も結構いるのではないだろうか。
本格的なミキサーとコンデンサマイクを導入するという手もあるが、繋ぐだけで動作するゲーミングヘッドセットよりはかなり敷居が高く、導入コストも当然上がる。
そこで気になるのが、最近増えつつあるUSB接続で使える配信者向けのマイク。これらの製品が手軽に音質を向上させたいというユーザーの要望を叶えてくれるものなのか、ストリーマー向けブランドのElgatoから販売されている「WAVE:3」を使ってテストしてみた。
そして、今回音質のチェックをしてくれるのはなんと本業の声優/役者さん!プロの意見も聞きつつ、「WAVE:3」の性能や使い勝手をチェックしていこう。
USB接続マイクの「WAVE:3」、エレクトレットコンデンサータイプで24ビット/96kHz対応
今回紹介する「WAVE:3」は、CORSAIRが展開するストリーマーやクリエイター向けデバイスに特化した「Elgato」ブランドから発売されている動画配信向けのエレクトレットコンデンサーマイク。「WAVE:3」はオーストリアの音響機器ブランド「LEWITT」と共同開発されたとうたわれている。
製品の主なスペックは、サンプルレートが48/96kHz、ビットレートが24bit、周波数特性が70~20,000Hzとなっており、本体サイズは153×66×40mm、重量はスタンド込みで約305gとなっている。接続は有線のUSB接続となっている。
外観はブラックで統一されておりデスク上に自然と溶け込みそうな印象。標準装備のU字型スタンドはマイクの角度調整が可能で、ぐらつきもなく安定感は抜群だ。スタンドの台座の裏面には滑り止めのラバーが貼り付けられている。
フロント下部には、ゲインやヘッドフォンの音量調整、PCとマイクの音量バランスを調整可能なマルチ機能ダイヤルを装備。リア下部にはヘッドフォン用の3.5mmジャックとPCと接続時に使用するTYPE-C型のUSBコネクタが備えられている。
機能面において特徴的なのが、音割れを防止する機能である「Clipguardテクノロジー」だ。入力値がピークに達すると音声入力ルートを切り替えることで音割れを防ぐとされており、大声で叫んだとしても音割れを防いでくれるとされている。
ソフトウェアも本製品の強みの一つで、ミキサーソフトの「WAVE LINK」を使って最大で9チャンネルの音量調整やミキシングが可能。また、キートップが液晶ディスプレイになっている同社の配信向け多機能キーボード「Stream Deck」シリーズでの操作にも対応している。
Elgato WAVE:3 | |
---|---|
マイクカプセル | 17mmエレクトレットコンデンサー |
マイク指向特性 | カーディオイド |
解像度 | 24ビット |
サンプルレート | 48/96kHz |
周波数応答 | 70~20,000Hz |
感度 | -25dBFS(最小ゲイン)/15dBFS(最大ゲイン) |
最大SPL | 120dB(Clipguard使用時140dB) |
ダイナミックレンジ | 95dB(Clipguard使用時115dB) |
本体側インターフェース | USB Type-C(USB 2.0接続で動作可能) |
サイズ | 153×66×40mm |
重量 | マイク+U-マウント 280g/ベース部305g |
パッケージ同梱物 | WAVE:3本体、USB Type-Cケーブル、卓上スタンド、 ブームアームアダプター、クイックスタートガイド |
解像感と厚みのある音質で録音できる「WAVE:3」、声を上げても音割れしないので配信にも好適!マイク音質はゲーミングヘッドセットのワンランク上
音質に関しては、アーティストや声優、ストリーマーなどプロに聞いた方が確実だ。今回は声優・役者の伊石真由さんに「WAVE:3」を実際に使ってもらい、音質や使い勝手などの感想を聞いてみた。
最近はYouTubeへの動画投稿やゲーム配信も積極的に行っているという伊石さんだが、声の仕事のプロは「WAVE:3」を使ってどう感じるのだろう。
また、ゲーミングヘッドセットのマイク音質も以前と比べるとだいぶ上がっているが、店頭などでは「もうすこし音質を上げたい」といった声も聞く。こうしたユーザー向けのアップグレードアイテムとして「WAVE:3」は適しているのか、CORSAIR製ゲーミングヘッドセット「HS60 HAPTIC」とマイク音質比較し、伊石さんに感想を聞いてみた。
なお、テストには配信ソフトのOBSを使用し、普段ゲーム配信をしている環境で試してもらっている。
――早速ですが、音質はいかがでしょうか、最近のゲーミングヘッドセットなどと比べても音は良いと感じましたか
[伊石さん]解像度の高さや厚みがある音質に感じましたね。ゲーミングヘッドセットのマイクも普段使いには全く問題ないと思いますが、「WAVE:3」の音質を知ると、単体マイクとゲーミングヘッドセットのマイクは音質がかなり違うと感じました。音質にこだわるなら「WAVE:3」がいいですね。
――セットアップは簡単にできましたか?使いやすいさの面ではどうでしょうか
[伊石さん]最初から本体にスタンドに付いた状態で、PCにケーブルを繋ぐだけで使えるので、機械音痴の私でも楽勝でした(笑)。繋いだ後はソフトを入れればすぐ使えるので、初心者の方とかPCに不慣れな方でも簡単に使い始められると思いますよ。
――操作性など、機器としての使い心地はどうでしょうか
[伊石さん]本体のダイヤルで音量調節できるのが便利だと思いました。私は結構声が大きいので、ゲーム配信でテンションが上がってくるとマイクの音量を下げたいと思う時があるんです。このマイクは手元ですぐに音量を変えられるのがいいですね。本体の上にあったミュートスイッチも便利でした。タッチするだけで切り替えられるので楽でいいです。
――「WAVE:3」は音割れ防止機能の「Clipguardテクノロジー」を搭載していますが、この機能は役に立ちましたか?
[伊石さん]実は使ってこの機能に一番驚きました。近くで大きい声を出しても音が割れませんし、喋るときに声の音量差がある人にはありがたい機能だと思います。ゲーム配信中って急にテンションが上がって大声になるときがあるじゃないですか?(笑)そういう時にこの機能があると本当にいいですよ!
――ソフトウェアミキサーの機能がこのモデルにはありますが、セットアップや操作は簡単でしたか
[伊石さん]OBSでも同じような設定がありますけど、こっちの方がグラフィカルで見やすい分設定しやすかったですね。設定したらOBSで選択するだけなのでその点もいいと思います。出力とモニターの音量を別々に調整できるのは便利ですね、ゲームの音量をもう少し上げて聞きたいときとかに役立ちますし。一点だけ残念な点を上げるとすれば、マイクのイコライザー設定が無い点ですね。ソフトのアップデートなどで追加できるのであれば是非お願いしたいです。
――使ってみて気に入ったり良かった部分などはありますか
[伊石さん]やっぱり音割れしないところですね(即答)。後はセットアップが簡単なところも気に入ったポイントです。今の配信PCの音声環境は、DTMなどにも使用できるオーディオインターフェースをPCに繋いでいるんですけど、繋ぎ方とかソフトの設定が大変でした。でも「WAVE:3」は組み立てからソフトの設定まで簡単だったのでこの手軽さはいいですね。プロアーティストが使っているようなマイクは導入できないけど、少しマイクの音質を良くしたいと思っている人には良いアイテムだと思いますね。
手軽に導入できて高音質、配信やボイスチャットのマイク音質を上げたいユーザーへ
USB接続で簡単にセットアップできる「WAVE:3」だったが、コンデンサマイクだけありヘッドセットのマイクと比べると音質の差は歴然だったようだ。
本体の音量調整スイッチやミュートスイッチ、音割れ防止機能やグラフィカルで直感的に操作可能なミキサーソフトウェアなど、機能面が充実している点もこの製品の特長だ。
本格的なマイクになってしまうと、オーディオインターフェースをPCに接続して、マイクをキャノンプラグで接続して……と手間も費用もかかるが、ケーブル一本接続すればで使い始められる「WAVE:3」の手軽さはとても魅力的だ。PCに不慣れなユーザーでも簡単に使えて音質も向上するので、配信環境の音質で悩んでいる人は導入検討する価値のある製品だろう。
[制作協力:CORSAIR]