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13.3型軽量ノート「LAVIE Pro Mobile」を1TB NVMe SSDへ換装、大容量SSDで長期間使えるPCに

SSD換装大全、ノートPCの分解からデータ移行まで徹底解説 text by 新井将彩成

 今回SSD換装の事例として紹介するのは、2021年に発売されたNECのビジネス向けノートPC「LAVIE Pro Mobile」。

 13.3インチで持ち運びに適した設計ながら、カーボン素材を採用した超軽量&堅牢ボディやフルHD(1,920x1,080ドット)解像度に対応したディスプレイを搭載した、薄型ビジネスノートだ。

 用意したのは、Core i5-1135G7(4コア/8スレッド)と8GBのメモリ、512GBのPCIe接続SSDを搭載した型番「PC-PM550BZL-2」のモデル。かなり新しいモデルなので性能的に不満はないが、ストレージ容量のみ若干少ないので、1TB NVMe SSDに換装し大容量化を図ってみた。

※ノートPCの分解行為やパーツの換装はメーカー保証外の行為となります。この記事を読んで行った行為によって、仮に損害が発生しても弊誌および、メーカー、販売ショップはその責を負いません。

LAVIE Pro Mobileの512GB SSDを1TB SSDへ換装、長期利用を想定して大容量化

 今回用意した「LAVIE Pro Mobile」は、薄型軽量な13.3インチビジネスノートPC。持ち運びに最適な設計になっており、重量は約889g(内蔵バッテリパック含む)とかなり軽量。オフィスアプリ「Microsoft Office Home & Business 2019」もインストールされていた。

 中古品として入手しているため新品時から若干の変更点はあるかもしれないが、大まかなスペックは、CPUがIntel Core i5-1135G7(4コア/HT対応,/ベース時2.4GHz/ブースト時4.2GHz)、メモリがLPDDR4X 8GB、ストレージが512GBのM.2型NVMe SSD。ディスプレイは13.3インチ/1,920x1,080ドットで、OSはWindows 10 Home 64bit。

 搭載インターフェイスはUSB 3.1 Gen1 Type-A×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-C×1(USB PD 3.0対応,ACアダプタの接続ポート兼用,映像出力対応)、ヘッドフォンマイクジャック。また、映像出力にHDMIが利用可能。そのほか、92万画素の720pカメラ、顔認証、無線LAN(IEEE802.11ax)、Bluetooth、microSDカードリーダーなどを備える。

LAVIE Pro Mobile(PC-PM550BZL-2)
CPUCore i5-1135G7(4コア/HT対応,/ベース時2.4GHz/ブースト時4.2GHz)
メモリLPDDR4X SDRAM/オンボード 8GB
ストレージPCIe SSD 512GB
GPUIntel Iris Xe Graphics
ディスプレイ13.3インチ/1,920×1,080ドット
OSWindows 10 Home

搭載されていたのは512GBのM.2 NVMe SSD「TOSHIBA XG6(KX6GAZNV512G)」

 「LAVIE Pro Mobile」にはM.2 SSDの「TOSHIBA XG6(KX6GAZNV512G)」が搭載されていた。NVMe接続で容量は512GB。速度・容量共に必要十分なスペックを有しているが、長期的に使うとなると512GBの容量では不安という方も居るだろう。

PCに搭載されていたM.2 NVMe SSD「TOSHIBA XG6 512GB(KX6GAZNV512G)」。
CrystalDiskInfoによるステータス。

換装に使うのは1TBのNVMe SSD「Samsung SSD 980 PRO」

 今回換装に使用するSSDは、Samsung SSD 980 PROの1TBモデル(MZ-V8P1T0B/IT)。最大速度はリード7,000MB/s、ライト5,000MB/s。NVMe接続モデルで、インターフェイスはPCIe 4.0 x4レーン。

換装予定のSamsung SSD 980 PRO(MZ-V8P1T0B/IT)。
CrystalDiskInfoによるステータス。

 Samsung SSD 980 PROは250GB~2TBまでの4製品がラインナップされているので、SSD換装に使用する際は予算や使用する容量に合わせて選ぶと良いだろう。

●NVMe SSD換装時の注意点

 ノートPC側のM.2スロットは製品により仕様が異なり。PCI Expressのレーン数や世代の違いで、モデルによってはSSDの公称値通りの性能が出ないケースもある。

 今回のPCはM.2スロットがPCIe 3.0×4レーン仕様のモデルで、PCIe 4.0×4レーン接続のSamsung SSD 980 PROを使用した場合、SSDはPCIe 3.0レーン×4動作となるため、速度は公称値の半分程度が最高速となる。これは故障では無いので覚えておこう。

古いSSDから新しいSSDに引っ越し、データの移行からPCの分解まで一式紹介

 ここからは実際にSSD換装を行う際の手順を紹介しよう。換装する際はSSD外付けケースとデータ移行ソフトを用意すると簡単だ。

 M.2型のNVMe SSD向け外付けケースは2,500~4,000円前後で入手可能、データ移行ソフトは大手メーカーのSSDであれば付属していることが多い。両方事前に準備しておこう。

換装するSSDをUSB外付けケースに搭載、データコピーの準備をしよう

 PCのデータを丸ごと引っ越し先のSSDにコピーするため、換装用SSDを外付けケースに搭載しよう。

 今回使用している外付けケースはAOTECHの「AOK-M2NVME-U31G2C」。NVMe SSDに対応したUSB 3.2 Gen2接続のケースで、SSDの装着も比較的容易にできるタイプだ。

 また、付属のケーブルはType-A to C,Type-C to Cと2種類のケーブルが同梱されているため、ノートPC側のコネクタが合わないという失敗も回避できるだろう。

●1 SSD外付けケース「AOK-M2NVME-U31G2C」と換装するSSDを準備。
●2 SSD外付けケースのネジを外し中の基板を取り出す。
●3 基板にSSDをネジで固定する。「AOK-M2NVME-U31G2C」は裏側からネジで固定する仕組みになっている。
●4 SSDを基板に固定。
●5 基板にSSDを装着したらケースへ収納し、側面の蓋を閉めてネジ止めする。
●6 PCに接続して準備完了。
●M.2 SSD用の外付ケースの注意点

M.2 SSD用の外付ケースは、NVMeのみに対応したモデル、SATAのみに対応したモデル、NVMe/SATA両対応のモデルがある。購入時には使用するSSDに合わせ対応したモデルを購入しよう。

データの移行はSSD付属ソフトが便利、Samsung Data Migration 4.0なら簡単

 今回データ移行ソフトには「Samsung Data Migration 4.0」を使用した。Samsung製SSDで利用できる専用のユーティリティで、操作もかなり簡単だ。

 Samsungのサポートページからダウンロード可能で、項目を選択していくだけで作業は簡単に終わる。

●1 Samsung公式サイトのSSDツールとソフトウェアのページから「Samsung Data Migration 4.0」をダウンロードする。
●2 Samsung Data Migration 4.0をセットアップし、起動させる。
●3 画面下側にあるターゲットドライブの項目を指定する。移行先のSSD(今回はSamsung SSD 980 PRO 1TB)を選択しよう。
●4 移行先のドライブのデータが全て消去される旨のダイアログが表示されるのでOKを選択。なお、安全にデータ移行時を行うため、他のアプリケーションを起動したり、ながら作業をするのはやめよう。
●5 進行状況はプログレスバーで表示される。コピーされるデータ量は86GBほどで、実際に要した時間は約9分30秒程度だった。
●6 データのコピーが完了すると自動的にPCはシャットダウンされる。
●外付けSSDケースとクローンソフトの相性に注意

USB接続の外付けケースを用いたSSD換装の注意点になるが、移行ソフトとの相性などによりデータのコピーが正常に行えないときがある。そういった状況の場合は外付けケース側のUSBコントローラとの相性に問題がある可能性が高いので、ケースを替えるか、デスクトップPC上でデータのコピーを行うなどテストしてみてもらいたい。

Samsung Data Migration 4.0であれば、代理店のITGマーケティングがNVMe SSD用の外付けケースの動作確認表を公開しているので、そちらも合わせて確認しよう。

ドライブを暗号化するBitLockerに注意!
データのクローンを行う前に暗号化を解除しよう。表示上はBitLocker無効だが、実際にはデータが暗号化されている場合もあるので注意。その際は「Bitlockerを有効にする」を選択し、その後無効化すれば解除される。

 Windows Updateの過程でCドライブ領域がBitLockerにより暗号化されている場合がある。そういった場合にはクローン作業の前に暗号化の解除が必要だ。最近のバージョンではHome/Proといったエディションを問わず有効化されていることがあるので、作業前に確認してもらいたい。

 パーティションが暗号化されているのかどうかは、Windows設定内の「デバイスの暗号化」から状態で確認できる。暗号化されている場合はデータをクローンする際に解除してから行おう。暗号化されたままではデータのクローンは行えない。

 暗号化を解除すれば、Samsung Data Migrationで正常にクローンを完了できる。

LAVIE Pro Mobileの分解はかなり簡単、ストレージ換装であれば精密ドライバーだけで可能

 ここからは「LAVIE Pro Mobile」の分解になるが、工具は精密ドライバー(プラス)が必要なので準備しておこう。

 SSD換装時はPCを必ずシャットダウンした状態で行う必要があるので注意。機器の破損や故障を防ぐため、誤ってスリープモードなどの状態で分解しないように気を付けてほしい。分解作業は背面パネルのネジを精密ドライバーで全て外せばカバーを少し浮かすだけで簡単に内部にアクセスすることが可能。

●1 PCをシャットダウンし、LAVIE Pro Mobileの背面パネル側のネジ位置を確認。
●2 ネジは全て精密ドライバー一本で外せる。筐体にもよるだろうが、ネジがしっかりと締められているので、穴が潰れないようゆっくり慎重に外していく。
●3 ネジを全て外しパネルを開ける。手前に爪があるため、奥の方から手前側に引いていくような感覚でパネルを上げていく。
●4 筐体内部、ストレージは画像左中央の部分。
●5 バッテリーの接続コネクタの位置を確認。バッテリーコネクタ用の固定テープがコンデンサ上に貼られているため、剥がす際には注意が必要だ。
●6 コネクタを外す際にはまず、バッテリーに書かれた矢印部分のネジを外す必要がある。
●7 こちらもネジがしっかりと締められているので、穴が潰れないようゆっくり慎重に外していく。
●8 バッテリーのコネクタを抜き、完全に電源が断たれた状態にする。

 内部はそれほど複雑ではなく、M.2スロットに直接アクセスできる。なお、SSDはスロットに挿してからネジで固定するタイプだ。交換の際にはスロットにSSDがしっかりと刺さっていることを確認しよう。

●9 ストレージ用のスロットは1つだけのようなので、固定しているネジを外し換装前のSSDを取り外す。ここのネジは小さいうえに、完全に外れるため紛失には注意しよう。
●10 データをコピーした換装用のSSDに挿し替え、固定用ネジを取り付ける。
●11 装着が済んだら背面パネルを元に戻そう。手前側のツメを合わせパネルをネジ止めする。
●12 換装後の起動確認をして作業完了。

 冒頭にも記載しているが、基本的にノートPCの分解行為はメーカー保証外の行為となるため、これにより故障した場合は保証が受けられない。特に今回のように登場からそれほど時間が立っていないモデルは、残りの保証期間を失うのがもったない面もあるので、今から新品のノートPCを購入する場合は元々ストレージ容量の多いモデルを選択するのが無難だ。

 とはいえストレージ以外の部分に不満が無いのであれば、PCを買換えるよりも、SSD換装はコストパフォーマンスが高いアップグレード方法になる。また、今回のようにメンテナンスが容易なモデルであれば換装そのものも容易なので試してみる価値はあるだろう。

大容量SSDへの換装で空き容量は2倍以上にアップ、転送速度も若干向上

 実際にSSD換装を行い、前後でどのように変わったのかも紹介しよう。

空き容量は大幅に増加、データの持ち運びも快適

 まずは容量の面で見ると、換装前の空き容量は389GB。ゆとりがないわけではないが、長期的に使う場合や、用途によっては使い切る可能性もある容量だ。

 換装後の空き容量は、824GBと2倍以上にアップ。これにより内部ストレージへデータを気兼ねなく置けるようになり、大容量なアプリケーションであってもいろいろとインストール可能になる。Windows 11へアップグレードする場合や、大型アップデートを適用する際などは、数十GB単位で空き容量が要求されることもあるが、これなら心配ないだろう。

換装前の512GB SSD「TOSHIBA XG6 512GB(KX6GAZNV512G)」。
空き容量は389GB。長期間使用するのであればもう少し容量が欲しいところ。
換装後の1TB SSD「Samsung SSD 980 PRO(MZ-V8P1T0B/IT)」。
空き容量は824GBと2倍以上に、大容量のデータファイル等を気兼ねなく保存できるようになった。

SSD換装で速度も若干向上

 Crystal Disk Mark 8.0.4の実行結果。大容量化によって全体的に余裕ができたほか、ベンチマークの数値を見て分かる通り、リード/ライト共に若干だが速度が向上している。

 CPUの世代的にはPCIe 4.0x4レーンに対応しているノートPCもあるので、今回PCIe 4.0x4レーン対応のSamsung 980 PRO 1TBを準備したが、「LAVIE ProMobile」のM.2スロットはPCIe 3.0×4レーン仕様だったため、Samsung SSD 980 PRO 1TBはPCIe 3.0接続で動作することになり、公称値の半分前後が最高速となった。

 Samsung SSD 980 PRO 1TBのシーケンシャルリードの公称値は7GB/sとされているので、約3.5GB/s出ていればPCIe 3.0環境ではSSDの性能はしっかり引き出せていると言えるだろう。ノートPC側のスペックに合わせるという面で見れば、PCIe3.0x4レーン対応のSamsung SSD 980や970 EVO Plusでも仕様的にはその性能を十分に引き出せそうだ。

換装前の512GB SSD「TOSHIBA XG6 512GB(KX6GAZNV512G)」。
速度は一般的なPCIe 3.0対応のNVMe SSDといったところ。
換装後の1TB SSD「Samsung SSD 980 PRO(MZ-V8P1T0B/IT)」。
PC側の制約でPCIe 3.0接続となるので公称値通りの結果とはいかないものの、速度は十分に出ている。

Windows 11への対応もOK、SSD換装で長期的に使えるPCに

 今回使用している「LAVIE Pro Mobile」は将来的にWindows 11にアップグレードすることも可能だ。SSDへのアップグレードを行っているので、Windows 11へOSをアップグレードした際も快適に使えるだろう。

 PCメーカーがWindows 11への対応状況を公開していない場合などは、Windows 11の公式サイトで公開されている「PC 正常性チェック アプリ」から確認しよう。使用しているPCがWindows 11へ対応しているのか、逆に対応していない部分はどの部分なのかを確認できる。

Windows 11の公式サイトでは「PC 正常性チェック アプリ」が公開されており、使用中のPCがWindows 11の要件を満たしているか確認できる。
今回使用している「LAVIE ProMobile」はWindows 11の要件を満たしており、SSD換装で容量を増やしたことでWindows 11へ将来的にアップグレードする際にも安心だ。

 ノートPCのSSD換装はメーカー保証外の行為となることが多くリスクはあるものの、換装によって得られるメリットは大きい。

 今回換装作業を行った「LAVIE ProMobile」は、第11世代CoreシリーズCore i5-1135G7を搭載するなど性能的には十分なモデルだ。13.3インチ/フルHDの液晶に、薄型で889gとモバイルにも適している。元のSSD容量だけ気になるところだったが、今回の換装でストレージの空き用容量も大きく増やせたので、当分困ることも無いだろう。また、Windows 11へのアップグレードにも対応しているので将来的にも長く使えるはずだ。

 PCを買い換えるほどではないといった場合や、予算を抑えて環境を快適にしたいというユーザーは、ノートPCのSSD換装もPCを快適にする選択肢の一つとして考えてみてはいかがだろうか。

[制作協力:Samsung]