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PCIe 4.0対応の最新ノートPCでもSSD換装は可能、MSI Prestige 14 EvoのSSDを1TBに
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 浅倉吉行
2021年7月30日 00:00
今回SSD換装の事例として紹介するのは、第11世代Coreプロセッサーを搭載するMSIのモバイルノート「Prestige 14 Evo」だ。
2020年に発売されたTiger Lakeプロセッサ搭載モデルで、14インチで15.9mm厚/1.29kgと薄型軽量かつ、高速なNVMe SSDやWi-Fi 6、Thunderbolt 4ポート×2など最新インターフェイスも搭載している。最新世代モデルかつ保証期間も長く残っているため、今SSDを換装する必要性は低いが、PCIe 4.0世代の環境でもSSD換装はこれまで通り行えるのか検証してみたい。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
最新世代のモバイルノート「Prestige 14 Evo」のSSDをアップグレード
今回使用するPrestige 14 Evoは、2020年に発売されたノートPC。14型ながら約1.29kgと比較的軽量で、豊富なインターフェイスを備えているほか、Intelが提唱するノートPCのモダン化規格「Intel Evoプラットフォーム」認証モデルとなっているのも特徴。
換装に使用したモデルは型番「Prestige-14Evo-A11M-535JP」の製品。CPUに4コア8スレッドのCore i5-1135G7、メモリにLPDDR4X-3733 16GB、ストレージにNVMe SSD 512GBを備え、ディスプレイは14インチ/1,920×1,080ドットとなっている。
このほか、Wi-Fi 6対応無線LAN/Bluetooth 5.1、Windows Hello対応Webカメラ/指紋センサー、microSDXCカードリーダーなどの機能も搭載している。OSはWindows 10 Home 64bit。
MSI Prestige 14 Evo (Prestige-14Evo-A11M-535JP) | |
---|---|
CPU | Core i5-1135G7(4コア/2.4GHz/ブースト時4.2GHz) |
メモリ | LPDDR4X-3733 16GB |
ストレージ | NVMe SSD 512GB (PCIe 4.0 x4接続) |
GPU | Intel Xe Graphics |
ディスプレイ | 14インチ/1,920×1,080ドット |
OS | Windows 10 Home 64bit |
換装に使うのは1TB/NVMeのSamsung SSD 980 PRO
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 980 PROの1TBモデル「MZ-V8P1T0B/IT」。同じくインターフェイスはPCIe 4.0 x4レーンで、最大速度リード7,000MB/s・ライト5,000MB/sのNVMe接続モデルだ。
Samsung SSD 980 PROは250GB~2TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
NVMe SSD用の外付けケースは税込4千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用しているSSD外付けケースはAOTECHのAOK-M2NVME-U31G2C。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの取り付けも比較的簡単だ。
M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。また、モデルにより付属ケーブルのコネクタ形状も様々なので、自分が使用しているPCに適したケーブルが付属しているかも確認しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0ならPCIe 4.0環境でも動作
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。PCIe 4.0環境での移行だったが問題なく動作し、簡単にデータをコピーできた。
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを変えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、うまく動作しない際は参考にしてもらいたい。
分解工具はプラスドライバーとオープナーのみ、Prestige 14 Evoの分解難易度は低め
ここからはPrestige 14 Evoの分解になるが、工具は通常のプラスドライバーと爪をこじあけるためのケースオープナーのみで問題ない。事前に準備しておこう。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気を付けてほしい。それではPrestige 14 Evoの分解作業に入ろう。
背面パネルはネジとツメで固定されているが、パネル中央のネジは封印シールが貼られており、剥がさないと外すことができない。
シールを剥がしてネジを外した後は、パネルの隙間にヘラを入れて少しずつ隙間を広げればパネルが外れる。無理に広げると破損するおそれがあるので、慎重に行おう。
パネルを開けるとM.2スロットに直接アクセスでき、SSDの換装も簡単だ。なお、SSDはスロットに挿してからネジで固定するタイプだ。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。
また、分解時点で保証も失効してしまうので、今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択したり、メーカーの増設サービスを利用するのが無難だ。なお、MSIのノートPCであれば、追加の費用はかかるがMSI公認サポート店に持ち込むことで保証を失わずにストレージをアップグレードすることもできる。
PCIe 4.0世代のPCでもSSD換装は可能、将来容量不足になった際は一考の価値あり
今回は最新世代のノートPCを使用したため換装の前後による変化は小さいのだが、容量と速度の変化を一応確認してみよう。
まずは容量の面だが、Prestige 14 Evoには512GBのSSDが搭載されており、回復領域などを除いたシステム上から見た容量は476GB。一般用途であれば十分な容量だが、クリエイター用途なども考えるともう少し空き容量が欲しくなるかもしれない。
1TB SSDに換装すると空き容量は881GBとなり、OSの動作にも問題はなかった。PCIe 4.0世代でも正常に環境の移行が行えており、将来的に2TBや4TBのSSDが安価になった際は換装のメリットが明確になるだろう。
速度の方だが、同じPCIe 4.0 x4接続SSD同士かつ、世代もメーカーも同じ状況での換装となるので、シーケンシャルアクセスの最高速度や4Kランダムアクセスの性能などには大きな違いは見られなかった。1点、シーケンシャルアクセスのQ1T1の値が大きく伸びたが、7GB/sクラスのSSDを使用しているのであれば、換装で大きく速度が伸びる部分は少ない。PCIe 4.0世代のSSD換装は、多くのケースで容量増を狙って行うものになるだろう。
今回のレビューでは、PCIe 4.0環境でもSSD換装は行えるのかといった部分をテストするために行ったが、これまで使用していたユーティリティや機材を用いて問題なく行えることが確認できた。
Prestige 14 Evoのような最新世代ノートであれば、今SSDを換装するメリットはあまりないが、将来大容量SSDが手に入りやすくなった際にはSSDが換装できることに大きな価値が生まれる。今後も機会があれば最新環境でのSSD換装をテストするので、将来を見据えた買い物をする際に参考にしてもらえれば幸いだ。
[制作協力:Samsung]