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HDD搭載ノートのDell Latitude 15 3590を1TB SSDに換装、速度は4倍ほど高速化
SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 佐藤岳大
2021年9月28日 00:00
今回SSD換装の事例として紹介するのは、Dellの15.6インチノートPC「Latitude 15 3590」だ。
用意したのはCore i5-8250U/8GBメモリ/500GB HDD仕様のモデル。これを1TBのSATA SSDへ換装し、大容量化と高速化を狙う。換装の手順と合わせ、換装の前後でどれだけの変化があるのかを紹介しよう。
※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。
ビジネスノート「Latitude 15 3590」のSSDをアップグレード
今回使用するLatitude 15 3590はCPUや構成の異なるモデルが多数あるPCだが、今回換装を行ったのは第8世代のモバイルCoreプロセッサ(Kaby Lake-R)を搭載したモデル。
中古品として入手しているので、新品の時から若干の変更があるかもしれないが、CPUに4コア8スレッドのCore i5 8250U(ベース1.6GHz/ブースト時3.4GHz)、メモリにDDR4-2400 8GB(シングルチャネル)、ストレージに500GB HDDを備え、ディスプレイは15.6インチ/1,366×768ドット。
そのほか、1000BASE-T有線LANやWi-Fi 5無線LAN/Bluetoothなどを搭載している。OSはWindows 10 Pro 64bit。
Latitude 15 3590 | |
---|---|
CPU | Core i5-8250U(4コア/1.6GHz/ブースト時3.4GHz) |
メモリ | DDR4-2400 8GB |
ストレージ | 500GB HDD |
GPU | Intel UHD Graphics |
ディスプレイ | 15.6インチ/1,366×768ドット |
OS | Windows 10 Pro 64bit |
換装に使うのは1TB/SATAのSamsung SSD 870 QVO
今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 870 QVOの1TBモデル「MZ-77Q1T0B/IT」。最大速度リード560MB/s・ライト530MB/sのSATA接続モデルで、インターフェイスはSATA 6Gbps。
Samsung SSD 870 QVOは1TB~8TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。
HDDからSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介
ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。
2.5インチSSD用の外付けケースは税込千円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。
換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう
PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。
今回使用している外付けケースはORICOの2577U3-BK。2.5インチストレージに対応したUSB 3.2 Gen1接続のケースで、ツールレスでネジを回す必要がなく容易にストレージを取り付けることができる。
2.5インチ用の外付ケースの場合、厚みに関わらず利用可能な物がほとんどだが、ごく稀に7mm厚のものしか入らなかったりするなど、物理的な相性が出る場合もある。使用するSSD/HDDが何mm厚なのか、ケース側の対応状況も念のため確認してから購入しよう。
データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単
今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。
Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。
USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そうした際は、大概外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを替えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。
「Samsung Data Migration 4.0」を利用した際の外付けケースとの相性に関しては別記事で紹介しているので、そちらも参照してもらいたい。
今回の換装では、作業前にWindows Updateを実施したが、その過程でCドライブ領域がBitLockerによる暗号化が行われていたため、事前に解除する作業を行っている。
パーティションが暗号化されているのかどうかは、Windowsのコントロールパネル内の「BitLocker ドライブ暗号化」から状態で確認できる。暗号化されている場合はデータをクローンする際に解除してから行おう。暗号化されたままではデータのクローンは行えない。
今回のように、Windows 10の大型アップデートを適用した際に「Windows上の表示はBitLockerが有効化されていないが、データは暗号化されている」状態になることがある。もしくは一旦BitLockerをOS上で有効化し、その後無効化することで暗号化を解除できる。
BitLockerを解除してしまえばSamsung Data Migrationで正常にクローンを完了できる。
分解工具はプラスドライバーのみ、Latitude 15 3590の分解難易度は低難度
ここからはLatitude 15 3590の分解作業に入るが、工具は通常のプラスドライバーのみで問題ない。ケースオープナーがあるとパネルを外しやすいが、無くとも無理なく指で外すことが可能だ。
SSD換装時はPCを必ずシャットダウンし、機器の破損や故障を防ぐため、誤って休止などの状態で分解しないように気をつけよう。本機の場合、背面パネルを固定しているネジは10本だ。
背面パネルはネジとツメで固定されているため、簡単に外れる。ただし、無理に外そうとした場合ツメを破損するおそれがあるので、慎重に行おう。パネルを外した時点でHDDマウンタが露出しており、固定はネジ4本のみだ。
Latitude 15 3590は販売当時、M.2 NVMe SSD搭載モデルも販売されていたが、その関係でマザーボード上に空きM.2スロットが用意されていた。今回はHDDとの交換のため使用していないが、M.2 SSDを用意して別ドライブとして利用する手もある。
SATAケーブルを外したら、側面の4本のネジを外してマウンタからHDDを取り外そう。
後は手順を逆に、マウンタにSSDを装着して背面パネルを元に戻せば作業は完了。
換装が終了したら起動確認を行おう。
冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。
とはいえ、ストレージ以外の部分に不満が無いのであれば、PCを買換えるよりも、SSD換装はコストパフォーマンスが高いアップグレード方法になる。また、今回のようにメンテナンスが容易なモデルであれば換装そのものも容易なので試してみる価値はあるだろう。
SSD換装でシーケンシャルアクセスは速度は約4倍に、体感速度も大幅に向上
実際にSSD換装を行い得られたメリットも紹介しておこう。今回は容量と速度の2点を紹介する。
1TB SSDで空き容量は一気に拡大、より扱いやすいPCに
まずは容量の面だが、Latitude 15 3590には500GBのHDDが搭載されており、回復領域などを除いたシステム上から見た容量は約465GBだ。
1TB SSDに換装すると空き容量は901GBと2倍以上になり、それなりにゆとりのあるものになる。音楽や写真などのライブラリを構築したり、多数の仕事のファイルを置きっぱなしにしたりと、一般的な用途であれば容量を意識しない使い方ができる。Windowsの大型アップデートなどにもゆとりをもって対応できる容量だろう。
SSD換装で速度は全体的に大幅向上、ランダムアクセスの大幅向上で快適さは別物
HDDからSSDへの換装は速度面での効果が非常に大きく、メリットが大きい。
今回のケースでもそれは数値に表れており、ベンチマークの結果は全項目で換装後の方が高速となり、シーケンシャルアクセスは約4倍、ランダムアクセスでは比較にならないほどの差が出る結果となった。HDDからSSDへの換装は、数値だけで無く体感速度もかなり向上するので、非常に効果的だ。
Windwos 11への対応もOK
ちなみに、今回使用しているDellのLatitude 15 3590はWindows 11の要件を満たしており、将来的にWindows 11にアップグレードすることも可能だ。SSDへのアップグレードを行っているので、Windows 11へOSをアップグレードした際も快適に使えるだろう。
現在利用しているPCがWindows 11へ対応しているかは、Windows 11の公式サイトで公開されている「PC 正常性チェック アプリ」を利用して確認できる。
ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。
今回とりあげたDellのLatitude 15 3590はHDD搭載モデルであったが、SSDへの換装は追加コストを抑えつつ快適さを手に入れられる有効な手段だ。折角の4コアCPUの処理性能を活かす上でもストレージの速度は重要なポイントになる。
今回のようなHDDを搭載しているPCのSSD換装は体感面でも大きな変化があるので、使用しているPCにモタつきなどを感じているのであれば検討してもらいたい。またSSDは物理的な衝撃も強いので、故障率を下げるという面でも効果があるだろう。
[制作協力:Samsung]