特集、その他
Surfaceを「モバイル2画面」で快適活用、
見開き電子書籍から無音キーボードまで
「2画面Surface Pro 3」? text by 日沼 諭史
(2014/10/22 12:05)
タッチパネルを採用した10インチモバイル液晶「On-Lap 1002」は、以前本誌でも紹介したが、そのコンパクトさからくる機動性の高さと応用性の高さが魅力。デスクトップPCはもちろん、ノートPCも簡単にデュアルディスプレイで使えるうえ、タッチ操作も可能とあって、徐々に人気が高まっているという。
そんなOn-Lap 1002の専用アクセサリーとしてつい最近登場したのが、「Sleeve Stand 1002」(実売価格3,480円程度)と呼ばれるソフトケース。On-Lap 1002を収納するケースになるだけでなく、スタンドとしても使えるスグレモノで、On-Lap 1002ユーザーのモバイルライフは充実の一途にあると言えよう。
というわけで、ますます面白味が増してきたOn-Lap 1002を、同じく勢いがついてきたWindowsタブレットと組み合わせることで新しい使い方ができないか、と考えたのが今回のテーマ。
Windowsタブレットの代表格であるSurface Pro 3を例に、見開き電子書籍リーダーや、ソフトキーボードの活用、そして基本のプレゼンテーション、出先でのデュアルディスプレイなど、目新しい使い方からオーソドックスな使い方まで検証してみたので参考にして欲しい。
~まずは復習~モバイルディスプレイ「On-Lap 1002」とは?
まずはOn-Lap 1002をあまり知らない人のために、改めて簡単に紹介しておこうと思う。
On-Lap 1002は、10.1インチ(1280×800ドット)のLEDバックライトIPS液晶を搭載した、10点マルチタッチ対応のGeChic製ディスプレイ。タブレット端末のような軽さ、コンパクトさが特徴で、サイズは幅275×高さ193×厚さ10mmほど。
本体に備えるHDMIポートとUSBポートをPCに接続することで、PC上では通常のディスプレイとして利用でき、Windows 7/8などの対応OS上ではタッチ操作も可能になる。また、PCにメインディスプレイを接続している場合は追加ディスプレイとして動作し、デュアルディスプレイ環境を実現できるわけだ。
なお、入力コネクタがminiHDMIとmicroUSBのため、Surface Pro 3と接続する場合はMiniDisplayPort - HDMI変換ケーブルが必要になる。そのほかのWindowsタブレットでは、HDMIをそのまま出力できるものもあるので、「2画面利用」を前提で考えるなら、そうした製品の方がすっきり配線できる。ちなみに、On-Lap 1002付属のUSBケーブルは電源補助用の追加USBコネクタもついているが、Surface Pro 3では1コネクタを接続するだけで利用できた。
また、付属の金属製カバーを用いることで、使いやすい角度で設置したり、VESA規格のマウントと組み合わせてさまざまな場所に固定できるようにもなっている。
コンパクトさを活かして出先に持ち運んで使うのもアリだし、小型のノートPCでも手軽にデュアルディスプレイ化して広いデスクトップを利用するのもOKだ。Intel NUCなどと一緒に使うと、電源さえ確保できれば超小型モバイルデスクトップPC環境を容易に実現できてしまう潜在能力の高さがある。
詳細については、以前の記事も参考にして欲しい。
触り心地のいいスタイリッシュな専用ケースが登場!
そして、今回の企画のキッカケにもなったのが、ここへ来て登場した専用のソフトケース「Sleeve Stand 1002」。
表面は滑らかな肌触りのスエード地で、On-Lap 1002をすっぽり収納して安全に持ち運べる。収納すると、なんだかタブレット端末みたいで、なかなかスタイリッシュなテイスト。
……なだけでなく、取り出し後はイイ感じの角度で立てかけられるスタンドにもなる、という、マルチな一品だ。もちろん縦置き/横置き両対応。
立てかける角度は2パターン用意されているので、上からのぞき込むスタイルでも、少し高い場所に置いて横から見るような姿勢でも、問題なく対応できる。
ちなみにSleeve Stand 1002はOn-Lap 1002専用ではあるが、似たようなサイズのタブレット端末に流用することも可能だろう。ちょっとおしゃれ感があって、傷つけずに持ち運べて、スタンドにもなる使いやすいタブレット用ケースを探している人には強くおすすめしたいところだ。
「モバイル液晶On-Lap」を静音キーボードとして活用してみる
それでは早速、使い方を紹介していこうと思うが、「On-Lapの普通の使い方」での使い心地はひとまず後にして、「タブレットならでは」かつ「ちょっと未来的」しかも「実用度あり(?)」な使い方から紹介したい。
それは、On-Lap 1002を思い切って(ほぼ)操作専用画面にしてしまう、というものだ。つまり、On-Lap 1002にはソフトウェアキーボードとタッチパッドのみを表示して、Windowsタブレットを操作するというもの。
知っている人は知っていると思うが、Windows 8のソフトウェアキーボードは意外に使い心地がいい。キーレイアウトを変更すればハードウェアキーボードと遜色ない使い方ができるし、(当たり前だが)打鍵音がしない、押すたびに光るキートップが未来風(?)というメリットもある。もっとも、使える画面はかなり狭くなるわけで、これをメインで使おう、と思った人は少ないはずだ。
しかし、On-Lap 1002側にキーボードを表示させれば、そうした問題は解決する。「安くはないOn-Lapをただのキーボードにしてしまうのか?」という疑問は若干あるが(笑、「完全無音」「ちょっと未来風」に惹かれる人はいるだろう。
………というわけで、ものは試し。早速テストしてみた。
さて、まずは準備編。
チャームから「設定」→「PC設定の変更」→「PCとデバイス」→「入力」とたどり、「ハードウェアキーボードに準拠したレイアウトをタッチ キーボード オプションとして追加する」をオンにしよう。その後、タッチキーボード右下のボタンを押し、新しく増えているレイアウトを選べばOK。これでファンクションキーやWindowsキーが使えるようになる。
次に、「画面の解像度設定」でOn-Lap 1002をメインディスプレイに設定する。タッチキーボードは基本的にメインディスプレイ側に表示されるからだ。
ただし、この設定にしてしまうと、他のアプリケーション起動時、ウィンドウがOn-Lap側に表示されてしまう。本体側の液晶に移動するには、タッチキーボードで「Windowsキー+←」または「Windowsキー+→」を何度か押すことで行えるので、これらのショートカットキーも活用したい。
また、タッチ操作ではどうしても正確な操作がしにくい、という場面も想定し、タッチパネル上でマウスカーソルを操作できるようにする「TouchMousePointer」もインストールしておこう。こうすることで、もはやOn-Lap 1002はタッチパッド付きキーボードそのものになる。Surface Pro 3専用のタイプカバーは不要(?)………かもしれない(笑
以上で基本的な設定は終了だ。
ハードウェアキーボードと違って打鍵時に音も出ないので、常にサイレントなPC作業が可能になるし、前述したように、キー入力も想像以上にスムース。仕事場で得意げにハードウェアキーボードを力一杯タイプしていると、「あの人、エンターキーの音だけやけに響くよね」なんて噂される可能性があるが、On-Lap自体をキーボードにすればそんなこともなくなる……はず。
自宅やオフィスのデスクではノートPCのように使えるのはもちろんのこと、コンパクトなので外出時も膝の上に乗せて使える。デスクトップを拡張するのではなく、このように一方をぜいたくに操作用画面にしてしまうのも、モバイル2画面ならではの使い方だと思う。
打合せも、SNSも、画像編集も超快適!
………と、明らかにネタに走った後ではあるが、On-Lapの基本的な使い方はタブレットでも健在だ。
仕事におけるモバイル2画面の応用方法は、わりと単純だが奥が深い。
たとえばプレゼンテーション時にデュアルディスプレイ化しておけば、相手にはOn-Lap 1002を向け、自分はWindowsタブレットを操作する、という使い方が考えられる。
WindowsタブレットとOn-Lap 1002の双方を立て、“山型”のスタイルで使うのもいいし、On-Lap 1002だけ立てたり、2台とも寝かせてしまう、という使い方でも良さそうだ。
1人で使っている時は、デスクトップを拡張し、一方には資料の編集画面を、もう一方にはTwitterなどのSNS画面を表示して、仕事しつつ常に情報収集するという使いこなしがオーソドックスなスタイルだろう。
2画面ともタッチ対応だと、「あれ?マウスカーソルどこだっけ」となってもタッチすれば操作できるし、マウスカーソルもタッチした場所に移動する。たくさんの情報をアクティブに扱う、という点では普通のデスクトップPC+マルチディスプレイよりも優れている面もある。
片方の画面を縦置き表示にし、タイムラインをできるだけ大量に一覧できるようにしておくのも手だ。
また、これも一般的なデュアルディスプレイの使い方だが、Photoshopのようなソフトで写真をレタッチする時に、たくさんのツールウィンドウを全部On-Lap 1002側にまとめてしまう方法もある。こうすれば、Windowsタブレットの画面で可能な限り画像を大きく表示しながら存分に画像編集できるだろう。
驚きの臨場感!電子書籍を見開き表示
さて、最後にWindowsタブレットとOn-Lap 1002の両方を縦置きにして使う、というのもやってみた。これだと、電子書籍を大画面で、かつ見開きにして読めるようになる。マンガやグラビア雑誌などに効果的で、実際、画面もなかなか大迫力だ。
「複数画面に対応した電子書籍リーダーってあるの?」という疑問もあると思うが、Webブラウザベースの「kindle cloud reader」であれば工夫次第、というわけだ。
これを実現する方法は、2通り考えられる。
1つ目は、両画面を縦置き表示に設定した後、両画面でWebブラウザをそれぞれ最大化、それぞれの画面で電子書籍を開く方法。画面の調整は少し楽になるが、この場合、両画面で1ページずつずらして表示させ、ページをめくる時は2回ずつタッチしなければならないのが難点だ。
もう1つは、WindowsタブレットとOn-Lap 1002の画面密度(DPI)をだいたい同じになるように調整したうえで、それぞれのデスクトップを縦置き表示にし、kindle cloud readerをWebブラウザで開き、そのウィンドウを2画面にまたがらせるよう、手動で(グリグリと)「最大化」する方法。
開始までの手間はかかってしまうし、タブレット側の解像度を調整しなければならないが、始めてしまえばなかなか便利。
……というわけで、手放しで「便利」とまではいかないものの、この「見開き表示」は1画面では得られない閲覧性の高さがある。大げさに言えば「紙を超えた臨場感」があるとも言えるだろう。「タブレットで電子書籍」はもう当たり前だが、一歩進んだ(?)「見開き大画面タブレットで電子書籍」を是非体験してみて欲しい。
自由度の高さはWindows PCだからこそ
発売からしばらくたったOn-Lap 1002だが、Surface Pro 3のような高性能のWindows 8.1タブレットと組み合わせ、さらに新たに発売になったSleeve Stand 1002とともに活用することで、これまで思いつきもしなかった新鮮で意外なスタイルを実現できた(笑
Androidスマートフォンやタブレット、iPhone/iPadといったスマートデバイスに注目が集まりがちではあるけれど、マルチディスプレイのような自由度の高い使いこなしができるのはPCの専売特許と言える。自宅でも、オフィスでも、外出先でもハードにコンピューターやネットを使い倒すなら、On-Lap 1002でデュアルディスプレイ化するのが最善の道である、と断言しておきたい。