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4万円割れで170Hz/27型/WQHD/湾曲と全部入り、高コスパゲーミングモニター「MSI G272CQP」

初めてのゲーミングモニターに、フルHDからのアップグレードにもオススメ text by 坂本はじめ

 今回紹介するMSIの「G272CQP」は、最大170Hz表示が可能なWQHD湾曲液晶パネルを採用する27型ゲーミングモニターだ。

 2,560×1,440ドットの高精細表示と、ゲーミングモニターならではの高速駆動を両立しつつ、安値店の販売価格は39,820円と4万円割れで入手できる「G272CQP」は、フルHDゲーミングモニターからのアップグレードにも適した一台。表示性能に優れた本格的なゲーミングモニターを探しているゲーマーは是非チェックしてもらいたい。

WQHD解像度で170Hz駆動を実現する27型の湾曲ゲーミングモニターPCデスクでの使用に馴染む湾曲率1,000Rのパネルを採用

 「MSI G272CQP」は、湾曲率1,000Rの液晶パネルを採用した27型ゲーミングモニター。本体サイズは607×267×426mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約6.1kg。

 液晶パネルはVA方式で、画面解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)、最大リフレッシュレートは170Hz。応答速度は1ms(MPRT)で、FreeSync PremiumやHDRに対応。液晶パネルは広色域対応で、sRGBカバー率98.1%、DCI-P3カバー率90.4%と高い色再現性を備えている。

27型の湾曲ゲーミングモニター「MSI G272CQP」。
没入感を高める湾曲率1,000Rの液晶パネルを採用。
WQHD(2,560×1,440ドット)解像度で最大170Hzのリフレッシュレートを実現。HDRにも対応している。
広色域に対応したVA方式の液晶パネルを採用。sRGBカバー率は98.1%で、DCI-P3カバー率は90.4%。

 映像入力端子はDisplayPort 1.2a(1基)とHDMI 2.0b(2基)で、音声出力用にヘッドホン出力端子を備えている。最大リフレッシュレートの170HzはDisplayPort接続時にオーバークロック設定を用いることで実現しており、オーバークロック無効時のDisplayPort接続は165Hz、HDMI接続では144Hzが最大リフレッシュレートとなる。

 そのほか、本体背面には電源スイッチとOSD操作用のジョグスイッチを搭載。電源は外付けとなっており、ディスプレイ本体への電力供給は同梱のACアダプタで行う。

映像入力端子はDisplayPort 1.2a(1基)、HDMI 2.0b(2基)。ヘッドホン出力も備えている。
170Hz駆動はDisplayPort接続時に「DPオーバークロック」を有効にすることで実現している。
電源スイッチやOSD操作用ジョグスイッチは本体右側裏に配置されている。
ディスプレイ本体への電力供給は同梱のACアダプタで行う。

付属のディスプレイスタンドは高さと上下角度を調整可能VESA100対応でディスプレイアームも利用可能

 「G272CQP」に付属しているディスプレイスタンドは、高さと上下角度の調整に対応している。調整範囲は、高さが0~130mm、上下角度が-5~20度となっている。

 また、同梱のスペーサーを使用することで、VESA100規格のディスプレイアームを利用することもできる。PCデスクなどに設置するのであれば標準のディスプレイスタンドでも十分な調整が可能だが、より柔軟に画面の位置を調整したいのであればディスプレイアームの利用を検討しても良いだろう。

付属のディスプレイスタンド。高さ調整と上下角度調整(チルト)に対応している。
同梱のスペーサーを取り付けることでVESA100規格のディスプレイアームが利用できる。
上下角度調整機能により、下向きに5度から上向きに20度までの範囲で上下角度を調整できる。
高さ調整機能により、0~130mmの範囲で画面の位置を変更できる。

ゲーミング向け機能の「ナイトビジョン」や「アンチモーションブラー」を搭載

 「G272CQP」にはゲーミング向けの機能として、暗所の視認性を高める「ナイトビジョン」や、黒画面を挿入して残像感をおさえる「アンチモーションブラー(MPRT)」、AMDの可変リフレッシュレート技術「FreeSync Premium」などの機能が搭載されている。

 また、画面のチラつきを抑える「アンチフリッカー」や、ブルーライトを軽減する「ブルーライトカット」など、長時間のゲームプレイで生じる身体への負担を軽減できる機能も搭載している。

暗所の視認性を高める「ナイトビジョン」や、「アンチモーションブラー」が利用できる。
アンチフリッカーは標準で有効になっており、ブルーライトカット機能はOSDで「低ブルーライト」を有効にすることで利用できる。
AMDのFreeSync Premiumに対応しており、DisplayPort接続時にAdaptive-Syncを有効にすると可変リフレッシュレートが利用できる。
認証を取得している訳では無いが、Adaptive-Sync有効時にはGeForce RTX 3090でG-Sync Compatibleを有効にすることができた。

PS5とは「フルHD/120Hz」または「4K/60Hz」で接続可能

「G272CQP」はPS5との接続でもゲーミングモニターらしい表示性能を発揮できる。

 PC向けのゲーミングモニターである「G272CQP」だが、DisplayPortやHDMI出力を備えた機器ならPC以外も接続することは可能だ。特に、ゲーム機である「PS5」との接続では、ゲーミングモニターならではの表示性能を生かすことができる。

 PS5と「G272CQP」を接続した場合、PS5側の映像出力を「フルHD(1080p)/120Hz」または「4K(2160p)/60Hz」に設定できる。「G272CQP」の画面解像度はWQHD(1440p)なので、PS5が出力した4K映像をそのまま表示することはできないが、フルHD時よりも高精細な映像が得られる。

「G272CQP」と接続したPS5では、画面解像度をフルHD(1080p)と4K(2160p)から選べる。
PS5の映像出力を4Kにした時のOSD表示。4Kで映像が入力されていることが分かる。
PS5側で120Hz出力を有効にすることが可能。ただし、120Hz出力時の画面解像度はフルHDが上限となる。
PS5と「G272CQP」の組み合わせではHDRを有効にできる。

HDRとハイフレームレートで鮮やかな映像でアクションゲームが楽しめる

 ここからは「G272CQP」をゲーミングPCに接続して、実際にゲームをプレイしたさいの使用感を紹介していく。

 最初にプレイしたのは「モンスターハンターライズ:サンブレイク」。ハイフレームレートやHDRに対応する本作は「G272CQP」との相性は上々で、スムーズかつ鮮やかな映像での狩猟体験を楽しめる。

モンスターハンターライズ:サンブレイクはHDRやハイフレームレートに対応しており、「G272CQP」の表示能力を最大限に生かせるタイトルだ。
HDRを有効にした画面。明暗の諧調が細かくなるだけでなく、色も協調されて鮮やかな映像になる。
HDR無効のSDRで表示した画面。「G272CQP」の液晶パネルは発色が良いのでHDR表示とは違った鮮やかさがある。

 また、湾曲パネルによって画面全体が自然と視界に収まるため、HPやスタミナの把握もしやすく、より快適にプレイすることができた。今回用意したゲーミングPCでは常に170fpsを維持することが可能だったが、性能が足りないPCではAdaptive-Syncを有効化して可変リフレッシュレートを活用するのも良いだろう。

美しいHDR表示と効果的過ぎるナイトビジョン機能、雰囲気を楽しみたいゲームにも好適

 オープンワールドアクションRPGの「エルデンリング」は、フレームレートの上限は60fpsに制限されているものの、HDR表示には対応している。

 エルデンリングのHDR表示は、モンスターハンターライズ:サンブレイクのような色鮮やかさを強調したものではないが、HDRによる階調表現の向上とG272CQPが備える液晶パネルの色再現性の高さによって、やや色褪せた印象のあるエルデンリングの世界を美しい映像で楽しめる。

「G272CQP」は、色褪せた印象のあるエルデンリング世界をHDRの豊かな階調表現で美しく表示できる。
HDR有効時の洞窟内。光の無い洞窟は暗く周囲の地形も視認しづらい。
ナイトビジョンを「強」で有効にした場合。HDR表示では見えなかった周辺の地形が視認できる。

 HDR表示で美しい映像が得られる一方、暗い場所を探索する機会の多いエルデンリングでは、「G272CQP」が備える「ナイトビジョン」が極めて大きな効果を発揮する。視認性の悪い洞窟などでナイトビジョンを利用すると、無効時にはほとんど見えない周辺の地形が見えてしまう。当然プレイはしやすくなるが、いささか効果的過ぎるようにも感じるレベルだ。

 「G272CQP」のナイトビジョン機能はHDR有効時には利用できないため、HDRの美しい映像でエルデンリングの世界感を楽しむか、ナイトビジョンを使ってプレイの効率を優先するのかは、プレイヤーの選択次第ということになる。

170Hzの高速駆動はFPSやバトルロイヤルでも効果的、勝ちたいゲーマーへ

 FPSやバトルロイヤルゲームは、ハイフレームレートが特に重要とされるゲームジャンルだ。バトルロイヤルFPSであるエーペックスレジェンズもそのひとつで、「G272CQP」の170Hz駆動はゲームの快適性を向上させる効果がある。

エーペックスレジェンズは170Hzの高速表示が効果を発揮する。
斜めから見るとこのように大きくカーブを描いて見えるが、真正面から見ると違和感のある歪みは感じない。FPSなどを楽しむ場合は画面の自分の位置を意識して使用しよう。
最大170Hz駆動に対応するG272CQPだが、HDMI接続時は144Hz駆動が上限になってしまう。ハイフレームレートを追求するなら、必ずDisplayPortで接続しよう。

 FPSなどで勝利を追求するゲーマーの間では、グラフィックの品質や画面解像度よりフレームレートの方が重視されることが多い。360Hzや240Hzに対応した製品も存在するので、170Hz対応の「G272CQP」はベストな選択肢という訳ではないが、FPS向けゲーミングモニターの標準となっている144Hz表示は上回っており、これらのジャンルでも十分に通用するゲーミングモニターだ。

 また、湾曲パネルに関しては、フラットパネルでのプレイ歴が長いゲーマーは多少慣れが必要な場合もあるが、パネルと真正面から向かい合っていれば画面全体が自然と視界に収まるため、湾曲による歪みはあまり気になることもないだろう。

初めてのゲーミングモニターにもおすすめ4万円割れで入手できるMSIの高コスパ湾曲ゲーミングモニター

 170Hz対応の27型WQHD湾曲ゲーミングモニターであるMSI G272CQPは、HDR表示だけでなくSDR表示でも美しい色でゲーム画面を表現できる表示性能を備えており、多くのゲームを快適にプレイできる汎用性の高いゲーミングモニターだった。

 複数ショップで39,820円で販売され、4万円割れで入手できることを考えると、「MSI G272CQP」が備える表示性能や機能はかなり優秀だ。初級者にはもちろんフルHDゲーミングモニターからのアップグレードを検討しているユーザーにも広く推奨できる。特に、1,000Rの湾曲パネルを違和感なく配置できるPCデスク上など、パーソナルな空間に設置するゲーミングモニターを求めているのであれば、選択肢に加えて検討すべき一台である。

[制作協力:MSI]