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重いVRモードのMicrosoft Flight SimulatorもGeForce RTX 3070搭載PCならいける!
VRモードが遊べるゲーミングPCの性能のラインを探ってみた text by 坂本はじめ
2021年3月31日 00:01
Microsoft Flight Simulatorには、VRヘッドセットを使ってゲームをプレイできる「VRモード」が提供されている。ただ、通常モードでさえPCに高い性能を要求するMicrosoft Flight Simulatorにおいて、VRモードをプレイするために必要なPC性能がどれほど高いものになるのか心配なゲーマーも多いだろう。
そこで今回は、GeForce RTX 3070を搭載したハイパフォーマンスなゲーミングPCとVRヘッドセットを用意。実際にMicrosoft Flight SimulatorをVRモードでプレイして、どの程度の設定で遊べるのかチェックしてみた。
最低でもGeForce GTX 1080、推奨はGeForce RTX 2080 Tiを要求かなり重いVRモードのMicrosoft Flight Simulator
Microsoft Flight SimulatorでVRモードをプレイするためには、VRヘッドセットと、最低要件を満たすPCが必要だ。
VRヘッドセットについては、HP Reverb G2、HP Reverb G1、Samsung Odyssey+に最適化したとしているが、これ以外にも、主要なVRプラットフォーム(Windows Mixed Reality、Oculus、SteamVR)に対応したヘッドセットであれば利用できる。
PCについては通常モードより高い性能が要求されており、最低でもCore i5-8400以上のCPUや、8GB以上のVRAMを備えたGeForce GTX 1080以上のGPUが必要となる。推奨環境ともなるとCore i9-9900KにGeForce RTX 2080 Tiが要求され、かなりのハイエンドPCが必要になる。
GeForce RTX 3070に10コアCPU搭載のゲーミングBTO PCを用意
今回用意したPCは、ツクモのゲーミングBTO「G-GEAR」のGeForce RTX 3070搭載モデル「GA9J-J204/ZT2(カスタマイズモデル)」。CPUにCore i9-10900Kを搭載、メモリも32GB備えており、8GBのVRAM容量を除けば推奨スペックを満たしている。
なお、現在はチップセットがZ590になった後継モデル「GA9J-J211/ZT」が販売されており、これをベースにカスタマイズすることで今回レビューで使用してるPCとほぼ同等の構成にすることが可能だ。
片側1,440×1,600ドットのSteamVRヘッドセット「VALVE INDEX」を用意
VRヘッドセットには、SteamVRを提供しているVALVE社のVRヘッドセット「Valve Index(VRキット)」を用意した。
Valve Indexヘッドセットは、最大144Hz(80/90/120/144Hz)動作に対応したフルRGB液晶を搭載したVRヘッドセットで、解像度は片眼あたり1,440×1,600ドット。PCとの接続に用いるインターフェイスはDisplayPort 1.2とUSB 3.0。
今回用意したVRキットには、VRヘッドセット本体のほか、ベースステーションとモーションコントローラが同梱されている。
VRモードで他の表示デバイスでは味わえない没入感を体験!自分の動きと視点移動が連動し、飛行機内を歩くことも
実際にVRモードのMicrosoft Flight Simulatorを体験してみた印象だが、自分の動きと視点移動が完全に連動するVRヘッドセットの映像表現は、他の表示デバイスでは得られない素晴らしい没入感を与えてくれる。これは凄い!というのが第一印象だ。
視覚的な面ではVRモードのMicrosoft Flight Simulatorは素晴らしいのだが、操作の面では難しい部分もある。2021年3月時点の最新バージョンでは、VRモードで楽しめるのはVRヘッドセットによる映像表現とトラッキング機能のみで、モーションコントローラを用いた操作には対応していない。
このため、VRヘッドセットを装備しながら操作はマウスやキーボード、ゲームコントローラを用いて行う必要があるのだが、実際にこれらのデバイスを目視しながら操作できるわけではないので、慣れやコツなど掴む必要がある点は留意しておいた方が良いだろう。
なお、VRモードは通常の操作とは違った面白さもある。コクピットから身を乗り出して周囲の様子を眺めたり、小型機であれば操縦をAIに任せ、後部の客席に移動して乗客視点で楽しんだりと、VRならではの視点からMicrosoft Flight Simulatorでのフライトを楽しめるのも面白い部分だ。
GeForce RTX 3070搭載PCでVRモードは30fps前後でプレイ可能高画質設定で遊ぶならこのあたりのGPUを
今回用意したPCとVRヘッドセットで、Microsoft Flight SimulatorのVRモードを楽しめる設定を探った結果、VRヘッドセットとゲームのレンダリング解像度を100%(2,016×2,240ドット)にした状態で、通常モードのグラフィックプリセット「HIGH-END」に準じた描画品質に設定することで、30fps前後のフレームレートを実現できた。
VRヘッドセットのリフレッシュレートが80~144Hzであることを考えると30fpsは不足しているように感じるかもしれないが、実際にプレイしてみると、頭の動きに描画が追いつかないという破綻も起こらず、VRならではの映像表現を楽しむことができる。
なお、この設定で東京上空を低空飛行した場合、VRAMの使用量はほぼ8GBに達してしまう。これ以上のレンダリング解像度やグラフィック設定での動作を狙いたいなら、より多くのVRAMを備えた上位GPUの導入する必要がある。
この辺りは個人差があると思うが、筆者が試した限りでは、30fps前後出ていれば視点移動時に不快なことが無いラインをクリアできる印象だった。20fps前後になると視点を大きく動かした際に映像が破綻したりするので、楽しむのは難しい。10fps前後の差だが、快適かどうかという面ではかなり大きな差を感じた。
もちろん、将来90fpsなどを実現できるPCが登場した際は快適とするラインが変わると思うが、現状のPCの性能ではこの辺りがVRで遊べるかどうかのラインと判断しても良いだろう。ちなみに、画質設定を落として40fps前後の環境でも操作してみたが、30fps環境よりも若干滑らかになったかなといった程度で、20fps前後と30fps前後の間にあるような大きな差を感じることはなかった。また、Microsoft Flight Simulatorは画質設定で見える景色が大きく変わる。60fps以上を狙えるといったような状況でもなければ、30fpsの維持とVRAM容量に注意しつつ、画質優先で設定するのがおすすめだ。
Microsoft Flight SimulatorをVRで遊ぶならGeForce RTX 3070以上を搭載したPCを選ぼう
ただでさえ重たいゲームであるMicrosoft Flight SimulatorのVRモードということで、テスト前はハイエンドPCでもまともにプレイできるのかと心配していたが、GeForce RTX 3070を搭載したゲーミングPCであれば十分にVRモードの魅力を楽しむことができた。
もちろん、性能はまだまだ欲しいところではあるが、Microsoft Flight SimulatorでVRならではの没入感を味わってみたいゲーマーなら、今回テストしたPCを基準にVR環境を揃えてみてもらいたい。
[制作協力:ツクモ]